ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

築地の市場規模はそんなに大きのか

2016年09月21日 | 日記

 代々木公園ではシイノミが熟し始めています。

 築地市場を豊洲に移設する問題が大きく揺れている。

 交通の便や衛生面で、築地に問題があることは早くから指摘されており、移転に向けてのすったもんだの長い期間があって、やっと決着したのが豊洲で、その費用が当初予算を大幅に超える常識を疑う費用の上積みだったことなどから、この間の暗部について、様々な憶測が小池知事の耳に入ったのだろう。そして、今回の延期となったのだが、当然の措置だと、誰でも思う。
 で、私が疑問に思うのは、そうした建設過程のやり取りではなく、規模の問題である。
 現在の築地の敷地面積は20ヘクタール強、移転先の豊洲はその倍となる40ヘクタールと、倍の広さになる。延床数をみると、築地の280,000平米に対し、豊洲は400,000平米と、これも倍増近くになる。規模が大きくなれば、その分、上下水道、電気、ガスなどインフラ関係の費用がかさむ。市場の取引量が倍になると予測されるのなら、当然、施設も拡大すべきだが、築地市場はそんなに規模が拡大しているのだろうか。
 実は築地の市場規模は1987年をピークに、徐々に縮小しているというのがデータにはっきり出ている。
 foods channnel というサイトによると
「2013年度実績での年間取扱量は、水産物48万3,951トン(約480種類、4,217億2,900万円)、青果物(鳥卵・つけ物含む)30万5,943トン(約270種類、856億4,300万円)にも上り、水産物の取り扱いでは世界最大規模を誇っている。青果物においても、促成野菜や洋菜類、ハーブ類の豊富な品揃えは他に類を見ない。」とされるものの、「しかし、各部類の取扱量、取引金額とも減少傾向にあり、水産物の取扱量は1987年をピークに4割近く落ち込んでいる。」のである。 
 また、東京都の統計データでも、都全体の取扱数量は、「2008年を100とした場合に、2013年の実績は、全体で102,378トン減少の83.4%となり、この中、築地市場実績は83,211トン減少の85.3%で漸減傾向である。」とされている。

 私の住む新宿でも今では居酒屋など築地に買い出しに行くのは稀だし、大型のスーパーやチェーン店などは産地との直取引が進んでいる。つまり、築地市場の取引規模は縮小しているのだ。今後、少子化や食文化の変化がいっそう進めば、食料の市場動向も当然変化していく。築地の取引量もいっそう減っていくものと予想できる。
 20年ほど前のことになるが、沖縄で宿泊したホテルでは、刺身を築地直送と自慢していた。札幌の居酒屋でも同じ経験をした。築地がブランドだったのである。しかし、今は違う。農水産物は産地のものを産地で食するのを良しとする時代なのである。
 今後、食料の市場取引は冷凍技術の開発が進んで、大規模の取引は冷凍物が中心になると思われる。そして、生鮮物と冷凍物は明確に区別され、生鮮関係は地元の産直物に限定されていくはずで、生ものを扱う部門は、築地に集中されるわけではなく、どんどん規模は縮小していくことになろう。そうした状況を今回の移転騒動の当事者たちはどのように考えていたのだろうか。

 築地に限らず、官公庁の設備計画は、利用の拡大基調を前提にしないと、建設が進まない傾向がある。その結果が、各地の箱物施設の赤字である。困った行政風土である。コンパクトにおさめるというのは、オリンピックもそうだが今後の大きな課題だと思う。【彬】

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