
ドイツのアリアンツ生命が韓国法人を売却して撤退を決めたのだそうです。しかも、買収以来1兆ウォン以上を投じていたものを約35億ウォンという格安の大赤字の価格で売却。買い手は、中国の安邦保険グループ。
アリアンツ生命は、何故そんな大赤字を出してまで、売却・撤退したのでしょう。
理由のひとつは、韓国も未曾有の低金利時代に突入していて、予定利率が年間7~8%以上の商品が逆ザヤとなっていること。つまり、マーケットとしての魅力がなくなっている。
二つ目で、決定的理由とされたのは、激しい労働争議。業績を立て直そうと経営側がリストラを試みても、労使関係がこじれ長期間のストが続く。
低迷する韓国経済環境の中で、逆ザヤのビジネスモデルが継続し、労働争議でその対策も打てない。そこで、損切りして撤退に至るのは、やむを得ない経営判断ですね。それにしても、安すぎる価格で、しかも急いでいるのは何故。
急いでいる理由は、韓国の保険業界では、2020年からIFRS(国際財務報告基準)を導入するのだそうで、発生する損失を時価で処理しなければなくなり、巨額の欠損が出ることが確実で、韓国からの撤退を早める決断がなされたのだそうです。
破格の安値になったのは、他の韓国の国内企業の買収を打診するのが一般的だったが、どの企業も「減量経営」を進めており、引き受け手がなかなかみつからないのだそうです。また、買収に関心を寄せていたのがファンドで金融当局の許可が得られるか微妙な状況で、早期撤退したいアリアンツ生命の希望に沿えるのが不確実で、金融当局の審査をクリアした「実績」のある、中国の安邦保険での35億ウォンになったことなのだそうです。
韓国では、外資系生保会社やファンドが株主になっている生保会社、さらに国策銀行傘下の生保会社が相次いで売却になるとの観測もあるのだそうです。生保業界に限らず、韓国に投資している外国企業からは、『収益が以前ほど上がらない』『労使紛争が激しすぎる』という不満も膨らんでいるのだそうで、アリアンツの撤退が、他の外国企業の韓国での事業の見極めに影響を与えないかとの懸念も出ているとも。
韓国国内では、構造調整に抵抗した労組の責任を問う声もあるとのことですが、安価な賃金で日本企業に追いつき追い越した韓国企業のモデルが行きづまり、転換期に差し掛かっているということでしょう。
その韓国企業を買い取ったのは、中国企業の安邦保険。更に韓国国内生保会社の売却が進む可能性があり、安邦保険が買収を勧めれば、サムスン生命、ハンファ生命、教保生命の「ビッグ3」体制の一角に安邦保険が割り込む可能性があるのだと。
安価で購入出来ても、厳しい市場環境の中で、さらなる多額の追加投資が必要となる今回の買収。安邦保険には勝算があるからの投資・進出でしょうが、その狙いは何なのでしょう?
AIIBの設立。IMFのSDRを構成する通貨バスケットに人民元の追加を成し遂げた中国。世界の金融界でも覇権の拡大を狙っています。
日米観の安全保障の連携関係から韓国を切り崩そうと狙っていますが、金融面でも韓国を中国の傘下に収めようと狙っていると推測するのは、考えすぎでしょうか。
# 冒頭の画像は、北京にある安邦保険集団のビル

この花の名前は、ミヤマシキミ
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アリアンツ生命は、何故そんな大赤字を出してまで、売却・撤退したのでしょう。
独アリアンツ生命、韓国法人格安売却し撤退 買い手は中国の安邦保険、時価会計が決定打? | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.4.25(月) 玉置 直司
韓国の金融界、産業界で大きな話題になっている売却がある。独アリアンツ生命が韓国法人を売却して撤退を決めたことだ。買収以来1兆ウォン(1円=10ウォン)以上を投じた韓国法人をわずか300万ドル(約35億ウォン)で売却するという。買い手は、あの中国の安邦保険グループだ。
「1兆投資のアリアンツ、35億で売って韓国を去る」
■1兆ウォン投資して35億ウォンで売る
