遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平の今回の外遊は成果が無かったのか

2015-09-30 23:58:58 | 中国 全般
 習近平の訪米と国連演説の今回の外遊の成果については、辛口の評価が多いですね。注目されたポイントは、低迷を始めた中国経済、南シナ海での不法な領土主張、米中のサイバー戦争の攻防です。
 中国経済については、いまだ世界一の成長率だと強弁し、米国には旅客機300機の発注の大盤振る舞い、国連には途上国支援として10億ドル(約1,200億円)の「中国・国連平和発展基金」創設、アフリカ連合には、1億ドル(約120億円)の無償軍事援助の提供による危機対応部隊などの設置支援のほか、中国が8,000人規模の国連平和維持活動(PKO)待機部隊創設を表明しました。外貨準備金を食いつぶして国内経済や株価下落を支えているなかから、相変わらずの札束外交を展開しました。
 南シナ海の暴挙とサイバー戦争については、国内指向が強く対中輸出を重視するオバマ政権ですが、ローマ法王の訪米とブッキングさせるなど、冷ややかな対応を見せ圧力をかけたオバマ政権でしたが、習近平は自国の権益を主張し、平行線のままでした。

 
習主席「国連基金」創設を表明…10億ドル規模 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 
習氏、外遊終了 成果乏しく (9/30 産経)

■「新秩序構築」理解されず/ローマ法王に注目奪われ
 中国の習近平国家主席は29日、公式訪米と国連総会参加の日程を終えて帰国した。対米関係にとどまらず、世界規模でも、
「新型関係」を掲げて中国主導の新たな秩序構築を訴える外遊となったが、巨額の補助金を約束されたアフリカなど途上国を除き、米国や各国指導者の理解を得るには至らなかった
ようだ。

 最後の主要日程となった国連総会一般討論での演説で、習氏は「東洋の主戦場として、中国は死傷者3500万人の民族的犠牲の上で、日本軍国主義の主力を破った」と述べ、「反ファシズム戦争」での「戦勝国」の地位を強調した。
 その上で、
平和や自由を掲げた国連憲章の理想が実現していないとして、習氏が掲げる「新型国際関係」という新たな国際秩序の構築を訴えた

 演説の中で、習氏は新たな国際秩序の柱として「
領土主権の不可侵」などを提起
。当事国による相互の利益分配を重視した。
 これは習氏が対米関係を再構築する上でワシントンに呼びかける「新型大国関係」とも共通する。米中、多国間とも、
中国は現在の戦後秩序を「米国主導」の不平等なものととらえ、中国主導の秩序構築を訴えている
ことが、この外遊でより明確に示された形だ。
 ただ、国連での演説で、習氏は「みだりに武力に訴えるのは覇道のやり方だ」と暗に米国を批判した一方で、
「中国は永遠に勢力範囲を求めない」と発言。南シナ海での中国の人工島建設に懸念を強める国際社会の認識との距離を見せた

 こうした
中国独特の認識や思考法について、米ハーバード大学のマーク・エリオット教授は、米メディアが報じたブルッキングス研究所での発言で、「中国の民族文化が内包している帝国型の思考」と呼び、米国の指導者が外交政策を立案する中で留意すべき点
だと警告した。

 習氏の訪米はローマ法王訪米の熱狂でかすみ、中国が求めたとされる米議会での演説や、新たな米中コミュニケの締結にも至らなかった。本格的な米中外交は、来年選出される次期米大統領に委ねられる。(山本秀也)

 中国発の世界株安を引き起こした負い目を持ち、南シナ海でも突っ込まれどころ満載の暴挙の防戦を強いられる習近平と、外交下手のオバマ大統領との対談が注目されましたが、オバマ大統領は冷遇で接しましたが、追及しきれず平行線で逃げ切られてしまった結果でしたね。
 

猜疑心かき立てる米中首脳会談 (9/30 産経 【正論】杏林大学名誉教授・田久保忠衛 )

 案の定、米中首脳会談は不首尾に終わった
。両国がぶつかり合う主要なテーマは、サイバー攻撃と南シナ海問題の2つだ。前者は、米連邦職員と元職員2150万人の個人情報と数十億ドル分(約数千億円)相当の米企業秘密がハッキングされたという。
 歴史始まって以来、これ以上の大規模な窃盗事件はない。ところが、オバマ大統領も習近平国家主席も閣僚級の「ハイレベル対話」を創設することで合意した。失礼ながら笑わざるを得ない。

≪かなぐり捨てた「韜光養晦」≫
 習主席は共同記者会見で、あたかも人ごとのように「両国は協力を拡大し、紛争を回避しなければならない」と語っていた。言論、報道の自由を厳重に制限し、反体制派を徹底的に弾圧する
一党独裁政権がハッカーの正体を知らないはずはなかろう。オバマ大統領は習主席を追い詰めていない。


