遊爺雑記帳

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老獪バイデン氏の金融“策略” 日本の対外債権で米金融市場支える狙いか

2020-11-17 01:45:52 | 米国 全般
 菅首相が、12日にバイデン前副大統領と電話会談し、その中でバイデン氏は、米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約5条は沖縄県・尖閣諸島に適用されると明言したと公表し、話題となりました。
 産経新聞特別記者の田村氏は、選挙の決着もついていない段階で、バイデン氏側が日本側にとって心地よいメッセージを送るとは、何か別の政治的意図があるのではないか、と勘ぐってしまうと。
 どんな意図なのでしょう。
 中国は早速反発している様ですが、政権移行チームのホームページに掲載された発表文には「尖閣諸島」の文字はないようです。
 福井県立大学の島田洋一教授は、バイデン氏は『言行不一致』で有名であるため、日本政府は常に警戒し続けなければならない」と指摘しておられるのだそうですが。。

 バイデン氏“口先外交”か 公表文書に「尖閣」明記なし 菅首相と電話会談で明言も…中国配慮か(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース
 「尖閣は固有の領土」中国がバイデン氏に反発 :日本経済新聞

 
【独話回覧】「尖閣」餌に日本を手なずけ…老獪バイデン氏の金融“策略” 日本の対外債権で米金融市場支える狙いか (1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト 2020.11.16 田村秀男

 菅義偉首相が12日、米大統領選で米メディアから当選確実とされるバイデン前副大統領と電話会談した。バイデン氏は、米国の日本防衛義務を定めた日米安保条約5条は沖縄県・尖閣諸島に適用されると明言したという。

 
菅政権のブリーフィングは「安保条約5条に関する発言はバイデン氏が切り出した。尖閣という名前への言及もあった。米側の発表でも『5条(Article V)』と明記された」(日本経済新聞11月12日付電子版)という具合で、安堵(あんど)の様子がにじみ出ている。

 日経同記事はさらに、「大統領選の当確が出た段階でのバイデン氏の言明は異例の早さとなる。政権交代しても中国への圧力を緩めないとの国際社会へのメッセージとなった」と解説した。

 こうしたはしゃぎぶりは、日本の政官、メディアの各所でみられるだろう。

 
だが待てよ、大統領に就任したわけでもないどころか、選挙の決着もついていない段階で、バイデン氏側が日本側にとって心地よいメッセージを送るとは、何か別の政治的意図があるのではないか、と勘ぐってしまう。

 というのは、バイデン氏が副大統領のときのオバマ大統領は、やはり日米安保5条を尖閣諸島に適用すると明言していたことを思い出す。
オバマ政権の対中政策はむしろ親中路線で、軍事面でも口先だけだった。尖閣諸島周辺海域、台湾、さらに南シナ海で、習近平政権は軟弱なオバマ政策を見透かしたように傍若無人に振る舞い南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島を埋め立て、しっかりと「中国領」の既成事実をでっち上げたではないか。

 尖閣諸島防衛について、筆者の友人の知日派の在日米軍幹部は、「まずは日本が自らの手で守ることが常識だろうに」と、ひたすら米軍頼みの日本側の態度にあきれ果てていたものだ。

 バイデン氏の政治的意図、と上述したが、
対日リップサービスには、それだけの政治的成果を計算ずくだと拙論は考える

 
まず、トランプ氏の再選潰しだ。大統領選投票の再集計やトランプ陣営による提訴で、最終的な判定は連邦最高裁まで持ち込まれる可能性もある。最高裁では共和党系判事が多数だから、どんな評決になるかわからない。そんな情勢だから、米国内はもとより日本を含む国際世論を「バイデン勝利、バイデン次期政権確定」というふうに誘導するというのがバイデン陣営の当然の危機管理だろう。

 
第2に、バイデン政権になったとして、最も腐心するのは財政である。バイデン氏は再生エネルギーや公共インフラに4年で2兆ドルという未曾有の巨額投資を公約している。トランプ政権は財政収支赤字の国内総生産(GDP)比を日本よりもはるかに拡大させたが、バイデン政権はそれに負けじとばかり拍車をかける。対するのは上院で多数派を維持する公算の大きい共和党だが、もとより共和党主流派も伝統の均衡財政主義を放棄しているので、財政大盤振る舞いへの抵抗は緩いはずだ。

 
障害はただ一つ、米金融市場である。国債大量発行、財政赤字膨張に恐れをなして外部からの資金流入が細れば、金利は高騰する。そこで鍵を握るのは、最後の貸し手で同盟国の日本である。

 グラフは
日本の対外純金融資産(対外債権総額と対外負債の差額)と米国の対外純金融負債のGDPに対する比率の推移である。それぞれのGDP比率は対称形をなし、ワニの口が大きく開いたかのようである。新型コロナウイルス・ショックを受けた今年6月はさらに乖離(かいり)が広がった。

