一連のガザ危機に関しイランのアブドラヒアン外相は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を即座に停止しなければ「この地域が制御不能に陥るだろう」と述べ、親イラン武装勢力がイスラエルに戦いを仕掛けると警告。
ここで露呈している重大な問題は、イランとその配下にある武装勢力に対する米国の抑止力が著しく低下していることだ。米国はイランに言われ放題で、イラクやシリアの武装勢力も現地の米軍を攻撃していると、エドワード・ルトワック氏。産経新聞東京本社編集局副編集長兼外信部編集委員・黒瀬悦成氏がインタビューしておられます。
バイデン米政権とイランは数週間前まで、囚人交換および凍結されたイラン資産の解除に関する交渉を行っていた。米国は1980年にイランと断交後、同国との関係修復に向けた試みを繰り返してきたが、今はギアを「交渉」から「抑止」に切り替えるときだと、ルトワック氏。
バイデン大統領とオースティン国防長官はこのことを理解している。だからこそ原子力空母を地中海に投入し、ヨルダンにF15E戦闘機を派遣するなどしてレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどの牽制(けんせい)を図った。バイデン氏自身は決して弱腰ではないとも。
問題は、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら、オバマ元大統領やクリントン元国務長官に連なる現政権の高官らが大統領の意向と裏腹に、イランに強硬な態度をとるのに慎重であり続けていることだと、ルトワック氏。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった中東の伝統的な米同盟国と距離を置く一方でイランに接近したがるのはオバマ人脈の連中の典型的な特徴なのだそうです。
そのせいで、イランは傘下の民兵組織などを動かしてイラクやシリアの米軍部隊を攻撃しているほか、米軍と連携するシリアのクルド人勢力やイラク国内の反シーア派勢力をも脅かしていると。
米国は、中東の米軍や親米勢力に対する攻撃を抑えるために、ただちにイラン抑止に向けた行動に移るべきだと、ルトワック氏。
一つの手は、米議会で審議中の原油輸送に関する新たな制裁法案を早急に成立させ、イランのタンカーをペルシャ湾の外で拿捕(だほ)することだと。
イランの外貨準備高は危機的な状況に陥っており、原油輸出で日々得られる収入が頼みの綱だ。これがなければヒズボラなどの親イラン勢力に資金提供することもできない。タンカーを拿捕しつつ、中東全体に展開する米軍の力でイランによる報復行動を封じ込めることは可能なはずだと、ルトワック氏。
ヒズボラの指導者ナスララ師は今月 3日の演説で、ハマスによるイスラエル攻撃を事前に知らなかったと主張し、イスラエルとの全面対決を回避する立場を示した。
ナスララ師はレバノン南部の富裕層に支えられており、イスラエルとの本格的戦闘でレバノンが壊滅的打撃を受けるリスクは負えない。
イスラエルはヒズボラを確実に抑止している。今度は米国がその親玉格であるイランと親イラン勢力を抑止する番だと。
日本はどうすべきか。現在の日本は、その経済力に見合うような中東問題への介入能力や戦略的能力を持ち合わせていない。
日本としてできることは、「中東は米国に任せた。日本は中国をにらんだ東アジアでの軍事的な抑止力強化に一層取り組んでいく」と表明することだと、ルトワック氏。
台湾有事を想定した場合、日本の潜水艦隊は台湾周辺での制海権確保で枢要な役割を果たすはずだと。
岸田政権が、かつての内閣がなしえなかったことに踏み込んだ取り組みをしている偉業は、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の見直しと、防衛予算のGDP比 2%への取り組みです。
国内経済不振で、対外覇権拡大で支持率確保を狙う習近平。
台湾併合という、毛沢東が国共内戦で未達だった核心を達成しようと動き始めているのは、衆知の事実。
それへの抑止力の強化は日本の喫緊の課題。
岸田政権の実現力が求められます。
# 冒頭の画像は、松野官房長官
岸田首相 「防衛装備移転三原則」見直し 検討加速を指示 | NHK | 自衛隊
この花の名前は、リュウノウギク
↓よろしかったら、お願いします。
