ミヤンマーの、テイン・セイン大統領が今日(4/21)来日されました。G8の国への訪問では日本が初めてで、ミャンマー元首の訪日は28年ぶりなのだそうです。
欧米諸国が経済制裁を強める中、粘り強い関係を維持してきた日本。改革開放路線に転じるとみられるミヤンマーへの開発参入競争で、出遅れているとの報道もありましたが、リーダーシップはとれるのでしょうか。
会談したた野田氏は、返済が滞っていた約5,000億円の債権の内、約3,000億円の返済を免除し、約2,000億円は返してもらい、新たに円借款を供与することとしたのだそうです。また、解放経済を進めるための官僚の人材教育も支援するとの報道もあります。
日本は先進国で最初に延滞債務問題の解決に動くことや、円借款支援を打ち出すことで、積極的にミヤンマーの経済発展に取り組む姿勢をアピールしたのですね。
【飛び立つミャンマー】経済制裁解除狙い世界が注目 出遅れる日本 - MSN産経ニュース 2012.2.28
ミャンマーに円借款、25年ぶり再開 首脳会談で表明 :日本経済新聞
ミヤンマーの可能性の三つの要素、「労働力」「市場性」「地政学的位置」の内の「労働力」についての記事で、後のふたつはシリーズとして後日にまわされています。興味深いですね。
注目の「労働力」は、安いだけでなく、若くて器用で勤勉・真面目と質も素晴らしく、英語の普及率も高いのだそうです。
世界の工場としてスタートし今日の繁栄を招いた中国の武器も「労働力の安さ」でした。経済発展と共に「国内市場」が成長し内需も増えたのでした。(政府のインフラ投資でGDPを引っ張っている部分が目立ち始めていますが。)
ただし、その結果賃金上昇が進み工場でのストが増えていることは諸兄がご承知の通りです。
そこで、脱中国でベトナム他の国々へ移転をする企業も出始めていますね。
武力で覇権拡大を進めている中国。世界から吸収している富がその武力拡充を支えているのです。経済戦争でも、その資金をばら撒く札束攻勢で、世界の国々への影響力を強めています。
これに対し、日本は防衛力を強化し抑止力を高めねばなりませんが、中国の「世論戦」などで買収された売国奴によりままなりません。
経済戦争でも、技術力はありながら、コスト競争で敗れています。打ち勝つ方法を模索せねばならないのですが、その一つに、中国より安くて質の良い労働力の地域で生産し、競争することが考えられます。(安易で知恵がない案ですが)
貿易の障壁で守るとは思いますが、ミヤンマーで生産して、中国に売り込むのです。
逸話として某日本家電メーカーが、経済成長を始めたころの中国で、テレビが普及し始めたころ、世界の歴史の流れで次はビデオだとテープデッキの生産工場を巨大投資をして作りましたが、世界に追いつくペースが速く、テープは飛ばしてCD, DVDへ一気に進んでテープデッキ工場は本格稼働することなく閉鎖されたという話があります。
先進国に追いつけ追い越せの中国経済は、先進国の追随で開発が要らない分、猛スピードで進化し、先進国に追いついてきているのです。
何が言いたいかというと、賃金の上昇が始まった中国は、中国より後発の途上国に、自分が辿ったと同じ様に、速いスピードて追いかけられるということです。低賃金を武器に先進国を追いかけた中国が、追いかけられる立場に変わるのも差し迫っているということです。
ミヤンマーへの中国の浸透は多岐に及び進んでいて、中国一辺倒の危険性ヘッジのための改革開放ですから、日本やその他の国が主役の座をとって代わるのは容易ではないのでしょうが、美味しいケーキの最後の一切れを是非食べてみたいものですね。
一切れが3,000億円は安い買い物か、高い買い物か、今後の官民一体での踏ん張り次第となりますね。
# 冒頭の画像は、ミヤンマー テイン・セイン大統領と野田首相
この梅の花の名前は、白玉
↓よろしかったら、お願いします。
