遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

太子党幹部と軍幹部は幼馴染

2012-07-17 23:00:09 | 中国 全般
 今年の秋の中国での政権交代に向け、中国国内での権力闘争の行方に注目しています。
 胡錦濤・共青団が優勢となり、江沢民派の牙城だった北京市のトップ(党委書記)も押さえるなど着々と地固めを進めていることは、諸兄がご承知の通りです。
 江沢民・上海派や、習近平・太子党の反攻と共に、人民解放軍の動向が気になるところでしたが、日本の防衛白書(2012年版)骨格で、軍による対外政策の決定への影響力が強まっていると指摘されているとの報道がありました。
 次期政権を担う習近平氏は、胡錦濤院政下で安定運営するのに力が必要ですが、軍との関係はどうなのかにも着目していました。産経・正論の鳥居氏の記事では、軍幹部の息子と、党幹部の息子=太子党は、幼馴染であったりもして親しい関係を築こうとし、太子党の党幹部は軍幹部と“契りを結ぶ”のだそうです。
 

中国現代史研究家・鳥居民 中国軍への党の疑心暗鬼は強い (7/17 産経・正論)

 
前に、本欄に「権力亡者の芽摘んだ『新四人組』」と題する一文を奏した。その時に書かなかったことをここで述べよう。

 ≪兵符に手伸ばした?薄煕来氏≫
 兵符を握る、兵符に手を伸ばすといった言葉が中国にある。10センチほどの青銅製の虎が縦に割られ、二つに分かれている。左半分は中央が保管し、右半分は地方の太守に渡される。中国の戦国時代、動員せよ、出兵せよとの命令書を携えた中央の使者が、地方の太守に真っ先に見せなければならないのがこの虎の片方だった。
 そのため、兵符は虎符(こふ)とも呼ばれた。太守が持つ片方と合わせ、虎の背に彫られたいくつかの半字がぴたりと合って一つの字になれば、使者から手渡された命令書は本物ということになる。その昔、日本の貿易で取引相手を相互確認する目的で使われた割り符のようなものだと考えていい。
 そこから転じた、兵符を握る、兵符に手を伸ばすという言葉の意味はもうお察しだろう。

 「社会管理」の名の下、治安を司(つかさど)る総元締になり、併せて国家主席になろうという野心を断たれた薄煕来氏の件に移る。重慶市党委書記だった薄氏の地位が揺らぎ始めたこの2、3月、彼は兵符に手を伸ばした、と噂された。薄氏の力が及ぶ西北蘭州基地の戦爆機が北京中南海の党最高幹部居住区を爆撃するといった類いのお伽話(とぎばなし)から、二十数人の将官が薄氏を擁護する上申書を党中央に提出したという話までが乱れ飛んだ。

 ≪強まる太子党と軍幹部の関係≫
 こうした現象は、6年前の上海市党委書記の陳良宇氏の失脚、それより前の北京市党委書記の陳希同氏追放の際には起きなかった。何ごとをも隠すことができなくなったインターネットがいまだ普及していなかったことが、その理由ではない。2人の陳氏と異なり、重慶市党委書記だった薄氏は、太子党だったからである。
 太子党派だ、共産主義青年団出身の団派だと中国共産党の幹部を二つに色分けするのは、中国内外で誰もがやってきたことだ。
太子党幹部の大きな特徴は、軍幹部に親密な友人がいる
点にある。北京の名門小中学校に通うのは、党や国の元老の子や孫たちだ。当然ながら、軍将官の子弟もいる。彼らは親の職業を継ぎ、軍人の道を選ぶ。訳もなく出世コースに乗り、集団軍の司令になり、軍区司令にまで昇進できるからだ。
 こうして
太子党の幹部は将官となった幼なじみと旧交を温めることになる。小学校の同級生ではなくても、軍高官が党幹部に向かって、私に目をかけてくれた上官は建国前後に政治委員だったあなたの父上にかわいがられたと常々語っていたなどと喋(しゃべ)り、親しい関係を築こうとする。こうして、太子党の党幹部は軍幹部と“契りを結ぶ”
ことになり、兵符を弄ぼうとする野心家も出てくる。

