遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

安倍外交 7年を総括

2020-01-14 01:21:05 | 日本を復活させる
 四選の期待の声が聞こえる安倍首相。12日放映されたNHKの番組「日曜討論」のインタビューで、自民党内の一部に期待する声がある総裁連続4選について「全く考えていない、頭の片隅にもない」と否定したのだそうですね。
 日本を沈没させかけた民主党から政権を奪回、「アベノミクス」を掲げ経済の回復を実現させてきました。
 と同時に、G7ではメルケル首相に次ぐ在任歴となり、更にトランプ大統領との親交もあり、かつて日本の首相には見られなかった、国際外交で、存在感を示すまでになっておられます。
 その安倍外交7年を総括しておられるのは、田中明彦 政策研究大学院大学長。

 安倍首相が自民総裁4選を否定、「頭の片隅にもない」-NHK番組で - Bloomberg

 
地球を読む 安倍外交7年 平和・繁栄・価値観で成果 田中明彦 政策研究大学院大 学長 (1/13 読売 朝刊)

日本国民の多くにとって、外交といえば安倍首相が行っているというのが率直な印象ではないか。岸田、河野、茂木という安倍政権の歴代外相も外交に誠実に取り組んできたのは間違いないが、首相の外交面における圧倒的な存在感にはかなわない。後の時代から振り返れば、2012~20年の日本外交は「安倍外交の時代」であったとしか言えないのではないか。
では、
過去7年間の安倍外交はどのように評価できるであろうか。首相が常々重要視してきた北朝鮮による日本人拉致問題にしても北方領土問題にしても解決していない。7年間たってもほとんど目に見える成果は上がっていないではないか。このような辛口の評価は存在する。
しかし、そもそも現代世界において外交の評価とはどのように行うべきなのか。
外交とは国益を最大化するための非軍事的手段による国際関係の処理である。そうだとすれば、本来、日本の国益とは何かが明確にならなければ評価のしようもない。現代における日本の国益とは何か。
抽象的にいえば、民主主義国の国益は、その民主主義プロセスが明示的・暗示的に定義する国の諸目的の実現にほかならない。多くの人々が大事だと考えること、これが国益である。具体的に日本にあてはめてみれば、その
国益は比較的はっきりしている
第一に平和であり、
日本の安全保障が侵害されないことである。
第二に繁栄であり、
日本国民の生活水準を維持・向上させることである。
第三に国民が大事だとみなす様々な価値━━
自由、平等、法の支配などが維持・向上されることである。
いうまでもなく、細部を吟味していけば、いろいろと意見の違いはあるだろう。しかし、国益の大きな方向性としてそれほど異論はないのではないか。
そうであれば、安倍外交の7年もまた、
この三つの大まかな目標に照らして評価されるべきであろう。
第一の平和という観点からはどうか。この7年間で日本は侵略されていないし、戦争に巻き込まれたわけでもない。評価が難しいのは、安倍外交のおかげで平和が達成されたかどうかは厳密には証明しがたいということである。
しかし、安倍首相が
トランプ米大統領と比較的良好な関係を築いてきたことは日米安全保障体制の安定性の維持に貢献した。また、安保関連法の制定に合わせて集団的自衛権の限定的な行使を可能とする新たな憲法解釈を行ったことは、トランプ氏を説得し、日米防衛協力の態勢を強化するうえで大いに役立ったのは明らかだ。

