遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

45年余の間に3500件の訴訟を抱えているトランプ大統領 

2020-06-24 01:35:12 | 米国 全般
 6月はドナルド・トランプ米大統領にとっては四柱推命でいう「天中殺」の月なのだそうです。
 大統領選を11月に迎えるトランプ氏。新型コロナウイルスの感染拡大と、黒人犯罪者逮捕時の絞殺に端を発した反人種差別デモの広がりで、支持率はバイデン氏に大きく差をつけられています。
 そこへジョン・ボルトン前補佐官の暴露本が発売。
 苦境に立たされていますが、6月中にはトランプ氏にとっては胃の痛くなるような懸案に最高裁が判決を下すのだそうです。
 最高裁判事、検事の人事でも、天中殺のトランプ氏は苦闘している様子です。
 
もはや四面楚歌のトランプ氏、最高裁も厳しい判決か コロナ禍、不況、暴露本、司法異変で「天中殺」 | JBpress(Japan Business Press) 2020.6.23(火)
高濱 賛

大誤算「タルサ10万人集会」
 6月はドナルド・トランプ米大統領にとっては四柱推命でいう「天中殺」の月だ。

 側近だった
ジョン・ボルトン前補佐官(国家安全保障担当)の暴露本が発売され、(大半の米国民にとってはすでに耳にたこだが)トランプ氏の大統領としての資質の欠如が元側近からまたまた指摘された。

 しかもボルトン氏は
トランプ氏が中国の習近平国家主席に再選支持を懇願していた事実を暴露
「国益よりも再選」を優先するという新たな弾劾対象にもなりかねない花火を打ち上げた。

(下院での証言を拒まずにあの時証言すれば、爆弾は炸裂していたかもしれない)

 厚顔無恥なトランプ氏もさすがに慌てたのか、司法省を使ってワシントン連邦地裁に「同書には機密情報が含まれている」として出版の差し止めを求めた。
 しかし
地裁は「本はすでに書店に配送されており、その内容も(メディアで)報じられている」と差し止めを認めず。本は6月23日に予定通り発売された。

「天中殺」を払いのけるかのように
トランプ氏は20日、南部オクラホマ州タルサ(人口40万人)で計画した「10万人集会」に足を運んだ

 反トランプ風が吹き荒れる米国内でもここは「安全パイ」。
 同州のケビン・スティッツ氏もタルサ市市長のジャージ・バイナム氏も親トランプ派の共和党員。
 2016年の大統領選でもトランプ氏が圧勝した選挙区ということもあってトランプ氏はウイルス感染覚悟の上(?)でマスクなしで出かけた。

 だが
収容人数2万人の会場(参加者10万人を予想して他数カ所にも会場を設営していたが、使わず)には空席が目立ち、劣勢挽回を狙ったトランプ流選挙キャンペーンは完全に裏目に出てしまった

(https://www.npr.org/2020/06/20/881313605/trump-crowd-size-underwhelms-campaign-blames-protesters)

 
地元紙「タルサ・ワールド」の社会部記者はこう指摘している。

タルサではここ1週間、新型コロナウイルス感染者が急増。また反トランプの大規模な抗議デモも予想されたこともあって、(トランプ氏のウイルス対応を支持するジャスチャーになっている)マスク着用を禁じられた支持者の多くが参加を敬遠したためとみられる」

「会場設営のためワシントンからやって来た
トランプ選対スタッフのうち6人が陽性反応を示したこともあって当初は10万集会と大風呂敷を広げていた選対幹部もがっくりしていた」

若い運動員の一人は私に『(再選は)ダメだね』と呟いていた

 新型ウイルス禍で景気後退期に入った米国。それでも5月に経済活動を再開に前向きな
共和党が知事を務めるアリゾナ、アラバマなどの州では失業率が大きく低下し、改善が目立ったが、逆に感染が拡大

 さらに秋の大統領選では激戦区になると予想されるミシガン、ベンシルバニア、ウィスコンシン州など
中西部「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)では失業率は高止まりのまま。回復の鈍さが目立っている。

 
感染拡大阻止と経済活動再開という二律背反にトランプ大統領はお手上げ状態が続いている。

保守派最高裁長官、リベラル派に同調
「泣き面にハチ」とはこういうことを言うのだろう。

 
トランプ政権が最大の成果としてきた最高裁の保守化が有名無実になるような「異変」が起こっているのだ。
 大統領就任後、中道派の最高裁判事の引退を機に
2人の保守派判事を押し込んで保守派優勢にした最高裁(判事9人)。
 その首席判事であり、司法のスポークスマン的存在の
保守派中道のジョン・ロバーツ最高裁長官(65)。その人物が保守派、リベラル派が拮抗する最高裁での重要判決で、リベラル派に同調する票を投じ始めたのだ。
 6月15日、職場での性的少数者(LGBT)差別違法判決と、18日、幼少時入国者強制退去救済(DACA)廃止阻止判決と立て続けにである。

