遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

強硬路線の習近平 世界から孤立化

2014-05-29 23:58:58 | 中国 全般
 習近平政権がスタートして 1年半、「民族の偉大なる復活の中国夢の実現」を唱え、1840年のアヘン戦争の敗北で始まった諸外国に侵略されてきた中国の屈辱的な歴史からの復活を目指し、中華思想の実現を目指してきました。
 小平から江沢民を経て、胡錦濤へと引き継がれてきた改革開放経済で世界第二位のGDPの大国に成長した中国経済を引き継いだ習近平は、軍事力の拡大を更に推進しながら、札束外交も進め、それらの力による現状変更を推進していることは、諸兄がご承知の通りです。
 がしかし、この急成長の間に生じた国内の問題(格差社会の拡大、民族対立の激化、共産党一党独裁の歪、環境悪化 etc.)が放置されたままで、随所で破綻の兆を表し始めてきました。
 習近平の敵は、海外だけでなく自国民とも言われる所以です。それに対し、更に強い力で抑え込もうとする習近平。そろそろ限界に近づいていると指摘する石平氏の記事があります。
 

行き詰まる習政権「悪夢の5月」 (5/29 産経 【石平のChina Watch】)

 今月22日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市の朝市で起きた史上最大の襲撃事件は国内外に大きな衝撃を与えた。それに先立ち5日には広州市でもウイグル人の犯行とされる襲撃事件が発生し、12日には同自治区のホータンで警察署に爆発物が投げ込まれた。政権発足以来、習近平国家主席が唱える「厳打高圧(厳しく打撃し高圧な姿勢で臨む)政策」の下でウイグル人に対する弾圧は、かつてないほど厳しくなってきたが、それが逆にウイグル人のより一層の激しい抵抗を招いた。弾圧すればするほど、受ける抵抗も激しくなるという強権政治の深いジレンマに、習政権ははまっている

 10万人の武装警察を同自治区に送り込み、事実上の戒厳体制を敷いても22日の大規模な襲撃を防ぐことはできなかった。
「厳打高圧政策」は完全に破綻している。習主席の指導力に対する疑問が政権内で広がることも予想され、彼の政治的威信は大いに傷つくことになろう。ウイグル人との泥沼の戦いでの最大の敗者は習主席自身
なのである。
 抵抗をしているのはウイグル人だけではない。今月12日、四川省宜賓市では男による放火で路線バスが爆発し、77人の負傷者が出た。4日後の16日、今度は安徽省樅陽県金渡村の共産党委員会の建物に村民が乱入して自爆し、村の党ナンバー2の主任を爆死させた。政権は「死への恐怖」を民衆に対する抑え付けの最後の手段に使っているが、
民衆がもはや死も恐れずに反乱を始めている
。これは政権にとって最も恐れるべき事態である。

 外交的にも習主席は大変な苦境に立たされている。5月初旬にベトナムとの係争海域で中国側の強行掘削に端を発した
中越衝突事件の発生以来、関係諸国の猛反発を受けて中国の孤立化が目立ってきている
からだ。
 
ケリー米国務長官は12日、「中国の攻撃的な行動を深く懸念している」と中国を名指しで批判した。16日、カーニー大統領報道官は記者会見において、中国の一方的な行動は「挑発的だ」とあらためて批判し、領有権争いをめぐるベトナムとの対立激化は中国側に原因がある
との考えを示した。アメリカは、中国とベトナムとの対立において完全にベトナム側に立つことになった。

 10日から開かれた
東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は、南シナ海での緊張の高まりに「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。ASEAN諸国が結束して中国を牽制(けんせい)する立場を示したといえる。拙速な掘削強行で中国はアメリカとの対立を深めただけでなく、東南アジア諸国から総スカンを食う結果となった。これはどう見ても、習政権の外交的大失敗
であろう。

 大失敗を何とか挽回すべく、習主席は21日に上海で開かれていたアジア信頼醸成措置会議で「アジアの安全はアジアの人民が守らなければならない」と演説し、アメリカの影響力を排して自国主導の安全保障体制づくりを進める「新アジア安全観」を提唱してみせた。
 しかしそれは会議の共同声明に盛り込まれることもなく単なる習主席の一方的な発言に終わった。そして今日に至るまで、
「盟友」のロシアを含め、習主席が唱える「新アジア安全観」に同調するような国は一つも現れていない