2016年4月6日、大手紙「朝鮮日報」はこんな見出しで今回の売却劇を1面で報じた。金融界、産業でも大きな話題になっている。
アリアンツは1999年に当時、韓国第4位だった第一生命を買収した。3年後に「アリアンツ生命」(韓国、以下韓国アリアンツ)に社名を変更した。買収額は4000億ウォンだった。
期待をこめての韓国進出だったが、その後も、茨の道が続いた。韓国メディアによると、アリアンツが買収してから17年になるが、この間、韓国アリアンツは8年間赤字だった。
アリアンツグループは合わせて7回の増資に応じ、買収資金と合わせてこれまでに1兆2000億ウォン以上を投じる羽目になった。
それでもなかなか業績は好転しなかった。
追い討ちをかけたのが労使問題による混乱だった。何とか業績を立て直そうと経営側がリストラを試みるが、そのたびに労使関係がこじれる。2008年には給与制度改革を巡って労組が対立し、200日以上もストが続いた。
■逆ザヤにストで大苦戦
韓国アリアンツが本業で苦戦したのは、逆ザヤのためだった。保険業界関係者はこう話す。
「第一生命時代から、年金や終身保険などの商品をかなり販売したが、予定利率が年間7~8%以上の場合も多かった。韓国も未曾有の低金利時代になり、毎年、相当の逆ザヤによる損失が続いていた。賃金引下げや人員削減などの合理化で打撃を食い止めようとしたが、労使関係の悪化で逆に経営の足を引っ張ることになった」
朝鮮日報は「財務健全性を回復させるためには今後2~3年間で1兆ウォンを超える資金が必要」と報じている。
韓国での事業がうまく行かない。労使問題も解決の兆しが見えない。それでも、1兆ウォン以上をつぎ込んだ韓国法人をこんな安く売るのか。
■IFRSが引き金?
<中略>
それにしても、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却するとは、よほど急ぐ事情があったのだろうか。
■安邦保険の登場
買い手になったのは、世界中で金融会社やホテルなどを買収している安邦保険だ。最近では、世界的なホテルチェーンである「スターウッド」の買収合戦に乗り出して話題になった。
韓国メディアは、韓国アリアンツの売却価格は2000億~3000億ウォンと見られていたが、電撃的に安邦保険に35億ウォンで売却することが決まったと報じている。
その事情は、他に買収に関心を寄せていたのがファンドで金融当局の許可が得られるか微妙だったからのようだ。
安邦保険は2015年に東洋生命を1兆ウォン以上で買収している。金融当局の審査をクリアした「実績」がある。独アリアンツは、早期決着を狙って35億ウォンで売却を決めたようだ。
韓国の保険、産業界で大きな話題になっているのは、1つは、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却という、珍しいケースに対する単純な驚きだ。
■外資誘致が必要なのに・・・
第2には、今後の有力外国企業の動きに対する懸念もある。韓国は、低成長が続いている上、労使紛争の激しさで知られる。
「雇用や投資を拡大する上で、外国企業の誘致は重要だ。にもかかわらず、すでに進出している外国企業からは、『収益が以前ほど上がらない』『労使紛争が激しすぎる』という不満も膨らんでいる。アリアンツの撤退が、他の外国企業の韓国での事業の見極めに影響を与えないか、と心配する声がある」(韓国紙デスク)
大手紙「東亜日報」(4月8日付)は社説で、経営難に陥っている現代重工業の労組が賃上げ交渉で強気の姿勢を崩していないことを批判して次のように主張した。
「安邦保険グループが独アリアンツグループから韓国法人を300万ドルという格安で買収するという話は構造調整の好機を逃すと、その対価がどれほど大きいかを示した。(中略)1次的には経営陣の無能のせいだが、成果給導入に反発するなど構造調整に抵抗した労組の責任も小さくはない」
外国企業だけでなく、韓国企業も、アリアンツの売却を教訓にすべきだということだ。さらに、安邦保険の買収に対する驚きの声も強い。
■韓国生保ビッグ3が崩れる?