 ところで、
この20年の間、党総書記は「平民」だった。総書記となる前、江沢民氏は軍と何の繋がりもなく、軍にコンプレックスを持っていた。そこで、党中央軍事委員会主席となった氏は、軍幹部の集まりで、制服組よりも過激な攘夷論を叫び立てることになり、軍のご機嫌取りに努め、軍事費の野放図な増額を認め、軍産複合体を肥大化させるに至った。「町人の子」と陰でいわれた後任の胡錦濤氏も、軍へのコンプレックスから軍事費を毎年2桁の伸びとする江路線を踏襲
してきた。

 薄氏の政敵であり、胡氏の信頼が厚い広東省党委書記の汪洋氏が率先して、党中央に対する軍の忠誠を宣誓してみせ、各地の同様の動きが軍の機関紙や人民日報の国内版に何度も載った。党と軍の首脳部が何を警戒したかは、観察者には容易に想像できた。

 ≪「国家の軍隊」いまだ成らず≫
 ところで、党中央は懸念をもう一つ抱いていることを露呈した。「党の軍隊」を強調する論文が何回も掲載されたのだ。「軍隊を国家化せよ」と薄氏が主張していたわけでは、むろんない。
 外部の観察者がしばし理解に苦しんだ党、軍の中央のもう一つの懸念は、次のようなものだった。薄氏のような危険で悪質な野心家が、兵符に手を伸ばすことになるのは、中国の軍隊が国家の軍ではなく、党の軍だからだという批判が将校団の間にある。そう案じての教化工作だったのだ。
 だが、軍内のそのような批判は何も、昨日今日起きたものではない。党の軍隊であるがため、軍内の太子党が徒党を組んで好き放題をしてきたのを、それこそ、「平民」出身の将校たちはずっと怒りを抑えて見てきたのだ。
 今さら、軍隊の国家化は悪だ、党化は善だと唱えただけで、彼らを納得させ得ないことは、現指導者の胡総書記も次期指導者の習近平氏も承知していよう。
 誰もが知るとおり、習氏は太子党派である。
軍にコンプレックスを持っていない習氏が、合理的な考えと決断力を持った太子党の軍人を登用できるのであれば、中国内外の人たちは、第18回党大会後の中国の軍に、いささかの期待をかけられることになる。(とりい たみ)

 党幹部の子供も、軍の幹部の子供も、同じ北京の名門小中学校に通うのですから、幼馴染になるのですね。同級生でなくても親の縁を辿るなどして親しい関係を築く。このあたりは、自由主義国も、社会主義国も関係ない様子で、むしろ一党独裁で狭い社会の中国のほうが、団結力は強いかもしれません。

 しかし、太子党の薄煕来氏は失脚しました。習近平氏は、文化大革命で父・習仲勲が批判され、反動学生として地方へ下放されており、軍幹部にどれだけ幼馴染がいるかは、遊爺には解りません。国民に大人気の歌手の奥様が少将であることは、皆さまがご承知のことです。

 前回も書きましたが、政治に影響力を強めていると言う軍との関係を、党中央軍事委員会主席に留まる胡錦濤と習近平が凌ぎあうことになれば、ますます軍が力を強め、海外への覇権拡大が進むことの懸念が強まります。
 記事に書かれている様に、習近平氏が軍にコンプレックスを持たず、太子党の軍人を登用し、軍を掌握すれば、景気に陰りも見え始めた昨今、天上知らずの軍事費の増大も、抑えられることになると、希望的観測も見えてきます。
 # 最近の尖閣に関する数少ない発言では、そんな甘いことは言ってられない様子ですが。

 今後も、軍の動き、太子党・習近平氏の言動には注目が必要ですね。



 # 冒頭の画像は、彭 麗媛(ほう れいえん、ポン・リーユアン)少将




  この花の名前は、猩々袴(ショウジョウバカマ)  撮影場所;六甲高山植物園


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暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?





中国人民解放軍の正体―平和ボケ日本人への警告!!




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