恩田 陸 著 新潮文庫
娘が中学校の図書委員のおたよりを持ち帰ってきたのは5月のはじめ。
そこに、「オススメの本!」と、委員会の3年生の生徒が紹介していたのがこの本でした。
これは、少し前にNHKでドラマ化されていて、とぎれとぎれではあったのですがとても気に入って見ていた作品。
その原作の本だ~と、
「お願い!図書室で借りてきて!」
と娘に頼んでおりました。
ところが・・・ちっとも彼女は借りてきてくれません。そもそも図書室に行ってもいないらしい。
そして夏。
本屋さんに夏休み向け(?)にたっぷりと本が並びます。
・・・・・見つけてしまいました。「Yonda?」のパンダくんの黄色い帯と一緒にこの文庫本。
これは、ある高校にもう十数年も続く、ひとつの不思議なゲームにまつわるお話。
県下でも有数の進学校である学校内に続いている「サヨコ」といわれるゲーム。3年に一度、「サヨコ」と呼ばれる生徒が選ばれ、その生徒がルールにのっとって一年間まわりに気づかれずに事を行えれば、その年の大学進学率は大変によくなる、といわれるもの。
その6番目にあたる年、実際に「津村沙世子」という美貌の転校生が3年10組に転入したことから起こる、少々怖くまた高校時代最後の甘酸っぱい香も漂う学園生活を、描き出す。
「サヨコ」としてのバトンを渡され、兄は見事に演じ切り姉は「沈黙のサヨコ」と呼ばれた兄と姉を持つ関根秋。その友人でカンが鋭い唐沢由紀夫、彼に恋心を抱く花宮雅子、そこに津村沙世子が加わった4人の友情と恋愛もからめつつ、「サヨコ」に関する謎解きが始まる。
読み勧めていて懐かしく、怖く、切ない。
こんな学生時代があったよね、と思いながら、「サヨコ」の怖さ、不思議さに惹かれていく。
作品中、秋の父親がいいます。
「それはお客様だな」と。秋がこの不思議なゲームと津村沙世子を話したときに。
そして物語の最後。なんとなく不明瞭なまま謎解きを終えるときに秋がいいます。
「僕たちがお客様だったんだ」と。
転校生。それはやっぱり不思議で興味深く、でもちょっと受け容れがたい存在なのかな。
安定していた水面に小石が落ちて波紋が広がる・・そんな存在。
義務教育時代、転校生をやっていた私は、お父さんの言葉にちょっと複雑で、そして秋の言葉に苦笑しつつうなずいていたのでした。
このお話を、とてもとても懐かしく感じるのは、昔NHKで放映していた「少年ドラマシリーズ」の雰囲気に非常に良く似ていたから。
あの、怖いけれど覗きたくって、不思議なんだけれどどこか判る感覚。夢中になって見ていたドラマ。その雰囲気が、この物語全体に散りばめられていたように思います。そして。
著者のあとがきに・・・なんと「少年ドラマシリーズへのオマージュとして書いた」とありました。
この作品をドラマ化したNHKのスタッフもまた、かのシリーズのファンであり同世代の人たちだった、と。
当時中学生だった(のかな?)私たちから今の中学生である娘たちへ。この本をバトンしようと思います。
どんな感想を持つのかな。ちょっと楽しみ。ちょっと不安。
娘が中学校の図書委員のおたよりを持ち帰ってきたのは5月のはじめ。
そこに、「オススメの本!」と、委員会の3年生の生徒が紹介していたのがこの本でした。
これは、少し前にNHKでドラマ化されていて、とぎれとぎれではあったのですがとても気に入って見ていた作品。
その原作の本だ~と、
「お願い!図書室で借りてきて!」
と娘に頼んでおりました。
ところが・・・ちっとも彼女は借りてきてくれません。そもそも図書室に行ってもいないらしい。
そして夏。
本屋さんに夏休み向け(?)にたっぷりと本が並びます。
・・・・・見つけてしまいました。「Yonda?」のパンダくんの黄色い帯と一緒にこの文庫本。
これは、ある高校にもう十数年も続く、ひとつの不思議なゲームにまつわるお話。
県下でも有数の進学校である学校内に続いている「サヨコ」といわれるゲーム。3年に一度、「サヨコ」と呼ばれる生徒が選ばれ、その生徒がルールにのっとって一年間まわりに気づかれずに事を行えれば、その年の大学進学率は大変によくなる、といわれるもの。
その6番目にあたる年、実際に「津村沙世子」という美貌の転校生が3年10組に転入したことから起こる、少々怖くまた高校時代最後の甘酸っぱい香も漂う学園生活を、描き出す。
「サヨコ」としてのバトンを渡され、兄は見事に演じ切り姉は「沈黙のサヨコ」と呼ばれた兄と姉を持つ関根秋。その友人でカンが鋭い唐沢由紀夫、彼に恋心を抱く花宮雅子、そこに津村沙世子が加わった4人の友情と恋愛もからめつつ、「サヨコ」に関する謎解きが始まる。
読み勧めていて懐かしく、怖く、切ない。
こんな学生時代があったよね、と思いながら、「サヨコ」の怖さ、不思議さに惹かれていく。
作品中、秋の父親がいいます。
「それはお客様だな」と。秋がこの不思議なゲームと津村沙世子を話したときに。
そして物語の最後。なんとなく不明瞭なまま謎解きを終えるときに秋がいいます。
「僕たちがお客様だったんだ」と。
転校生。それはやっぱり不思議で興味深く、でもちょっと受け容れがたい存在なのかな。
安定していた水面に小石が落ちて波紋が広がる・・そんな存在。
義務教育時代、転校生をやっていた私は、お父さんの言葉にちょっと複雑で、そして秋の言葉に苦笑しつつうなずいていたのでした。
このお話を、とてもとても懐かしく感じるのは、昔NHKで放映していた「少年ドラマシリーズ」の雰囲気に非常に良く似ていたから。
あの、怖いけれど覗きたくって、不思議なんだけれどどこか判る感覚。夢中になって見ていたドラマ。その雰囲気が、この物語全体に散りばめられていたように思います。そして。
著者のあとがきに・・・なんと「少年ドラマシリーズへのオマージュとして書いた」とありました。
この作品をドラマ化したNHKのスタッフもまた、かのシリーズのファンであり同世代の人たちだった、と。
当時中学生だった(のかな?)私たちから今の中学生である娘たちへ。この本をバトンしようと思います。
どんな感想を持つのかな。ちょっと楽しみ。ちょっと不安。