遊爺雑記帳

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習氏のワンマン体制、景気対策の遅れに拍車

2023-09-15 01:33:55 | 中国 全般
 習近平への権力集中が今、深刻な景気減速への対応を遅らせる原因となっていると、WSJ。
 日常的な経済問題に対処する当局者はここ何カ月か会議を重ね、景気見通し悪化にどう対処するかを議論。切迫感は徐々に増していると。
 ただ、中国当局の幹部は大規模な景気刺激策を打ち出したり、重要な政策変更に踏み切ったりすることができずにいる。意思決定は習氏が主導権を握るようになり、当局者にはそれを行う十分な権限がないためだと、WSJ。
 景気の先行きに暗雲が垂れ込めているにもかかわらず、最高指導者の同氏はこれを心配する様子をほとんど見せず、新たな景気刺激策の導入を支持しているとも思えないとも。
 
習氏のワンマン体制、景気対策の遅れに拍車 - WSJ
中国当局者は不安にさいなまれるものの、政策変更に踏み込めず
 By Lingling Wei and Stella Yifan Xie (WSJと略称) 2023年 9月 12日

 中国の習近平国家主席は過去10年間、同国経済に対する共産党と自身の決定権を強めてきたその権力集中が今、深刻な景気減速への対応を遅らせる原因になっている

 
日常的な経済問題に対処する当局者はここ何カ月か会議を重ね、景気見通し悪化にどう対処するかを議論している。切迫感は徐々に増しているという。この問題をよく知る複数の関係者はそう話す。

 
ただ関係者によると、より大胆な措置が必要だとの中国の有力エコノミストらの助言にもかかわらず、中国当局の幹部は大規模な景気刺激策を打ち出したり、重要な政策変更に踏み切ったりすることができずにいる。経済に関する意思決定は習氏が主導権を握るようになり、当局者にはそれを行う十分な権限がないためだ

 関係者の話や習氏の公表された発言からすると、
景気の先行きに暗雲が垂れ込めているにもかかわらず、最高指導者の同氏はこれを心配する様子をほとんど見せず、新たな景気刺激策の導入を支持しているとも思えない

 ここ数週間、
中国不動産開発大手の1社が債務不履行(デフォルト)の瀬戸際に立ち、数十億ドル相当のローンやその他の債務が危機にひんする中で、政府は住宅購入促進策を拡大。それに先立つ過去数カ月には、小幅な利下げなど他の断片的な措置も講じている。

 エコノミストはこれらの措置は多少助けになるだろうし、景気刺激策が今後追加される可能性もあると話す。それでも、
多くの専門家が中国経済を十分安定させるのに必要だと考える水準には遠く及ばないのが実情だ。

 習氏が成長を再燃させよと明確に命じない限り、
地方政府の当局者は政策ミスの責任を問われかねないことを懸念し、多くは手をこまねいているそれが景気減速への対応の遅れに輪をかけている、とエコノミストは指摘する。

 党指導部への報道機関の問い合わせに対応している中国国務院(内閣に相当)新聞弁公室は、質問に回答しなかった。

経済への「不安」に覆われる会合
 世界2位の経済大国は
「ゼロコロナ政策」が終了し、今年初めに一時的に景気が回復したものの、その後は急激な減速に転じた製造業の活動は縮小し、投資は鈍化し、消費者心理は低迷。かつて活況を呈した不動産市場も苦境に陥っている

 この問題に詳しい複数の関係者によると、力強い経済回復を期待していた中国当局の幹部の間で、6月頃にはすでに危機感が高まっていたという。

 
国家経済計画の最高機関から金融・住宅当局に至るまで、政府の各部門エコノミストと少なくとも十数回にわたる非公開の協議を行い、助言を求めた。

 「会場には不安感が漂っていた」。
エコノミストの1人で、6月に二つの会合に出席した人物はそう語った。「成長を刺激するために政府は強力な措置を講じるべき、というのが招待された専門家たちのコンセンサスだった

 
だがその後数週間たっても、ほとんど何も起きなかった。経済に関する日常的な責務を負う、国務院をトップとする政府組織は、重大な政策上の動きには習氏の承認を得る必要がある。これは、国務院と政権ナンバー2の首相が経済政策の決定により大きな裁量を与えられていた以前の状況とは異なる

ワンマン支配の危険性
 
最高指導者が不動産市場の救済などの措置に明らかに消極的なことは、政権の優先課題が経済成長から国家安全保障など他の問題に移ったのではないかと懸念を募らせる国民をさらに警戒させている。事情に詳しい関係者によると、習氏の消極姿勢は緊縮を好む同氏のイデオロギーに根ざした部分があるという