ここで露呈している重大な問題は、イランとその配下にある武装勢力に対する米国の抑止力が著しく低下していることだ。米国はイランに言われ放題で、イラクやシリアの武装勢力も現地の米軍を攻撃していると、エドワード・ルトワック氏。産経新聞東京本社編集局副編集長兼外信部編集委員・黒瀬悦成氏がインタビューしておられます。
【世界を解く-E・ルトワック】米国はイラン抑止に力尽くせ 日本は東アジアで中国対応強化を - 産経ニュース 2023/11/10 黒瀬 悦成
一連のガザ危機に関しイランのアブドラヒアン外相は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を即座に停止しなければ「この地域が制御不能に陥るだろう」と述べ、シリアやイラク、イエメンなどの親イラン武装勢力がイスラエルに戦いを仕掛けると警告した。
ここで露呈している重大な問題は、イランとその配下にある武装勢力に対する米国の抑止力が著しく低下していることだ。米国はイランに言われ放題で、イラクやシリアの武装勢力も現地の米軍を攻撃している。
バイデン米政権とイランは数週間前まで、囚人交換および凍結されたイラン資産の解除に関する交渉を行っていた。米国は1980年にイランと断交後、同国との関係修復に向けた試みを繰り返してきたが、今はギアを「交渉」から「抑止」に切り替えるときだ。
バイデン大統領とオースティン国防長官はこのことを理解している。だからこそ原子力空母を地中海に投入し、ヨルダンにF15E戦闘機を派遣するなどしてレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどの牽制(けんせい)を図った。バイデン氏自身は決して弱腰ではない。
問題は、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら、オバマ元大統領やクリントン元国務長官に連なる現政権の高官らが大統領の意向と裏腹に、イランに強硬な態度をとるのに慎重であり続けていることだ。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった中東の伝統的な米同盟国と距離を置く一方でイランに接近したがるのはオバマ人脈の連中の典型的な特徴だ。
そのせいで、イランは傘下の民兵組織などを動かしてイラクやシリアの米軍部隊を攻撃しているほか、米軍と連携するシリアのクルド人勢力やイラク国内の反シーア派勢力をも脅かしている。
イエメンの親イラン民兵組織フーシ派も、サウジアラビアやUAEなど湾岸諸国の脅威となっている。フーシ派はイスラエルに向けてイラン製弾道ミサイルも発射した。
米国は、これらの国や勢力が「米国にはわれわれを守る気がない」と思い、イランの保護を求めたり、イランの軍門に下ったりするような事態を許してはならない。
米国は、中東の米軍や親米勢力に対する攻撃を抑えるために、ただちにイラン抑止に向けた行動に移るべきだ。
一つの手は、米議会で審議中の原油輸送に関する新たな制裁法案を早急に成立させ、外国向けの原油を積んだイランのタンカーをペルシャ湾の外で拿捕(だほ)することだ。
イランの外貨準備高は危機的な状況に陥っており、原油輸出で日々得られる収入が頼みの綱だ。これがなければヒズボラなどの親イラン勢力に資金提供することもできない。タンカーを拿捕しつつ、中東全体に展開する米軍の力でイランによる報復行動を封じ込めることは可能なはずだ。
ヒズボラの指導者ナスララ師は今月 3日の演説で、ハマスによるイスラエル攻撃を事前に知らなかったと主張し、イスラエルとの全面対決を回避する立場を示した。
前回の当欄で指摘した通り、ナスララ師はレバノン南部の富裕層に支えられており、イスラエルとの本格的戦闘でレバノンが壊滅的打撃を受けるリスクは負えない。
イスラエルはヒズボラを確実に抑止している。今度は米国がその親玉格であるイランと親イラン勢力を抑止する番だ。
一方、日本はどうすべきだろうか。現在の日本は、その経済力に見合うような中東問題への介入能力や戦略的能力を持ち合わせていない。
日本としてできることは、日本が中東の石油に依存し、中東に展開する米国の恩恵に浴しているとの認識に立ち、「中東は米国に任せた。日本は中国をにらんだ東アジアでの軍事的な抑止力強化に一層取り組んでいく」と表明することだ。
例えば海上自衛隊が保有する潜水艦の運用期間を延長したり、一度退役させた艦で残っているものがあれば復帰させたりして保有隻数を増やすことが考えられる。台湾有事を想定した場合、日本の潜水艦隊は台湾周辺での制海権確保で枢要な役割を果たすはずだ。(聞き手 黒瀬悦成)
