遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の毒牙犠牲国 二例

2018-08-04 23:58:58 | 中国 全般
 「中華の夢(中国の夢、中華民族の偉大なる復興)」を掲げる習近平。札束の力と、軍事力とで覇権拡大を進めています。
 それは、「一帯一路」政策となり、シルクロードでの発展になぞらえて海路、陸路の沿線国への覇権拡大を進めると同時に、アフリカ諸国、太平洋諸島の国々へも食指を伸ばし、覇権を拡大し、米国に追いつき追い越し、世界制覇を目指すものとは、諸兄がご承知の通りです。

 中国共産党の祖、毛沢東の独裁政治の破綻の再発を防ぐ為、鄧小平が進めた改革開放の中国独自の社会主義路線で、「世界の工場」として経済発展の活路を開き、GDP世界二位にまで上り詰め今日までの高度経済成長を遂げ、国が富むにつれ、軍事力も増強させ覇権拡大の支えとしています。

 ところが近年、その札束の力と軍事力とでの経済拡大成長路線の綻びが露呈しはじめ、衣の下の覇権拡大の野望が見え始め、行きづまりの兆が顕れはじめました。
 ここでは、その毒牙の犠牲となった国の二例を取り上げてみました。

 先ずは、その毒牙に気づかないのか、気づいても自政権は大丈夫と考えているのか、いまだに札束外交に依存して、自政権の安定をはかろうとしているカンボジア。
 
【田村秀男のお金は知っている】カンボジアが中国化したワケ フン・セン首相率いる与党の圧勝、背後には習近平政権 - 産経ニュース 2018.8.4

 「あそこはもう中国ですよ」。夏休みでアンコールワット遺跡のカンボジア観光から帰ってきた知人家族の感想である。年間延べ600万人近い同国への外国人旅行者の3人のうち1人は中国人、都市部は人民元の両替所だらけ、路地市場は中国製品の山だ。(夕刊フジ)

 そのカンボジアでは
議会総選挙が7月末に実施され、フン・セン首相率いる与党が圧勝した。強権を発動して最大野党を解党させたうえでの選挙で、一党独裁体制を固めた。この政治劇を支えたのは習近平政権の中国である。自由選挙を厳禁する中国から派遣された選挙監視員が真顔で、「選挙は自由、公平、安全に実施された」と称賛したというブラックジョーク付きだ。当然のようにトランプ政権を含め、米欧が中国の動向に警戒を強めているというのに、日本の与野党やメディアの関心度の低さは何とも異様だ。

 
中国はどうやってカンボジアを篭絡(ろうらく)してきたのだろうか。グラフは、習氏が中国の実権を握った2012年以降の中国の対カンボジア貿易の推移である。輸入を低水準に抑えたまま、輸出を急増させる片貿易戦術である。中国で生産過剰になっている鋼材や繊維などの原材料で輸出攻勢をかける。カンボジアは対中貿易赤字が累積し、対中債務が膨らむ。外貨難に苦しむ同国は中国からの直接投資を渇望する。中国は同国向けに年間で40億ドル以上の貿易黒字を稼ぎ、6億ドル前後を直接投資する。

 日本は民主化支援の名目でこれまでに10億ドル以上の円借款を供与してきたが、民間による同国向け直接投資は中国の5分の1程度に過ぎない。
中国は円借款や日米主導のアジア開発銀行資金によって整備された現地のインフラに便乗し、着々と同国の中国化を進めているわけだ。
 
習政権のフン・セン政権支援は米中貿易戦争に直面する中国の対外膨張戦略を象徴する。

 
トランプ政権による対中貿易制裁の対象になる輸入額は先の知的財産権侵害相当分の500億ドルにとどまらない。トランプ氏は2000億ドルの追加リストを公表したし、さらに3000億ドル分の追い打ちをかけ、最終的には米国の対中輸入すべてを制裁関税の対象にする構えだ。中国の国際収支黒字は1200億ドル程度なので3800億ドルの対米黒字が大きく減れば、赤字国に転落してしまう。習政権は広域経済圏構想「一帯一路」を推進するための外貨に事欠く羽目になる。

 その点、カンボジア・モデルは外貨に頼らなくても済む。中国はカンボジアでの投資プロジェクトを全面的に中国企業に発注させ、その代金は中国の国有商業銀行に人民元で支払う。建設従業員の大半は中国から派遣し、人件費も人民元だ。
債務だけはドル建てでカンボジア側が負う。払えなければ、投資資産は中国側が接収する。中国後ろ盾の政権なら荒業も容易だ。習政権はすでに、アジアばかりでなく、アフリカなどの資源国にも触手を伸ばしている。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

 7月末に実施された議会選挙では、中国の支えを得たフン・セン首相率いる与党が圧勝し、一党独裁体制を固めたのだそうです。
 習政権のフン・セン政権支援は、中国の対外膨張戦略を象徴するもので、カンボジアでの投資プロジェクトを全面的に中国企業に発注させ、建設従業員の大半は中国から派遣し、膨らむ債務はカンボジアが負担。払えなければ、投資資産は中国側が接収するのですが、フン・セン首相はまだその末路への思いは至っておらず、目先の国内の政局での己の利益追求を優先しています。

 この中国の投資と回収モデルが、米中貿易戦争が勃発した今日では、中国の外貨負担軽減策にも使われているとも。
 トランプ政権による対中貿易制裁は。最終的には米国の対中輸入すべてを制裁関税の対象にする構えに発展する気配で、中国の対米黒字が大きく減る可能性があり、国際収支赤字国に転落し、「一帯一路」を推進するための外貨に事欠く羽目になり得るのだと。。

