ぼくらの日記絵・絵心伝心 

日々の出来事や心境を絵日記風に伝えるジャーナリズム。下手な絵を媒介に、落ち着いて、考え、語ることが目的です。

投票率28%

2022年11月17日 | 日記

         満開の野路菊(ノジギク)

 先日、東京都新宿区の区長選挙が実施された。
 候補者は現区長と元区議でジェンダーレスを標榜する2名。結果は現区長が勝利。三期目を務めることが決まった。その選挙では、投票率が28.05パーセントだった。前回の同じ選挙は28.24%で、前回より若干少なかった。
 問題はこの投票率をどうみるか、である。
 そんなに低いのか、と思う人が多いに違いない。あるいは、当然の結果だとみる人があろうか。とはいえ、私は、この数字から区民の政治意識の低迷をみてはならないと思う。問題はそんなところにはない。
 なぜ、こんなに低いのかと言えば、新宿区のような都会では古くからの定住者がそれほど多くなく、しかも自治とはいえ、特別区であるためほとんどの行政が国家行政と不可分の関係にあるからである。
 地元に子供の時からずっと住んでいるところなら、町の変化から人脈など、ある程度想像がつくし、地域の行政課題の見当がつくのだが、新宿のような巨大な街では人は常に流動していて、自治意識は希薄にならざるを得ないのである。だから当然、投票率は低い。国政選挙とは違うのである。
 もともと、そういう投票率が低いところが都会の特徴であって、こういう状況の中で、いわゆる普通選挙というのはどういう意味を持つのか、が問われる。しかも区長の対抗馬が、地域行政の問題ではなく、ジェンダーレスを掲げることの意味はなんなのか。選挙民がそっぽを向くのも当然ではある。
 ならば、新宿区民の課題や悩みはなんなのか。
 突出している問題は、住民の流動化に伴う学校不足である。高層マンションが建てられ、若い夫婦が増えれば、当然その子どもが増える。しかし、学校は簡単には増やすことはできない。しかもいっとき、少子化で学校を整理統合したばかりである。人口の激しい移動に行政がついていけないのである。
 さらに建築物の老朽化に伴う再開発も課題だ。大手のデパートが建て替えられる。駅舎が作り替えられる。あまりにも大きな課題なので、自治選挙ではそれらの問題を問う事すら、その方向がわからない。
 村が一体となり、地方自治のあり方を問う選挙ではなく、常に流動化する都会の自治とは何か。
 都市における行政の役割は、従来と違った役割を帯びてきている。予算も巨額になってきている。都市における地方自治というのは、何なのか。根本から問題にすべき時代に来ているように思う。【彬】

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