 
アメリカを排除して中国の主導権を確立しようとする習主席の甘すぎるもくろみは見事に外れた。


 こうしてみると、終わろうとしているこの5月は習主席にとってまさにショックと失敗の連続の「悪夢の1カ月」である。発足1年半余にして、習政権は早くも行き詰まりの様相を呈している。
 時代を逆行するこの政権の異様な強硬路線が長く続くはずもないのである。


 直近の事件で進行中なのが、パラセル(西沙)諸島での侵略。ベトナムも頑張っていて、現場での衝突は続いています。
 

中国船機関砲向け威嚇 南シナ海 ベトナム船を執拗追尾 (5/29 読売朝刊)

掘削施設まで6キロ
 【南シナ海パラセル(西沙)諸島沖=丸山修】中越が領有権を争う南シナ海・パラセル(西沙)諸島近くで、一方的な石油掘削を進める中国の公船は28日、ベトナム船に至近距離から機関砲を向けるなど、威嚇行動を繰り返した。
 記者が同乗した越沿岸警備隊の巡視船は28日朝、掘削施設に約6キロまで近づいた。中国側は、海警局(海上保安庁に相当)の公船など少なくとも8隻が包囲するように接近してきた。
 「挑発行為に対し、警告する」。巡視船はスピーカーからベトナム語、中国語、英語で繰り返し呼びかけるが、中国船が動じる気配はない。
1隻は、船体前方の機関砲を巡視船に向けたまま、約200メートルまで近づいた。もう1隻は放水銃のカバーを外し、臨戦態勢
に入った。
 越巡視船は後退したが、執拗な追いかけが続き、掘削施設から約15キロ離れて、ようやく威嚇はやんだ。越乗組員は「機関砲は航空機攻撃にも使う強力なもので非常に危険だ。我々もほぼ同じ機関砲を搭載しているが、(事態がエスカレートするのを避けるため)カバーで覆ったままにしている」と説明した。
 「(掘削施設の周辺海域に)120~130隻はいるんじゃないか」。レーダーを見ながら、越乗組員が話した。上空には中国の戦闘機とみられる航空機が飛行し、
南シナ海での海と空からの中国の実効支配の現実
を浮かび上がらせていた。

米の対中圧力強化 ベトナム首相期待 米上院議員と会談
 【バンコク=永田和男】ベトナムのズン首相は28日、ハノイで米上院のべン・カーディン外交委員会東アジア太平洋小委員会委員長と会談した。国営「ベトナムの声」放送(電子版)によると、ズン首相は中国が南シナ海で石油掘削を行っている問題で「米国には、国際法を無視する中国の行動を非難するため、より強い声を上げてほしい」と語り、
米国による一層の対中圧力への期待感
を示した。
 
カーディン委員長は「中国の挑発的行動には深刻な懸念を覚える」と指摘し、30日からシンガポールで開かれるアジア安全保障会議に出席した際、この問題を提起する考えを伝えた。

 米国議会が、対中強硬論に変わってきていることも、最近の変化です。
 
米国議会で日増しに強くなる対中強硬論 米中間の「新冷戦」が始まったのか:JBpress(日本ビジネスプレス)

 世界から孤立する中国。石平氏が指摘する、習近平の夢を実現させようとする大失政がもたらしたものです。
 国内では国民から孤立化し、世界の国々からも孤立化する習近平の力を使った政策がこれ以上続けられるのか。
 世界各国の世論、国内の人民の我慢が、いつまでそれを容認するのか。
 そろそろ限界点に近づいているのでしょうか。限界に達すると、何が起きるのでしょうか。

 権力集中を急ぐ習近平 - 遊爺雑記帳
 ウルムチ大規模爆発事件 4月に続き習氏の行動に連動 - 遊爺雑記帳



 # 冒頭の画像は、南シナ海でベトナム船に向けて放水する中国船。中央は中国海警の公船
 



  この花の名前は、アスクレピアス‘レッドバタフライ'


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