遊爺雑記帳

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Wu Ying(呉英)を救えが、習近平新政権の弱体化の政局に!

2012-04-28 22:57:25 | 中国 全般
 貧しい農家に産まれながら、「中国本土で最も若い女性富豪」と称されるまで出世した呉英(ウー・イン)死刑囚は、「民間金融(高利貸)」の借金返済で経営難に陥り、2009年末に「違法に大衆の金を集めた罪」で死刑判決を受け、2012年1月には「出資詐欺」の罪で死刑確定判決を下されていたのだそうです。
 中国では不特定多数の投資家から高利を餌に巨額の資金をだまし取り、死刑になった前例は数多いのだそうですが、呉英の場合は知り合いの仲介人から借りた事業資金で、不動産などの保有資産を処分すれば十分に返済可能だったものを、判決も出ないうちに官憲が破格の安値で資産を処分してしまったのだそうです。
 中央・地方の党・政府官僚が銀行や仲介業者と結託して闇の金融グループを形成、中小企業から暴利をむさぼる不法行為が全国に広がっているのだそうで、呉英が借金した11人の友人の背後にこうした腐敗官僚集団が絡んでいて、彼らが裁判所に極刑を求めたとの見方があるのだそうです。
 また、呉死刑囚の事業が急拡大していた時期に浙江省のトップを務めていたのが習近平国家副主席で、その腹心が呉死刑囚から多額の賄賂を受け取っていたのだそうで、新政権の中心的役割に就くにあたり、秘密を知る呉死刑囚の口を封じたかったのだと。

 
【緯度経度】北京・山本勲 中国の悪弊凝縮した「呉英裁判」- MSN産経ニュース
 
女性実業家の死刑差し戻し 胡錦濤派が習氏らの「口封じ計画」阻止 (4/28 産経)

■異例判断、裏に権力闘争
 【北京=矢板明夫】詐欺罪などで死刑判決が確定していた中国南東部の浙江省の女性実業家、呉英被告(30)に対し、最高人民法院(最高裁)が、刑執行直前に審理を高裁に差し戻すとの決定をしたことは、呉被告に同情的だった世論の勝利と受け止められている。しかし、権力闘争に詳しい共産党筋は「
背景には胡錦濤(国家主席)派と習近平(副主席)派の激烈な権力闘争
があり、呉被告の存在は今後の中国政局に大きく影響する」と指摘している。

 貧しい農家に生まれた呉被告は、10代から始めた美容室の経営をもとに事業を拡大。衣服、住宅を販売する会社を次々に興し、24歳にして「中国富豪ランク」の100位以内に入り、女性経営者の成功例としてメディアに大きく取り上げられた。一方、資金繰りのため高い配当を宣伝文句に投資家らから約8億元(約100億円)の資金を集めるなど、経営手法が疑問視されたこともある。
 資金が焦げ付き経営が破綻した2007年3月に呉被告は逮捕され、浙江省の地裁、高裁で死刑判決を受けた。
 呉被告の事業が急拡大していた時期に浙江省のトップを務めていたのが習近平国家副主席だった。共産党筋によれば、当時、多くの
習氏腹心の浙江省高官が呉被告と親密な関係にあり、呉被告から多額の賄賂を受け取っていた。その腹心らは今秋の党大会以降に中央入りして、習近平政権を支える中心的存在になるとみられており、秘密を知る呉被告の口を封じる
ため、死刑判決を下すよう浙江省の裁判所に圧力をかけていたという。
 中国は2審制だが、死刑の場合のみ執行する前に最高裁の「承認」が必要だ。呉被告の死刑判決を受け、
多くの知識人や弁護士らが「重すぎる」として最高裁に嘆願書を提出
するなど、同被告の裁判は中国で高い関心を集めていた。
 今月20日に発表された最高裁の決定では「呉被告が多くの公務員への賄賂を自供した」ことなどを理由に「即座に死刑を執行することはできない」と高裁に差し戻す判断を示した。これによって、呉被告は最終的に無期懲役以下に減刑される可能性が高くなった。
 
最高裁が高裁の死刑判決を差し戻したのは異例。共産党筋は、胡主席率いるグループが最高裁の決定を主導したと解説する。習副主席が所属する元高級幹部子弟の太子党グループの有力者、薄煕来・元重慶市党委書記を失脚させた胡グループは最近、勢力を拡大しており、今回は世論に便乗する形で、習派の「口封じ」の動きを阻止
したという。
 共産党筋は「
呉被告は習派を牽制(けんせい)する有力なカード。習派は浙江省からの幹部抜擢(ばってき)が難しくなり、政権がスタートする前に早くも弱体化した
」と指摘した。

 薄熙来氏の失脚も胡錦濤・共青団による新政権での中央政治局常務委員の椅子取り争いでしたが、習近平氏サイドでも太子党内のライバルの失脚には党内掌握に好都合との見方があり、胡錦濤氏対習近平氏の直接対決の構図には至っていませんでした。
 しかし今回は、習近平氏の腹心に類が及ぶというのですから、ガチンコ勝負になりますね。
 薄熙来事件だけで収まらない可能性があると思っていましたが、胡錦濤・共青団の攻勢は止まらない様です。
 太子党、江沢民の上海グループの反攻はないのでしょうか?
 
 江沢民の上海グループや人民解放軍の支援で、胡錦濤・共青団の李克強を抑えて次期主席の座を射止めた習近平氏は、反日教育で国内の不満を逸らして国をまとめた江沢民時代に逆戻りし、格差の拡大で不満が募る今後の難局に対処する可能性を懸念していました。
 改革開放経済の継続が必要と説く温家宝氏。氏はこれらのどこにも属さない立場とされますが、現状の方針が継続される可能性の高い、胡錦濤・共青団の流れが引き継がれる方向が強まるのは、相対論としてですが、歓迎します。
 ただし、軍への睨みが弱い胡錦濤氏が主権を握り続けることは、軍の覇権拡大への歯止めはまだまだ効かないことになります。

 敵対する関係の院政が続くことになれば、小沢・反小沢でなにも決められずふらつく民主党とは比べられないのですが、不安定な新政権となることには違いなく、経済も安全保障も不透明さを増すことになりますね。
 ますます目が離せない中国の新政権移行騒動です。


 # 冒頭の画像は、2009年の一審で死刑判決が下された時の呉被告



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