使用済み核燃料からまだ使えるウランとプルトニウムを取り出し、再び発電に使う核燃料サイクルは、エネルギー問題が解決する「夢の原子炉」と呼ばれてきました。
その主役は、消費する以上にプルトニウムを生み出す高速増殖炉です。
ところが、トラブル続きのもんじゅについて、原子力規制委員会が昨年11月、文部科学省に運営組織を代えるよう勧告、廃炉に追い込まれる可能性が大きくなった様に見えていました。
また、「世界は高速増殖炉に見切りをつけた」との声も聞かれ、日本もこだわるべきではないとの声も聞かれました。
ところが、ロシアでは昨年12月、実証炉「BN1800」による送電を開始し、フランスは実証炉ASTRIDを計画、2025年頃の運転開始を目指していて、更にインドや中国も開発を進めていて、日本はこのままでは追い越されてしまうと読売が書いていましした。
世界の増殖炉開発の現状 世界は高速増殖炉に見切りをつけた
高速増殖炉の開発段階は、以下の4段階があるのだそうですね。
(1)発電設備がない基礎段階の「実験炉」 (2)発電設備を持つ「原型炉」 (3)安定して運転し、経済性も確認する「実証炉」 (4)実用炉(商用炉)
今回トラブル続きで廃炉も視野に入れて見直しを迫られている「もんじゅ」は、第二段階。これとは別に、第一段階の高速実験炉「常陽」があり、これを再稼働・活用し核燃料サイクル政策を維持しようというのだそうです。
日本と共同研究推進で合意しているフランスは、自前の実権施設がないのだそうで、常陽での試験を希望していて、常陽の再稼働の行方は、フランスの高速増殖炉開発も左右するのだと。
「もんじゅ」の行方が定かでない中、「常陽」の再稼働で、サイクル利用される「夢の原子炉」への火が絶やされることなく継続されることを願います。
先行するロシアに、日仏の共同開発で追いつき、「夢の原子炉」への切り替えが進むことを期待します。
# 冒頭の画像は、高速実験炉「常陽」の炉心上部
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
その主役は、消費する以上にプルトニウムを生み出す高速増殖炉です。
ところが、トラブル続きのもんじゅについて、原子力規制委員会が昨年11月、文部科学省に運営組織を代えるよう勧告、廃炉に追い込まれる可能性が大きくなった様に見えていました。
また、「世界は高速増殖炉に見切りをつけた」との声も聞かれ、日本もこだわるべきではないとの声も聞かれました。
ところが、ロシアでは昨年12月、実証炉「BN1800」による送電を開始し、フランスは実証炉ASTRIDを計画、2025年頃の運転開始を目指していて、更にインドや中国も開発を進めていて、日本はこのままでは追い越されてしまうと読売が書いていましした。
世界の増殖炉開発の現状 世界は高速増殖炉に見切りをつけた
高速炉開発常陽に活路 再稼働申請へ 人材育成や技術蓄積 原子力機構「もんじゅ」停止で (1/26 読売 [スキャナー])
日本原子力研究開発機構が高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の再稼働を目指す。高速増殖炉回の研究開発の主役「もんじゅ」(福井県敦賀市)の先行きが不透明な中、常陽を活用して核燃料サイクル政策を維持する姿勢を示す。 (科学部 冨山優介、大山博之)
■「夢の原子炉」
原子力発電所はウランを燃やして発電している。日本はウランの全量を輸入に頼るが、ウラン埋蔵量には限りがある。そこで、使用済み核燃料からまだ使えるウランとプルトニウムを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料として再び発電に使うのが、核燃料サイクルだ。資源が乏しい日本は、1950年代からエネルギー確保のためこの政策を推進してきた。
サイクルの主役は、消費する以上にプルトニウムを生み出す高速増殖炉で、実現すればエネルギー問題が解決する「夢の原子炉」と呼ばれてきた。
しかし、トラブル続きのもんじゅについて、原子力規制委員会が昨年11月、文部科学省に運営組織を代えるよう勧告、廃炉に追い込まれる可能性も出てきた。
■揺らぐ土台
核燃サイクルをやめれば、日本のエネルギー政策の土台が揺らぐ。すでにプルトニウムを順調に消費できない結果、日本が保有するプルトニウムは増え続けており、2014年末時点で保有量は前年比0.7トン増の47.8トンになった。プルトニウムは核兵器に転用できるため、国際社会の目は厳しくなっている。再処理を前提として青森県六ヶ所村が受け入れてきた使用済み燃料が行き場を失うことにもなりかねない。
