毎年、夏の時期には、なるべく読書に時間を充てるようにしている。自然に手にした本は、la porte etroite 。アンドレ・ジッドの「狭き門」。
確か、初めて読んだのが、高校生の夏休みだった。その時、心洗われる感動を覚え、外国にはこういう小説があるのかと思った記憶がある。大学生になってから、趣味でフランス語の勉強をしてきたが、ずいぶん時間がたってからだが、La porte etroite を2度ほど読んでいる。
今回は、高校生の頃から、今の自分に至る道のりを改めて振り返って見てみようという気持ちもある。古典的名作を読むと受け取るものはそのたびにあたらしいものが加わっていくものだろう。・・・実際は小説の内容からというよりフランス語の知識がほとんどだろうが。
絵は、1章の終わり辺り。不誠実な主人公の叔母が失踪した後、縁者が教会に集まる。牧師から受ける説教の冒頭はキリストの言葉:
Efforcez-vous d’entrer par la porte etroite,car la porte large et chemin spacieux menent a la perdition, et nombreux sont ceux qui y passent; mais etroite est la porte et resserree la voie qui conduisent a la vie, et il en est peu qui les trouvent.
汝、力を尽くし狭き門より入れ、大きな門、広き道は滅亡に続く。そして、そこを通る者多し。だが、狭き門は生命へ続く道を細め、これを見出すもの少なし。
ここで、主人公,ジェロームは叔母の義理の娘、アリサへの憐憫と愛情に押され、ともに狭き門に入ろう、と独りで心に誓うのだが・・・・。
2022年7月25日 岩下賢治