よし坊のあっちこっち

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映画三昧 - 球形の荒野

2010年12月07日 | 映画
前後編併せて4時間のスペシャルドラマ「球形の荒野」があるというので、楽しみに観たのだが、残念ながらすっかり裏切られてしまった。折角の清張作品が、これでもかと言う脚色で、原作の味は何処へやら、社会派ミステリーどころではなく、すっかり安物の刑事物のドラマと化してしまった。テレビドラマがドンドン面白くない方向に行っている、その一端を見せてくれたようなスペシャルだった。

後味が悪いので、次の日、早速手持ちのビデオ、松竹映画「球形の荒野」を久しぶりに観直してみた。4時間(正味3時間半位)のダラダラしたテレビ版に比べ、1時間40分の中にエッセンスを凝縮する映画の濃厚さというか、重厚さをあらためて実感する。若い竹脇無我と島田陽子を軸に、芦田伸介、山形勲、岡田英次とベテランを配しての、やはり重みのある映画に出来ている。軍人上がりの右翼の藤岡琢也も凄みが出ていて、危険な風格がある。犯罪に関わる部分では、戦後の右翼、児玉誉士夫かそれに連なる人物を連想させる役として、大滝秀治がワンシーン登場する。原作では、時代背景の重要部分として描かれているのだが、テレビ版はやたらと殺人事件を起こし、そんなものはどこかに飛んでいる。大滝秀治は若い頃は、他の映画でも凄みのあるワルを演じていて、一度観ると忘れない役者となる。

テレビドラマの方は、最後が又いただけない。お互い父であり娘である事を分かっていながら、他人を装って最後の別れをするハイライトだ。これをテレビ版はどう演ずるか。ワイフと二人で、最後まさか名乗らないよな、と期待していたら、娘に「お父さん」とアッサリ呼ばせてしまったではないか。最後の最後で、最後のがっくり。テレビドラマは所詮こんなものか。


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