トマト
7月10日、参議院議員選挙である。いろいろ思うことがあるのは、私だけではあるまい。私が思うこと、いくつか書いてみたい。
1 何のための参議院か
衆議院に対して参議院というのは何なのか。教科書風に言えば、衆議院の暴走をチェックする機能。欧米に倣った制度であり、戦前は貴族院だった。イギリスでは今でも貴族院、確か終身制で議決権はない。ポール・マッカートニーも議員になっている。アメリカの上院も似たようなもの。議員数も少ない。日本の現在の参議院は良識の府とされているが、予算の議決権以外はほとんど衆議院と同じようなことをしている。
今までもいろいろと改革案があったが、現在の比例制は以前は全国区で、単に人気投票に過ぎなかったことを改めたものだが、衆議院と同じ制度になって、その独自性をかえって損ねていると言えないか。
参議院の意味・役割をもっと明らかにするべきだが、その改革を行うのが議員であるから、変革はほとんど不可能に近い。
2 投票権について
封建主義者を自称する呉智英さんは、現在の選挙制度はポピュリズムを生む。国民皆選挙ではなく、選挙権者を限定すべきと言っている。例えば試験にパスした人に選挙権を与える、と。制度は違うが昔の有資産者による選挙と同じようなもの。選挙権は、憲法=国民主権として明示されている、という正統な思考に釘を刺すというべきか。投票率が50%を切るようになれば、有力な考えになるのかもしれない。
3 間接選挙の導入
間接選挙を行っているのはアメリカである。アメリカが間接選挙を行うのは、州の独立性が強いこと、国土が広すぎること、などの理由があろう。間接選挙の利点はいくつかある。選別が多段階に分かれるために、候補者がより精選されていくこと。欠点もある。多様な意見を組み上げることができないということ。
だから両者を併設してはどうか。日本では、地域選別と比例が併設されているのだから、比例を間接選挙にしてはどうか。投票者は選挙人を選ぶ。その選挙人は自らの考えのもとに、政党に投票する。結果として政治家として最適な人が何人か選ばれることになるのではないか。
中国の選挙は共産党内の選挙だが、党員は地域で選ばれていくから、これも言ってみれば間接選挙だ。
4 政治家という職業(仕事)
政治家は権力者である。立候補するということは権力者に志願するということ。候補者にその覚悟があるのか、甚だ疑問である。減税するとか、すみ良い社会にするとかソフトな公約であるが、それを実現するのは権力であり、突き詰めれば武力である。政治家は武力にタッチせざるを得ないことを明確にすべきである。このことは戦争論のクラウゼヴィッツでも、かのマックス・ウェーバーも明記している。
5 選挙広報について
選挙広報は2通届けられる。一つが地域選挙であり、もう一つが比例選挙である。
このどちらもチラシ広告然として見るに耐えない。両方を統一し、もっとシンプルに主張を述べる場にできないものか。現今の基本は選挙管理委員会が立候補者に広報の一定スペースを与えるという形になっているため、でかい顔写真や文字が溢れ、広報とは何かが疑われる状態だ。管理員会の立場をもっと打ち出すようにすべきだ。これは自由な選挙を妨げるものではないはずだ。
などと5点、です。【彬】