欧米諸国が経済制裁を強める中、粘り強い関係を維持してきた日本。改革開放路線に転じるとみられるミヤンマーへの開発参入競争で、出遅れているとの報道もありましたが、リーダーシップはとれるのでしょうか。
会談したた野田氏は、返済が滞っていた約5,000億円の債権の内、約3,000億円の返済を免除し、約2,000億円は返してもらい、新たに円借款を供与することとしたのだそうです。また、解放経済を進めるための官僚の人材教育も支援するとの報道もあります。
日本は先進国で最初に延滞債務問題の解決に動くことや、円借款支援を打ち出すことで、積極的にミヤンマーの経済発展に取り組む姿勢をアピールしたのですね。
【飛び立つミャンマー】経済制裁解除狙い世界が注目 出遅れる日本 - MSN産経ニュース 2012.2.28
ミャンマーに円借款、25年ぶり再開 首脳会談で表明 :日本経済新聞
“閉ざされた国”ミャンマーは、なんとホテルも飛行機も満杯:日経ビジネスオンライン
日本において馴染み深い東南アジア諸国。その中で、“The Last Piece of Sweet Cake”(おいしいケーキの最後の一切れ)といわれる国・市場がある。最近話題で持ち切りのミャンマーだ。
4月21日には、テイン・セイン大統領が来日する予定である。逆に、日本からも、今年1月に枝野経産相がミャンマーに訪れたのは記憶に新しい。
日本でも大手企業を中心に動きが加速し、相次いで現地事務所を設立している。今年1月に丸紅がヤンゴンに加えて首都ネピドーに事務所を開設したことを皮切りに、今後のインフラ需要を見込んで三井物産も同じく首都ネピドーに事務所を新設、クボタなどのメーカーも事務所を開設した。先日、スズキやホンダもミャンマー進出を検討していると報道された。投資に向けて、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)も貿易保険の引受を拡充した。ヤンゴンにある日系企業向けのオフィスビルは既に満室だ。
タイのバンコクからヤンゴンに向かう飛行機はほぼ満席で、なかなか席の予約ができないほど。乗ってみるといろいろな国のビジネスマンの姿が目立つ。
しかし、本当にミャンマーにはビジネスチャンスがあるのか。課題・リスクは何なのか。一過性のブームで終わるのか。3回にわたる本連載では、実際にミャンマーを訪れ、現地の空気を味わったコンサルタントとして「今のミャンマーのリアル」をご紹介していきたい。
これからはミャンマーの時代?
「今はミャンマーの時代だ。だからミャンマー進出だ!」そんなことを言うつもりは全くない。思いつきのような新興市場参入は、言わずもがな失敗の轍を踏む。「いったい、ミャンマーにはどんなビジネスの芽があるのか」、まずはそれを一緒に考えたい。
私たちが考えるに、ミャンマーの可能性を示す要素は大きく3つある。
まず1つ目は、ミャンマーの人々の労働力だ。人口は6000万人を超え、若年層も多く、安価な労働力を獲得できる。
2つ目は、ミャンマーそのものの市場性である。国家の成長とともに、インフラ整備も進められ、あらゆる市場が拡大していくだろう。
そして3つ目は、ミャンマーの地政学的位置だ。今後の世界の成長市場である中国とインドの狭間であること。そして、日系企業の集積するインドシナ半島にあり、インド洋に面した西の玄関口となりうること。地政学的にこの2つの点は、ミャンマーを語る上で重要なポイントとなろう。
市場開放へ ~テイン・セイン政権の思い切った舵切り
<中略>
今年4月1日に行われたミャンマーの国会ならびに地方議会補欠選挙で、アウンサン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が45議席中43議席を獲得した。これを評価した欧米は今後本格的に経済制裁解除に動き出すだろう。4月23日から始まる国会では、NLDが初参加する。ここで、ビジネスに関する投資法を含む規制・法制度の改正が協議される。
