硬軟織り交ぜたというか、揺れ動くオバマ外交姿勢が、習近平のやったもん勝の暴挙を許す原因となっています。それは、アジアにとどまらないことなのですが。
オバマ大統領の今後の対中外交には、習近平の訪米、リムパック2016と行事が控えていますが、動向が注目されます。
米大統領補佐官が訪中、習近平主席らと会談 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
中国の抗日勝利記念行事、米国は駐中国大使が出席―中国メディア:レコードチャイナ
<前略>
■アメリカ軍と人民解放軍の関係はより緊密に
軍事専門家たちだけではなく、政治家などの中にも「抗日戦勝70周年」プロパガンダに眉をひそめている人々は少なくない。そのため、さすがのオバマ“親中”政権といえども、政府高官を「抗日戦勝70周年パレード」に列席させるわけにはいかなかった。
しかしながら、その代わりとしてスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官を北京に派遣して、習近平国家主席や人民解放軍首脳たちとの会談がとり行われた。アメリカでの国家安全保障担当大統領補佐官の位置づけと派遣のタイミングから判断すると、オバマ政権の中国重視ぶりが如実に示された出来事である。
ライス大統領補佐官は、中国による南シナ海での人工島建設やアメリカに対するサイバー攻撃などに懸念を表した。それに対して習主席は、中国もアメリカもそれぞれの「核心的利益」を尊重しあい、両国間の意見の相違を縮小し、大局的立場で両国関係を発展させるように提案した。
要するに、良好な米中関係の維持は最大限に重視しているものの、「核心的利益」すなわち南シナ海問題と東シナ海問題では妥協する気がない旨を改めて表明したのだ。
一方、ライス長官と人民解放軍首脳との会合では、アメリカ軍と人民解放軍の関係をより緊密にすることが確認された。両軍が相互理解を深め、互いの違いを認識することで、とりわけ海軍や航空戦力の間における思わぬ誤解に基づいた軍事衝突が避けられ、両国関係の安定に寄与することになる。そのため米中両軍は、より一層首脳レベルでの密接な交流や、共同訓練などの様々な形での軍事交流を推し進める、ということで合意した。
<中略>
■中国海軍を「二度と招待するな」という声
しかしながら、太平洋艦隊や太平洋海兵隊などリムパックのホスト部隊では、依然としてリムパック2016に中国海軍を招くことに反対する意見が多い。
昨年のリムパックでは中国海軍は演習に参加する艦艇以外にも情報収集艦を演習海域に派遣し、米海軍空母をぴったりマークするなどしてスパイ活動を展開した(本コラム「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦『北極星』」参照)。そのため、当時の太平洋艦隊司令官ハリス提督(現在は太平洋軍司令官)をはじめとする主催者側は、国際信義にもとる行為と中国を批判した。また、米連邦議会でも中国封じ込め派の議員たちから「友好国の海軍合同演習には二度と人民解放軍など招待すべきではない」という声が上がった。
アメリカ海軍の“中国招待反対派”の人々は、アメリカ政府のみならず海軍首脳部も中国招待に傾いていることに失望を隠せない。そして、次のように反発を強めている。
「確かに海軍軍人、とりわけ海軍首脳にとっては、他国海軍との“予期せぬ衝突”を何としてでも避けたい、というのは職責上当然のことである。したがって中国海軍も含めてCUES(アメリカ、日本、中国などを含むアジア太平洋地域21カ国の海軍間で合意された取り決めで、海洋上での予期せぬ軍事衝突を防止するための行動指針)を締結し、さらにそれに中国海警をも取り込んで、南シナ海でアメリカ海軍が中国側と不測の事態に陥らないよう努力しているのは理解できる」
「しかし海軍作戦レベルで考えると、リムパックは自衛隊のような同盟軍や友好国の海軍が集まって共同作戦の指揮統制を身につける貴重な場である。海軍行動の指揮統制をある程度共有する訓練は、まさに“親密な友人”だけの間の訓練でなければならない。そのような場に、中国海軍を加えて、将来の不測の事態を回避しよう、などというのは本末転倒と言わざるをえない」
また、対中強硬派のフォーブス議員などは、「リムパック2014への中国海軍の参加や、その後の米中両軍の相互交流の努力などによっても、中国エンゲージメント(取り込み)政策などは全然進展していないではないか!」と、中国をリムパック2016へ招待することには強く反対している。
■結局、中国海軍は参加することに?
