米国大統領が、トランプ大統領から、民主党・バイデン氏に交代する今年。世界の勢力図が転換する激動の年となることが見込まれていますね。
米中の「新冷戦時代」に突入し、優位に進めていたトランプ氏の退場を選択した米国。新たに選ばれたのは、左派・社会主義者が主導権を握るとされる民主党のバイデン前副大統領。
副大統領を務めたオバマ政権時代の後期は、パンダハガー勢力が主導権を持ち、南シナ海の人口島建設による、不法領有と軍事基地化を許してしまいました。
そのバイデン氏は、菅首相等との電話会談などで、安倍前首相とトランプ大統領とが唱えた「自由で開かれたインド太平洋戦略」を、「安全で繁栄したインド太平洋」に突然変更して表現したことは諸兄がご承知の通りです。
チャイナゲート疑惑を抱えるバイデン政権の、米中「新冷戦時代」真っただ中での取り組みが注目されますが、「自由で開かれた」を降ろし、「安全で繁栄した」に架け替えたバイデン政権の意図が注目されていますが、トランプ時代の対中抑止策を軟化させるものだと指摘しておられるのは、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏。
対中姿勢軟化の表れ?バイデンが捨てた“ある言葉” トランプ・安倍政権の対中抑止路線を大幅修正か | JBpress(Japan Business Press) 2021.1.6(水) 古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授
米国の次期大統領となることが確実なジョセフ・バイデン前副大統領が、中国に対する姿勢を軟化させる兆しを見せ始めた。
インドや東南アジアの外交専門家たちは、米国の次期政権が中国への融和策に傾くおそれがあるとして懸念を表明している。
その兆しは、バイデン氏が日本などアジア諸国の首脳との一連の電話会談で、インド太平洋のあり方についてトランプ政権時代の「自由で開かれた」という政策目標を排し、「安全で繁栄した」との表現に変えたことに表れているという。
トランプが繰り返した「自由で開かれたインド太平洋」という標語
トランプ政権は中国の野心的な対外膨張を正面から抑止する政策を明確にし、中国抑制の主舞台をそれまでのアジア太平洋地域からインド太平洋地域へと広げてきた。対中政策の核心もインド太平洋での中国との対決におき、昨年(2020年)6月に公表した「インド太平洋戦略」では中国を事実上の仮想敵とみなす方針を明示してきた。
トランプ大統領はその対中戦略の基礎として「自由で開かれたインド太平洋」という政策標語を頻繁に使ってきた。
大統領就任後まもない2017年、ベトナムで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の演説で、トランプ氏は対中抑止策の基盤として対外的に初めて「自由で開かれたインド太平洋」という表現を何度も使った。
その場合の「自由で(free)開かれた(open)」という表現は、共産党一党独裁政権の中国が自由に反する政策を推進し、とくに対外進出において国内の閉鎖的なシステムを拡大することへの反対であり、抗議だった。つまり「自由で開かれた」というのは、中国の独裁的、閉鎖的な統治への正面からの反対だったというわけだ。
ところがバイデン氏は、11月3日の大統領選挙でトランプ大統領を上回る総得票や選挙人の多数を獲得した後の同月12日、日本の菅首相、韓国の文大統領、オーストラリアのモリソン首相という3同盟国の首脳と相次いで電話会談をした際、一貫して「安全(secure)で繁栄(prosperous)したインド太平洋」という言葉を使った。それまでの米国政府の「自由で開かれた」という表現はあえて使わなかったのである。
バイデン氏はさらに11月16日のインドのモディ首相との電話会談でも「安全で繁栄したインド太平洋」という表現を使い、「自由で開かれた」という言葉は口にしなかった。この段階で、トランプ政権が一貫して掲げた政策標語をあえて排するというバイデン新政権の姿勢が明確になったといえる。
「自由で開かれた」という表現が、民主主義を拡大して中国の反民主的なシステムに反対する意図が明白なのに対して、中国を念頭においての「安全で繁栄」という用語は、中国に対してソフトで融和的な政策を意味することになる。独裁でも「安全」や「繁栄」は得られるわけであり、反中の意図が希薄になるのだ。
バイデン氏がまだ大統領に就任していない段階でそう断じることは問題があるかもしれないが、ここまで明白な政策標語の変更は新政権の政策の方向性を裏づけるといえよう。
対中政策を軟化させるバイデン新政権
バイデン氏のこの動きに対して、インドの著名な戦略問題専門家で「政策研究センター」研究員のブラーマ・チェラーニ氏は「『自由で開かれた』という概念の撤回はインド太平洋での中国を抑止するための米国の積極姿勢の軟化を意味することになり、インドの懸念は強くなる」という批判を外交雑誌の最近の論文で強調した。
米国の東南アジア外交専門家のセバスチアン・ストランジオ氏も、米国の外交雑誌の最新号で、バイデン氏の「微妙だが重要な政策用語の変更」を取り上げ、「中国への姿勢を柔軟にするという意味で、これまでのイデオロギー面での対中抑止の要素を弱めることとなり、中国との対決を激しくしてきたインドやオーストラリアなどの失望を招くことになる」と批判的に論じた。