アウンサン・スー・チー氏の当選で影を潜めてしまったが、多重為替相場も4月より一本化された。テイン・セイン現大統領の思い切った舵取りにより、ミャンマーの民主化、そして経済開放はもう目の前にある。
そんなミャンマーの抱く最大の関心事の1つは、「雇用創出」だ。
生産拠点としての魅力 ~豊富な労働力、まじめな性格
国際通貨基金(IMF)の推定によると、ミャンマーの人口は6242万人とされている。タイが2010年時点で6600万人であり、これに匹敵する。しかしこの数字はあくまでも推定値だ。というのも、1983年以降ミャンマーは国勢調査を実施していないため、正確な人口が把握できない。正確な人口は2014年に実施される、実に31年ぶりの国勢調査を待つしかない。さらに、現時点では全人口のうちの1000万人が海外在住と考えられている。
労働力としてみるとどうだろうか。現状、その人口の大半は第1次産業に従事しており68%を占めている。今後この労働力が製造業へ流れる可能性が高い。また年齢中央値はベトナムよりさらに若く、なんと26歳程度。若者が多く、労働市場としては申し分ない。
労働者の数は確保できそうだ。さて、では質はどうだろうか。
例えば識字率は、男性で94.7%、女性で89.2%という高い識字率を誇る(2008年現在)。基礎教育がしっかりしている証拠だ。さらに、母国語だけでなく、最近は第2外国語の教育もさかんだ。我々がミャンマーを訪れたときビジネスガイドをしてくれたガイドの方は、日本語の会話はもちろん、読み書きも完璧。「参考となる資料を添付致しました。ご高覧下さい」というメールが送られてきて大変驚いた。
日本語学校もあるが、日本語がしゃべれるガイドの多くは、日本人ボランティアから日本語を習っている。日本語を学ぶことがいい仕事に就くことにつながったからだ。
ただ、悲しいことに最近では日本語ブームは過ぎ去り、もっぱら英語と中国語が主流となっている。流暢な英語をしゃべるミャンマー人も多く、英語を学べる学校は常に満員ということだ。
語学だけではない。「手先が器用で勤勉」。現在ミャンマーで活動する日系企業からは、ミャンマー人労働者について口をそろえてこう返ってくる。どこかで聞いたような民族性だと思ったが、古きよき日本を思い出す。
労働コストは、ホーチミンの半分
2012年1月にJETROによって行われた最新の投資関連コスト比較で、各国の主要都市における労働者の賃金情報や工業団地のコストなどを知ることができる。そこで工場スタッフ、中間管理職の各国労働コスト(年間賃金)を比較した。
工場労働者で言えば、タイのバンコクと比べて5分の1、ベトナムのホーチミンと比べても半分と安い。カンボジアのプノンペンやバングラデシュのダッカと比べてもやや割安となる。ミャンマーではこの安い労働力を背景にして、既に縫製工場の進出が活発だが、写真の縫製工場では月間賃金は日本円で6000円である。
縫製工場で主に生産されているのはYシャツだ。なぜか。Yシャツは、襟元、胸ポケット、袖口などを縫い付けるので、衣服として工程が多いので、安い労働力の強みが生かされやすい。
実は、ミャンマーの縫製工場でYシャツを作る理由は、安い労働力だけが理由ではない。Yシャツという商品特性にも理由がある。この理由については次回以降に紹介するとして、それまでに読者の皆様にも商品特性上の理由を考えておいていただきたい。
一方、中間管理職となると、その差は縮まり、タイと比べて3分の1、ベトナムの70%程度、カンボジアやバングラデシュとは同等となる。有能な管理職は労働市場においても引き合いが多いため、他国とも差が付きにくいのであろう。外資企業では既に5万ドル以上の年収を稼ぐ中間管理職もいるという。
