遊爺雑記帳

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中国は戦争を躊躇することはない

2017-09-13 23:58:58 | my notice
 東シナ海や南シナ海で軍事力を背景に覇権拡大を続けている中国。習近平が、中華民族の偉大なる復興の「中華の夢」を掲げ、軍事力の強化による国家の富強を目指しているのですね。
 1949年の建国以後、朝鮮戦争、中印戦争、中ソ国境紛争、中越戦争、南沙海戦など主として国境の外で戦ってきた中国共産党は、基本的に戦争する国の条件を満たしている。「専守防衛」を愚策と言い「積極防衛」を主張した毛沢東時代の統治回帰を目指す習近平の中国は、戦争を躊躇することはないと言うのは、東京国際大学・村井友秀教授。
 

中国共産党は戦争を躊躇しない 東京国際大学教授・村井友秀 (9/13 産経 【正論】)

 
中国は1949年の建国以後、朝鮮戦争、中印戦争、中ソ国境紛争、中越戦争、南沙海戦など主として国境の外で戦ってきた。現在も東シナ海や南シナ海で周辺国を威嚇している。中国共産党の戦争体質を検証する。

≪軍事力を使う5つの要因≫
 国際政治を見ると、
(1)軍事政権(2)独裁政権(3)「構造的暴力」がある国(4)民族主義国家(5)戦争のコスト(都市化、対外依存度、少子化)が小さい国-は、軍事力を使って問題を解決しようとする傾向がある


 
軍事政権では軍人が政策を決める。軍人は戦争の専門家であり、戦争で問題を解決しようとしがち
である。

 
独裁政権は国民の支持ではなく軍隊や警察といった強制力によって支えられている。外敵が存在すれば、外敵から国民を守るという名目で軍事力を強化することができる。国民は自分たちを外敵から守る政権を支持するだろう。外敵が存在すれば、強制力の強化と国民の支持を同時に手に入れることができる。このため独裁政権は、外敵をつくる
傾向がある。

 
「構造的暴力」とは自然災害や伝染病、政治的弾圧などによって多数の死者が発生する状況をいう。戦争以外の原因で多数の死者が発生するような国では、多数の死者の発生を防ぐために戦争を避けるという思想は希薄
になる。

 
民族主義も戦争に傾きやすい
。人々は自分の生命よりも、民族や国家の方が価値があると信じる場合に民族や国家のために戦う。民族主義や愛国主義は人々に「民族や国家の価値は個人よりも高い」と教える。

 一方、
戦争のコストをみると、戦争で物流が滞れば、外部の供給に頼る都市は混乱する。他方で農村は自給自足が可能であり、都市化するほど国家は戦争に対して脆弱(ぜいじゃく)になる。戦争になれば対外貿易は縮小するため、対外貿易に依存する国家は、戦争を避ける
傾向がある。

 また
少子化の進行も若年層を減らし、兵士の供給源を縮小させることになる。国家の繁栄に不可欠な若年層が戦争によって消耗すれば、国家は危機的状況に陥ってしまう。よって少子化が進行すれば戦争する可能性は低くなる。

≪民族主義をあおる「兵営国家」≫
 次に、
中国は戦争する条件を持っているか
検証する。
 1980年代、党総書記は胡耀邦、趙紫陽であり、最高指導者のトウ小平は共産党のトップではなかった。肩書は党中央軍事委員会主席である。すなわち、党中央軍事委員会主席は党総書記よりも権力があった。
毛沢東は「鉄砲から政権が生まれる」と言っている(『毛沢東選集』。現在は党総書記と党中央軍事委員会主席は同一人物(習近平氏)である。現代の中国は軍と党が一体化した「兵営国家」
である。
 さらに
中華人民共和国憲法の前文には「中国の諸民族人民は、中国共産党の指導の下、人民民主独裁を堅持しなければならない」と明記されている。人民民主独裁とはプロレタリアート独裁、すなわち共産党独裁
である。

 
「構造的暴力」も存在している。建国後、共産党は経済不振を脱却する「大躍進」(1958~61年)を唱え、その後「文化大革命」
(66~76年)を開始した。「大躍進」では非現実的な農業政策や工業政策によって1千万人から4千万人が餓死し、「文化大革命」では多くの国民を巻き込む権力闘争によって数百万人から1千万人が死亡した。他方、戦争による死者は朝鮮戦争が50万人、中越戦争は2万人である。

