白桔梗です。
成老人の健康のために、脚力を鍛えようという言説がある。確かに衰えは足にくる。特に太ももは第二の心臓だと言われ、この老化を防ぐために散歩や早歩きが奨励されている。早朝や休日には、ウォーキングを楽しむ人が多い。
私の住んでいるところは交通が便利で医療機関も身近なこともあって、老人の住民が多いのだが、たいていが足元おぼつかなく、カートを引いて買い物に出歩いている姿を目の当たりにすると、我が事のように気が気でない。足の衰えを防ぐことは大事なことなのだ。
私自身は幸いにして年齢に比して足腰は丈夫である。反面、上半身の筋力が衰え、床屋に行きマッサージを受けると、肩が硬いですね、何かスポーツするといいですよ、などと言われる。肩こりは慢性の病である。 そんなこともあって、一年ほど前から、スポーツジムに通うことにした。そして、ハアハア言いながらダンベルなどを持ち上げている。その効果は、若干ながら出ているのだろう。反面、副作用も出ている。その細かいことはさておき、脚力との関係で気がついたことがあるので、述べておきたい。
私の中での最も弱い体幹部は腹筋である。ベンチに横たわって上半身を持ち上げる。これを10回、20回と繰り返す。本当に苦痛である。そんな運動で気づくことがある。翌日、腹筋付近が痛いのは仕方ないのだが、なんと太ももが重苦しいのである。腹筋は実は太ももの強化でもあったのだ。走ったり歩いたりする時の筋力は脚筋力だけでなく、腹筋の力でもあったのだ。
昔、知り合いのアスリートが言ったことを思い出す。
「君、お腹の周りに骨がないのは、なぜか知っている? 肺とか心臓は肋骨がカバーしているが、消化器関係のお腹は骨でカバーしていないのだ。これはね、お腹周りはいくらでも鍛えられるということなのですよ!」
つまり、心臓や肺などと違って、いくらでも鍛えられるということ。その腹筋の様子で足元の具合が決まってくるのではあるまいか。私は、脚力を強化することよりも、腹筋を強化することが健康の決め手ではないのか、と思うのである。【彬】