 2つのケースともに
保守強硬派を支持基盤にするトランプ大統領が主要政策の一つとして掲げていた事案だった。
 ロバーツ長官は2012年にもバラク・オバマ第44代大統領が決定した医療保険改革(オバマ・ケア)をめぐる判決でもこれを全廃しようとした共和党の主張を退ける判決に賛同している。

 同長官は2005年7月19日に最高裁判事に任命され、同年9月6日にはウイリアム・レンキスト最高裁長官が死去したため、その後昇格したのだ。

 
穏健な保守派とされ、先例を尊重し、厳格な憲法解釈を貫いてきた。従ってこれまでの判決規範を大きく覆すようなことはせず、また立法府の決定を重視するという点で法曹界では評価されてきた。

 だが、
トランプ氏にとってはロバーツ長官の判断がお気に召さない。裏切り行為としか映らない
 ツイッターで「(DACA判決は)極めて政治的で、法に基づかないように見える。最高裁(最高裁長官)は私を嫌っているとしか思えない」と不信感を滲ませている。

 こうした最高裁の相次ぐ判決について、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、デイビッド・ブルックス氏はこう指摘している。

「国民の7割から8割がLGBTもDACAも支持している。ところが共和党が多数を占める上院が国民の声を反映できないでいる」

「議会が機能しないから最高裁が代わって判断を下したのだ。行政府の誤りを立法府が是正できないでいる。今機能しているのは司法だけだ」

「大統領を辞めたら待っているもの」
 下院での弾劾審議公聴会での
元側近や政府高官による「容疑」証言、そして今回のボルトン本をはじめとする暴露本が何冊も出ているのに、トランプ大統領は今もなお「健在」だ。

 
何があろうとも再選を目指すという野望は捨てていない。その理由は何か。主要メディアのベテラン記者P氏はズバリ言い切っている。

「大統領でなくなり、
一介の市民になった時、トランプ氏を待ち構えているのは数々の訴追案件だ」

「法律に定められてはいないが、司法省が決めた申し渡し事項で
現職大統領は逮捕も訴追もされない。しかし大統領を辞めたと同時に逮捕が可能になってくる

「ウクライナ大統領から中国の習近平国家主席まで再選支援を懇願しているのはそのためだ」

 そう考えると、トランプ氏が最高裁での「異変」に即座に反応を示したのも頷ける。

 トランプ氏は、6月18日、再選された暁には最高裁判事候補のリストを9月1日までに公表すると言い出した。
 最高裁判事の顔ぶれを見渡すと、黒人のクラレンス・トーマス判事(71)は健康状態がすぐれないし、女性のルース・ギンズバーグ判事(87)は高齢。
 判事は終身制だが、健康上の理由から退任することもできる。いつ2人の判事ポストが空席になるか分からないない。
 トランプ氏は大統領選挙前に空席になれば、即座に保守派を起用する構えを見せることで、保守派支持基盤を安心させようというわけだ。

 だが、
トランプ氏がそれ以上に危機感を抱いているのは、保守派最高裁長官の「異変」に呼応するかのように勢いを増している連邦検事たちの動きだ。しかも、いまや全米に広がりつつある。

 トランプ氏は6月20日、ウイリアム・バー司法長官を使って、
ニューヨーク南部地区連邦検事のジェフリー・バーマン氏を解任したのもそのためだ。

 同地区の連邦検事はありきたりの地方検事とはちょっと異なる。
 世界経済の中心、マンハッタンを担当する連邦検事は、政治的にも社会的にも絶大な権限を持っている。
 マンハッタンに居を構える大企業の最高幹部だろうと、これら大企業と関わり合いを持つ大物政治家だろうと容疑が固まれば迷わず訴追してきた。

 日本の司法制度にも詳しい米検事の一人は筆者にこう説明する。

「むろん制度は異なるが、ニューヨーク南部地区連邦検事は日本の東京地検と同じような力を持っている。大物狙いなのもそっくりだ」

 
バーマン氏はロシア疑惑やウクライナ疑惑に絡むトランプ氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)らに関する捜査を指揮してきた

 まだ捜査は進行中だ。すでに関係者2人を訴追し、裁判所は有罪判決を下している。そのうちの一人は服役中に刑務所内で自殺している。

 ホワイトハウスは6月19日、トランプ大統領はバーマン氏の後任にジェイ・クレイトン証券取引委員会(SEC)委員長(弁護士だが、検事経験ゼロ)を指名する意向だと明らかにした。

 バーマン氏は当初、「辞めるつもりはない」と突っぱねたが、当面、同氏の息のかかった直属の部下が連邦検事代行になるということで辞任している。

 
実は、ニューヨーク南部地区連邦検事は、トランプ氏の財務や納税状況について徹底捜査を続けてきている
 以前からくすぶりつづけているトランプ氏およびその一族の不正行為に目をつけている。