このため機構は、もんじゅと同じ仕組みの常陽で研究開発を続けることで、サイクルの維持を図りたい考えだ。文科省幹部は「(もんじゅが止まっているため)相対的に常陽の役割は大きくなっている」と話す。
高速増殖炉の開発は、?発電設備がない基礎段階の「実験炉」?発電設備を持つ「原型炉」?安定して運転し、経済性も確認する「実証炉」?実用炉(商用炉)━━という段階を踏む。常陽は第1段階、もんじゅは第2段階に当たる。常陽は77年に原子炉で核分裂反応が安定して続く「臨界」を達成。もんじゅも94年に達成したが、95年にナトリウム漏えい事故が起き、長期停止となった。このため、日本原子力発電が担うはずだった第3段階の実証炉建設は白紙に戻った。
■仏も注目
海外も常陽の再稼働に期待を寄せる。日本と共同研究推進で合意しているフランスは実証炉ASTRIDを計画、2025年頃の運転開始を目指す。高速中性子が原子炉の材質や燃料に及ぼす影響など、設計に必要なデータは、実際の照射試験でしか得られない。自前の施設がないフランス側は常陽での試験を希望しており、常陽の再稼働の行方は、フランスの高速増殖炉開発も左右する。
高速増殖炉に詳しい宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「常陽が動けば、技術の蓄積や人材育成が図れる。海外との国際共同研究を進める上で日本が発言権を確保する観点からも、大きな意味を持つ」と指摘する。
ただ、常陽の審査では、福島第一原発事故後に厳格化された新規制基準をクリアできるかが問われる。
常陽では、07年に原子炉内で起きたトラブルで機器が折れ曲がり、燃料交換ができなくなるトラブルが発生、完全復旧に8年を要した。高速炉の冷却材に使われるナトリウムは、水や空気と触れると発火する性質があるため取り扱いが難しく、こうした特殊性も審査の焦点になりそうだ。常陽の熱出力は14万キロ・ワットと大学などの原子炉と比べ大きく、審査には数年かかる可能性がある。
露、印、中は研究着々
日本で高速増殖炉の開発が遅れているのと対照的に、海外では、経験豊富なフランスやロシアのほか、エネルギー需要の伸びが著しいインドや中国で研究開発が着々と進む。
1960年代から実験炉などでの運転実績を積み重ねてきたロシアは昨年12月、実証炉「BN1800」による送電を開始した。電気出力は88万キロ・ワットで、もんじゅ(28万キロ・ワット)の3倍以上の規模。2025年頃には122万キロ・ワットの実用炉を導入する計画で、「最も実用化に近い国」(原子力機構)と目される。
インドも約30年の運転経験がある。昨年9月には、もんじゅと同じ段階に当たる原型炉の建設が完了、運転開始が近い。さらに、25年頃までに60万キロ・ワットの実用炉2基を建設する予定だ。
中国は実験炉の運転を2010年から始めたばかりだが、ロシアの技術協力を受けるなどして実用化を急ぐ。25年頃までに独自開発の実証炉の建設を目指し、30年頃には実用炉の運転にこぎ着ける見通しだ。
フランスは、トラブルが相次いだ実証炉「スーパーフェニックス」を1998年に閉鎖。原型炉「フェニックス」も2009年に運転を終えたが、これらの経験を踏まえて新たな実証炉の研究開発を進める。
原子力機構高速炉研究開発部門の小野清プロジェクト推進室長は「このまま日本の研究が停滞すれば、すぐに中国やインドに追い抜かれる」と危機感を抱く。
日本原子力研究開発機構が高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)の再稼働を目指す。高速増殖炉回の研究開発の主役「もんじゅ」(福井県敦賀市)の先行きが不透明な中、常陽を活用して核燃料サイクル政策を維持する姿勢を示す。 (科学部 冨山優介、大山博之)
■「夢の原子炉」
原子力発電所はウランを燃やして発電している。日本はウランの全量を輸入に頼るが、ウラン埋蔵量には限りがある。そこで、使用済み核燃料からまだ使えるウランとプルトニウムを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料として再び発電に使うのが、核燃料サイクルだ。資源が乏しい日本は、1950年代からエネルギー確保のためこの政策を推進してきた。
サイクルの主役は、消費する以上にプルトニウムを生み出す高速増殖炉で、実現すればエネルギー問題が解決する「夢の原子炉」と呼ばれてきた。
しかし、トラブル続きのもんじゅについて、原子力規制委員会が昨年11月、文部科学省に運営組織を代えるよう勧告、廃炉に追い込まれる可能性も出てきた。
■揺らぐ土台
