ドクダミ
先日、赤坂見附の交差点の前を歩いていたら、以前、何回か立ち寄ったことのある旧サントリー美術館があったビルがすっかり消えていて、新築の掲示がでている。ここになんと140メートルの超高層ビルを建て替えるとのこと。
都内は今、改築ブームである。トイレの表示問題などで話題となった新宿の歌舞伎町タワーも超高層として建て替えられたばかりだ。また、東京駅の八重洲側も超高層ビルの建築を競い合っている。
都内は今、ビルラッシュだ。あちこちで大型のクレーンが稼働している。40年前のバブル以来である。前と違うのは建築されるビルの多くが超高層だということ。
試しに東京の現在の超高層ビルを調べてみる。
高さが100メートル以上のビルがなんと、既に628棟もある。いつの間にこんなに多くの高層ビルが建ったのか。気に留めていなかったが、都庁の庁舎も243.4メートルとのこと。高さが300メートル以上というのもある。競っているのは、東京駅日本橋口の、Torch Towerで、390メートルで最高(現在建築中)だ。こんな高層ビル、だれがどのように使用するのかと思うが、どれもが、一部をビジネス用にし、あとはホテル、それに居住マンションである。超高層ビルのはしりは、旧霞が関ビルだが、こちらは高さが147メートルだった。1968年築とのこと。
こんな建物、どんな利用価値があるのか、私にはわからない。でも需要があるから建つのだろう。建物が上に伸びるのは、地上の面積を節約するためである。地面は広げることはできないが、空間を上に伸びることで、面積は広がる。しかし、そのうち上に伸びるのをやめて、将来はキノコの傘のように、一定の上空を横に伸びていくのではないか、などと私は思う。限られた土地面積を増やす方法は、上に伸びるより、空間を横に広がる方が効率的と思うからだ。すると日照が問題となるが、光ファイバーで太陽光を横取りすることで解決できるのではないか。また空飛ぶタクシーなどが出てくると上に行くより横に広がった方が便利だと思う。そうすると空域権というのも出てきそうだ。なんだか村上龍の小説みたいだ。
昔、社会主義が理想とした都市は、工場や設備、商店などは地下に押し込め、地上は田園そのものだった。現代の上空に伸びていく建物は、もうじき試金石として晒されることになるだろう。ほとんどSF的な世界である。【彬】