2012年のカンボジアが議長国の時は、外相会議の共同声明が発信できない事態に陥りました。今回は、初めての議長国となったミヤンマーでの開催で、親中派と行動規範策定派の対立が色濃くなってきている現状で、カンボジアと同様の懸念もありました。しかしながら、難航しながらも共同声明が出せたことは、内容はともかくとして、議長国のミヤンマーも、ASEAN各国も成長があったかなと遊爺は評価しています。
事態は、中国のかたくなな自国の利益追求で深刻化していますが、深刻化するぶん、関係各国が真剣に考え始めてきている。そんな印象を抱き始めています。
一部の国ですが、メディアの反応を産経が集めていました。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は8日、ミャンマーの首都ネピドーで外相会議を開いた。会議は、南シナ海問題で対立する中国への対処のあり方をめぐって紛糾。タイ紙は、対中国でASEANの「集団的対応力」の強化が急務だと警鐘を鳴らす。しかし中国紙は、南シナ海をめぐる米国や一部加盟国の懸念を「雑音」と一蹴。一方、米紙は中国と関係の深い今年の議長国ミャンマーの更なる民主化を訴えた。
□ネーション(タイ)
■加盟国は圧力に集団対応を
ASEAN外相会議の閉幕後に発表された共同声明は、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島周辺で中国が石油掘削を強行してベトナムと衝突した問題に関し、改めて「深刻な懸念」を表明した。だが、「親中派」とされる加盟国からは表現を和らげるよう求める声が上がり、声明の取りまとめは難航した。
タイの英字紙ネーション(電子版)は12日付で、外相会議に関連し、「圧力がかかればASEANは崩れる」と題した社説を掲載し、「ASEANは安全保障上で集団的な対応力を鍛える必要がある」と主張した。
社説は、中国が近隣諸国と経済協力を進めると同時に、南シナ海の領有権問題をはじめとする「摩擦も引き起こしている」と指摘。これに対して米国がアジア太平洋での存在感を増大させる方針を明確にしたことに言及した上で、ASEANによる新たな国際環境への対応は「極めて小さい」とし、加盟国間で綿密な政策調整が行われていないと批判した。
具体例として、フィリピンは外相会議で、米国などの後押しで南シナ海での新規開発凍結を提案したが、中国から反発されただけでなく、他の加盟国からも「冷淡視」されたと指摘した。社説はその上で、南シナ海の緊張緩和に向けた具体策を一向に打ち出せないASEANに「確固たる行動」を求めた。
一方、今年のASEAN議長国ミャンマーの英字紙イレブン(電子版)は11日付の社説で、南シナ海問題で米国は「ASEAN各国を援護した」と評価した。同時に、米国は、人権問題や民主化、2015年の大統領選の公正性などで、ミャンマー政府に圧力をかけている状況にあるとも指摘。社説は、ミャンマーは「(内政問題を克服して)団結し、ASEAN諸国の立場に立って南シナ海問題への取り組みを支援することは当然だ」と論じ、議長国としての自覚を政府に促した。(シンガポール 吉村英輝)
□人民日報(中国)
■「雑音」は取るに足りない
中国と一部のASEAN加盟国が対立する南シナ海情勢について、外相会議の共同声明は、フィリピンが提案した、南シナ海の新規開発凍結などを柱とする「3段階の行動計画」に支持を表明せず、「留意する」と記載するにとどまった。中国は自らの主張がASEANに全面的に受け入れられたかのような論評を展開している。
中国共産党機関紙、人民日報は14日付で、タイの中国語紙「亜州日報」の総主筆が寄せた「ASEANと中国は助け合って共に前進する」と題する論評を掲載した。
論評は「中国は(ASEANとの閣僚級会議で)両者の関係をさらに発展させる3方面の具体的な提案をし、称賛を受けた」と評価。「善隣友好、共同発展という主流の前では、南シナ海問題についてでっち上げられた雑音など、いかにも小さくて取るに足りないように見える」と断じた。
「雑音」とは、「3段階の行動計画」を唱えたフィリピンの提案と、「挑発的行動の自主的な凍結」を求めたケリー米国務長官の発言を指すことは明らかだ。
論評は「南シナ海問題は当事国同士で解決すべし」との中国の主張を繰り返した上で、「ASEAN加盟国でもない第三者が口出しすることは、問題の平和的解決のためにならない」と強調。「米国が(ASEAN地域フォーラム=ARF=閣僚会議で)提起した南シナ海での行動凍結は議論にもならなかった」と続けた。
また、12日付の香港紙、大公報は「フィリピンは米国を後ろ盾に、ASEAN諸国と手を結んで中国に圧力をかけ、私利を強奪しようとした」とし、フィリピン提案の背後に米国が存在するとの見方を示した。
人民日報の論評は、タイ外務省高官の「ASEAN各国は今後、中国と新たな『ダイヤモンドの10年』の関係を作ることを望んでいる」との言葉を、まるでASEANの総意であるかのように紹介し、“蜜月”ぶりを実態以上に誇示している。(北京 川越一)
□ワシントン・ポスト(米国)
■ミャンマーの「約束破り」を懸念