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エドワード・ルトワック
米歴史学者。米国家安全保障会議(NSC)などでコンサルタントを務め、現在は政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)上級顧問。安倍晋三元首相に戦略に関して提言していた。1942年生まれ。
一連のガザ危機に関しイランのアブドラヒアン外相は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの攻撃を即座に停止しなければ「この地域が制御不能に陥るだろう」と述べ、シリアやイラク、イエメンなどの親イラン武装勢力がイスラエルに戦いを仕掛けると警告した。
ここで露呈している重大な問題は、イランとその配下にある武装勢力に対する米国の抑止力が著しく低下していることだ。米国はイランに言われ放題で、イラクやシリアの武装勢力も現地の米軍を攻撃している。
バイデン米政権とイランは数週間前まで、囚人交換および凍結されたイラン資産の解除に関する交渉を行っていた。米国は1980年にイランと断交後、同国との関係修復に向けた試みを繰り返してきたが、今はギアを「交渉」から「抑止」に切り替えるときだ。
バイデン大統領とオースティン国防長官はこのことを理解している。だからこそ原子力空母を地中海に投入し、ヨルダンにF15E戦闘機を派遣するなどしてレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどの牽制(けんせい)を図った。バイデン氏自身は決して弱腰ではない。
問題は、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら、オバマ元大統領やクリントン元国務長官に連なる現政権の高官らが大統領の意向と裏腹に、イランに強硬な態度をとるのに慎重であり続けていることだ。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった中東の伝統的な米同盟国と距離を置く一方でイランに接近したがるのはオバマ人脈の連中の典型的な特徴だ。
そのせいで、イランは傘下の民兵組織などを動かしてイラクやシリアの米軍部隊を攻撃しているほか、米軍と連携するシリアのクルド人勢力やイラク国内の反シーア派勢力をも脅かしている。
イエメンの親イラン民兵組織フーシ派も、サウジアラビアやUAEなど湾岸諸国の脅威となっている。フーシ派はイスラエルに向けてイラン製弾道ミサイルも発射した。
米国は、これらの国や勢力が「米国にはわれわれを守る気がない」と思い、イランの保護を求めたり、イランの軍門に下ったりするような事態を許してはならない。
米国は、中東の米軍や親米勢力に対する攻撃を抑えるために、ただちにイラン抑止に向けた行動に移るべきだ。
一つの手は、米議会で審議中の原油輸送に関する新たな制裁法案を早急に成立させ、外国向けの原油を積んだイランのタンカーをペルシャ湾の外で拿捕(だほ)することだ。
イランの外貨準備高は危機的な状況に陥っており、原油輸出で日々得られる収入が頼みの綱だ。これがなければヒズボラなどの親イラン勢力に資金提供することもできない。タンカーを拿捕しつつ、中東全体に展開する米軍の力でイランによる報復行動を封じ込めることは可能なはずだ。
ヒズボラの指導者ナスララ師は今月 3日の演説で、ハマスによるイスラエル攻撃を事前に知らなかったと主張し、イスラエルとの全面対決を回避する立場を示した。
前回の当欄で指摘した通り、ナスララ師はレバノン南部の富裕層に支えられており、イスラエルとの本格的戦闘でレバノンが壊滅的打撃を受けるリスクは負えない。
イスラエルはヒズボラを確実に抑止している。今度は米国がその親玉格であるイランと親イラン勢力を抑止する番だ。
一方、日本はどうすべきだろうか。現在の日本は、その経済力に見合うような中東問題への介入能力や戦略的能力を持ち合わせていない。
日本としてできることは、日本が中東の石油に依存し、中東に展開する米国の恩恵に浴しているとの認識に立ち、「中東は米国に任せた。日本は中国をにらんだ東アジアでの軍事的な抑止力強化に一層取り組んでいく」と表明することだ。