またストランジオ氏は、「バイデン氏のこの表現の変更は、表面的にこれまでとあまり違いがないようにみえるかもしれないが、実際にはかなり周到な思考を経ての対中政策の変化を象徴するといえる」とも論評している。
安倍・トランプ政権の路線を弱めることに
この「自由で開かれたインド太平洋」という政策標語は、そもそも日本の安倍晋三首相が米国のオバマ前政権時代の2016年から対外的に唱え始めた用語である。トランプ氏が大統領就任後に、この安倍首相の立案した標語や政策をそのまま踏襲したことは自他ともに認めている。
安倍首相自身も、この「自由で開かれた」という用語が中国の無法な行動への抑止を念頭においていることは何度も認めていた。
バイデン新政権は、安倍・トランプ両政権が打ち出した対中抑止政策を弱めるという展望が、次第に明らかになってきたというわけだ。
トランプ大統領はその対中戦略の基礎として「自由で開かれたインド太平洋」という政策標語を頻繁に使ってきた。
「自由で開かれた」というのは、中国の独裁的、閉鎖的な統治への正面からの反対の意を顕す表現。
ところがバイデン氏は、11月12日、日本の菅首相、韓国の文大統領、オーストラリアのモリソン首相という3同盟国の首脳と相次いで電話会談をした際、一貫して「安全(secure)で繁栄(prosperous)したインド太平洋」という言葉を使った。それまでの米国政府の「自由で開かれた」という表現はあえて使わなかった。
さらに、11月16日、インドのモディ首相との電話会談でも「安全で繁栄したインド太平洋」という表現を使い、「自由で開かれた」という言葉は口にしなかった。この段階で、トランプ政権が一貫して掲げた政策標語をあえて排するというバイデン新政権の姿勢が明確になったと古森氏。
中国を念頭においての「安全で繁栄」という用語は、中国に対してソフトで融和的な政策を意味することになる。独裁でも「安全」や「繁栄」は得られるわけであり、反中の意図が希薄になるのだと。
ここまで明白な政策標語の変更は新政権の政策の方向性を裏づけるといえようとも。
インドの著名な戦略問題専門家で「政策研究センター」研究員のブラーマ・チェラーニ氏は「『自由で開かれた』という概念の撤回はインド太平洋での中国を抑止するための米国の積極姿勢の軟化を意味することになり、インドの懸念は強くなる」という批判を外交雑誌の最近の論文で強調したのだそうです。
米国の東南アジア外交専門家のセバスチアン・ストランジオ氏も、「中国への姿勢を柔軟にするという意味で、これまでのイデオロギー面での対中抑止の要素を弱めることとなり、中国との対決を激しくしてきたインドやオーストラリアなどの失望を招くことになる」と批判しておられるのだそうです。
この「自由で開かれたインド太平洋」という政策標語の元は、安倍首相が米国のオバマ前政権時代の2016年から対外的に唱え始めた用語。トランプ氏が大統領就任後に、この安倍首相の立案した標語や政策をそのまま踏襲したことは諸兄がご承知の通りです。
【自由 強権~21世紀の分岐点】(4)世界動かす日本の新秩序 - 産経ニュース
バイデン新政権は、安倍・トランプ両政権が打ち出した対中抑止政策を弱めるという展望が見えているのですね。
オバマ政権(バイデン副大統領)下で、パンダハガーのけん引役だったスーザン・ライス氏の去就が注目されていましたが、国民政策委員会(Domestic Policy Council)委員長に登用されました。
閣僚は、上院の承認が必要ですが、この職は上院の承認を必要としないのだそうですね。姑息な手段!
中国は、米政権移行期の間隙を突いていろいろ模索しています。
RCEPの各国の署名をとりつけ立ち上げるとともに、米国が離脱しているTPPへの参加もほのめかしました。
台湾併合の軍事行動が懸念されていましたが、英、仏などの太平洋での日米との合同演習などで、今のところは動きはない様ですね。
米国にインド太平洋戦略を深く根付かせ、民主主義諸国による秩序の再構築に結び付けるため、日本が担うべき役割は何か。
自民党新国際秩序創造戦略本部の座長、甘利明は、第5世代(5G)に続く6G移動通信システム、量子コンピューターなど次世代の最先端技術を日本がリードし、日米欧の技術を「世界標準」に定着させることがものを言う、と訴えておられるのだそうです。
「民主主義国の結節点として日本が世界に認められるには国際ルール作りを主導することが不可欠だ。失敗すれば中国の使い走りとなる」。秩序をめぐる中国との戦いはテクノロジーやサイバー空間に及ぶと。
G7では、メルケル首相に次ぐ古参となり、かつて日本の首相には見られなかった国際外交でのリード役も担った安倍首相が退任した今後。
日本が、国際舞台で役割を果たせる外務大臣に期待がかかります。TPP11を主導して立ち上げた茂木大臣ですが。米国、中国、ロシアと言った超大国相手での手腕は未知数。政治資金の噂も見聞します。
安倍氏の顧問役での支援が必要ですね。
# 冒頭の画像は、日本が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」
この花の名前は、ラッパスイセン
2月 7日は、北方領土の日
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