核燃サイクルをやめれば、日本のエネルギー政策の土台が揺らぐ。すでにプルトニウムを順調に消費できない結果、日本が保有するプルトニウムは増え続けており、2014年末時点で保有量は前年比0.7トン増の47.8トンになった。プルトニウムは核兵器に転用できるため、国際社会の目は厳しくなっている。再処理を前提として青森県六ヶ所村が受け入れてきた使用済み燃料が行き場を失うことにもなりかねない。
このため機構は、もんじゅと同じ仕組みの常陽で研究開発を続けることで、サイクルの維持を図りたい考えだ。文科省幹部は「(もんじゅが止まっているため)相対的に常陽の役割は大きくなっている」と話す。
高速増殖炉の開発は、?発電設備がない基礎段階の「実験炉」?発電設備を持つ「原型炉」?安定して運転し、経済性も確認する「実証炉」?実用炉(商用炉)━━という段階を踏む。常陽は第1段階、もんじゅは第2段階に当たる。常陽は77年に原子炉で核分裂反応が安定して続く「臨界」を達成。もんじゅも94年に達成したが、95年にナトリウム漏えい事故が起き、長期停止となった。このため、日本原子力発電が担うはずだった第3段階の実証炉建設は白紙に戻った。
■仏も注目
海外も常陽の再稼働に期待を寄せる。日本と共同研究推進で合意しているフランスは実証炉ASTRIDを計画、2025年頃の運転開始を目指す。高速中性子が原子炉の材質や燃料に及ぼす影響など、設計に必要なデータは、実際の照射試験でしか得られない。自前の施設がないフランス側は常陽での試験を希望しており、常陽の再稼働の行方は、フランスの高速増殖炉開発も左右する。
高速増殖炉に詳しい宮崎慶次・大阪大名誉教授(原子力工学)は「常陽が動けば、技術の蓄積や人材育成が図れる。海外との国際共同研究を進める上で日本が発言権を確保する観点からも、大きな意味を持つ」と指摘する。
ただ、常陽の審査では、福島第一原発事故後に厳格化された新規制基準をクリアできるかが問われる。
常陽では、07年に原子炉内で起きたトラブルで機器が折れ曲がり、燃料交換ができなくなるトラブルが発生、完全復旧に8年を要した。高速炉の冷却材に使われるナトリウムは、水や空気と触れると発火する性質があるため取り扱いが難しく、こうした特殊性も審査の焦点になりそうだ。常陽の熱出力は14万キロ・ワットと大学などの原子炉と比べ大きく、審査には数年かかる可能性がある。
露、印、中は研究着々
日本で高速増殖炉の開発が遅れているのと対照的に、海外では、経験豊富なフランスやロシアのほか、エネルギー需要の伸びが著しいインドや中国で研究開発が着々と進む。
1960年代から実験炉などでの運転実績を積み重ねてきたロシアは昨年12月、実証炉「BN1800」による送電を開始した。電気出力は88万キロ・ワットで、もんじゅ(28万キロ・ワット)の3倍以上の規模。2025年頃には122万キロ・ワットの実用炉を導入する計画で、「最も実用化に近い国」(原子力機構)と目される。
インドも約30年の運転経験がある。昨年9月には、もんじゅと同じ段階に当たる原型炉の建設が完了、運転開始が近い。さらに、25年頃までに60万キロ・ワットの実用炉2基を建設する予定だ。
中国は実験炉の運転を2010年から始めたばかりだが、ロシアの技術協力を受けるなどして実用化を急ぐ。25年頃までに独自開発の実証炉の建設を目指し、30年頃には実用炉の運転にこぎ着ける見通しだ。
フランスは、トラブルが相次いだ実証炉「スーパーフェニックス」を1998年に閉鎖。原型炉「フェニックス」も2009年に運転を終えたが、これらの経験を踏まえて新たな実証炉の研究開発を進める。
原子力機構高速炉研究開発部門の小野清プロジェクト推進室長は「このまま日本の研究が停滞すれば、すぐに中国やインドに追い抜かれる」と危機感を抱く。
高速増殖炉の開発段階は、以下の4段階があるのだそうですね。
(1)発電設備がない基礎段階の「実験炉」 (2)発電設備を持つ「原型炉」 (3)安定して運転し、経済性も確認する「実証炉」 (4)実用炉(商用炉)
今回トラブル続きで廃炉も視野に入れて見直しを迫られている「もんじゅ」は、第二段階。これとは別に、第一段階の高速実験炉「常陽」があり、これを再稼働・活用し核燃料サイクル政策を維持しようというのだそうです。
日本と共同研究推進で合意しているフランスは、自前の実権施設がないのだそうで、常陽での試験を希望していて、常陽の再稼働の行方は、フランスの高速増殖炉開発も左右するのだと。
「もんじゅ」の行方が定かでない中、「常陽」の再稼働で、サイクル利用される「夢の原子炉」への火が絶やされることなく継続されることを願います。
先行するロシアに、日仏の共同開発で追いつき、「夢の原子炉」への切り替えが進むことを期待します。
# 冒頭の画像は、高速実験炉「常陽」の炉心上部
政府広報(北方領土問題) - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。