 その意味では7月に発売予定の
トランプ氏の姪、メアリー・トランプ氏の暴露本の内容が注目されている

 同氏はこれまでにも「匿名」でトランプ氏が父親フレッド氏の遺産分割の際に詐欺・脱税行為を働いていたと内部告発しているホイッスルブローワだからだ。

最高裁が判断を下すトランプ事案は3つ
 話を最高裁に戻す。

 
最高裁は6月中にはトランプ氏にとっては胃の痛くなるような懸案に判決を下す。トランプ氏の財務や納税記録の開示をめぐる判決だ。

 
下院はすでにトランプ氏に対して、財務記録の提出を求めている。これに対してトランプ氏は大統領特権を行使して拒んできた。

 
判決は議会にその権限があるか否かに対し判断を示す

 時系列的に見てみると、最高裁は2019年11月25日、ワシントン巡回裁判所(高裁)の裁判記録移送命令提出延長に同意。

(https://www.scotusblog.com/case-files/cases/trump-v-mazars/)

(https://www.supremecourt.gov/search.aspx?filename=/docket/docketfiles/html/public/19-715.html)

 12月13日にはトランプ氏側に他の2つの事案と合併審理することを条件に裁判記録移送命令提出の延期を認めた。

 今年3月31日には口頭弁論が予定されたが、新型コロナウイルス禍のため1か月延長。5月に入って電話による口頭弁論が行われた。

 最高裁は6月末までにこの事案に判断を下すところまで決まっている。

(https://www.supremecourt.gov/search.aspx?filename=/docket/docketfiles/html/public/19-715.html)

 大統領就任以前の事案も含むと、トランプ氏はこれまでの45年余の間に3500件の訴訟を抱えている。

 元連邦検事だったジェームズ・ジェリン氏は著書の中でトランプ氏は「Plaintiff in Chief」(原告司令官)と呼んでいる。

 
歴代大統領でこれほど裁判所のご厄介になった大統領は皆無だと唖然としている。

「天中殺」の真っ只中で
最高裁がどのような判決をするか注目される

 武漢肺炎感染拡大の中、劣勢な局面の打開を狙った、20日の南部オクラホマ州タルサ(人口40万人)で計画した「10万人集会」。
 トランプ大統領はマスクなしで登壇。会場では入場時にマスクが配布されている様でしたが、マスクなしの人々が多数。
 しかし、空席が目立ち、劣勢挽回を狙ったトランプ流選挙キャンペーンは完全に裏目に出てしまったのでした。
 反トランプ派が偽の参加申し込みをして、会場の準備を大掛かりにさせたとの報道がありましたが、真偽は未明。

 地元紙「タルサ・ワールド」の社会部記者は、「タルサではここ1週間、新型コロナウイルス感染者が急増。また反トランプの大規模な抗議デモも予想されたこともあって、マスク着用を禁じられた支持者の多くが参加を敬遠したためとみられる」と。

 感染拡大阻止と経済活動再開という二律背反に、政権側のトランプ大統領は苦戦が続いています。

 トランプ政権が最大の成果としてきた最高裁の保守化が有名無実になるような「異変」が起こっているのだそうです。
 「泣き面にハチ」とはこういうことを言うのだろうと高濱氏。

 首席判事であり、司法のスポークスマン的存在の保守派中道のジョン・ロバーツ最高裁長官が、最高裁での重要判決で、トランプ大統領が主要政策の一つとして掲げていた事案に、リベラル派に同調する票を投じたのだそうです。
 トランプ氏は、ツイッターで「(DACA判決は)極めて政治的で、法に基づかないように見える。最高裁(最高裁長官)は私を嫌っているとしか思えない」と不信感を滲ませているのだそうです。

 しかし、下院での弾劾審議公聴会での元側近や政府高官による「容疑」証言、そして今回のボルトン本をはじめとする暴露本が何冊も出ているのに、トランプ大統領は今もなお「健在」だと高濱氏。
 何があろうとも再選を目指すという野望は捨てていない。その理由は「一介の市民になった時、トランプ氏を待ち構えているのは数々の訴追案件だ」との、主要メディアのベテラン記者の声があると。

 だが、トランプ氏がそれ以上に危機感を抱いているのは、保守派最高裁長官の「異変」に呼応するかのように勢いを増している連邦検事たちの動きだと高濱氏。
 ニューヨーク南部地区連邦検事のジェフリー・バーマン氏を解任したのもそのためだと。
 バーマン氏はロシア疑惑やウクライナ疑惑に絡むトランプ氏の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)らに関する捜査を指揮してきたのだそうです。まだ捜査は進行中。

 最高裁は6月中には、トランプ氏の財務や納税記録の開示をめぐる判決を下すのだそうです。
 下院がトランプ氏に対して、財務記録の提出を求めていて、これに対してトランプ氏は大統領特権を行使して拒んできた。判決は議会にその権限があるか否かに対し判断を示すのだそうです。
 
 その他に、7月に発売予定のトランプ氏の姪、メアリー・トランプ氏の暴露本の内容が注目されていると。

 歴代大統領でこれほど裁判所のご厄介になった大統領は皆無だと高濱氏。
 
 苦境のトランプ氏。11月の選挙の行方はどうなるのか。政権交代があるのか。要注目ですね。



 

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