遊爺雑記帳

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日本海進出を企む中国の狙いと戦略

2020-01-15 01:23:23 | 日本を護ろう
 中国海軍艦艇の日本海における活動は、「中露海上演習」に伴うものが主であったものが、近年では中露海上演習に関連しない活動も増えつつあるのだそうです。
 中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)が活発化しているのだそうです。目的は、有事の日米艦船への対抗。
 そして、「氷のシルクロード」に伴う覇権拡大擁護。
 
日本海進出を企む中国の狙いと戦略 朝鮮半島有事に備え、北極海航路も視野に | JBpress(Japan Business Press) 2020.1.14(火) 軍事情報戦略研究所朝鮮半島分析チーム

<前略>
■日本海に展開する中国の艦艇・航空機
 自衛隊の監視活動において確認された中国軍艦艇などの動きに関する分析リポートが、定期的に公開されている。
 当該リポートによると、
当初中国海軍艦艇の日本海における活動は、「中露海上演習」に伴うものが主であった
 しかしながら、
近年では中露海上演習に関連しない活動も増えつつあることが指摘されている。中でも以下の活動に注目する必要がある。

(1)中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)

 2016年、米国海軍主催による環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加した中国海軍ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦、ジャンカイⅡ級ミサイルフリゲート艦など4隻は太平洋から宗谷海峡を(図①)、同日ジャンカイⅡ級ミサイルフリゲート艦など3隻が東シナ海から対馬海峡を通過して日本海に入った(図②)。

 両艦隊が日本海を行動中であった同じ時期に、「Y-8」早期警戒機1機および「H-6」爆撃機2機が2日間にわたって日本海を飛行している(図③)。

 中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)
 

 両艦隊の行動状況および参加兵力から、両艦隊が日本海において対抗演習を行ったことは確実である。
 航空機は図②の艦隊の一員として、図①の艦隊に対する対艦攻撃訓練に参加したと見るべきであろう。

 
中国が、日本海で行動中の艦船を攻撃するというシナリオを持っていることを物語る行動である。

(2)日本と韓国の防衛態勢を調査する情報収集活動

 艦艇1~2隻が対馬海峡を北上し、その後、日本海南部で反転南下、この間「Y-9」情報収集機も艦艇と同様に対馬海峡を北上し南下する活動が2016年以降年数回にわたり確認されている。

 
対馬海峡から日本海にわたる日本および韓国の防衛態勢、特に警戒監視体制を確認する為の行動であったと推定できる。
 
艦艇および航空機が日本海に展開する場合、対馬海峡周辺の基地および兵力が障害となると認識しているため、その能力や位置確認を行っているのであろう。
 有事には、これら基地および兵力への電子的または物理的妨害を行うものと考えられる。

(3)対米戦を意識した中露爆撃機による共同パトロール

 
昨年7月に中露爆撃機が東シナ海および日本海において共同パトロールを実施した。
 中国はH-6爆撃機2機が、ロシアは「Tu-95」爆撃機2機および「A-50」メインステイ警戒管制機が参加したと伝えられている。
 
メインステイは竹島の東および西の領空を侵犯し、韓国空軍がこれに警告射撃を実施している。ロシア機は6月にも大東島および八丈島の領空侵犯を行っており、意図的な領空侵犯とみられる。

 
竹島周辺における日韓の対応状況の確認および日本海におけるロシア軍の存在感誇示がその目的と推定できる。

 この中露共同軍事演習は当初、対テロを主目的として開始されたが、次第に、
日米韓を敵にした対潜戦や陸上兵力の揚陸といった実戦を想定した高度な訓練に移行している
 これらの演習を通じて、両国は戦略的パートナーシップを深化させている。

■中国軍の日本海進出意図
 
中国軍が日本海に進出するのは、領土拡張の布石、北極海進出の足がかり、さらには半島有事の際に米軍の作戦展開を妨害するための準備行動であると考えられる。以下の3つについて詳細に説明する。


(1)領土拡張の布石

 習近平主席は「中華民族の偉大な復興」を国民にアピールしている。中国が最大勢力を誇った時代のように、勢力を拡大しようという意図なのだろう。

 中国には歴史的に、国土の境界を示す国境とその影響範囲を示す
「戦略辺境」の概念がある。
 
戦略辺境は、国力が強まれば広がり、国力が弱まれば縮小する。歴代中国王朝の中で最大の版図を誇ったのは「清」時代である。

 現在ロシア沿海州地域は、清の戦略的辺境にあたり、1860年の北京条約まで現在のウラジオストックは清国領であった。
 現在はロシア領となり、その後、中露国境は確定している。
 