韓国では、業績不振で親会社による売却や身売りが不可避な企業が増えている。これまでなら、他の韓国企業の買収を打診するのが一般的だったが、どの企業も「減量経営」を進めており、なかなかうまくいかない。
「結局、中国企業が対象になるのか」という声が出始めている。
中国企業に対する拒否感がことさら強いわけではない。あまりの勢いに対する警戒意識があるのだ。
生保業界でも、2015年に東洋生命を買収したのについで韓国アリアンツまで買収すれば、安邦保険は一気に業界5位に浮上する。韓国では、外資系生保会社やファンドが第株主になっている生保会社、さらに国策銀行傘下の生保会社が相次いで売却になるとの観測もある。
安邦保険がさらに買収を進めれば、現在、サムスン生命、ハンファ生命、教保生命の「ビッグ3」体制である生保業界に、安邦保険が割り込み、一気に勢力図が塗り変わる可能性がある。
今回の買収が正式に決まっても、安邦保険は、かなりの金額の追加投資が必要だとの見方が強い。それでも、積極的な拡大戦略を続けることが脅威に見えている。
韓国の金融界、産業界で大きな話題になっている売却がある。独アリアンツ生命が韓国法人を売却して撤退を決めたことだ。買収以来1兆ウォン(1円=10ウォン)以上を投じた韓国法人をわずか300万ドル(約35億ウォン)で売却するという。買い手は、あの中国の安邦保険グループだ。
「1兆投資のアリアンツ、35億で売って韓国を去る」
■1兆ウォン投資して35億ウォンで売る
2016年4月6日、大手紙「朝鮮日報」はこんな見出しで今回の売却劇を1面で報じた。金融界、産業でも大きな話題になっている。
アリアンツは1999年に当時、韓国第4位だった第一生命を買収した。3年後に「アリアンツ生命」(韓国、以下韓国アリアンツ)に社名を変更した。買収額は4000億ウォンだった。
期待をこめての韓国進出だったが、その後も、茨の道が続いた。韓国メディアによると、アリアンツが買収してから17年になるが、この間、韓国アリアンツは8年間赤字だった。
アリアンツグループは合わせて7回の増資に応じ、買収資金と合わせてこれまでに1兆2000億ウォン以上を投じる羽目になった。
それでもなかなか業績は好転しなかった。
追い討ちをかけたのが労使問題による混乱だった。何とか業績を立て直そうと経営側がリストラを試みるが、そのたびに労使関係がこじれる。2008年には給与制度改革を巡って労組が対立し、200日以上もストが続いた。
■逆ザヤにストで大苦戦
韓国アリアンツが本業で苦戦したのは、逆ザヤのためだった。保険業界関係者はこう話す。
「第一生命時代から、年金や終身保険などの商品をかなり販売したが、予定利率が年間7~8%以上の場合も多かった。韓国も未曾有の低金利時代になり、毎年、相当の逆ザヤによる損失が続いていた。賃金引下げや人員削減などの合理化で打撃を食い止めようとしたが、労使関係の悪化で逆に経営の足を引っ張ることになった」
朝鮮日報は「財務健全性を回復させるためには今後2~3年間で1兆ウォンを超える資金が必要」と報じている。
韓国での事業がうまく行かない。労使問題も解決の兆しが見えない。それでも、1兆ウォン以上をつぎ込んだ韓国法人をこんな安く売るのか。
■IFRSが引き金?
<中略>
それにしても、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却するとは、よほど急ぐ事情があったのだろうか。
■安邦保険の登場
買い手になったのは、世界中で金融会社やホテルなどを買収している安邦保険だ。最近では、世界的なホテルチェーンである「スターウッド」の買収合戦に乗り出して話題になった。
韓国メディアは、韓国アリアンツの売却価格は2000億~3000億ウォンと見られていたが、電撃的に安邦保険に35億ウォンで売却することが決まったと報じている。
その事情は、他に買収に関心を寄せていたのがファンドで金融当局の許可が得られるか微妙だったからのようだ。
安邦保険は2015年に東洋生命を1兆ウォン以上で買収している。金融当局の審査をクリアした「実績」がある。独アリアンツは、早期決着を狙って35億ウォンで売却を決めたようだ。
韓国の保険、産業界で大きな話題になっているのは、1つは、1兆ウォン以上を投じて35億ウォンで売却という、珍しいケースに対する単純な驚きだ。
■外資誘致が必要なのに・・・
第2には、今後の有力外国企業の動きに対する懸念もある。韓国は、低成長が続いている上、労使紛争の激しさで知られる。
「雇用や投資を拡大する上で、外国企業の誘致は重要だ。にもかかわらず、すでに進出している外国企業からは、『収益が以前ほど上がらない』『労使紛争が激しすぎる』という不満も膨らんでいる。アリアンツの撤退が、他の外国企業の韓国での事業の見極めに影響を与えないか、と心配する声がある」(韓国紙デスク)
大手紙「東亜日報」(4月8日付)は社説で、経営難に陥っている現代重工業の労組が賃上げ交渉で強気の姿勢を崩していないことを批判して次のように主張した。
「安邦保険グループが独アリアンツグループから韓国法人を300万ドルという格安で買収するという話は構造調整の好機を逃すと、その対価がどれほど大きいかを示した。(中略)1次的には経営陣の無能のせいだが、成果給導入に反発するなど構造調整に抵抗した労組の責任も小さくはない」
外国企業だけでなく、韓国企業も、アリアンツの売却を教訓にすべきだということだ。さらに、安邦保険の買収に対する驚きの声も強い。
■韓国生保ビッグ3が崩れる?
