モクレン
私が営業している小さな店舗にとっては、経費における電気代の占める割合が他の経費よりかなり大きい。その電気代が、この数年、大きく膨らんでいる。津波の被害にあった福島原発の影響が直接響いているのである。事故前は月に2万2〜3千だったものが、ここ2〜3年は3万円を少し下回るほどに高騰している。およそ3割の値上がりである。
これが標準的な上昇率だとすると、電気を大量に使う製造業や先端研究機関などは、悲鳴をあげているに違いない。現に山中伸弥博士は京都大学IPS細胞研究所の電気代が高いことを嘆いておられた。
電気代が高くなったのは、原発事故の後始末や賠償金などがかさむこと、それに原発の稼働が抑止されていて、燃料である液化ガスの代金が膨らんでいるからである。東京電力ではさまざまな資産を売却し運用を計っているらしく、私の住んでいるところにあった東電病院は跡形もない。そんなにしても電気代の値上がりは防げないのである。
電気は安価で大量に供給されるのが現代社会のベストな方向である。豊富な電気なしには新たな発明や発見、技術革新はありえないからだ。そのためには、燃料依存度の低い原発の稼働、再開発が不可欠だと思う。
原発に過度の危険性を見る人たちは、古川和男「原発安全革命 」文春新書を読むといい。またその福島原発の放射能被害に対する科学的な報告書を見るのがいい。早野龍吾博士の著書やツイッターでの報告を読めば一目瞭然だ。さらに経済性に疑問を持つ人は、池田信夫氏のブログを薦めたい。
現在の科学技術では、エネルギーを有効利用するためには、それを電力に変換させることが最適となっている。だから未来を開拓するには、電力を存分にしかも無償で使えるようになることがもっとも良いのである。原発に頼らなくとも電力は足りているなどという見解があるが、そのためにはアラブから大量の化石燃料を輸入しているのだ。巨大なタンカーがシンガポール海峡を越えて運行しているのである。そんな危険(気候やテロや国家の意向)を背負っての電力であることを銘記すべきである。【彬】