遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

遂に習近平と共青団派の衝突が表面化

2020-06-30 01:23:56 | 中国 全般
 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、絶対的な権力基盤を握っていた習近平国家主席と、ナンバー2である李克強首相の確執が表面化してきたと指摘するのは石平氏。
 江沢民が習近平を胡錦涛の後釜の国家主席に据えて以来、江沢民の上海閥、鄧小平の流れを継ぐ胡錦涛・李克強の共青団派、太子党出身で、「之江新軍」と呼ばれる浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちを束ねる習近平の三つの派閥抗争が続き、王岐山が汚職追放の御旗のもとに、上海閥や共青団派の切り崩しを進め、習近平の専制政治体制が構築されたことは諸兄が゛承知の通りです。
 今では、上海閥は往時の勢いはみる影もなく、消滅寸前。対抗軸は、かろうじて共青団派が踏ん張っている状況ですが、米中の貿易戦争で始まった「新冷戦時代」の突入で劣勢の習近平体制に、新型コロナウイルスの武漢肺炎感染の全世界への拡大が追い打ちとなり、習近平の専制政治が揺らぎ始めてきたのですね。
 習近平政権の支えは、鄧小平以来の改革・解放経済政策での高度経済成長。
 貧富の差があっても、それぞれが成長の恩恵を受けるので、格差問題が表面化しませんでしたが、低成長期に突入し、はらんでいた問題が一気に表面化し、政権の支持が揺らぎ始めてきている。
 当然、対抗勢力の、共青団派の李克強首相に付け入る機会が巡ってきたのですね。
 そこへ、発生源の武漢視察に動いた李克強と、動かないことに批判の声が高まり、北京視察でお茶を濁し、更に評価を堕とした習近平。
 潜在していた「之江新軍」と、「共青団派」の対立が顕在化してきたのですね。
 
中国・習主席と李首相の権力闘争勃発!? 経済政策で確執表面化… 識者「このままでは悪化の一途」 (1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト 2020.6.29

 中国の政権中枢に深刻な亀裂か-。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、絶対的な権力基盤を握っていた習近平国家主席と、ナンバー2である李克強首相の確執が表面化してきた。中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会の会議は28日に始まり、香港の統制強化を狙った「香港国家安全維持法」案を審議を再開した。最終日の30日に可決する可能性が高い。コロナ対応の最前線に立って評価を高めた李氏とは対照的に、習氏の軍事的強硬姿勢や経済政策、情報開示は国際的批判を浴びるなど、内憂外患に陥っている。

                   ◇

 「国連海洋法条約など国際法に沿った解決を目指す、
東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳の主張を歓迎する」「中国は南シナ海を『海の帝国』のように扱うことはできない

 
マイク・ポンペオ米国務長官は27日、中国による軍事拠点化で緊張が続く南シナ海情勢をめぐり、ASEANが前日、オンライン形式での首脳会議で懸念を表明したことについて、ツイッターでこう評価した。

 米国の厳しい対中姿勢はこれだけではない。

 
米上院は25日、香港の「高度な自治」の侵害に関与した高官や組織、金融機関に対し、米政府が制裁を科すことを定めた「香港自治法案」を全会一致で可決した。国家安全法制の柱となる法案が月末に可決される可能性があり、米議会は香港の「一国二制度」を守るよう圧力を強めた

 
ジョン・ボルトン前大統領補佐官の回顧録で、中国に甘い姿勢を暴露されたこともあり、ドナルド・トランプ政権は今後、対中姿勢を一段と厳しくするとみられる。

 一方、
欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長と、シャルル・ミシェル大統領は22日、習、李両氏と相次いで電話会談し、中国が香港に国家安全法制を導入すれば、「大変否定的な結果」を招く恐れがあると述べ、重大な懸念を表明した。

 EUと中国は投資促進を図る投資協定の年内妥結を目指しているが、フォンデアライエン氏は、中国企業への産業補助金や国営企業優遇、中国へ進出する欧州企業に対する技術移転強要などの問題について「中国側に一層の意欲が必要」と注文を付け、
投資協定妥結への節目とみられていた9月の中国EU首脳会議は延期された。

 
習氏は欧州に対する巨額投資を武器に、人権問題を見て見ぬふりさせてきたが、いまや形勢は逆転している。深刻なコロナ禍を機に、中国への不信感が強まったこともあり、香港問題も格好の攻撃材料とされている。

 
習氏の権力の源泉といえる経済も厳しい
 
1~3月期の国内総生産(GDP)前年同期比6・8%減と四半期ベースでは1992年以降で初めてのマイナス成長だった。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、4~6月期は1・5%増(中央値)、通年は1・8%増(同)とプラスを確保すると予測されているが、低空飛行は否めない。