 
政府による民間IT企業への長期にわたる締めつけに加え、外資系企業への規制強化の実施が、経済の弱体化につながったとする見方もある

 「
習氏に権力が集中する体制は、中国経済に対して(毛沢東の死後、鄧小平による改革開放政策が始まった)1978年以降みられなかった信頼感の危機を引き起こしている」。季刊誌「チャイナ・リーダーシップ・モニター」の編集長を務めるクレアモント・マッケナ大学のミンシン・ペイ教授はそう指摘する。

 
「中国の将来に国民が再び希望を抱くためには、経済を理解する人々に政策決定の権限を与える必要がある。鄧小平以降の歴代指導者がそうしてきたように」とペイ氏は言う。

 投資家や起業家の一部は、
習氏の腹心の1人である李強氏が今年初め、首相に就任した際、政権がビジネス寄りの成長志向の姿勢に変わるかもしれないと考えていた。李氏は上海市トップ(党委員会書記)を務め、投資家の間では現実主義者として知られる。

 
だがこうした期待感の多くはその後しぼんでしまった李氏と彼の率いるチームが、習氏の進める政治主導の政策課題に異を唱えることはまずないからだ

矛盾するメッセージ
 
6月になると、悪い経済データが積み重なっていった。中国経済界の著名人の一部は、より積極的な措置が必要だと公の場で発言し始めた。

 中国指導部の
上級経済顧問だったイン・ヤンリン氏は、中国経済が著しく弱体化しており、もっと強力な政策をためらうことなく導入すべきである、と公開討論会で指摘した。イン氏は「まるで歯磨き粉を絞り出すように」断片的な政策を導入することに警告を発した。

 中国の
著名エコノミストで、政府に助言してきた劉源春氏は、中国人民大学のシンクタンクが公表した報告書の中で、中国の若年層失業率が過去最高に達していることが深刻な問題を引き起こす可能性があると警告。同氏と共著者は、家計への補助金給付や民間部門を活性化させる措置を求めた

 
経済への懸念が高まる中、習氏は6月30日に党中央政治局の会議を開いた。だが会議の中心テーマはマクロ経済の問題ではなかったとみられ、政府に助言している中国人エコノミストの一部を失望させた。

 
国営新華社通信が明らかにした会議の公式資料によると、北京市の南に位置する「雄安新区」を環境に配慮したハイテク拠点に生まれ変わらせる習氏の開発計画を支援する政策措置に焦点が当てられた。習氏は2017年に初めて明かしたこの計画を「国家千年の大計」だと述べている。

 
数週間後、習氏著名な党支持者らとの会合に出席し、民間起業家に向けた「イデオロギーや政治の面での指導を強化してほしい」と要請した。これは民間部門に対して手綱を引き締め続ける意向の表れだと広く解釈されている。

 習氏は中国経済が問題に見舞われていることを認める一方、前向きな面を強調した。

 
「中国の景気回復ペースは世界主要国の中でもトップクラスだ」。中国の2023年上半期の経済成長率は前年同期比5.5%だった。ただし、この結果は年初の好調な経済活動によって押し上げられている。「長期的に良好なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は変わっていない」と同氏は述べた。

 
7月24日、習氏は中国経済を議論する党中央政治局会議を開催。会議後の公式声明は、大規模な景気刺激策を発表するのではなく、全体的な政策の継続性を指摘し、成長を支援するより的を絞った措置を導入することを示唆した。

 ある注目すべき変更点があった。
政治局の声明の中に「住宅は住むためのもので、投機の対象ではない」という習氏のスローガンが繰り返されることはなかった

 この部分が削除されたことで、下級官僚や地方政府が政策を緩和し、住宅購入を促進する余地が生まれた。とはいえ、彼らも急激な方針転換にはまだ慎重な姿勢を守っている。

 中国不動産開発大手の1社が債務不履行(デフォルト)の瀬戸際に立ち、数十億ドル相当のローンやその他の債務が危機にひんする中で、政府は住宅購入促進策を拡大。それに先立つ過去数カ月には、小幅な利下げなど他の断片的な措置も講じているのだそうです。
 ただ、多くの専門家が中国経済を十分安定させるのに必要だと考える水準には遠く及ばないのが実情だと、WSJ。

 習氏が成長を再燃させよと明確に命じない限り、地方政府の当局者は政策ミスの責任を問われかねないことを懸念し、多くは手をこまねいている。それが景気減速への対応の遅れに輪をかけている、とエコノミストは指摘いるのだそうです。

 「ゼロコロナ政策」が終了し、今年初めに一時的に景気が回復したものの、その後は急激な減速に転じた。製造業の活動は縮小し、投資は鈍化し、消費者心理は低迷。かつて活況を呈した不動産市場も苦境に陥っていると、WSJ。

