遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

IAEAが気象庁の作成した放射性物質の拡散予測を世界に配信

2011-04-05 00:07:00 | 東日本大震災
 原発関連の情報は、このところマイナス情報が積る日が続いています。世界も注目していますが、外からみていると気がかりだろうとは、私がチェルノブイリの時に感じたことと同じだろうと理解できます。発表される情報が、先の見通しがなく悪化の情報がつのるばかりだからでした。そして、未解決期間もチェルノブイリを超えている。
 ついに今日は、背に腹は代えられないとは言え、規制値の100倍の汚染水を故意に海へ放流する事態になりました。東電の松本本部長代理が、涙ながらに地元の方々にお詫びをされていましたが...。地元だけでなく、太平洋を汚すわけで、環太平洋諸国をはじめ世界の方々にもお詫びをせねばならないことでしょう。
 そんな中で、気象庁の作成した放射性物質の拡散予測情報が、日本では公表されていなくて、IAEAを通じ世界に配信されているとの読売の記事があり、枝野氏が夕方の記者会見で説明する事態が生じていました。
 
日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。
 ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。
 気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。
 同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、拡散予測を計算している。具体的には、IAEAから送られてきた放射性物質の放出開始時間や継続期間、どれくらいの高さまで上ったかを、風向きや天候など同庁の観測データを加えた上で、スーパーコンピューターに入力し、放射性物質の飛ぶ方向や広がりを予測している。

 枝野氏が記者会見で述べた内容は以下。
 
気象庁に拡散予測の公表指示 放射性物質で枝野氏 - 47NEWS(よんななニュース)

<前略>
 
枝野氏によると、気象庁の予測は一定量の放射性物質が漏れたと仮定し、原発周辺の気象情報に基づく拡散状況を100キロ四方ごとに計算。国際原子力機関(IAEA)が世界各国への影響を把握するために作製を要請したという。枝野氏は「隠す必要がない情報であれば、誤解がないよう十分な説明を付けて公表するべきだ」と述べた。
 気象庁は、これまで公表していなかった理由について「
予測の基となるIAEAからのデータは実際の観測値ではなく仮定の数値のため、予測精度も低くなる。国内では、文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が正式な拡散予測
」と説明している。
 同庁企画課によると、東日本大震災では、発生当日の3月11日から毎日1、2回予測し、直接IAEAに報告。IAEAから指示された原発の位置や放射性物質が放出された高度と期間、放射性物質の種類などのデータをコンピューターに入力、風向きなどに基づいて予測しているという。

 気象庁が作成している放射性物質の拡散予測データが二つある。IAEAが予測シミュレーション用に設定した値に基づく計算と、実測値(?)に基づき算出されるSPEEDIによるデータ。国内では、SPEEDIが正式なデータだと。
 つい先日も、原子力安全委員会が飯館村での測定データで、IAEAの測定結果の勧告を無視して、日本流が正しいと主張したことがあります。IAEAの事務局長は日本人ですが、日本の関連技術者は何故か反発したがっているように見えてしまうのは、考えすぎでしょうか。
 SPEEDIのデータについては公表が遅れ、原子力安全委員(国内の過去最大の東海村原発事故の時はリーダーシップを発揮したが、今回は姿を隠している)が謝罪していたはずで、同心円での規制区域とは異なる結果が出いて、SPEEDIのデータを尊重すべきとの声が高いのは周知のことですが、言われるわりには活用されていないし、作成されている頻度ほどには報道されていないのはなぜでしょう?
 ことほど、国内でも、日本と世界の標準機関との間でも、情報が混乱しているのです。交通整理し管理するべき枝野氏は、気象庁に言っといたと言った感じで、自らが仕切る(仕訳では人気が取れる時期には張り切っていたのに)積極さはありません。政府の責任を回避すべく省庁などの官僚に転嫁するのは民主党のみなさんのお家芸の様ですね。

 冒頭に触れた、基準値の100倍の汚染水の太平洋への放出。これは、国際的な関心事であり、日本が世界の共有財産を汚染することになった訳で、東電や官房長官が発表するだけではなく、総理大臣が環太平洋諸国や、世界に向けてお詫びをしなければならない問題です。
 国内向けに言っている以上に、基準値を超えているが人体への影響がどうなのか、解決に向けどのような施策を立案実施しているか、解決(流出を遮断)のおおよその目標は何時と計画しているのか。世界の国々を説得できる形でのお詫びと説明が必要です。日本が、技術先進国でありたいというのなら...!

 ここからは付録の余談のつぶやきです。コンクリートのひび割れから流出する水を止められていません。聞こえてくる対策は、素人でも首をかしげたくなるものと思えてしまいます。水が止まらないとなってから、水の流れを調査。それも白色。多量の水で薄まって濁りと区別がつかないのでは?
 ゼネコンの知り合いの方に聞くと、オガクズや新聞には一理はあるけど、一連の対策の立案内容や実行手順は、大成と鹿島がついていて出た対策とは思えないとのこと。例えば、トンネル工事などでは、窒素で凍らせたり、土壌に薬剤を注入(薬害に配慮が必要)して固めたりの方法もあると。
 日本や世界の土建屋さんの英知が集められているのでしょうか。放射線が高いという環境での制約が、数ある英知の実行を阻んでいるのでしょうか?






