遊爺雑記帳

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中国共産党政権が、民間勢力の政治関与に譲歩

2012-03-01 22:52:24 | 中国 全般
 習近平新政権への移行に向かう中国の動向に注目しています。
 諸兄がご存知の石平氏によると、この2月、歴史的激変を予感させるような動きが2つあったというのです。ネットや資本などのふたつの民間勢力を政策運営に取り込もうという、自由主義化や資本主義化ともとれる政策転換が発信されたのだそうですね。
 

【石平のChina Watch】体制内革命は起きるのか (3/1 産経)

 
本欄は常に「変化」という視点から中国情勢を見てきたが、2月、この国の歴史的激変を予感させるような動きが2つあった。

 
1つは、新華通信社が2月19日に伝えた共産党中央規律検査委員会書記、賀国強氏の「重要発言」である。賀主任は最近開かれた同委員会の会議で「反腐敗闘争」への総括を行った中、「インターネットの発展は反腐敗闘争のルートを広げた」と評価した上で、今後は「反腐敗においてネットなどの新しいメディアは積極的役割を発揮すべきだ
」と発言したという。
 近年、普通の市民がインターネットを使って汚職幹部を告発するようなことが頻繁に起きており、ネットという「文明の利器」は民衆にとって反官僚反汚職の有力な武器となった。体制内の汚職摘発を任務とする規律検査委員会書記の上述の発言は、ネットのこうした「積極的な役割」への政権の追認を意味すると同時に、腐敗問題に対する彼ら自身の危機感の表れでもあろう。
 つまり政権は内部摘発だけの腐敗対策では、もはや限界だと悟った上、このままでは「亡党亡国(党が滅んで国が滅ぶ)」が避けられないという強い危機感の下、外部の民衆とネットの力を借りて体制内の汚職の蔓延(まんえん)を何とか食い止めようと考えているのである。
 
ネット世論を「反政権」ではなく、「反腐敗」へと誘導して政権のコントロールできる範囲内に置いておこうとする思惑も見え隠れするが、今の共産党政権は「異質勢力」としてのネットの力を頭から否定するのではなく、むしろそれとの「連携」を積極的に図ろうとした
ところに時代の変化が感じられる。

 
もう1つ
、それはまた決定的な変化を予兆する動きが別の領域でも見られた。
 2月15日、
温家宝首相は「国務院常務会議」を主宰し、「2012年の経済改革の深化」を討議した中で、「改革の重要項目」の一つとして、「鉄道・市政・金融・エネルギー・電信・教育・医療などの分野への民間資本の進出を奨励
する」との方針を示した。
 昨年11月24日掲載の本欄は民間金融資本への共産党政権の容認を捉えて「中国金融革命の始まり」だと評したが、今回の国務院常務会議が示した方針は、それをさらに上回った「革命」的な政策転換であるといえよう。
 もし今後、この改革方針が確実に実施されれば、鉄道・金融・エネルギーなど「国民経済の要」としての重要領域だけでなく、「市政」や「教育」などの「準政治領域」にまで民間資本が堂々と食い込んで幅を利かすような事態が起きてくるのだ。言ってみれば中国の
共産党政権は、自らの権力基盤となる諸領域の一部を、「資本主義」という「対立勢力」に明け渡そうとしている

 もちろんそれは、中国経済の中でますます重みを増してきた民間資本に対し、経済の安定を図ろうとする
政権の不本意な譲歩だとみるべきだが、民間のネット世論の力を「反腐敗闘争」に参与させようとする中央規律検査委員会の新方針の場合と同様、この「譲歩」のもたらす結果は実に大きい。ネットや資本などの民間勢力による政治関与の広がりは、今までの共産党一党独裁の支配体制に楔(くさび)を打ち込むことになる
のが確実だからである。

 中国の「体制内革命」がそれで一歩前進できればよいのだが、しかしもし、ネットと資本が体制内に入ったことで逆に体制によって飼いならされるようなこととなれば、それはまた中国にとっての不幸というしかない。この国の未来を決する「官」と「民」との攻防は今後はどこへ向かうのだろうか。

 賀国強氏と言えば、先日、薄煕来重慶市委書記を巡る新政権での中央政治局常務委員の椅子取り争いの相手として名前が報道されていました。
 
重慶副市長の米領事館駆け込み騒動 続報2 - 遊爺雑記帳

 江沢民派の旧守派で、薄煕来氏の「唱紅打黒」の独走に待ったをかけ追い落としを計ってました。
 ネット世論という民間の威力を、「反政府」ではなく「反腐敗」に向かわせ、政権の見方に取り込もうという作戦です。深刻な汚職での腐敗問題に、ネットの威力を利用すると同時に、「反政府」への世論の波及を防止しょうと言う思惑ですが、果たして狙い通りに防波堤を築けるのでしょうか。一旦開けた自由への穴は、思い通りに管理出来るものでしょうか。
 薄煕来氏との政争に勝利し、新政権で九つの椅子に着けるのでしょうか。習新政権は、このような自由に繋がる穴開け政策を採るのでしょうか。

 温家宝氏は、先日も改革開放経済政策の継続の必要性を唱えていましたが、「鉄道・市政・金融・エネルギー・電信・教育・医療などの分野への民間資本の進出を奨励する」という、民営化を推進する話ですね。
 習近平氏は、訪米時に、現政権の路線を継承すると発言していましたが、この温家宝氏の方針を継続するのでしょうか。

 共産党一党独裁の独自の社会主義を構築してきた中国。経済が発展したここへきて、民に力がついて来はじめ、曲がり角に差し掛かってきているのでしょうか。

 余談ですが、労働市場でも「80後」「90後」と呼ばれる1980年以降に一人っ子政策の下で生まれた若者たちが主力を形成し始めてきて、大切に育てられた「小皇帝」や「小皇后」という、成長経済しか知らない新人類世代に突入し、情報入手にも長け、仕事にありつければいいという時代ではなくなり、様変わりしてきているのだそうですね。
 
中国スト続発、「一人っ子」労働者の言い分  :日本経済新聞
 
 # 冒頭の画像は、中国初の民営格安航空 春秋航空


  南天の実

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日本が中国の「自治区」になる





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