対中安保予断許さず

平和という大目的から導き出される
サブカテゴリーは、敵対的関係を減らし、友好的関係を増やすという目的である。
2012年末に第2次安倍政権が誕生した時、日中・日韓関係は極めて悪い状態にあった。現在も日韓関係は良好とはいえないが、日中関係は少なくとも首脳交流やレトリックの面では改善されている。他の国との関係は、安倍首相の活発な訪問・会議外交の成果もあって極めて良好である。
日韓関係さえ改善できれば、日本の表だった敵対国は北朝鮮のみとなろう。
第二の繁栄の観点からはどうか。日本人の生活水準の改善は、一義的には国内経済の状況に依存するため、外交面の貢献度を正確に計測するのは難しい。
しかし、保護主義の蔓延が懸念される世界経済の中で、
米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)と日欧経済連携協定(EPA)を成立させたことは日本外交の成果であった。日米貿易協定も、おおむねTPP水準での合意であり、実害はない。また、主要20か国・地域(G20)首脳会議やアフリカ開発会議(TICAD)など多国間外交で、「信頼性のある自由なデータ流通」「質の高いインフラ」という概念を提起・普及させたことも将来への布石として有用であった。
第三の価値の観点ではどうか。この目的は、平和や繁栄よりも基本的には国内の努力によって維持・増進るもので、外交の役割は比較的大きくない。民主や自由は人々が自ら守り育てるものだ。だが、日本人の名誉とか自尊心といった価値になると、外交がからんでくることがある。歴史認識問題が典型だ。
第2次安倍政権の発足時、中国と韓国は日本を歴史認識問題で強く批判していたが、
中国は現在、ほとんど言及しなくなった日韓間の最大の問題は徴用工問題なので依然、歴史は関係している。しかし、韓国がこの分野で日本に影響力を行使できる可能性は著しく小さくなっている。15年夏に多くの日本人も東アジアの人も納得できる戦後70年談話を発表し、同年12月には慰安婦問題に関する日韓合意を実現していたからである。
現在の日韓関係の悪化について、多くの日本人は韓国の現政権の一方的措置に原因があると考えている。さらに、韓国の野党勢力のほとんども文在寅政権に責任があるとみなしていることが、かつてとは大きな変化である。
結局、
安倍外交の7年は、国益の三つの面いずれにおいても大きな成果を上げてきたといえるのではないか。確かに拉致問題や北方領土間題に進展はみられないが、外交には相手がある以上、やむを得ない面がある。そもそも特定の問題を解決するために他の大きな国益を損なってはならない。拉致問題で日本の安全保障を揺るがすような妥協はできないし、日本人が重視する様々な価値を無視してきたプーチン露政権に無原則な譲歩はできない
しからば
安倍外交に課題はないか。当然存在する。第一は、中国との関係である。依然、尖閣諸島周辺の中国公船の動向拘束されている日本人の問題がある。今春の習近平国家主席の来日は既定路線と報道されているが、時に言及される「第5の政治文書」については極めて慎重な取り扱いが必要である。日本のよってたつ安全保障や価値観を損なうような文言を入れたりしてはならない。
第二の課題は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の動向である。日本は一貫してインドの加盟を目指しているが、インドの離脱可能性も考慮した交渉戦略がそろそろ求められるのではないか。全くの試案だが、RCEPとは別のインド太平洋経済連携協定のような、インドやアフリカ東岸諸国、豪州などを取り込んだ新しい構想を考えることも大切ではないか。

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田中明彦氏 1954年生まれ。米マサチューセッツ工科大大学院博士課程修了。東大副学長、国際協力機構(JICA)理事長を歴任。2017年4月より現職。主著「ワード・ポリティクス」「ポスト・クライシスの世界」。
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 後の時代から振り返れば、2012~20年の日本外交は「安倍外交の時代」であったとしか言えないのではないかと田中学長。
 かたや、首相が常々重要視してきた北朝鮮による日本人拉致問題にしても北方領土問題にしても解決していない。7年間たってもほとんど目に見える成果は上がっていないではないか。このような辛口の評価は存在するとも。
 
 現代世界において外交の評価とはどのように行うべきなのか。外交とは国益を最大化するための非軍事的手段による国際関係の処理である。日本の国益とは何かが明確にならなければ評価のしようもないと。
 多くの人々が大事だと考えること、これが国益である。具体的に日本にあてはめてみれば、その国益は三つだと。
 第一に平和であり、日本の安全保障が侵害されないことである。
 第二に繁栄であり、日本国民の生活水準を維持・向上させることである。
 第三に国民が大事だとみなす様々な価値━━自由、平等、法の支配などが維持・向上されることである。

