遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

チベットと台湾とブータンと中国

2008-03-23 16:12:34 | EEZ 全般
 

 チベットの争乱が広がりを見せる中、台湾では国民のみなさんは、親中の馬氏を220万票の大差で総統に選出しました。
 また、ブータンでは、100年の歴史を持つ絶対王制から議会制民主主義の立憲君主制へ移行をすすめており、24日に史上初の下院選が行われるのだそうです。
 中国内外の国境を接する地域や国で同時進行している政情は、中国のアジアの盟主意識の高まりと行動に影響されたものですね。
 
ブータン24日初の総選挙 議会制移行 手探り (3/22 読売朝刊)

 ヒマラヤ山脈の王国ブータンで24日、史上初の下院(定数47、小選挙区制)選が行われる。ジグメ・シンゲ・ワンチュク前国王(2006年退位)が主導した民主化の総仕上げとなるもので、100年の王政の歴史を持つ同国は、議会制民衆主義に基づく立憲君主制国家に移行する。

 「先生、足くじいちゃった。診ておくれ」
 標高2400?の首都ティンプーの選挙区から出馬した国民民主党のトプキャル・ワンチュクさん(41)が、「ゴ」と呼ばれる民族衣装で民家を訪ね、支持を訴えると、年配の女性が声をかけた。
医師のワンチュクさんは「今日は診察じゃないよ」と苦笑い。顔なじみが多く、お茶をご馳走になっていると、つい時間がたつ。
 選挙運動中は戸別訪問が中心。険しい山に囲まれ、民家が散在する同国では、拡声器を使用した街頭演説よりも、一軒一軒訪ねたほうが効率的なのだ。
 1972年に即位した前国王は、「小国存続のためには、国王一人に権力を集中させてはならない」と考えたとされ、自発的に民主化を進め、絶対王制から立憲君主制への道筋をつけた。今回の下院選挙は、国王の指示で結党された2政党の一騎打ち。国民民主党は、前国王夫人の兄が党首を務め、対する高徳党は元首相、閣僚経験者ら 5人が中心の政党だ。
 2党の政策は、前国王が「物質的豊かさよりも精神的豊かさを」として掲げた「国民総幸福」(GNH)の概念を重視する点で、方向性は同じ。このため、人物本位の選挙となりそうで、投票日が近づくにつれ。"ドブ板選挙"の様相が強まる。
 ただ、有権者は本籍地でしか投票できず、地方出身者が 8割を占める首都では、有権者を探すのに一苦労。ワンチュクさんの対抗馬で高徳党のウゲェン・ツェリン前労相(53)は、「金鉱を当てるのと同じ」と冗談交じりに話す。
 総選挙に先立ち、昨年末に行われた上院選前には、選挙を知らない国民のため、全国で「模擬投票」が実施されたが、立候補者や国民の間には戸惑いもあり、の手探りの状態だ。
 「民主化は国王からの贈り物だが、今までも幸せだった。王制を続けてほしいわね」。ティンプーの主婦ソーナムさん(55)はつぶやいた。

また、前国王は88年以降、民族衣装の着用と多数派仏教徒の優遇政策を強化した結果,迫害を恐れてネパールに逃れた約10万人のヒンドゥー教徒には今回、参政権がなく、課題も抱えている。

 国王が、小国の存続のために自発的に議会制民主主義に国家体制を移行しているのです。
 物質的豊かさより精神的な豊かさを優先し、幸福こそ人のそして国家の究極の目標とし、「世界一幸せな国ブータン」と世界から注目を集めているのだそうです。
 農業が主体の国ですが、インドへの電力輸出で経済も潤っているのだそうですが、人権問題もかかえています。(チベット仏教が国教)
 近隣の大国の侵略から逃れるための工夫がいろいろなされていて、国内の団結を図ろうとして人権問題を起こしながらも、民主化というキーで新たな国家体制に移行しようと言う決断には、成り行きが注目されます。
 中国の覇権拡大の波に飲み込まれないで、「幸せな国」としてこれからも存続できるよう願っています。

 
成熟した台湾民主化 中国総局長 河田卓司 (3/23 読売朝刊)

 今月14日のチベット暴動から 8日後の22日、チベットから東に数千キロ離れた台湾で行われた総統選で馬英九氏が当選し、国民党が再び政権に復帰することになった。軍・警察の厳戒がなを続くチベット、今回も直接投票で最高指導者を選んだ台湾。チベット暴動の衝撃の中で行われた今回の選挙は、台湾の民主化がこの十数年で成熟したことを象徴的に示した。
 1949年10月 1日、
毛沢東が新中国の成立を宣言した時、中国共産党が実効支配していなかったのがチベットと台湾、海南島などだった。共産党政権はチベットに対しては翌50年に人民解放軍を進軍させ、ラサを占領。59年には中国への反乱が起き、流血の騒乱の中で、ダライ・ラマ14世はインドに亡命した。
 一方、台湾には49年12月、蒋介石が逃げ込み、国民党が独裁体制を敷いて共産党に対抗した。しかし、80年代から民主化の動きが始まり、国民党政権の下で緩やかな民主化を続けた。大量の血を流すことのない「静かな革命」とも言えた。
 その頂点が96年の初の直接選挙による総選挙で、国民党の李登輝氏が選ばれた。次の2000年は民進党の陳水扁氏が当選し、初の政権交代を実現させた。そして 8年後の今回、有権者は「陳水扁の失敗」に灸をすえ、国民党に再びチャンスを与えた。
 全島を二分する激しい選挙戦を展開しつつ、 2回目の政権交代を平和的に実現して見せた光景は台湾の地に民主化が根付き、成熟の度を加えていることを示すものだった。
 
