よし坊のあっちこっち

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米国サッカー事情 - 人気上昇中なり

2014年03月17日 | サッカー
長らくアメフト、バスケ、野球とアイスホッケーが4大メージャースポーツの名を欲しいままにしてきたアメリカだが、その地図が近い将来大きく変わる様相を示すデータが出てきた。

スポーツ番組で定評のあるESPNが毎年行っている年齢層別のスポーツ人気度の最新レポートの中で、将来を占う12歳ー17歳層の人気度において、初めてサッカーが野球と肩を並べたと言う。主な内訳は、アメフト(NFL)39%、バスケ(NBA)23%、野球(MLB)とサッカー(MLS)が18%、アイスホッケー(NHL)は13%である。

年齢層を12歳から24歳までに拡げると、サッカーの人気度はアメフトの次に来ているというから、最早アイスホッケーは目じゃない。野球は明らかに2011年から人気度が下降しているが、サッカーは2010年から上昇気流に乗っている。2010年は南アでのワールドカップがあった年であり、これが大いに影響しているのは間違いない。

MLSは1993年に設立され、実際の試合は1996年のスタートであった。この96年はよし坊がアトランタに来た翌年に当たり、そしてアトランタ・オリンピックの年でもあった。以来、アメリカのサッカー事情を折に触れて見て来たけれども、アメリカのサッカーがここまで来た道のりは平坦ではなかった。

古くは70-80年代、ペレやベッケンバウアーを呼び入れた有名なNYCosmosを中心としたプロリーグ活動があったが、土台としてのサッカー人口の脆弱さから中々人気に火がつかなかず、リーグは消滅していった。

大きな転機はやはり94年に開催された米国でのワールドカップであろう。これに合わせるかのように、93年MLSが設立され、実際のゲームは96年スタートと決まった。さて、スタートをしたMLSだがさっぱり人気が上がらない。人気がないからTV中継が殆どないのだ。あっても週に1-2試合。他の4大メージャーに押され放送枠が取れない現実があった。この状況が暫く続き2002年の日韓ワールドカップを迎えるのだが、2000年を前後するこの頃にはMLSは15%前後の人気度を確保するところまで来た。以後、ワールドカップ出場の度に少しずつではあるがシェアを伸ばし、TV中継も増え、そして今、野球に肩を並べた。

ここまで来れたいくつかの要因がある。まずワールドカップ。94年の開催以来今年のブラジル大会まで連続出場している事が大きい。次に女子代表チームの存在だろう。女子代表チームは既に80年代から女子ワールドカップで存在感を示し、初期は中国、スェーデンと覇権を争い、近年は強豪ドイツと実力を二分している。女子代表チームの活躍が米国サッカー人口の裾野を大いに拡大したと言っても過言ではないだろう。

三番目の要因は外的要因とも言えるベッカム効果である。デイビッド・ベッカムが意表をついて、名門レアル・マドリッドから2007年ロスアンジェルス・ギャラクシーへ移ったインパクトは大きな二つ目の転機とも言える。TV中継も飛躍的に多くなり、その後、ヨーロッパからの大物選手が来る流れを作った。フランスからアンリが、アイルランドからロビー・キーン、そして今年はイングランドからデフォーが移ってきた。毎年8月と1月の移籍シーズンに誰がアメリカに来るか、来ないか、そんな話が俎上に載るようになったのだ。逆にヨーロッパでプレイする米国の選手も飛躍的に増えた。

世界ランキングでは概ね20位を挟んで前後しているから、まだヨーロッパ強豪との差は歴然とあり、レベル向上への課題は多いが、10位以内という目標が近い将来実現する可能性は十分にある。今年のワールドカップの成績を待たずにクリンズマンのコーチ延長が決まったのは、10位以内という目標を達成しようとする米国の強い意思表示のように思えるのだ。