現在の中国とロシア沿海州の関係は、名目的には戦略的パートナーシップの関係である。

 
将来、中国企業などのロシア沿海州への投資を増加すれば、権益保護や旧権益回復を名目とする人民解放軍の活動が求められてくるであろう。現在の活動はそのための布石と見られる。

(2)北極海進出の足がかり

 
最近、「一帯一路」に新たに「氷のシルクロード」が加えられた。北極海の融氷が進み、北極海航路への期待が高まりつつある。

 欧州への航路として、従来考えられてきたインド洋、スエズ運河を経由する航路に、
日本海、ベーリング海および北極海を経由する欧州への新たな航路を加える構想である。
 
同航路の安全を確保するため、日本海における解放軍のプレゼンスが必要となってきている。

 事実、2015年9月には中露演習を終了した艦艇のうち5隻がウラジオストック出港後、宗谷海峡経由、ベーリング海を行動した。
中国が北極海航路に強い関心を持っている証左である。

 また、
北朝鮮は沿岸海域の漁業権を中国に売り渡していると伝えられている。

 
日本海における中国の経済的権益が拡大しつつあり、海外の中国権益の保護が人民解放軍の任務とされている以上、軍の日本海における活動の活発化は自明の理と言える。

(3)半島有事での米軍の作戦展開を妨害する

 
朝鮮半島の核問題解決の道筋は見通せず、最近の米朝高官の発言ぶりから、2017年当時の緊張状態が再燃する可能性もある。

 
米国が軍事的オプションを選択する際、日本海は兵力展開海域となると見積もられる。

 
中国軍の艦艇・航空機が日本海を行動することは、これら米軍艦艇の行動を抑制し、さらには、中露軍の緊密な連携により、日本海から米国の影響力を完全に駆逐するための圧力となることが予想できる。

■日本の安全保障に与える影響
 冷戦時代、日本海は旧ソ連対応の最前線であり、ウラジオストックから太平洋に展開するソ連の艦艇などを監視するため、海上自衛隊は宗谷海峡と対馬海峡に常続的に艦艇を配備するとともに、海峡監視用の装備を整備していた。
 
冷戦が終結し中国人民解放軍の活動が活発化するにつれ、南西諸島重視が叫ばれ、防衛装備品や基地などの整備が進み、それにつれ、日本海における兵力装備も南西諸島に振り向けられている
 
このため、日本海方面における自衛隊の即応能力低下が著しい

 日本の安全保障上、
中国軍の艦艇・航空機の活動の活発化が及ぼす影響は、次のとおりである。

 
第1に警戒監視海域の拡大に伴う兵力不足である。
 中国軍の艦艇・航空機の日本海における活動が活発化しつつあるとはいえ、
活動の主体は東シナ海および西太平洋である。
 従って、南西諸島における警戒監視体制および初動対処能力は維持、拡充せざるを得ない。そのような中で、
日本海における体制を整えることは容易ではない

 
防衛計画の大綱によると、海上自衛隊は兵力の質的向上に加え、量的向上を求め、新たな艦種である「哨戒艦」12隻を導入するとしている
 現時点で哨戒艦の大きさは1000トン前後と見られている。
 日本周辺は世界的に見て、天候が荒れることが多く、特に
冬季の日本海の荒天に1000トン程度の大きさの船が耐え得るか危惧される。30新艦艇を含め、大型艦艇とどのように役割分担するかの検討が必要であろう。

 次に
中露軍事協力深化への備えである。
 
米国という共通の競争相手への対抗として、中露の軍事協力が深化することは不可避であろう。
 特に中国が比較的遅れているといわれる対潜戦分野や揚陸作戦分野での協力、アビオニクスやミサイル技術といった
ロシアの優れた技術の積極的な導入が想像できる

 
ロシアにとって、中国は対米上共闘できる国ではあるが、前述したロシア国内での中国の影響力拡大は好ましいことではなく、4000キロ以上といわれる長大な国境線および、その国境線を挟む人口格差という面で、中国を警戒せざるを得ない

 
日本としては、北方領土問題という大きな問題はあるものの、米国とは違ったアプローチでロシアと向き合い、中露の軍事協力に一定程度のブレーキを加えるような動きをとる必要があるであろう。

 最後に、
朝鮮半島問題への中国影響力の拡大が考えられる。

 中国にとって、北朝鮮は日本海における活動拠点といった意味で、戦略的価値は高い。
 北朝鮮にとっても対米交渉の後ろ盾としての中国の存在、さらには開発中の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)開発のための技術提供元としての中国の存在は重要である。

