『青のフェルマータ』 村上由佳著 集英社文庫。
一歩先を考えられずに、つい父に話した母の秘密が、両親を離婚に追い込み、父親からは、本当の娘なのかと疑われ、母親からはお前さえあんなことを言わなければと責められ、深く傷つき言葉をなくした里緒という少女。
心に流れた血は言葉を無くすということで、なんとか少女を現実に引きとどめ、父親と和解をしオーストラリアの島で言葉を取り戻すために身を寄せたイルカの研究所での日々のお話。
物語全体の底に、JBの作った「フェルマータ・イン・ブルー」が流れているように感じながら、読み進めました。
なによりも、野性のイルカと出会い、一緒に泳ぐ里緒に心惹かれます。
文体は穏やかなまま進みますが、何処までも何処までもつづく海の青さと、水中で感じる日の光。そこに、里緒とイルカの戯れが重なると、とても絵画的でとても心の奥底までをゆったりとさせてくれるような、そんな感覚が頭の中に広がりました。
個人的には、ゲイリーとの絡みやフィオナの里緒に対する憎悪、TVのドキュメンタリーはいらないな~と思いましたが、
それもまた、あの海での二人(といっていいのかな?)をひきつけるためのもの、だったのかな。
そうそう。自閉症のためにやはりここにきた女の子。キャロル=アン。彼女の存在もまた、とても魅力的です。病を前面に出さず、さりげなくその病気の内容を伝え、あとはキャロルが動くにまかせている、そんな表現がとても心地よかった。
アレックスやダグの、リオに対する、ほんとうの優しさも魅力的。
うーん。難しい。
こういう小説は、いままであまり読んだことがなくて・・・
もしかしたら読むのは初めての分野かもしれない物語。
言葉を取り戻すことよりも、里緒の心の中にある様々な感情に焦点があっていて、そこに戸惑いも感じましたし、共感もしました。憧れも抱きますし目を背けたくもなる。
自然を自然のままに生きる代表がイルカたち。
人工のなかでがんじがらめになっている人の代表が里緒。
ラストに答えはなく、というか、そもそも何かの答えを求めたお話でははく、それでも少し違うこれからを暗示して物語の幕は下ります。
あの終わり方は、私自身のなかではなかなか納得できていないのですが・・・
静かに静かに、お話全体は、ほんとうに静かに進んでいくって思ったのですが、それぞれの人間の抱える闇と、イルカのまっすぐな光と、それをつなげる海とチェロの音色。そんな物語でした。
一歩先を考えられずに、つい父に話した母の秘密が、両親を離婚に追い込み、父親からは、本当の娘なのかと疑われ、母親からはお前さえあんなことを言わなければと責められ、深く傷つき言葉をなくした里緒という少女。
心に流れた血は言葉を無くすということで、なんとか少女を現実に引きとどめ、父親と和解をしオーストラリアの島で言葉を取り戻すために身を寄せたイルカの研究所での日々のお話。
物語全体の底に、JBの作った「フェルマータ・イン・ブルー」が流れているように感じながら、読み進めました。
なによりも、野性のイルカと出会い、一緒に泳ぐ里緒に心惹かれます。
文体は穏やかなまま進みますが、何処までも何処までもつづく海の青さと、水中で感じる日の光。そこに、里緒とイルカの戯れが重なると、とても絵画的でとても心の奥底までをゆったりとさせてくれるような、そんな感覚が頭の中に広がりました。
個人的には、ゲイリーとの絡みやフィオナの里緒に対する憎悪、TVのドキュメンタリーはいらないな~と思いましたが、
それもまた、あの海での二人(といっていいのかな?)をひきつけるためのもの、だったのかな。
そうそう。自閉症のためにやはりここにきた女の子。キャロル=アン。彼女の存在もまた、とても魅力的です。病を前面に出さず、さりげなくその病気の内容を伝え、あとはキャロルが動くにまかせている、そんな表現がとても心地よかった。
アレックスやダグの、リオに対する、ほんとうの優しさも魅力的。
うーん。難しい。
こういう小説は、いままであまり読んだことがなくて・・・
もしかしたら読むのは初めての分野かもしれない物語。
言葉を取り戻すことよりも、里緒の心の中にある様々な感情に焦点があっていて、そこに戸惑いも感じましたし、共感もしました。憧れも抱きますし目を背けたくもなる。
自然を自然のままに生きる代表がイルカたち。
人工のなかでがんじがらめになっている人の代表が里緒。
ラストに答えはなく、というか、そもそも何かの答えを求めたお話でははく、それでも少し違うこれからを暗示して物語の幕は下ります。
あの終わり方は、私自身のなかではなかなか納得できていないのですが・・・
静かに静かに、お話全体は、ほんとうに静かに進んでいくって思ったのですが、それぞれの人間の抱える闇と、イルカのまっすぐな光と、それをつなげる海とチェロの音色。そんな物語でした。