↓よろしかったら、お願いします。


写真素材 PIXTA


Fotolia


コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 民間や自治体同士で復興へ連... | トップ | 汚染水の故意放水に、韓国、... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (一般人)
2011-04-05 16:11:01
こんにちは。 まったくもって東電と国の癒着体質から起きたこの度の人災には怒りますし、その責は 民主党というよりもこれまでの日本政府にあり、さらには日本国民自身の自業自得の事態だと言えるでしょう。 よって、これまで原発の恩恵(約30%)に浴していた国民は、それを非難する資格も無く、今後、国をあげてのエネルギー問題に取り組まなければなりません。

今回対応に当たっている「原子力保安院」とは、東電や国と完全に癒着してる組織であり、原発推進の立場。もちろん信用できない。 日本が批准している「原子力の安全に関する条約」では、今回のような原子力事故に際しては、危機管理上問題があるため、推進側の機関ではなく、「規制する側の機関が事に当たらなければならない」と定められている。 日本では、規制する側の組織としては「原子力安全委員会」がそれにあたり、 1999年の東海村JCO臨界事故においても、この原子力安全委員会がその役割を果たしたが、今回彼らには指揮を任されていない。

たとえば、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)などのような、リスクマネジメントを一元化できる機関/機構が我が国には無い。 このように、平和ボケした、利権と癒着が横行している脆い日本国です。

作成しました。  http://www.youtube.com/watch?v=Mj0uCpl4Xa8
返信する
原発と日本 (遊爺)
2011-04-05 23:34:53
一般人さん、こんにちは。
世界の原発ルネサンスの流れと、その商戦に、日本の景気回復策もダブらせて、国をあげて参加しようと、民主党政府も主要閣僚が先頭に立ち参戦してきましたね。
世界中が、この流れに立ち止って再考しようとしていますね。
脱CO2でとどっと流れ、今度は脱原発でどどっと流れる...?
別稿で触れましたが、東北電力の女川は震源地に近いとされていますが、逆に被災者の避難所の役割を果たしています。
福島第二もなんとかしのぎました。原発はすべてが駄目ではなかったことも見捨てられないと考えています。

別稿で何度か触れましたが、斑目氏に象徴される設計姿勢と、地震後の対応、津波被災後の対応といったところには人災拡大の原因があると考えますが、今は情報不足でよくわかりませんし、汚染が地球規模に広がりかねない現状を、国際社会に理解と支援を受けながら解決することに集中し、終息へ向かっていただけることをひたすら願っています。

> 作成しました。  http://www.youtube.com/watch?v=Mj0uCpl4Xa8

  えっと...?
  芸能音痴で全くわからないのですが、所有者:girlinsummerさんと、一般人さんとの関係はどのような関係ですか?
返信する
Unknown (一般人)
2011-04-06 00:56:40
こんばんは。
>東北電力の女川は震源地に近いとされていますが、逆に被災者の避難所の役割を果たしています。
ここは未確認ですが、どうやら津波の直撃を受けなかったからのようです。 それ以前に、原発とその利権に絡むシステム全体が、このような事態を引き起こしていることは明白です。 そしてその責は国民に在り。

>所有者:girlinsummerさんと、一般人さんとの関係はどのような関係ですか?
所有者は deception2010able 私です。
返信する
Unknown (一般人)
2011-04-06 01:06:17
東北電力女川原発では津波対策→想定外の津波だったが持ちこたえる
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2011/03/post-5e9f.html

今回の地震による津波は、その予想規模を越えたので、津波による被害が出た。
それでも、元々平均潮位より14.8m高い位置に原発の建物を設置していたため、福島第一原発で起きたような、致命的な打撃を受けることはなかった。

だそうです。
返信する
所有者さん (遊爺)
2011-04-06 22:00:00
一般人さん、こんにちは。

> 所有者は deception2010able 私です。

 失礼しました。今見ると、「投稿者: deception2010able 」となっていますね。観終わった画面で「所有者:girlinsummer」と表示されていたのでしたが、これは次の動画のことでした。
  世界初の原子炉重大事故は、英・ウィンズケール。海洋汚染の最大は、英・セラフィールドで、福島第一はそれに迫ろうとしているのだそうですね。

 「女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策」の資料の「数値シミュレーションによる、地上の建物と取水口の位置評価。」の図は解りやすいですね。引き波の時でも、冷却用の海水が取水できることも検討に入っていますね。
 以下を書くときに私も拝見させていただいていました。
 http://blog.goo.ne.jp/yuujii_1946/e/5223e3d7421fbf41df7583a3ba55a655

 この時に、福島第二と東海第二(津波の高さは福島と比べると低かった)の被害を免れた話も何点かあったのですが、国の耐震指針が改定されたことに伴い、津波対策をしている途中(南北二か所の電源かポンプのうちどちらか一方)だったというのが何処だったかが検索しても出てこないので、福島第二と東海第二の話の詳細は控えています。
 今朝の朝日で、福島第一と第二の差について触れていました。別稿で、これから書いてみようかと思います。(夏の計画停電回避のニュースも気になっていますが)
 テレビを見たり、関連を調べる時に脱線したりで、最近ずぼらになっていて、完成するかは未明ですが...。途中で眠くなると、単なる引用に終わるかもしれません。

 技術者であり、日本の原子力技術の最高峰(経済産業省が行った審査に関して、原子力安全委員会が独自の立場から審査を加える)である原子力安全委員会の委員長の斑目氏の、この期に及んでもなを「割り切らなければ設計はできないというのは事実でございます。で、その割り切った、割り切り方が、正しくなかったということも、我々十分反省してございます」という国会答弁の姿勢が、この職にあるまじきことで、今回の人災の元凶の象徴だと考えています。
 委員長になる前に割り切りの話をしていたのですから、その斑目氏を委員長に選んだ方も責任があるとは言えますね。

 「原子力の安全確保と原子力安全委員会の役割」は、ご承知の通り、以下ですね。
 http://www.nsc.go.jp/annai/yakuwari.htm

 blogだけでなく、動画もアップされているのでは、お忙しいですね。動画のアップもこれからもご紹介ください。お待ちしています。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

東日本大震災」カテゴリの最新記事