政府が突然国有化を公言し、東京都が購入を進めていた尖閣の実効支配強化の方向が混乱しています。
玄葉外相=外務省は、カンボジアでの外相会談やその他の機会を通じ、国有化の目的を「平穏かつ安定的に維持管理するため」と言っています。
在中の丹羽大使を帰国させ、日本政府の考えを中国政府に詳しく説明するよう指示したのだそうです。大使の帰国は、魚政の領海侵犯への抗議の召還と中国で受け取ったことは、日経が言う「日本が同問題を重くみている姿勢を中国側に提示」の目的は伝わったとも見られますが、僅か1泊で帰任してしまったことは、中国の反発圧力に屈したと受け止められ、中国への牽制どころか、逆に脅せは従うという、菅・仙谷と同じ実績を積み重ねてしまい、逆効果の失政です。
「平穏かつ安定的に維持管理するため」との政府の真意を中国に伝えるとは、都の実効支配強化の行動を抑え、現状(日本人も立ち入り禁止)維持を継続すると言うことだと、遊爺は素人推察していますが、なんと、政府は実効統治の強化策を検討すると公表してきました。
中国との対立姿勢を打ち出したことで、中国の反発は一段と強まることは必至ですが、中国が脅してきた様に、対抗姿勢を強めた時に起きるあらゆる事態への備えと勝算が整っていて、対立姿勢を強めているのでしょうか。丹羽大使に伝えた内容はこのことだったのでしょうか...?
外相、尖閣国有化「正しく伝達を」 丹羽大使に指示 :日本経済新聞
沖縄県の尖閣諸島の国有化をめぐり、政府が土地購入後の尖閣の包括的な活用計画を策定する方針を固めたことが17日、分かった。複数の政府高官が明らかにした。国有化に反発し漁業資源の囲い込みなど対抗策を強めるとみられる中国をにらみ、日本政府として実効統治の強化策を打ち出す必要があると判断。外務省は国有化の正当性を国際社会に訴える検討作業にも着手した。
東京都の石原慎太郎知事が尖閣購入計画を発表したのは4月17日で、政府が石原氏に国有化方針を伝達したのは7月6日。政府高官は、政府の意思表示までに3カ月かけた理由について「準備に時間を要した」と説明する。
別の政府高官は「国有化を伝える前に対処方針を固める必要があった」と強調した。対処方針の柱と位置づけるのが尖閣活用計画だ。
野田佳彦首相は16日のフジテレビ番組で尖閣の国有化方針に関し、「都の今の計画などを踏まえ、どう対応するか考えている」と述べた。尖閣の活用計画を策定する上で、石原氏の意向を踏まえる考えを示唆したとみられる。
都は小笠原諸島で固有植物を食い荒らすヤギを駆除し、沖ノ鳥島では漁場をつくる魚礁の設置に成功している。自然保護や海洋開発の実績を念頭に、石原氏は6月、都議会での所信表明で「豊穣(ほうじょう)な海」「豊かな自然」をキーワードに尖閣の活用策を検討する方針を表明した。
政府はこうした都の意向と連動させる形で、尖閣の活用計画を検討。(1)豊かな自然の保護と漁業振興(2)エネルギーや資源などの探査(3)経済・社会活動の基盤となる港など公共施設の整備-などを想定している。
尖閣活用計画は中国への対抗策ともなる。石原氏の購入方針表明を受け、中国国家海洋局は4月25日、尖閣周辺の漁業資源利用の強化などを盛り込んだ海洋管理計画を発表。「釣魚島(尖閣諸島の中国名)など伝統的漁業資源区を回復」と特記している。
これは、中国が外交折衝や軍事活動で国際社会の支持を引き寄せる手段として重視する「世論戦」の一環といえ、尖閣国有化方針に対抗し、今後さらに活発化させる可能性が高い。
外務省による検討作業は「中国の主張に正当性がないことを効果的に訴える」(同省関係者)方策を練ることに主眼を置いている。
三つの活用計画の内の「(3)経済・社会活動の基盤となる港など公共施設の整備」は、山田教授が国会で提案された、「人が出入りできて居住できる空間」造りに繋がることであり、関連組織の人員が常駐出来ることになれば、ゆるぎない実効支配が確立されることになります。
中国漁船が、事故などの名目で緊急上陸をはかろうとしても、受け入れの既存施設に受け入れることができ、実効支配の為の不法占拠は成り立ちません。勿論、公共施設と人員についての防衛体制も整っていることは必須です。
ただ、中国漁船が押しかけてくるのは、今年の漁期です。2010年の漁船衝突は 9月に発生しています。
今から"検討"ということでは、何処まで実行できるかは解りません。
関連海洋法整備は、費用も掛からず、立法府の国会議員の先生が真剣に議論していただければ可能なことです。
突然の実効支配強化実施の話。狐につままれた様で、信じられないのですが。
口先だけでなく、本気なのなら早期に実現されることを願いますが、併せて、今年の漁期に押し寄せると中国が公言している大漁船団への対応策も至急構築(検討ではなく)されることを望みます。
# 冒頭の画像は、玄葉光一郎外相への報告を終えて外務省を出る丹羽宇一郎駐中国大使 (7月15日午後)
この花の名前は、ニッコウネコノメソウ 撮影場所;六甲高山植物園
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