例えば海上自衛隊が保有する潜水艦の運用期間を延長したり、一度退役させた艦で残っているものがあれば復帰させたりして保有隻数を増やすことが考えられる。台湾有事を想定した場合、日本の潜水艦隊は台湾周辺での制海権確保で枢要な役割を果たすはずだ。(聞き手 黒瀬悦成)
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エドワード・ルトワック
米歴史学者。米国家安全保障会議(NSC)などでコンサルタントを務め、現在は政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)上級顧問。安倍晋三元首相に戦略に関して提言していた。1942年生まれ。
バイデン米政権とイランは数週間前まで、囚人交換および凍結されたイラン資産の解除に関する交渉を行っていた。米国は1980年にイランと断交後、同国との関係修復に向けた試みを繰り返してきたが、今はギアを「交渉」から「抑止」に切り替えるときだと、ルトワック氏。
バイデン大統領とオースティン国防長官はこのことを理解している。だからこそ原子力空母を地中海に投入し、ヨルダンにF15E戦闘機を派遣するなどしてレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどの牽制(けんせい)を図った。バイデン氏自身は決して弱腰ではないとも。
問題は、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら、オバマ元大統領やクリントン元国務長官に連なる現政権の高官らが大統領の意向と裏腹に、イランに強硬な態度をとるのに慎重であり続けていることだと、ルトワック氏。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)といった中東の伝統的な米同盟国と距離を置く一方でイランに接近したがるのはオバマ人脈の連中の典型的な特徴なのだそうです。
そのせいで、イランは傘下の民兵組織などを動かしてイラクやシリアの米軍部隊を攻撃しているほか、米軍と連携するシリアのクルド人勢力やイラク国内の反シーア派勢力をも脅かしていると。
米国は、中東の米軍や親米勢力に対する攻撃を抑えるために、ただちにイラン抑止に向けた行動に移るべきだと、ルトワック氏。
一つの手は、米議会で審議中の原油輸送に関する新たな制裁法案を早急に成立させ、イランのタンカーをペルシャ湾の外で拿捕(だほ)することだと。
イランの外貨準備高は危機的な状況に陥っており、原油輸出で日々得られる収入が頼みの綱だ。これがなければヒズボラなどの親イラン勢力に資金提供することもできない。タンカーを拿捕しつつ、中東全体に展開する米軍の力でイランによる報復行動を封じ込めることは可能なはずだと、ルトワック氏。
ヒズボラの指導者ナスララ師は今月 3日の演説で、ハマスによるイスラエル攻撃を事前に知らなかったと主張し、イスラエルとの全面対決を回避する立場を示した。
ナスララ師はレバノン南部の富裕層に支えられており、イスラエルとの本格的戦闘でレバノンが壊滅的打撃を受けるリスクは負えない。
イスラエルはヒズボラを確実に抑止している。今度は米国がその親玉格であるイランと親イラン勢力を抑止する番だと。
日本はどうすべきか。現在の日本は、その経済力に見合うような中東問題への介入能力や戦略的能力を持ち合わせていない。
日本としてできることは、「中東は米国に任せた。日本は中国をにらんだ東アジアでの軍事的な抑止力強化に一層取り組んでいく」と表明することだと、ルトワック氏。
台湾有事を想定した場合、日本の潜水艦隊は台湾周辺での制海権確保で枢要な役割を果たすはずだと。
岸田政権が、かつての内閣がなしえなかったことに踏み込んだ取り組みをしている偉業は、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の見直しと、防衛予算のGDP比 2%への取り組みです。
国内経済不振で、対外覇権拡大で支持率確保を狙う習近平。
台湾併合という、毛沢東が国共内戦で未達だった核心を達成しようと動き始めているのは、衆知の事実。
それへの抑止力の強化は日本の喫緊の課題。
岸田政権の実現力が求められます。
# 冒頭の画像は、松野官房長官
岸田首相 「防衛装備移転三原則」見直し 検討加速を指示 | NHK | 自衛隊
この花の名前は、リュウノウギク
↓よろしかったら、お願いします。