ケリー米国務長官による東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のミャンマー訪問に合わせ、米メディアではミャンマー政府に一層の民主化を求める論調が目立った。10日付のワシントン・ポスト紙の記事は、2012年からのオバマ米政権による制裁の段階的解除によってミャンマー政府が得た恩恵は「改革のペースを上回っている」との人権団体の見解を伝えた。
記事は、ミャンマー訪問を前に、共和党のルビオ、カーク両上院議員がケリー氏に送った書簡を紹介。両議員は、ミャンマー政府が2015年の総選挙に向け、最大野党の国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏が大統領になる道を閉ざしているとして民主化の進展に懸念を示した。同紙はミャンマーで報道関係者や少数民族への弾圧が続いていることなどを挙げ、「人権や政治的自由に関する約束破りの兆候は増え続けている」と指摘した。
さらに、ミャンマーの人権状況にオバマ政権が「軽い非難」にとどめているのは、ミャンマーが米国のアジア重視政策にとっての「象徴」になっているからだとする。アフガニスタンやイラクで米国が支援する政権が民主化への足取りに揺らぎが生じる中、ミャンマーは「中国の軍事的、領土的な拡張に不安を持つ地域における米国の力を示す重要な指標」だとしている。
ニューヨーク・タイムズ紙も11日付の記事で、今年5月の外交方針演説で、軍事よりも外交を重視する「国際協調主義」を打ち出したオバマ大統領が、ミャンマーの民主化を「外交政策の成功例」ととらえているとの見方を示した。
記事は、中国と協力関係にあるミャンマーが「のけ者国家」の印象を消すため米欧との関係を強めようとしていると指摘。独立系ミャンマー・メディア経営者の「米国が圧力をかけなければ自由で公平な総選挙は行われない」との談話を紹介し、米国との関係強化を狙うミャンマーに一層の民主化を促した。(ワシントン 加納宏幸)
タイの英字紙ネーションが、最もまともな評論をしているのに驚きました。
人民日報が、タイの中国語紙「亜州日報」の総主筆の寄稿を載せている様に、南シナ海の問題については、直接の係争がないタイは、中国寄りの姿勢を見せている国と認識していました。
にもかかわらず、南シナ海の緊張緩和に向けた具体策を一向に打ち出せないASEANに「確固たる行動」を求めているのです。タイでは、言論の自由が確保されていて、広く俯瞰する視野を持った、優れたメディア人がいらっしゃるのですね。今、政情は安定しているとは言えない国ですが、大崩しないのは、こうした賢明なメディアが息づいているからでもあるのでしょうか。今回は、居座ろうとする軍事政権が誕生しましたが、こうしたメディアの自由な報道が継続されることを願います。
ASEAN諸国は、団結することで発言権を強める連合体でした。諸国の利害を乗り越えて団結し、一部の国の利害にも、認識を共有して域外の国に対応してきました。南シナ海の中国の覇権拡大についても、「行動規範」の策定と、実行を目指してきていたのですが、カンボジアが議長国の時に、はじめて中国の分断作戦により、亀裂が入ったのです。
繰り返しますが、ミヤンマーが、その流れを止めたことは、評価できるでしょう。
中国、人民日報の評論内容については、予測された内容で、諸兄もご承知のことですので、触れるべきことは特にありませんが、タイ紙の寄稿をとりつけるなどして、国内への報道を、会議で中国の主張が通り、主導しているように行われている様に偽装しているとは、今日のネット社会で、直ぐにバレることなのにと、けなげなその姿勢に憐れみを感じてしまいました。
香港紙、大公報がフィリピンと米国との関係を非難しているのには、中国に媚びる姿勢を感じ、このところの香港への中国の圧力の強さを感じさせられますね。
米国各紙は、米国の利害について利己中心の報道で、南シナ海やアジアの平和について、中国の覇権拡大についてと言った世界観が観られないのは、遠い極東の地の出来事としか見えておらず、今、世界の経済成長を左右しようとしている、中国やアジア諸国のなかで、米国の信頼が揺らぎかねない危機に面しているという、自国にも関係が深い事態にあり、中国が、米国を排除しようとして、一部成功しつつある危機の認識が薄いことを感じさせられます。
ワシントンポストもニューヨークタイムスも、中国の世論戦の毒牙に犯されていないことを願うばかりですが、静かに進行している気配を感じるのは、遊爺だけでしょうか。
繰り返しますが、タイの英字紙ネーションの広い視野に、米国各紙は見習う必要があります。
冒頭の画像は、ベトナムの船に放水する中国の船
マユミの実
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安倍さん狂ったか?
狂人が国を運営では日本は滅びます。
これでは民主主義が泣きますね。
支持率も42%(時事通信)と
レームダック化始まり、消費税問題もあり
政権の崩壊が見えてきましたね。
石破いじめも見苦しいかぎりで、
中国に対しても敗戦続きでアメリカからも見放されそうですね。