しかし、前述したようにライス補佐官と中国最高指導部との会談では米中間の軍対軍関係の密接な交流促進が特に強調されたし、9月下旬に国賓として訪米する習主席も、改めて人民解放軍とアメリカ軍の友好的関係の強化を話題にするはずである。
世界最大規模の多国籍間軍事演習であるリムパックに人民解放軍を招待することは、両国軍の関係緊密化を謳い上げるシンボルとしてこの上もない意味を持っている。
何よりもリムパックに招待する海軍を最終的に決定するのは、太平洋艦隊司令官でもアメリカ海軍作戦部長でもなく、ホワイトハウスである。したがって、オバマ政権の判断は「結局呼ぶことになる」と考えている人々が多い。
■日米同盟だけにすがりついていてよいのか
日本では、安倍政権が「安全保障法制」を成立させ、また辺野古埋め立てを開始して、いわゆる普天間移設問題を解決することで日米同盟が強化されるとしている。日本政府には確固たる自主防衛戦略が欠落しており、そのような戦略を構築しようともしていない。そんな日本にとっては、日米同盟の強化、そして日米同盟にすがりつくことだけが、日本を中国などの軍事的脅威から守るための切り札と認識されているようである。
しかしながら、アメリカは中国との間に直接領域紛争を抱えているわけではない。また、アメリカ(少なくともオバマ政権)にとっては同盟国である日本はもちろん大切であるが、同盟国ではなくとも軍事大国である中国は軍事的には日本以上に大切なのだ。
そのことは、ホワイトハウスが「抗日戦勝70周年パレード」に政府高官は出席させない代わりにパレードの直前にライス大統領補佐官を習主席のもとに派遣したことや、アメリカ海軍のトップと中国海軍のトップがしばしばビデオ電話会談を実施して意思疎通を図っていること、などが物語っている。
日本政府にとっては日米同盟“だけ”が国防の決め手であるかもしれない。しかし、アメリカの国防にとっては、日米同盟はあくまでも多数あるツールのうちの1つにすぎない。我々はそのことを肝に銘じておかねばなない。
スーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官に対し、習近平は、いつも通りの紋切型論で、「領土・主権など双方の「核心的利益」を尊重し、意見の相違を縮小すべきだ」と主張。フィリピンなどと領有権を争う南シナ海問題などへの米国の介入をけん制し、「新しいタイプの大国関係」構築に向けて、米中投資協定の交渉を加速させ、軍事交流の強化をめざす考えを示したのだそうです。
軍事交流については、上記の記事のとおりで、太平洋艦隊や太平洋海兵隊などリムパックのホスト部隊では、依然としてリムパック2016に中国海軍を招くことに反対する意見が多いのですが、パンダハガー筆頭のライス補佐官が居るホワイトハウスは、中国側の希望に沿って、人民解放軍の招聘をするとのことです。
勿論、無用な衝突を避けるため、軍同志の交流が行われることは歓迎される事です。が、前回の非常識な行動、直近の南シナ海での暴挙を鑑みて、環境が変化したのに交流に変化が無くてよいのかは、一考が必要でしょう。
明らかに米国(含日本)へのけん制の軍事パレード。「核心的利益」(含 尖閣諸島)を主張し、A2/ADを進める習近平。
オバマ政権には、毅然とした姿勢が求められます。
が、上記の記事が言う通り、自国は、先ず自国の手で護るのが大原則です。
国境の島々の防衛は、他国に頼るのではなく、自力で護るのが大原則です。
そして、軍事投資を急ピッチで進めてきて、中華帝国再建の夢を追う習近平に抑止力をはたらかせるには、日本一国はもとより、米国一国でも困難になりつつある今、有志国が連携して対処する必要が生じているのです。
「戦争反対」を唱える人々。それは、習近平、自称イスラム国等のテロ他の一部を覗いて、人類全ての願いです。
ただ、その一部の輩の戦争行為を抑止するには、反対を唱えているだけでは、戦争はなくなりません。戦争を抑止する仕組みが必要なのです。それが、集団的自衛権であり、安保法制(まだ、ネガティブリスト式の世界標準になっていなくて、自衛隊員にリスクを加えていますが)の整備なのです。
「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードに、世界は中国の軍事力強化に改めて反感を抱きました。肝心の「抗日」と名指しされている日本で、メディアのミスリード(中国の「世論戦」に犯されていないことを祈っていますが)に騙されている人がいることが、残念です。
米国におんぶにだっこで片務同盟の安全保障で得られている現状の平和から脱して、日本の平和は、日本が主体的に守る時代へ変えていかねばならない時がきているのです。
# 冒頭の画像は、訪中したスーザン・ライス国家安全保障担当大統領補佐官と習近平
この花の名前は、ポポー
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