雇用のカギは腰を据えた教育
ミャンマーの労働力について、陽の部分を挙げてきたが、それだけでは読者も納得できないであろう。課題はないのか。冒頭で書いたように、豊富な労働力のほとんどが、第1次産業、多くは農業に従事しているということだ。昨日まで農業に従事していた人たちを、即戦力で雇用できるかというと、答えは否となる。安くて質の高い労働力を最大限活用するならば、労働集約的な製造業やこれに紐付く国内マーケットをターゲットとしたサービス業だろう。
この国への進出を考えるのであれば、腰を据えて「人材を教育する」、という姿勢が必要ではないだろうか。幸いミャンマーには手先が器用で勤勉な方が多い。また「手先が器用で真面目」という、かつて(?)行われていた日本の労働者教育がうまくフィットする。それは職能教育だけを指しているのではない。会社組織人として働くという意味では、彼らは第1世代であり、その点を含めた教育が必要である。逆に言えば、その教育をいち早く行うことで、日系企業成長のための戦力を獲得できることとなる。
日本において馴染み深い東南アジア諸国。その中で、“The Last Piece of Sweet Cake”(おいしいケーキの最後の一切れ)といわれる国・市場がある。最近話題で持ち切りのミャンマーだ。
4月21日には、テイン・セイン大統領が来日する予定である。逆に、日本からも、今年1月に枝野経産相がミャンマーに訪れたのは記憶に新しい。
日本でも大手企業を中心に動きが加速し、相次いで現地事務所を設立している。今年1月に丸紅がヤンゴンに加えて首都ネピドーに事務所を開設したことを皮切りに、今後のインフラ需要を見込んで三井物産も同じく首都ネピドーに事務所を新設、クボタなどのメーカーも事務所を開設した。先日、スズキやホンダもミャンマー進出を検討していると報道された。投資に向けて、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)も貿易保険の引受を拡充した。ヤンゴンにある日系企業向けのオフィスビルは既に満室だ。
タイのバンコクからヤンゴンに向かう飛行機はほぼ満席で、なかなか席の予約ができないほど。乗ってみるといろいろな国のビジネスマンの姿が目立つ。
しかし、本当にミャンマーにはビジネスチャンスがあるのか。課題・リスクは何なのか。一過性のブームで終わるのか。3回にわたる本連載では、実際にミャンマーを訪れ、現地の空気を味わったコンサルタントとして「今のミャンマーのリアル」をご紹介していきたい。
これからはミャンマーの時代?
「今はミャンマーの時代だ。だからミャンマー進出だ!」そんなことを言うつもりは全くない。思いつきのような新興市場参入は、言わずもがな失敗の轍を踏む。「いったい、ミャンマーにはどんなビジネスの芽があるのか」、まずはそれを一緒に考えたい。
私たちが考えるに、ミャンマーの可能性を示す要素は大きく3つある。
まず1つ目は、ミャンマーの人々の労働力だ。人口は6000万人を超え、若年層も多く、安価な労働力を獲得できる。
2つ目は、ミャンマーそのものの市場性である。国家の成長とともに、インフラ整備も進められ、あらゆる市場が拡大していくだろう。
そして3つ目は、ミャンマーの地政学的位置だ。今後の世界の成長市場である中国とインドの狭間であること。そして、日系企業の集積するインドシナ半島にあり、インド洋に面した西の玄関口となりうること。地政学的にこの2つの点は、ミャンマーを語る上で重要なポイントとなろう。
市場開放へ ~テイン・セイン政権の思い切った舵切り
<中略>
今年4月1日に行われたミャンマーの国会ならびに地方議会補欠選挙で、アウンサン・スー・チー氏率いる国民民主連盟(NLD)が45議席中43議席を獲得した。これを評価した欧米は今後本格的に経済制裁解除に動き出すだろう。4月23日から始まる国会では、NLDが初参加する。ここで、ビジネスに関する投資法を含む規制・法制度の改正が協議される。