 日本の対外金融債権はすべて米国に流れているわけではないが、ほぼ全額がドル建てか、残りはドルにいつでも替えられる金融資産である。ドルは基軸通貨で世界のどこでも取引されるが、最終的には米金融市場に引き寄せられる。従って、
日本の対外債権は米国の自家薬籠中の物同然であり、米金融市場を支える

 超ベテランの老獪(ろうかい)な政治家、
バイデン氏にとって、尖閣諸島を餌に、金融面で日本を手なずけるなら安いものと踏んだ、というくらいに考えるのがリアリズムというものだ

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 ■田村秀男(たむら・ひでお) 産経新聞社特別記者。1946年高知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後の70年日本経済新聞社入社。ワシントン特派員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級研究員、日経香港支局長などを経て2006年産経新聞社に移籍した。近著に『検証 米中貿易戦争』(ML新書)、『消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(幻冬舎ルネッサンス新書)など多数。


 日経の記事では、菅政権のブリーフィングは「安保条約5条に関する発言はバイデン氏が切り出した。尖閣という名前への言及もあった。米側の発表でも『5条(Article V)』と明記された」とのことですが、産経の記事では、政権移行チームのHPに、「尖閣諸島」の文字がないと。
 中国は何を根拠に反発しているのでしょう。

 バイデン氏の政治的意図、対日リップサービスには、それだけの政治的成果を計算ずくだと考えると田村氏。
 ひとつは、トランプ氏の再選潰しだと。
 大統領選投票の再集計やトランプ陣営による提訴で、最終的な判定は連邦最高裁まで持ち込まれる可能性もある。米国内はもとより日本を含む国際世論を「バイデン勝利、バイデン次期政権確定」というふうに誘導するというのがバイデン陣営の当然の危機管理だろうと。

 第2に、バイデン政権になったとして、最も腐心するのは財政。バイデン氏は再生エネルギーや公共インフラに4年で2兆ドルという未曾有の巨額投資を公約。
 財政大盤振る舞いの障害はただ一つ、米金融市場。国債大量発行、財政赤字膨張に恐れをなして外部からの資金流入が細れば、金利は高騰する。そこで鍵を握るのは、最後の貸し手で同盟国の日本であると田村氏。
 日本の対外純金融資産(対外債権総額と対外負債の差額)と米国の対外純金融負債のGDPに対する比率の推移は、ワニの口が大きく開いたかのようである。
 日本の対外金融債権はすべて米国に流れているわけではないが、最終的には米金融市場に引き寄せられる。従って、日本の対外債権は米国の自家薬籠中の物同然であり、米金融市場を支えると田村氏。
 バイデン氏にとって、尖閣諸島を餌に、金融面で日本を手なずけるなら安いものと踏んだ、というくらいに考えるのがリアリズムというものだと。

 余談となりますが、15日に「RCEP」の協定署名がインドを除いて、ASEAN各国、中国、韓国、日本でなされました。
 菅首相は、「ASEANと日本で、『平和で繁栄したインド太平洋』をともにつくり上げていきたい。こうした思いを、私から直接各国の首脳に伝えた」などと記者団に語ったのだそうです。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は15日、自らのツイッターで「なんの議論もなく『自由で開かれた』インド太平洋(FOIP:Free and Open Indo-Pacific)が『平和で繁栄した』インド太平洋に変容しているのは理解できない。中国に遠慮して価値観外交を放棄するのか」「これは看過できない問題である」と指摘。
 これは、玉城氏の指摘が正解。
 「自由で開かれたインド太平洋」は、安倍首相の発案で、トランプ大統領も賛同し掲げてきたもの。安倍政権の外交成果ですが、何故突然変更されたのか。
 バイデン陣営が開設した政権移行チームのHPでも、FOIPの表現は消え、「インド太平洋地域(Indo-Pacific region)」との表現になっているのだそうです。
 日米両国が、対中包囲網だったはずの「自由で開かれたインド太平洋」を、中国に忖度して変更してしまっているのです。

 島田洋一教授は、中国に気兼ねせず、積極外交を打ち出した安倍前首相との差を感じる。日本も米国も、今後は『対中すり寄り』になるのではと懸念している」と語っておられるのだそうです。

 田村氏は、バイデン氏にとって、尖閣諸島を餌に、金融面で日本を手なずけるなら安いものと踏んだ、というくらいに考えるのがリアリズムというものだと。

 左派・社会主義者のサンダース派が主導すると言われる米国・民主党政権。媚中の二階氏が影響力を持つ菅政権。
日米両国は、安倍、トランプ両氏の退陣で、中国との新冷戦時代のリードを保てるのでしょうか。



 # 冒頭の図は、日米の純金融資産・負債のGDP比



  柿


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尖閣諸島灯台物語





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