韓国では、業績不振で親会社による売却や身売りが不可避な企業が増えている。これまでなら、他の韓国企業の買収を打診するのが一般的だったが、どの企業も「減量経営」を進めており、なかなかうまくいかない。
「結局、中国企業が対象になるのか」という声が出始めている。
中国企業に対する拒否感がことさら強いわけではない。あまりの勢いに対する警戒意識があるのだ。
生保業界でも、2015年に東洋生命を買収したのについで韓国アリアンツまで買収すれば、安邦保険は一気に業界5位に浮上する。韓国では、外資系生保会社やファンドが第株主になっている生保会社、さらに国策銀行傘下の生保会社が相次いで売却になるとの観測もある。
安邦保険がさらに買収を進めれば、現在、サムスン生命、ハンファ生命、教保生命の「ビッグ3」体制である生保業界に、安邦保険が割り込み、一気に勢力図が塗り変わる可能性がある。
今回の買収が正式に決まっても、安邦保険は、かなりの金額の追加投資が必要だとの見方が強い。それでも、積極的な拡大戦略を続けることが脅威に見えている。
理由のひとつは、韓国も未曾有の低金利時代に突入していて、予定利率が年間7~8%以上の商品が逆ザヤとなっていること。つまり、マーケットとしての魅力がなくなっている。
二つ目で、決定的理由とされたのは、激しい労働争議。業績を立て直そうと経営側がリストラを試みても、労使関係がこじれ長期間のストが続く。
低迷する韓国経済環境の中で、逆ザヤのビジネスモデルが継続し、労働争議でその対策も打てない。そこで、損切りして撤退に至るのは、やむを得ない経営判断ですね。それにしても、安すぎる価格で、しかも急いでいるのは何故。
急いでいる理由は、韓国の保険業界では、2020年からIFRS(国際財務報告基準)を導入するのだそうで、発生する損失を時価で処理しなければなくなり、巨額の欠損が出ることが確実で、韓国からの撤退を早める決断がなされたのだそうです。
破格の安値になったのは、他の韓国の国内企業の買収を打診するのが一般的だったが、どの企業も「減量経営」を進めており、引き受け手がなかなかみつからないのだそうです。また、買収に関心を寄せていたのがファンドで金融当局の許可が得られるか微妙な状況で、早期撤退したいアリアンツ生命の希望に沿えるのが不確実で、金融当局の審査をクリアした「実績」のある、中国の安邦保険での35億ウォンになったことなのだそうです。
韓国では、外資系生保会社やファンドが株主になっている生保会社、さらに国策銀行傘下の生保会社が相次いで売却になるとの観測もあるのだそうです。生保業界に限らず、韓国に投資している外国企業からは、『収益が以前ほど上がらない』『労使紛争が激しすぎる』という不満も膨らんでいるのだそうで、アリアンツの撤退が、他の外国企業の韓国での事業の見極めに影響を与えないかとの懸念も出ているとも。
韓国国内では、構造調整に抵抗した労組の責任を問う声もあるとのことですが、安価な賃金で日本企業に追いつき追い越した韓国企業のモデルが行きづまり、転換期に差し掛かっているということでしょう。
その韓国企業を買い取ったのは、中国企業の安邦保険。更に韓国国内生保会社の売却が進む可能性があり、安邦保険が買収を勧めれば、サムスン生命、ハンファ生命、教保生命の「ビッグ3」体制の一角に安邦保険が割り込む可能性があるのだと。
安価で購入出来ても、厳しい市場環境の中で、さらなる多額の追加投資が必要となる今回の買収。安邦保険には勝算があるからの投資・進出でしょうが、その狙いは何なのでしょう?
AIIBの設立。IMFのSDRを構成する通貨バスケットに人民元の追加を成し遂げた中国。世界の金融界でも覇権の拡大を狙っています。
日米観の安全保障の連携関係から韓国を切り崩そうと狙っていますが、金融面でも韓国を中国の傘下に収めようと狙っていると推測するのは、考えすぎでしょうか。
# 冒頭の画像は、北京にある安邦保険集団のビル

この花の名前は、ミヤマシキミ
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