アウンサン・スー・チー氏の当選で影を潜めてしまったが、多重為替相場も4月より一本化された。テイン・セイン現大統領の思い切った舵取りにより、ミャンマーの民主化、そして経済開放はもう目の前にある。
そんなミャンマーの抱く最大の関心事の1つは、「雇用創出」だ。
生産拠点としての魅力 ~豊富な労働力、まじめな性格
国際通貨基金(IMF)の推定によると、ミャンマーの人口は6242万人とされている。タイが2010年時点で6600万人であり、これに匹敵する。しかしこの数字はあくまでも推定値だ。というのも、1983年以降ミャンマーは国勢調査を実施していないため、正確な人口が把握できない。正確な人口は2014年に実施される、実に31年ぶりの国勢調査を待つしかない。さらに、現時点では全人口のうちの1000万人が海外在住と考えられている。
労働力としてみるとどうだろうか。現状、その人口の大半は第1次産業に従事しており68%を占めている。今後この労働力が製造業へ流れる可能性が高い。また年齢中央値はベトナムよりさらに若く、なんと26歳程度。若者が多く、労働市場としては申し分ない。
労働者の数は確保できそうだ。さて、では質はどうだろうか。
例えば識字率は、男性で94.7%、女性で89.2%という高い識字率を誇る(2008年現在)。基礎教育がしっかりしている証拠だ。さらに、母国語だけでなく、最近は第2外国語の教育もさかんだ。我々がミャンマーを訪れたときビジネスガイドをしてくれたガイドの方は、日本語の会話はもちろん、読み書きも完璧。「参考となる資料を添付致しました。ご高覧下さい」というメールが送られてきて大変驚いた。
日本語学校もあるが、日本語がしゃべれるガイドの多くは、日本人ボランティアから日本語を習っている。日本語を学ぶことがいい仕事に就くことにつながったからだ。
ただ、悲しいことに最近では日本語ブームは過ぎ去り、もっぱら英語と中国語が主流となっている。流暢な英語をしゃべるミャンマー人も多く、英語を学べる学校は常に満員ということだ。
語学だけではない。「手先が器用で勤勉」。現在ミャンマーで活動する日系企業からは、ミャンマー人労働者について口をそろえてこう返ってくる。どこかで聞いたような民族性だと思ったが、古きよき日本を思い出す。
労働コストは、ホーチミンの半分
2012年1月にJETROによって行われた最新の投資関連コスト比較で、各国の主要都市における労働者の賃金情報や工業団地のコストなどを知ることができる。そこで工場スタッフ、中間管理職の各国労働コスト(年間賃金)を比較した。
工場労働者で言えば、タイのバンコクと比べて5分の1、ベトナムのホーチミンと比べても半分と安い。カンボジアのプノンペンやバングラデシュのダッカと比べてもやや割安となる。ミャンマーではこの安い労働力を背景にして、既に縫製工場の進出が活発だが、写真の縫製工場では月間賃金は日本円で6000円である。
縫製工場で主に生産されているのはYシャツだ。なぜか。Yシャツは、襟元、胸ポケット、袖口などを縫い付けるので、衣服として工程が多いので、安い労働力の強みが生かされやすい。
実は、ミャンマーの縫製工場でYシャツを作る理由は、安い労働力だけが理由ではない。Yシャツという商品特性にも理由がある。この理由については次回以降に紹介するとして、それまでに読者の皆様にも商品特性上の理由を考えておいていただきたい。
一方、中間管理職となると、その差は縮まり、タイと比べて3分の1、ベトナムの70%程度、カンボジアやバングラデシュとは同等となる。有能な管理職は労働市場においても引き合いが多いため、他国とも差が付きにくいのであろう。外資企業では既に5万ドル以上の年収を稼ぐ中間管理職もいるという。
