遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

全人代 温家宝首相の政治活動報告は、習近平路線批判

2013-03-06 23:59:48 | 中国 全般
 全人代が開催され、国家予算案報告書の「国防」の項目には、総額や伸び率の数字と、「将兵の待遇改善」「軍の機械化・情報化」「国防」という2行の説明が記載されているだけだったそうですが、内容は10%の伸び率で、公表分だけでも日本の2倍に達し、米国に次いで世界第二位の規模のものです。
 温家宝首相が政治活動報告をし、「強固な国防と強大な軍隊を打ち立て、国家の主権・安全・領土保全を断固として守らなければならない」と強調し、海洋権益の保持、海洋強国の推進を唱える姿が報道されていました。
 ところが、この温家宝首相の報告の内容は、習近平路線の批判だったと、産経が報じています。

 
中国全人代開幕 温首相が最後の政府活動報告 海洋権益保持も唱う (産経新聞) - Yahoo!ニュース
 
中国全人代開幕 習体制軍拡を加速 海軍中心に近代化 日本の2倍超 公表国防費実態と差 (3/6 読売朝刊)

 
中国の2013年国防予算が、公表分だけで日本の防衛費の2倍を超える7406億2200万元(約11兆1100億円)に達した。米国に次ぎ世界第2位の規模。習近平体制は、海軍力を中心に軍事拡大路線を継承する方針で、国際社会の警戒はいっそう高まりそうだ。 (中国総局五十嵐文)

日米を念頭
 5日開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)に提出された国家予算案報告書の「国防」の項目には、総額や伸び率の数字と、「将兵の待遇改善」「軍の機械化・情報化」「国防」という2行の説明が記載されているだけ。全人代の傅螢報道官は前日の記者会見で予算額すら明かさず、軍増強の理由も「他国を脅かすためではない」と言うだけだった。
 だが、中国軍の近代化は、数字が示す以上のスピードで進んでいるとの見方が一般的だ。
 
「海洋権益を守る戦いで、『常勝』部隊となれ」。中国紙によると、呉勝利・海軍司令官は2月25日、上海で行われた新型艇「056型」
の一番艇の就役式典で隊員を激励した。
 「056型」は、1月に海上自衛隊に火器管制レーダーを照射したフリゲート艦の3分の1の乗員で運用可能で、敵のレーダーに探知されにくい「ステルス性」も備えているという。東シナ海や南シナ海の防衛の主力として順次投入され、
沖縄県の尖閣諸島周辺などで「前線」に立つ中国国家海洋局の監視船などの後方からにらみをきかせる
とみられる。
 昨年9月に就役した中国初の空母「遼寧」も2月、4年の歳月と巨額の予算を投入して完成した山東省青島の空母基地に初人港した。中国は、旧ソ連・ウクライナの「ワリャーグーを改造した「遼寧」とは別に、自前の空母の建造にも着手しており、空母への搭載などが見込まれる次世代ステルス戦闘機「J(殲)31」の試験飛行も始まっている。
 いずれも、尖閣諸島をめぐり対立する日本や、「アジア太平洋重視」の戦略を進める米国を念頭に置いた、中国の軍事力整備の一端だ。中国軍の使命は、これまで台湾の独立阻止などに重点が置かれたが、東シナ海や南シナ海での主権や海洋資源の確保、さらには中東・アフリカの天然資源輸送のためのシーレーン(海上交通路)の確保にまで広がっている。昨年は西太平洋で7回、海軍の演習が行われた。今年は西太平洋を含め、全軍で約40回の軍車演習を,予定しているという。

10年で4倍
 国軍の活動は、海や空から、字宙へも広がる。中国政府は咋年12月から、中国版GPS(全地球測位システム)「北斗」を使った位置情報提供サービスを始めたが、将来的には空母を狙う巡航ミサイルの誘導といった軍事利用も可能、と指摘される。
 さらに問題なのは、「北斗」をはじめ軍事利用可能な民生分野の開発予算は、公表されている軍事費には含まれないことだ。米国防総省は昨年5月の報告書で、
中国の国防費は昨年段階で、最大で公表分の約1.8倍に達している
との推計を示しており、実態との隔たりがいっそう拡大している可能性がある。
 軍事費増大は、
胡錦濤政権で加速し、胡氏在任中の10年で約4倍に膨れあがった。近代化に加え、胡氏が軍を掌握するため将兵の待遇改善を進めたのが一因とされ、胡氏と同様に軍に基盤を持たない習氏も、軍拡路線を踏襲するのは確実
だ。
 米国が歳出強制削減でアジアでの軍事力圧縮を余儀なくされた場合、中国が軍拡の動きをさらに強める可能性もある。米国は、中国軍の急速な近代化や西太平洋での活動活発化の「目的が不透明」(国防総省高官)として懸念を強めており、バネッタ国防長官(当時)が昨年9月の訪中で中国側に「透明性の拡大」を求めるなど、情報開示を働きかけている。
 中国の軍事動向に詳しい民間軍事研究所「漢和情報センター」(本部・カナダ)の平可夫代表は「
中国の軍拡が今のペースで進めば、15~20年後には西太平洋は中国の『内海』になる」と強く警告する。

 産経の、温家宝首相の政治活動報告についての解説は以下。
 

全人代、温首相報告 「遺言」で習路線批判 真っ向対立 改革回帰訴え (3/6 産経)

 【北京=矢板明夫】5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会)で、温家宝首相が読み上げた政府活動報告の行間からは、習近平共産党総書記が推進する保守、民族主義路線への不満がにじみ出ていた。
党内最大の「改革派」といわれる温首相は、政治の表舞台における最後の発言機会を使って、改革路線への回帰を強く訴え、習指導部を牽制(けんせい)した。

