これからの日本の大きな課題。地方創生。少子高齢化。これらの問題は、一市民として私の頭の中にいつも去来する。
そんなある夜夢を見た。
ある劇団の芝居観劇に招かれ母と二人で出席した。開演の前の顔見せで、出演者一同が居並ぶ中、女座長が挨拶に立つ。「それでは一言」と肩口に手をかけ衣装の隙間から肩の彫り物を皆に見せ語る。「本日これから、この地域は周囲の地域と協力して独立国となることを宣言する。ここに列席する皆様はその同盟者になっていただきたい。私がその指導者を務める。これからはこの地域は、今までのような、さみしい一地方ではない。これから皆さんと繁栄に向かい進んで行こう……」
芝居の公演を模した独立派の会合だった。母は抵抗したが、逆らうことができず独立国の一員となった。その後、母は得意の編み物で仕事を得た。
夢の話はここまで。ここからは現実の話。
地方創生は、まず、地方がどのようなビジョンを持ち計画を実行していくかにかかる。起業家の出現を求めたり、新しい農業、産業方式を作るのはもちろん必要だ。別の次元では、地方は周辺の地方と統合一体化し、あたかも独立国のような形を目指すという考えがある。その小国内であらゆる産業を完結させる。農水産業、加工製造業、流通、金融、サービス。ここに若者が集まり、人口も増える。また、高齢者の働く場も作る。現代の職業意識は、文化的な、エンターメント的な分野もあるだろう。芸術家、評論家、タレント、などが、地方の中で職業として成り立たなければならない。
地方創生。少子高齢化。女性活用。これらのなかで、地方創生が実現できれば、その他の課題も実現に向かって動き出せるのではないか。夢のようであるが、どうだろうか。
すでに各地方でそのような模索が始まっているかもしれないが。 10月6日 岩下賢治