 国家経済計画の最高機関から金融・住宅当局に至るまで、政府の各部門がエコノミストと少なくとも十数回にわたる非公開の協議を行い、助言を求めた。
 エコノミストの1人は、「会場には不安感が漂っていた」と。
 「成長を刺激するために政府は強力な措置を講じるべき、というのが招待された専門家たちのコンセンサスだった」のだそうです。

 だがその後数週間たっても、ほとんど何も起きなかった。
 国務院をトップとする政府組織は、重大な政策上の動きには習氏の承認を得る必要がある。
 国務院と政権ナンバー2の首相が経済政策の決定により大きな裁量を与えられていた以前の状況とは異なると、WSJ。

 最高指導者が不動産市場の救済などの措置に明らかに消極的なことは、政権の優先課題が経済成長から国家安全保障など他の問題に移ったのではないかと懸念を募らせる国民をさらに警戒させているのだとも。

 習氏の消極姿勢は緊縮を好む同氏のイデオロギーに根ざした部分があるのだそうです。

 政府による民間IT企業への長期にわたる締めつけに加え、外資系企業への規制強化の実施が、経済の弱体化につながったとする見方もあると、WSJ。

 「習氏に権力が集中する体制は、(毛沢東の死後、鄧小平による改革開放政策が始まった)1978年以降みられなかった信頼感の危機を引き起こしている」と、季刊誌「チャイナ・リーダーシップ・モニター」の編集長を務めるクレアモント・マッケナ大学のミンシン・ペイ教授。
 「中国の将来に国民が再び希望を抱くためには、経済を理解する人々に政策決定の権限を与える必要がある。鄧小平以降の歴代指導者がそうしてきたように」とも。

 投資家や起業家の一部は、習氏の腹心の1人である李強氏が今年初め、首相に就任した際、政権がビジネス寄りの成長志向の姿勢に変わるかもしれないと考えていた。
 だがこうした期待感の多くはその後しぼんでしまった。李氏と彼の率いるチームが、習氏の進める政治主導の政策課題に異を唱えることはまずないからだと、WSJ。

 中国指導部の上級経済顧問だったイン・ヤンリン氏は、中国経済が著しく弱体化しており、もっと強力な政策をためらうことなく導入すべきである、と公開討論会で指摘。断片的な政策を導入することに警告を発したのだそうです。

 著名エコノミストで、政府に助言してきた劉源春氏は、中国の若年層失業率が過去最高に達していることが深刻な問題を引き起こす可能性があると警告。同氏と共著者は、家計への補助金給付や民間部門を活性化させる措置を求めたのだそうです。

 経済への懸念が高まる中、習氏は6月30日に党中央政治局の会議を開いた。だが会議の中心テーマはマクロ経済の問題ではなかったとみられ、中国人エコノミストの一部を失望させたと、WSJ。

 数週間後、習氏は著名な党支持者らとの会合に出席し、民間起業家に向けた「イデオロギーや政治の面での指導を強化してほしい」と要請した。これは民間部門に対して手綱を引き締め続ける意向の表れだと広く解釈されているのだそうです。

 習氏は中国経済が問題に見舞われていることを認める一方、前向きな面を強調。
 「中国の景気回復ペースは世界主要国の中でもトップクラスだ」
 「長期的に良好なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は変わっていない」
 と。

 7月24日、習氏は中国経済を議論する党中央政治局会議を開催。大規模な景気刺激策を発表するのではなく、全体的な政策の継続性を指摘し、成長を支援するより的を絞った措置を導入することを示唆したのだそうです。

 そこでの政治局の声明の中に「住宅は住むためのもので、投機の対象ではない」という習氏のスローガンが繰り返されることはなかったと、WSJ。
 この部分が削除されたことで、下級官僚や地方政府が政策を緩和し、住宅購入を促進する余地が生まれた。とはいえ、彼らも急激な方針転換にはまだ慎重な姿勢を守っているのだそうです。

 低迷から抜け出せない中国経済。
 手詰まりで、追い込まれる習近平。
 しかし、景気の先行きに暗雲が垂れ込めているにもかかわらず、最高指導者の同氏はこれを心配する様子をほとんど見せてない。
 今日の経済大国を築いた改革開放経済を推進した、鄧小平の流れを継ぐ共青団派を一掃し、習近平へのイエスマンで固めた現政権。
 習近平に正確な現状情報が、とこまで届いているのか。経済の打開策の提言がどこまでなされているのか!



 # 冒頭の画像は、李強首相



 この花の名前は、トモエソウ


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