 加えて、前述したとおり、朝鮮半島が緊迫化した際に、中露軍の艦艇などが日本海で共同して存在あるいは行動するだけで、米軍兵力展開を阻害することとなるであろう。

 米国は、国家安全保障戦略や国防戦略において、中国の経済協力に名を借りたあらゆる分野における影響力拡大を「影響戦略(Influence Operation)」と定義し、中国的価値観の拡大に警鐘を鳴らしている。
 「影響戦略」の特徴は、気づかないうちにいつの間にか中国の影響下に入ってしまうことである。
 そのいい例が、言うまでもなく南シナ海であろう。
 人工島の建設が公になった際、中国は「漁民保護」と、あたかもシェルター程度の建物を匂わせながら、滑走路や港湾といった大規模施設を建設、次いでそれらの防護を名目に警備上の装備を、そして現在では格納庫や防空ミサイル・電子戦兵器等の装備を配備している。

 これらの動きは、徐々に影響力を拡大する「サラミ戦術」とも呼ばれている。

 
日本海が中国の「サラミ戦略」の餌食とならないように、中国の艦艇および航空機の活動を注意深く観察し、適宜その状況を公開することにより国際的圧力を加え、中国の傍若無人な影響力拡大を阻止する必要がある

 注目する必要があるとされる活動はみっつ。
 ひとつ目は、中国海軍艦隊が敵味方に分かれて戦う演習(対抗演習)。
 中国が、日本海で行動中の艦船を攻撃するというシナリオを持っていることを物語る行動。

 ふたつ目は、対馬海峡から日本海にわたる日本および韓国の防衛態勢、特に警戒監視体制を確認する為の行動。
 対馬海峡周辺の基地および兵力が障害となると認識しているため、その能力や位置確認を行っているのであろうと。
 先日、日本近辺での、海洋調査対処の検討についての報道もありましたね。
 【独自】中国船調査排除、情報共有されず…法規制に「穴」

 みっつ目は、日米韓を敵にした対潜戦や陸上兵力の揚陸といった実戦を想定した中露共同軍事演習の一環での、中露の爆撃機による共同パトロール。

 中国軍が日本海に進出するのは、領土拡張の布石、北極海進出の足がかり、さらには半島有事の際に米軍の作戦展開を妨害するための準備行動であると考えられると、この3点について詳細を解説されています。

 冷戦時代、日本海は旧ソ連対応の最前線であり、ウラジオストックから太平洋に展開するソ連の艦艇などを監視するため、海上自衛隊は宗谷海峡と対馬海峡に常続的に艦艇を配備するとともに、海峡監視用の装備を整備していた。
 冷戦が終結し中国人民解放軍の活動が活発化するにつれ、南西諸島重視が叫ばれ、防衛装備品や基地などの整備が進み、それにつれ、日本海における兵力装備も南西諸島に振り向けられているため、日本海方面における自衛隊の即応能力低下が著しいのだと。

 近年のロシアは、国後、択捉での軍事力増強を進めていて、北方四島の返還交渉では、ゼロ島返還になってしまっています。

 中国軍の艦艇・航空機の活動の活発化が日本の安全和商に及ぼす影響は以下。
 第1は、警戒監視海域の拡大に伴う兵力不足。
 中国の活動の主体は東シナ海および西太平洋。なので、日本も南西諸島における警戒監視体制および初動対処能力は維持、拡充せざるを得ない。そのうえで、日本海における体制を整えることは容易ではない。
 
 第2は、中露軍事協力深化への備え。
 米国という共通の競争相手への対抗として、中露の軍事協力が深化することは不可避。ロシアの優れた技術の積極的な導入が想像できると。
 
 しかし、諸兄がご承知の通り、長大な国境線および、その国境線を挟む人口格差という面で、ロシアは中国を警戒せざるを得ないのが現実。
 欧米からの経済制裁であえぐロシアが、中国への天然ガス販売のパイプ接続を完成させましたが、プーチン氏は、中露同盟はないと断言していましたね。

 日本としては、北方領土問題という大きな問題はあるものの、米国とは違ったアプローチでロシアと向き合い、中露の軍事協力に一定程度のブレーキを加えるような動きをとる必要があると。
 旧来、日露中の関係は、そのうちの一国が吐出すると、他の2国が連携強化し対抗してきています。
 対米では中国と共同戦線を張っているプーチン氏ですが、国境を越えて進出する中国の人口脅威や、経済投資支援を仰がねばならなくなっている逆転した立場にあって、対中けん制力を必要としている現実はあります。

 ゼロ島返還となった北方領土交渉。領土問題の解決なくして平和条約や経済支援は、日本に国益はなく必要ありません。
 今は、交渉棚上げし、台所が火の車のロシアがどうするか(中国の進出を甘んじて受けるのか、けん制力を備えるのか)、欧米の対ロ制裁網に協力し静観すべき時ですね。

 

 # 冒頭の画像は、日本海で海上給油の訓練を行う中国の艦船




  この花の名前は、ヒメヒガンバナ




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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)




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