支持率低下に対応するため、ナショナリズムを高揚させ、対外姿勢を強行化すると推測されるなか、遊爺はガス田資源枯渇とガス資源市況の緩みによる、その開発や販売と国内経済発展で日本の支援が必要となるので、待てば折れてくると書いてきましたが、こんなに早く接近してくるとは意外でした。
もちろん、まだ1956年の「日ソ共同宣言」=二島返還のレベルですが。
この時間では毎日の記事が比較的詳しい様です。
【モスクワ田中洋之】ロシアのプーチン首相は1日、当選が確実視されている4日の大統領選を前に一部外国メディアと会見した。首相府が2日公表した会見全文によると、プーチン氏は日露の懸案となっている北方領土問題について「両国が受け入れられる形で最終的に決着させたい」と述べ、大統領復帰後の平和条約交渉に意欲を示した。
プーチン氏は、ロシアと中国が係争地の島を折半する形で国境画定に合意したことを例示し、「日本とも同様の解決を期待する」と強調。中露間のように日露の経済関係が拡大すれば「より妥協しやすくなる」と述べた。
またプーチン氏は、大統領時代に平和条約締結後の歯舞群島、色丹島引き渡しを規定した日ソ共同宣言(56年)の有効性を確認したことに言及し、「日本側は『56年宣言に戻るのは良い』というが、宣言の規定は2島だけなのに『4島がほしい。平和条約はその後だ』という。これではもう56年宣言ではない。すべては振り出しに戻った」と指摘。日露が領土問題を前進させるための接点を見いだすことに期待を示した。
「日ソ共同宣言}は、1956年にモスクワで署名し、国会承認をへて、同年12月12日に発効した外交文書であることは間違いありません。
しかし、諸兄がご承知の通り、その後も両国間で交渉が以下の様に重ねられいます。
■日ソ共同声明(1991年)
1991年4月海部総理とゴルバチョフ大統領により署名された。
北方四島が、平和条約において解決されるべき領土問題の対象であることが初めて確認さた。
■東京宣言(1993年)
1993年10月、細川総理とエリツィン大統領により署名された。
領土問題を、北方四島の島名を列挙して、その帰属に関する問題と位置づけるとともに、領土問題解決のための交渉指針が示された。
また、日ソ間のすべての国際約束が、日露間で引き続き適用されることを確認した。
■クラスノヤルスク合意(1997年)
1997年11月、橋本総理とエリツィン大統領の間で、東京宣言に基づき、2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことで一致。
■川奈合意(1998年)
1998年4月、橋本総理とエリツィン大統領の間で、平和条約に関し、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決することを内容とし、21世紀に向けた日露の友好協力に関する原則等を盛り込むことで一致。
■イルクーツク声明(2001年)
2001年3月、森総理とプーチン大統領により署名された。
日ソ共同宣言が交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認した。その上で、東京宣言に基づいて四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべきことを再確認した。
■日露行動計画(2003年)
2003年1月、小泉総理とプーチン大統領により採択された。日ソ共同宣言、東京宣言、イルクーツク声明及びその他の諸合意が、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全に正常化することを目的とした交渉における基礎と認識し、交渉を加速することを確認した。
つまり、1991年の「日ソ共同声明」以降は、四島が対象として両国首脳間で合意されてきているのです。プーチン氏も大統領時代に、2001年に「イルクーツク声明」、2003年に「日露行動計画」で、四島が対象であることに合意していたのです。
それを、一気に1956年に戻しているのです。
日本側は、『4島がほしい。平和条約はその後だという』と言いますが、それは、1991年から2001, 2003年のプーチン氏を含め両国首脳で対象として合意されてきているのです。
メドベージェフ氏が、菅政権の大失政に乗じ、2010年11月に国後島を訪問し、これまでの交渉を覆し4島すべてロシア領とする歴史的な宣言をし、プーチン氏も同様の見解をしめしていましたから、2島返還論に変わったことは、流れを戻す変換点として評価できます。
支持率回復に注力している今こんなに早く、ナショナリズムのマイナスとなりかねない方針転換をして来るとは思いませんでしたが、それだけロシアの極東でのガス田開発とその販売先や、中露の例を引き合いに出すように、経済の振興に行き詰まっていることの証でしょう。
日本政府は、この機を捉え、しかし相手は窮しているのですからあわてずじっくり、4島返還と、平和条約、経済支援の交渉をすべきでしょう。
民主党政権に出来るか不安がありますが、頑張っていただくしかないですね。
南天の実
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