 インド洋の覇権獲得を狙う中国の戦略で「真珠の首飾り戦略」は著名です。
 その、中国によるインド包囲網の港のひとつが、スリランカの南部ハンバントタ港。
 スリランカは一帯一路を掲げる中国の援助で南部ハンバントタ港を建設したのですが、債務の返済に窮し、中国国有企業に明け渡す事態に陥ったのでした。
 
スリランカ、日本で初代大統領を称える活動 サンフランシスコ講和会議で日本を擁護 中国と距離置きたい思惑 - 産経ニュース 2018.8.3

 1951年のサンフランシスコ講和会議で日本を擁護する演説をしたスリランカのジャヤワルデネ初代大統領をたたえる活動が日本国内で広がっている。元側近が記念館の設立を日本で初めて計画するほか、大使館の後援でジャヤワルデネ氏の孫が登壇する講演会が開催。日本との結びつきを強める背景には、中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」で多額の債務を抱えるスリランカが中国と距離を置きたい思惑がある。(板東和正)

 
「ジャヤワルデネ氏の功績を日本の若い方々に語り継ぐ記念館を作りたい」
 7月22日。群馬県みなかみ町で開催されたジャヤワルデネ氏に感謝の意を伝える催し。主催した
ジャヤワルデネ氏の元側近の僧侶、ペルポラ・ビパッシ氏は全国から集まった支持者や日スリランカの僧侶らの前で決意表明した。
 ビパッシ氏が中心になり、スリランカ人の僧侶の交流が盛んな同町で2020年までに記念館を設立する計画を立案。計画に賛同した
「日本経営者同友会」(東京)の下地常雄会長や、スリランカ政府も支援する方針だ。

 記念館の設立が決まったのは「
日本人がジャヤワルデネ氏の功績を忘れている現状を変えたい」というビパッシ氏の思いからだ。日本の小中学校の歴史の教科書にはジャヤワルデネ氏についての記載がない。昨年12月にジャヤワルデネ氏を紹介する著書を出版した野口芳宣(よしのり)氏によると、読者の感想の大半が「同氏を知らなかった」という内容だった。

 
認知度の低さは、ジャヤワルデネ氏が総裁を務めた統一国民党(UNP)が1994年の総選挙で野党に転じ、2015年の選挙で勝利するまで政権が安定しなかったのが要因だ。ダンミカ・ディサーナーヤカ駐日スリランカ大使は「UNPが野党だった時期が長く、政府はジャヤワルデネ氏の功績を国外に発信しづらかった」と分析する。

 だが、スリランカは
近年、ジャヤワルデネ氏の発信を積極化。8月5日には、ジャヤワルデネ氏の孫のプラディープ・ジャヤワルデネ氏が都内でサンフランシスコ講和会議での祖父の功績を振り返る講演会を開催する。駐日スリランカ大使館は「スリランカ政府の後押しもあり、実現できた初の取り組み」と話す。

 
発信に注力する背景には、現シリセナ政権が展開する中国から一定の距離を置く「バランス外交」がある。スリランカは一帯一路を掲げる中国の援助で南部ハンバントタ港を建設したが、債務の返済に窮し、中国国有企業に明け渡す事態に陥った

 ディサーナーヤカ大使は「国内では中国の一帯一路の戦略に巻き込まれたという意見がある」とした上で「
ジャヤワルデネ氏をたたえる動きは、日本とのつながりをより強めることで中国と距離を置くための戦略だ」と指摘する。

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■スリランカのジャヤワルデネ初代大統領(1906年 9月17日~96年11月 1日)
 51年 9月 6日、サンフランシスコ講和会議で演説し「憎しみは憎しみによってやまず、ただ愛によってのみやむ」というブッダの言葉を引用しつつ、参加国に寛容と融和を主張。対日賠償請求権の放棄を最初に表明するとともに、日本の早期の国際社会復帰を訴えた。親日家で、死後、片方の目の角膜を日本に提供した。

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 スリランカと日本は、1951年のサンフランシスコ講和会議で、スリランカのジャヤワルデネ初代大統領が、日本を擁護する演説をしていただいた縁があるのだそうです。
 ジャヤワルデネ氏が総裁を務めた統一国民党(UNP)が1994年から2015年まで野党に転じていて「ジャヤワルデネ氏の功績を国外に発信しづらかった」のだそうで、日本で知られることも少なかったのだそうです。遊爺も初耳です。
 しかし近年、ジャヤワルデネ氏の発信を積極化。発信に注力する背景には、現シリセナ政権が展開する中国から一定の距離を置く「バランス外交」があるのだそうです。「日本とのつながりをより強めることで中国と距離を置くための戦略だ」と、ディサーナーヤカ大使は語っておられるのだそうです。

 もとより安倍政権は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を提唱、「CPTPP(TPP11)」も推進し中国の覇権拡大の野望牽制を、有志雄国と推進している立場。
 スリランカとの関係構築深化は歓迎で、ジャヤワルデネ氏のご縁があるとなると、一層推進されることでしょう。

 アフリカでも、中国の投資は、その果実を全て中国が吸い上げて現地にはもたらされないことは衆知のこととなっていますね。
 アジア諸国も、太平洋諸島諸国もこうした実績をしっかり認識し、中国の毒牙に犯され、虜とならない様覚醒されることを願います。



 # 冒頭の画像は、ジャヤワルデネ・スリランカ初代大統領
  9月17日を「親日家の日」に!世界一の親日家の生誕を記念して。 - Yahoo!ニュース




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