雇用のカギは腰を据えた教育
ミャンマーの労働力について、陽の部分を挙げてきたが、それだけでは読者も納得できないであろう。課題はないのか。冒頭で書いたように、豊富な労働力のほとんどが、第1次産業、多くは農業に従事しているということだ。昨日まで農業に従事していた人たちを、即戦力で雇用できるかというと、答えは否となる。安くて質の高い労働力を最大限活用するならば、労働集約的な製造業やこれに紐付く国内マーケットをターゲットとしたサービス業だろう。
この国への進出を考えるのであれば、腰を据えて「人材を教育する」、という姿勢が必要ではないだろうか。幸いミャンマーには手先が器用で勤勉な方が多い。また「手先が器用で真面目」という、かつて(?)行われていた日本の労働者教育がうまくフィットする。それは職能教育だけを指しているのではない。会社組織人として働くという意味では、彼らは第1世代であり、その点を含めた教育が必要である。逆に言えば、その教育をいち早く行うことで、日系企業成長のための戦力を獲得できることとなる。
ミヤンマーの可能性の三つの要素、「労働力」「市場性」「地政学的位置」の内の「労働力」についての記事で、後のふたつはシリーズとして後日にまわされています。興味深いですね。
注目の「労働力」は、安いだけでなく、若くて器用で勤勉・真面目と質も素晴らしく、英語の普及率も高いのだそうです。
世界の工場としてスタートし今日の繁栄を招いた中国の武器も「労働力の安さ」でした。経済発展と共に「国内市場」が成長し内需も増えたのでした。(政府のインフラ投資でGDPを引っ張っている部分が目立ち始めていますが。)
ただし、その結果賃金上昇が進み工場でのストが増えていることは諸兄がご承知の通りです。
そこで、脱中国でベトナム他の国々へ移転をする企業も出始めていますね。
武力で覇権拡大を進めている中国。世界から吸収している富がその武力拡充を支えているのです。経済戦争でも、その資金をばら撒く札束攻勢で、世界の国々への影響力を強めています。
これに対し、日本は防衛力を強化し抑止力を高めねばなりませんが、中国の「世論戦」などで買収された売国奴によりままなりません。
経済戦争でも、技術力はありながら、コスト競争で敗れています。打ち勝つ方法を模索せねばならないのですが、その一つに、中国より安くて質の良い労働力の地域で生産し、競争することが考えられます。(安易で知恵がない案ですが)
貿易の障壁で守るとは思いますが、ミヤンマーで生産して、中国に売り込むのです。
逸話として某日本家電メーカーが、経済成長を始めたころの中国で、テレビが普及し始めたころ、世界の歴史の流れで次はビデオだとテープデッキの生産工場を巨大投資をして作りましたが、世界に追いつくペースが速く、テープは飛ばしてCD, DVDへ一気に進んでテープデッキ工場は本格稼働することなく閉鎖されたという話があります。
先進国に追いつけ追い越せの中国経済は、先進国の追随で開発が要らない分、猛スピードで進化し、先進国に追いついてきているのです。
何が言いたいかというと、賃金の上昇が始まった中国は、中国より後発の途上国に、自分が辿ったと同じ様に、速いスピードて追いかけられるということです。低賃金を武器に先進国を追いかけた中国が、追いかけられる立場に変わるのも差し迫っているということです。
ミヤンマーへの中国の浸透は多岐に及び進んでいて、中国一辺倒の危険性ヘッジのための改革開放ですから、日本やその他の国が主役の座をとって代わるのは容易ではないのでしょうが、美味しいケーキの最後の一切れを是非食べてみたいものですね。
一切れが3,000億円は安い買い物か、高い買い物か、今後の官民一体での踏ん張り次第となりますね。
# 冒頭の画像は、ミヤンマー テイン・セイン大統領と野田首相
この梅の花の名前は、白玉
↓よろしかったら、お願いします。