 一方、
中国の民族主義の状況はどうか。現代中国は政治が共産主義、経済は資本主義という矛盾を抱えている。これを解決するために共産党政権は、共産主義でもなく資本主義でもない「偉大な中華民族の復興」という民族主義をスローガン
にして正統性を維持しようとしている。

 ≪「専守防衛」は愚策と認識≫
 
戦争のコスト
についてはどうか。経済発展に伴って3億人が農村から都市へ移動し、農村人口は全人口の4割まで低下した。毛沢東が人民戦争を構想していた時代の中国では農村人口が8割を超えていた。
 また現在、対外貿易が国内総生産(GDP)に占める比率は3割である。
戦争になって対外貿易が縮小すれば中国経済は深刻な打撃を被る
。中国には中東からのシーレーンを守る軍事力はない。

 
「一人っ子政策」によって中国では出生率が低下し、2011年には生産年齢人口の減少が始まった。15年の合計特殊出生率は1・05まで低下した(日本の合計特殊出生率は1・44)。16年に「一人っ子政策」が廃止されたが、少子化の傾向は続いている
。少子化の時代に人海戦術は無理である。

 
現在の中国は戦争のコストが上昇しているが、基本的に戦争する国の条件を満たしている。


 
毛沢東は「専守防衛」を愚策と言い「積極防衛」を主張した(『遊撃戦論』)。中国は戦争を躊躇(ちゅうちょ)することはない。(むらい ともひで)

 軍事力を使って問題を解決しようとする国の条件として、村井教授は、5つを挙げておられます。
 (1)軍事政権(2)独裁政権(3)「構造的暴力」がある国(4)民族主義国家(5)戦争のコスト(都市化、対外依存度、少子化)が小さい国-は、軍事力を使って問題を解決しようとする傾向があるとし、各項目について中国共産党を検証し、現在の中国は戦争のコストが上昇しているが、基本的に戦争する国の条件を満たしているとの結論を導きだされています。
 建国以来、主として国境の外で戦ってきた中国。毛沢東は「専守防衛」を愚策と言い「積極防衛」を主張したことに由来しているのでしょうか。
 中国は、村井教授が挙げられる軍事力を問題解決に使用する国の5つの条件に対し、毛沢東時代に比べ都市が発達した今、戦争のコストが上昇しているが、基本的に戦争する国の条件を満たしているのですね。
 その傾向は、「中華の夢」達成を掲げる習近平によって加速されているのですね。
 北朝鮮の暴走に対しては、話し合いを表に出していますが、これは、中国を護るために北朝鮮の軍事力を代理的に温存する為ですね。
 南シナ海や、東シナ海では、力による現状変更を推進しています。
 南シナ海では、国際法に照らして認められないと仲裁裁判所が裁定を下した、自国で勝手に定めた「九段線」を根拠に、人口島を建設し領土・領海だと称し軍事拠点化していることは諸兄がご承知の通りです。
 1992年に勝手に定めた「領海法」を根拠に、東シナ海でも覇権を主張していて、防空識別圏(ADIZ)を設定しました。ガス田開発を巡る協議も中断したままで、勝手に開発を再開していますし、尖閣諸島の領有権を主張し、領海侵入を繰り返していることは、衆知のことですね。

 「専守防衛」を愚策と言い「積極防衛」を主張した毛沢東を目指す習近平。基本的に戦争する国の条件を満たして、戦争を躊躇する国ではないのですね。
 南シナ海同様に、国際法を無視して自国で勝手に定める「領海法」をかかげ、東シナ海のガス田、尖閣諸島、さらには沖縄諸島へと覇権を拡大して来るのです。

 米国は、尖閣諸島については、日本の管理下にあるとして、日米同盟の対象と言ってくれていますが、領有権については中立の立場です。
 自分の国は、先ず自分で護る。足りない所は、同盟国と連携して、互いに助け合う。戦争を躊躇しない中国が領海侵犯を繰り返している今。核ミサイルの実戦配備が現実のものとなりつつある北朝鮮。
 日本の自国を護る体制を、環境の変化に対応できるものへ変えていかねばなりませんね。



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