この連休、東京に帰郷した折、井の頭公園を散策した。以前に何度も訪れたことがあるが、池の周囲を歩いた程度だったので、今回は全体を巡ってみようと思ったのだ。さすが名園の誉れ高く素晴らしいところだ。
動物園にも行った。狸、キツネ、ハクビシン、リス、鴨類など動物の多くは、日本の野山に生息する種類で、僕の勤める茨城の会社の周辺の野山でも見られる動物たちだ。檻の中の動物は、野山で目撃する動物とはどこかが違う。檻の中のハクビシンは大の字にうつ伏せになり日向ぼっこ。狸は丸くなりのんびりと眠っている。野生から離され、外敵もなく餌の心配も無く、全く無防備に見える。眼が違う。檻の中の彼らの眼はうつろで、野生の彼らは警戒心で鋭い目つきだ。
僕は時々、人と動物を比較したり入れ替えたりして想像をめぐらすことがある。それは何年か前、僕の住んでいる茨城で牛の市場を見学してからのことだと思う。競りに出される牛たちは、おおかた従順で、その眼をジーと見ていると、牛というより人間の誰々さんに似ているなーと思えてくるのだ。
ところで、人の話。
何かの集まりの会話などで、時々、特に年輩の方に多いのだが、「自分は悠々自適でゴルフ三昧‥‥」のような話しをしているのを聞くことがある。それはそれでいいのだが、行き止まりでその先の魅力をあまり感じない。彼らの眼は檻の中の動物のようにトロンとしている。一方、幾つになっても厳しい状況の中でも、努力し、挑戦をしつづける人達を見る。たいてい彼らの眼は生き生きしている。そして僕は彼らに魅かれる。
今というキビシイ時代。色々な分野で努力し挑戦する人は、檻の中の人ではない。未来のある人だと思えてならない。さて自分は、そのどちらであるのか? それが問題なのである。
5月9日 岩下賢治