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Cold Caseと遺伝子系図捜査(Investigative Genetic Genealogy)

2022年04月04日 | アメリカ通信
今、米国の犯罪捜査で、30~40年前のCold Case(迷宮入り事件)が次々と解決され、その数はこの数年で150件に達している。この目覚ましい成果を可能にしたのが、従来のDNA鑑定データと米国人がFamily Tree作成で利用する民間DNA解析データのコラボという、極めて興味深い捜査手法なのである。

1986年英国で初めて事件解決の突破口を開いたDNA鑑定は、犯罪捜査では欠かせないものになった。だが、弱点がひとつある。採取された犯人のDNAを当局にある犯罪者DNAデータベースで照合するのだが、データベースにない人物が犯人なら、照合はお手上げとなる。捜査は別の角度からの捜査となり、時間が経てばお蔵入り(Cold Case)となる。DNA鑑定が主流となった現在でもお蔵入りはあるが、それが無い時代では多くのお蔵入り事件があった。

近年のDNA解析テクノロジーは個人が民間企業からKitを購入し、自分のDNAを調べてもらうことで、自分の先祖を辿ることが容易に出来るようになった。欧米人は元来自分及び家族の先祖をFamily Treeという形で記録するのが好きだが、これに科学的根拠が明らかなDNAで裏付けが可能となった。こうして、DNAで先祖を辿るFamily Tree作りに拍車がかかり、FamilyTreeDNA社やGEDMatch社には貴重なDNAデータが蓄積されることとなった。これらが犯罪捜査に活用されるのである。

遺伝子系図捜査への突破口を開いたMetro Denver Crime StoppersとUnited Data Connect社による事件解決例を紹介したい。

1980年1月、マサチューセッツからデンバーのラジオ局に卒業前のインターンとして来たヘレン・プルジンスキーが来て一か月も経たないうちに職場からの帰途、何者かに拉致され、翌朝近くで死体で見つかった。そしてお蔵入りとなった。
2017年遺伝子系図捜査がのろしを上げる。2019年デンバーの捜査官がヘレン殺害犯人のDNAデータをGEDMatchにアップロード、犯人のDNAと部分的に抵触する人物約3000人を抽出。これらに対する聞き取り調査を開始、Family Tree情報などを開示してもらいながら絞り込んでいき、二人の兄弟にたどり着く。そして弟のDNAが犯人のものと見事に符号し、逮捕となった。


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