 党内で深刻化している腐敗問題について、温首相は「権力が過度に集中し、制約を受けていない状況に対し制度面から是正を行うべきだ」と訴えた。「制度改革」を何よりも重視する温首相は、
習氏が主導する政治運動のような反腐敗、反浪費キャンペーンを暗に批判
したものとみられる。
 温首相はまた、「民主的な監督、法律に基づく監督、世論による監督を堅持し、権力のオープンな運用を実現する」と強調した。この主張は、
党員に対するモラル教育や党による管理、監督の強化を打ち出す習総書記の方針と真っ向から対立
したものといえる。
 さらに、最近5年の中国外交について「主要国との関係を積極的に推進し、周辺諸国との互恵協力関係を強化した」と総括した。沖縄県・尖閣諸島をめぐる日本との最近の対立には触れなかった。昨年秋以降、
習氏が主導した対日強硬外交を完全に無視することで、不快感を表明したととらえられている。共産党筋によれば、温首相は1月末のある会合で「数十年間推進してきた善隣友好外交が一瞬にして台無しになった
」と習氏の外交路線を批判したという。

 習氏が党総書記に就任した昨年11月以降、太子党(高級幹部子弟)関係者による不動産投資が活発化し、主要都市部の不動産価格が高騰、
胡錦濤政権が力を入れてきた不動産価格抑制策が破綻
したことにも大きな不満をもっているという。この日の報告でも「投機的な住宅需要を断固抑制しなければならない」と力を込めた。
 政府活動報告は、温氏周辺の官僚らで構成する専門チームが執筆。最後となる今年の報告をめぐって温首相は何度もチームのメンバーと面会し、細かい指示を出していたという。共産党筋は「今年の報告は温首相の政治的遺言のようなものだ」と語った。

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■温家宝氏語録

「台湾は祖国の宝島。将来歩けなくなろうと、はってでも行ってみたい」(2009年3月、訪台の意欲を聞かれて)

「清廉潔白で親しみやすかった姿が今でも懐かしさとともに思い浮かぶ」(10年4月、改革派の胡耀邦元共産党総書記をしのぶ手記で)

「政治改革を断行しなければ、近代化という目標が実現できない」(10年8月、深セン視察で)

「文化大革命のような歴史的悲劇が再び起こりうる」(12年3月、保守派の薄煕来氏への批判)

「人々には私のことを忘れてほしい」(12年11月、引退後について)


 温家宝、胡錦濤政権は、軍の暴走と政権終盤の習近平、江沢民との政争時期以外では、中国の政治家としては、胡耀邦氏と共に、自国の経済発展のために、日本との経済関係を重視ししていました。

 政争で劣勢だった習近平・太子党 + 江沢民・上海閥は、強行路線で胡錦濤・共青団から逆転勝利したことから、軍事強硬路線を更に推進するしかないのです。
 温家宝氏が、その危険性と、そのことが中国の世界からの信頼を失い、ひいては亡国の道へ進みかねないことを警告しているのが事実なら、正しい主張だと評価できます。
 中国の首脳陣にも、良識のかけらを持つ人がいるのだとの思いですが、終盤の日本への悪口雑言からは、どこまでが本心か信じがたいところもあります。
 温家宝氏自身に汚職の疑惑があるなか、新政権の批判をして、身の安全が心配です。

 引退後は、私のことは忘れてほしいとは、その危惧があるからなのでしょうか。そういわず、異常で危険な道へ進もうとする習近平新政権の見張り役として、健在でいていただきたいものですが、独裁政治体制では無理な話でしょうか。

 日本の対応は以下。国を護り切れるでしょうか。民主党政権時代に比べると随分しっかりはしていますが。
 
政府尖閣の警戒徹底 (3/6 読売朝刊)

 日本政府は、中国が国防費の大幅増で海空軍の近代化を進めていることについて、「尖閣諸島を含む東シナ海での日本への圧力も高まっていく」(政府筋)として警戒を強めている。
 これまで、中国による尖閣諸島周辺での領海・領空侵犯は、軍ではなく、海洋監視船を運用する国家海洋局などの国家機関が主体となってきた。しかし、防衛省の防衛研究所は昨年12月公表の「中国安全保障レポート」で、「人民解放軍と行政各部門との連携は東シナ海でも強化されている」と分析。同省内には、今後、軍が前面に立って挑発に出てくることを懸念する声もある。
 日本側も、尖閣周辺の領海警備は一義的には海上保安庁が担うが、東シナ海での中国海軍の活動活発化に対し、海上自衛隊は「中国艦艇に一定の距離で張り付く態勢」(自衛隊幹部)を敷く。防衛省幹部は「こちらから挑発しない一方、付け入るスキを与えない万全の警戒監視を続けることが大切だ」と強調する。
 海保の対処能力向上のため、海自の退役護衛艦を改造して海保に提供する案も浮上している。小野寺防衛相は5日の記者会見で、「(海保に)しっかり協力していきたい」と語った。
 ただ、11年ぶりの増額が見込まれる日本の2013年度防衛費は、前年度比351億円の微増にとどまる見通しだ。日本独自の対応では限界があることから、日米同盟の強化を通じ、中国をけん制したい考えだ。
 防衛省幹部は「南西諸島を含め、自国防衛を自ら担う姿勢をまず米国に示す必要がある」と強調する。
 政府は有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」でも、集団的自衛権の行使容認に向けた議論を5年ぶりに再開しており、中国の軍拡をにらみながら、米軍との連携の緊密化を図っていく方針だ。 (政治部海谷道隆)



 # 全人代での胡錦濤、習近平、温家宝各氏



  この花の名前は、ハマギク  撮影場所;六甲高山植物園 (2012年10月撮影)


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