 
後者は自国の主張を言い合っただけで、何の妥協もなかった。大統領は記者会見で「率直に話し合った」と述べたから、激しく迫ったのだろうと思われる。スプラトリー(南沙)諸島で人工島の建設、軍事化を正しいと認める国などは世界でも稀(まれ)だろう。
 にもかかわらず
習主席は「南シナ海の島々は太古から中国の領土だ。自国の領土主権と合法的で正当な海洋権益を守る権利がある」と記者会見の場で言い放った
。昨年11月の首脳会談で軍同士の信頼醸成措置を構築するとの合意はでき、それに基づいて国際空域での軍用機行動規範は公表された。が、肝心の南シナ海に適用されるかどうかは決められていない。
 そもそも中国は、国際社会と協調して国を運営するのだと称し、「平和的台頭」を目指した筈(はず)ではなかったか。米政権はニクソン大統領以来、中国に適用してきた、国際社会のあらゆる分野に関係させようという関与政策が効果を上げ始めたと判断したのだろう。
 ブッシュ政権2期目のゼーリック国務副長官は「ステークホルダー(利害共有者)になってほしい」と呼びかけた。にもかかわらず
中国はトウ小平氏が唱えた「韜光養晦(とうこうようかい)」(姿勢を低くして強くなるまで待つ)をかなぐり捨ててしまった。


≪米紙の痛烈なオバマ批判≫
 米中首脳会談で
改めて明白になったのは、サイバーテロ、南シナ海、人権問題を批判する米国とそれに異を唱える中国との対立の構図だ。南シナ海に特定すれば、国際海洋法に従えと要求する米国に対し、中国は紀元前の常識を持ち出して対抗しようとする。「太古の時代」の領土を通用させようとしたら、世界が大混乱に陥ることなどは念頭にないらしい。国際合意は口先だけで、領土問題はあくまで2国間で解決すべしと説いてきた外交は、強力な軍事力を誇示して戦わずして勝つ戦略、孫子の兵法ではないか。

 
豹変(ひょうへん)した中国に対して、相変わらず責任ある「ステークホルダー」になってほしいと要請し続けてきたのはオバマ政権だ、と痛烈な批判をしたのはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙だ。会談当日の社説で保守系のこの新聞は、地域的覇権主義、最終的には世界大国になろうとしているライバルにはより強力な措置が必要だと説く
。これは敵対あるいは戦争よりも、協力のほうがはるかに得るところが多いと中国側に悟らせるためだという。
 具体的には南シナ海の人工島から12カイリの領海に米艦船を入れ、国際水域であることを示す。情報を盗んだ中国企業には制裁を科す、である。
行動に出ないのを相手の弱点と計算する中国は既成事実を積み重ねるので、違法の線を明確にし、誤解の余地を与えてはならない
と説く社説は説得力に富む。

≪安心できない尖閣問題≫
 
オバマ政権の、「話し合い」重視で何もしない政策が、中国だけでなく、世界各地に混乱の種をばらまいてきた
。WSJ紙はオバマ大統領を見放し、次期大統領に経済の回復と太平洋への展開を伴う防衛の再建を期待している。
 習主席はシアトルとワシントンの公開の場で「新型大国関係」を口にし、オバマ大統領はこれを事実上、黙認した。これまでにも同様の場があったが大統領は拒否していない。中国は紛争や対決の回避、核心的利益や主要な利害関係などの相互尊重、ウィンウィンの協力など6原則を示している。問題は中国が、「核心的利益」に尖閣諸島を入れているかどうかだ。
 一昨年4月に中国外務省副報道官は「核心的利益に属する」と述べ、速記録からこの部分を削除した。副報道官が失言したのであればその説明があるべきだが、ない。
オバマ大統領が尖閣諸島は日米安保条約の対象になると明言したから「心配無用」とのんきに構えていいか。いつか米中関係が好転したときに、中国側が1972年の上海共同コミュニケ
で台湾を扱ったように解釈の相違を認めようではないかと、持ちかけないともかぎらない。

 米中関係は日本の運命を左右する。猜疑(さいぎ)心を抱くなというほうが無理だ。(たくぼ ただえ)

 尖閣が「核心的利益」と口にした要人では、温家宝首相(当時)がいます。記事で指摘するのは、2013年4月の華春瑩副報道局長の公式発言ですが、速記録から削除したとは初耳です。政府機関紙を含め、度重なる公言は、実質「核心的利益」として扱っているということで、その様に理解・対処すべきです。
 
中国、尖閣は「核心的利益」と初めて明言  :日本経済新聞
 ついに中国が尖閣を「核心的利益」と公式に発言!その意味とは - NAVER まとめ

 前述したように、中国発の世界株安を引き起こした中国経済の低迷、南シナ海の暴挙といった負い目を抱えての外遊の習近平。しかし、米国にも、国連にも大きなおみやげを持参し、経済では世界一の成長率を維持している(真偽は疑わしい)と強弁し、南シナ海の領有についても自国領と主張をかえず、サイバー攻撃も痛み分けで交わし、終わってみれば、現状を容認させて潜り抜けています。劣勢を、攻撃は最大の防御と強弁することで交わしたのですね。つまり、習近平の外遊は、中国の現状政策を容認または黙認させることが出来、成功だったといえるのです。
 ここで橋頭保を築いた中国。WSJの社説が、「行動に出ないのを相手の弱点と計算する中国は既成事実を積み重ねるので、違法の線を明確にし、誤解の余地を与えてはならない」と説いているとのことですが、まんまと既成事実を積み重ねられてしまっています。

 幸いにして、安保法制が可決されました。グレーゾーンに対しては、まだまだ充実させねばならない点があります。尖閣の実効支配を堅持する具体的行動が急務です。それにつけても、翁長知事は、何処を向いて県政を行っているのでしょう?



 # 冒頭の画像は、会談後笑顔が消えた会見のオバマ、習近平両氏




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