 そこで
波紋を広げたのが、李氏の5月下旬の発言だ。
 全人代後に開いた記者会見で、
「中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人いる」と述べたのだ。

 中国事情に詳しい評論家の
石平氏は「これで2人の確執が一気に表面化した」といい、続けた。
 「
中国人も驚くような数字を初めて出して、中国経済の実態を暴露し、習氏の顔に泥を塗ることになった。当初の想定は、年末に『脱貧困』を宣言したうえで、来年の中国共産党結党100周年に向けた業績とするつもりだった習氏への奇襲攻撃だ」と評する。

 習氏をめぐっては、新型コロナウイルスに関する情報を十分に開示していたのかという疑念が世界から寄せられている。一方、
李氏はコロナ対策チームのトップとして武漢で指導したことで国民から評価されているタイミングも背景にあるようだ。

 習氏側も反撃に出ている。
 コロナ禍で中国も飲食店や商店の客足が遠のくなか、李氏は6月上旬に雇用経済と消費喚起を目的に、個人事業主の屋台経営を奨励する「露店経済」へ号令をかけた。
 これに対し、中国国営中央テレビ(CCTV)は「露店経済は何でも治せる妙薬ではない」とし、党機関紙の人民日報は「冷静に考えるべきだ」と疑問を呈する異例の事態となった。

 プロパガンダを担う党中央宣伝部は、かつて習氏が福建省幹部や浙江省党委書記だった時期に部下だった黄坤明氏が部長を務めている。CCTVを率いる慎海雄氏も党中央宣伝部の副部長を兼務している。

 
石平氏は「習氏側が反撃に出たと考えられるが、露骨に怒ることはできない。李氏を徹底的に潰してしまえば国民の反発を買う」と、批判報道の背景を分析する。

 党幹部の子弟を中心とする太子党出身の習氏と、共産主義青年団(共青団)系の李氏は、近い存在とはいいがたい。

 トップ2によるバトルの行方を、石平氏は次のように予測する。

 「
経済政策をめぐる最高指導者と首相との権力闘争だが、習氏は李氏の方針を否定した一方、失業問題への対応策は打ち出しておらず、実効性のない政策を打ち出している。このままでは経済は悪化するだけだろう」

 コロナ対応の最前線に立って評価を高めた李氏と、対照的に、軍事的強硬姿勢や経済政策(マスク外交や一帯一路の債務の罠等)、情報開示遅れや不足で国際的批判を浴びる習近平。
 欧州各国や「ファイブ・アイズ」諸国などから、世界的感染を起こしたことの追及がなされています。

 更に、米国は、ポンペオ米国務長官が、南シナ海の中国の暴挙をしてきするASEANを支援する声明で対中包囲圧力を強化。議会は、「香港自治法案」を全会一致で可決し香港の「一国二制度」を守るよう圧力強化。
 EUは、9月の中国EU首脳会議は延期。
 
 国内では、1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6・8%減と四半期ベースでは1992年以降で初めてのマイナス成長。

 両者の鞘当てが始まったのは、全人代での李克強首相の、「露天商(地攤)経済」推進提唱。
 「屋台が中国を救う」 李克強が習近平の「大国崛起路線」に挑戦 - 遊爺雑記帳

 しかしこれは、習近平によって握りつぶされました。
 更に李氏は、爆弾発言も。
 全人代後に開いた記者会見で、「中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人いる」と述べたのだそうです。
 石平氏は「これで2人の確執が一気に表面化した」と。「中国人も驚くような数字を初めて出して、中国経済の実態を暴露し、習氏の顔に泥を塗ることになった」とも。

 表面化した、トップ 2のバトル。
 石平氏は、「習氏は李氏の方針を否定した一方、失業問題への対応策は打ち出しておらず、実効性のない政策を打ち出している。」と指摘。更に、「このままでは経済は悪化するだけだろう」と。

 定年制を廃止し、専制政治体制を確立したかに見えていた習近平。
 米国との「新冷戦時代」に、香港の「一国二制度」中断策を打ち出し世界中から非難を浴び、更に、新型コロナウイルスの武漢肺炎の感染拡大ではその発生源として追究され、国内では初のGDPマイナス成長。
 まさに満身創痍。
 子飼い「之江新軍」で固める習近平と、鄧小平からの改革開放経済を継承する胡錦涛・李克強の「共青団派」との闘いの表面化。
 揺れ始めた中国の動向は、要注目ですね。


 
 # 冒頭の画像は、全人代後に記者会見した李克強首相
  早読み!李克強総理記者会見--人民網日本語版--人民日報




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