 この三つの大まかな目標に照らして評価されたのが以下。
 第一の平和という観点からはどうか。
 この7年間で日本は侵略されていないし、戦争に巻き込まれたわけでもない。評価が難しいのは、安倍外交のおかげで平和が達成されたかどうかは厳密には証明しがたいと、田中学長。
 尖閣諸島近海での中国の侵入はエスカレートし、竹島の不法占拠は続き、北による拉致被害者の帰還は進展せず、北方領土交渉に至っては、1956年10月の日ソ共同宣言での平和条約締結後にソ連が歯舞群島と色丹島を引き渡すという前提で、改めて平和条約の交渉を行うという合意がなされた以降、4島返還に向けて長年続けてこられた交渉は、今日では、ゼロ島返還に至っています。
 拉致被害者の奪回についても、トランプ大統領の金正恩との会談で、帰還を話題にあげていただいたこと以外の進展はありません。

 平和という大目的から導き出されるサブカテゴリーは、敵対的関係を減らし、友好的関係を増やすという目的であると田中学長。
 2012年末に第2次安倍政権が誕生した時、日中・日韓関係は極めて悪い状態にあった。現在も日韓関係は良好とはいえないが、日中関係は少なくとも首脳交流やレトリックの面では改善されていると。
 他の国との関係は、安倍首相の活発な訪問・会議外交の成果もあって極めて良好で、日韓関係さえ改善できれば、日本の表だった敵対国は北朝鮮のみとなろうとの評価。

 第二の繁栄の観点では、保護主義の蔓延が懸念される世界経済の中で、米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)と日欧経済連携協定(EPA)を成立させたことは日本外交の成果であったし、日米貿易協定も、おおむねTPP水準での合意だと。

 第三の価値の観点ではどうか。
 外交の役割は比較的大きくない観点だが、歴史認識問題が該当すると。
 中国は現在、ほとんど言及しなくなった。日韓間の最大の問題は徴用工問題なので依然、歴史は関係していると。
 現在の日韓関係の悪化について、多くの日本人は韓国の現政権の一方的措置に原因があると考えている。韓国の野党勢力のほとんども文在寅政権に責任があるとみなしている。かつてとは大きな変化がみられると田中学長。
 
 結局、安倍外交の7年は、国益の三つの面いずれにおいても大きな成果を上げてきたといえるのではないかと。
 拉致問題や北方領土間題に進展はみられないが、外交には相手がある以上、やむを得ない面があるとも。

 安倍外交の課題としては 2点。
 第一は、中国との関係。尖閣諸島周辺の中国公船の動向や拘束されている日本人の問題があると。更に、今春の習近平国家主席の来日は既定路線と報道されている点が問題視されています。

 第二の課題は、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の動向。インドの離脱可能性も考慮した交渉戦略がそろそろ求められるとし、RCEPとは別のインド太平洋経済連携協定のような、インドやアフリカ東岸諸国、豪州などを取り込んだ新しい構想を考えることも大切ではないかと提言されています。

 EUを離脱する英国を含めた、「CPTPP(TPP11の拡大版)」や、「自由で開かれたインド太平洋構想」の進化での外交力が期待されます。
 それは、第四次安倍政権が担うのが望ましい(取り巻き≒おともだちは更新した方がよく、第二次内閣がスタートした時のような、米国流の時流に対応できる優秀なブレーンの登用が必要)と考えますが、どうでしょう。

 

 # 冒頭の画像は、エジプトを訪問し、サルマン国王と会談する安倍首相
令和2年1月12日 中東訪問 | 首相官邸ホームページ




 この花の名前は、サルビア




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