ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

仲買い制度が品質を支える

2017年04月03日 | 日記

                                ユキヤナギです。

 もう遥か昔のことになるが、築地の場内市場でタラコを一桶買ったことがある。場内では取引単位がキロなので、タラコのような加工品は30腹程度を詰めた樽売りになる。自宅に持ち帰り、一腹ずつラップに包み、冷凍し、小出しにして食べるのである。これが、今は亡き丸元淑生さんが勧める都会の食事法だった。村上春樹の小説に出てきそうな情景である。

 そして、美味しく食べた。これに味をしめ、また買いに行った。場内に入り、ほぼ同じ場所と銘柄だった(と思う)樽ものを、同じように一樽買ったのだが、これが大外れ、悔しい思いをしたことがある。

 それで、この時の教訓。自惚れの素人判断ほど危ないものはないということ。

 とは言え、同じような過ちを何度したことか。道端で売っている蟹、果物、野菜の類。つい呼び込みにつられ、買ってしまう。決して安くも美味しくもない。生鮮類を買うには、確かな仲買いの目を通ったものが良い。一時、仲買業などを中間搾取だとして、産直を勧める動きがあったが、これは嘘だ。仲買いは英語で言えばdeal、生産者と購入者を取り次ぐ大切な橋渡しである。dealerの活躍が抑制されているところではろくな品物しか市場に出て来ない。

 今、豊洲をめぐる市場のあり方が問題となっている。安全とか安心とか言っているが、基本はdealerの意向だと思う。dealer達が安心して品物の目利きを発揮できるかが、優れた市場というものだ。安全が確保できない環境では品物の鑑定などおろそかになるに決まっているし、しかもそのような場所にはそもそも生産者は搬入を控えていくに違いない。

 以前に指摘しておいたが、築地市場は取引規模が縮小しているのだ。築地の利権に拘泥している人たちの意向はともあれ、知事の言う都民なんたらより、dealerの意向を最優先した市場造りが優先されるべきである。(この項、続く) 【彬】



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