クチナシ
昔のことになるが、投票行動について政党を選ぶか人物を選ぶかが問題にされた時期が長い間続いた。今、政党に投票する人は、ほんのわずかだろうと思う。各世論調査で明らかなように全体の半数以上が支持政党はなしと答えている。
日本の政党政治の歴史は古い。明治期の民権運動から始まっている。ところが日本では政党政治は名称ばかりで実質が伴わず、党利党略ばかりが先走った。政党としての政策綱領は単に形式ばかりだったのである。その傾向は現在まで引きずっており、昨日、民主党だった議員が、明日は自民党になる、というようなことが平気で行われてきた。政党は、共通する政策を実現するため集団ではなく、自らの地位を獲得し維持するための団体と化している。現在、その顕著な姿が政党助成金であると言って過言ないと思う。政策を実現するための集団に、なぜ国家予算を配分しなければならないのか。(革命政党で一党独裁の共産党は政党政治の枠外にある)
今、焦点の一つになっている、岸田首相の掲げる、新しい資本主義、異次元の少子化対策、LGBT法案などというのは、自民党が掲げる政策綱領とどう関係するのだろうか。綱領として明確に掲げたことがあるのだろうか。私は見たことも聞いたこともない。おそらく、そんなスローガンが横行するのは、誰かブレーンとかロビーエストがいるのだろう。党員の意向を集積し、綱領として確立したものとは、とても思えない。
岸田首相はかつての宏池会を継承しているというから、かのグループの、保守というより自由・改革を優先する思考の流れなのだろうか。
政党の綱領から離れ、合従連衡が繰り返される政党政治というのは、もう廃棄した方が良いと思う。選挙は党ではなく、人物とその人の考え方を基準にしたいものだ。
選挙管理委員会が配布する選挙公報では、政治課題に対する意向を表明してもらい、その上で自らの指針を示すものが良いと思う。とは言え、政治は個人でなされるものではない。個人に依拠しすぎると個人が暴走しかねないのかもしれない。現在の中国やロシアの専制によく現れている。【彬】