 チベット、台湾はともに中華世界の周縁部にあって、中国とどう付き合い、生き残っていくかが最大の課題だ。台湾の場合、民主化は、その姿を世界に示すことで中国に飲み込まれるのを防ぐ「生き残り戦略」の性格をもつ。
 今回、チベット暴動の直後、鮮やかに 2回目の政権交代をしてみせたことで世界に好感を与えたのは確実で、民主化を武器にした生き残り戦略の有効性を印象づけるものでもあった。
 中国の温家宝首相は18日の記者会見で、チベットと台湾について、「チベットも台湾も中国領土の不可分の一部だ」と声を強め、ダライ・ラマ、台湾双方に「一つの中国」原則の受入を迫った。

 しかし、対中融和派と言われる馬氏が圧勝したとはいえ、馬氏も「中華民国は主権独立国家」との立場だ。さらに流血のチベット鎮圧を目撃したいま、台湾の人々の中国への警戒心はさらに強まった。
 民主化した台湾は今後も生き残りのため、中国との距離を慎重に取り続けていくだろう。

 台湾も民主化することで、世界の世論を味方に付けて国を存続してきたのですね。
 ただし昨今の中国の国力増大により、世界の国々は中国との貿易の拡大を抜きに自国の経済成長を考えることが出来なくなり、「一つの中国」の踏み絵を強要され、台湾との国交を絶つ国も増えてきています。
 日本は勿論のこと、米国も中国のこのプレッシャーを無視できなくなってきています。
 温家宝首相は、チベットも台湾も中国の領土だと声を強めたとのことですが、内政に干渉するなと言うわけですね。
 今回の政権交代が、台湾に民主化が根付き成熟の度を加えているとの読売・中国総局長の論説です。お言葉を素人の遊爺が返すのは、的はずれなのかもしれませんが、そうなのでしょうか?
 陳政権の腐敗行為は確かに灸をすえねばならないものであり、米国の反対を押し切っての独立・国連加盟の国民投票は、中国を過度に刺激するもので、電子部品業界だけでなくあらゆる産業が中国進出により成長を成し遂げている産業界や、国民にとっては不安をかきたてるものであったことでしょう。この陳政権の政権交代を求める選択の結果がこの選挙結果で、民主化の評価は間違っているとは言えませんが、答えは台湾の将来にとって本当に良かったと後世でいえるものになるのでしょうか?中国が周到に準備し、仕組んだ道にはまっていることが、中国の歓迎振りから伺えるのは遊爺の考えすぎでしょうか?
 李登輝前総統が、台湾の総統に相応しい人物は、民主化を更に進める人でなくてはならないとし、軸のぶれる馬氏の資質は不的確とし、「謝氏が落選すれば台湾の民主化は20年後退する」と強調ていました。遊爺は、こちらの説の方が納得出来るのですが...。

 アジアの民主主義国のリーダーの日本は、ねじれ国会現象を産んで、何も決められず世界の動きから取り残され、選択した有権者がその責任を問われています。元は、反日日本人やそれを導く反日政治家やマスコミです。これらのリベラルや平和主義の名を語る反日家は、誰が誕生させ、誰がその活動資金を援助しているのでしょうか?しかも、その数は増えていて、世界中でも親中国政権が政権交代の勝利を勝ち得ています。
 毛沢東の日本に対する戦略として武力を使わない長期戦略を唱えていましたが、当然台湾に対してもその戦略は駆使されているものと考えるべきです。中国の覇権拡大戦術が、そこまで浸透してはいないことを願っているのですが...。
 今度の選挙結果は、李登輝前総統が言われ、遊爺も同感のような、台湾の民主化を後退させるものとの見方がはずれることを願っています。
 日台関係は、尖閣諸島のEEZに関する馬氏の発言に見られるように、厳しさを増してきますね。
 豪政権の日本から親中への転換同様、またひとつ、親日の国が親中に変わってしまいます。

 長くなりますが、チベットにも言及しなくてはなりません。
 中国からの独立は考えず、高度な自治を願うダライ・ラマのチベットは、どうすれば民族の存続を維持できるのでしょう。一党独裁国家ですから、民主化は国の基盤を崩壊させるもので、経済の自由化はすすめるものの、思想は独裁政権に従わねばなりません。
 台湾やブータンは、民主化で世界の国々の後ろ盾を得て、中国の牙から自国の存続を護っています。
 チベットが、世界の国々から加護を得るには、ダライ・ラマの各国の行脚だけで足りるのでしょうか?中国のダライ・ラマとの各国要人との面談への圧力は一段と強まっているようです。日本の様な、眉中政治家が面談しない国が増えることが懸念されます。
 ナンシー・ペロシ米下院議長は、ダライ・ラマを訪問面談して、国際社会に対し独立調査団の設置を求めるとし支援の手を差しのべようとしています。当然、中国は内政干渉として強く反発しています。
 国連で拒否権を持つ中国への調査団の入国が、誇り高い中華思想の国で実現出来るかは別として、調査団の設置が実現することで、民主化に変わる世界の国々からの加護になるのではないかと、遊爺は賛成します。
 米、独などがリーダーシップを取ってくれればと願っています。

 中国に物言えぬ国日本が、なにも動かないのは悲しい現実です。アジアの盟主の地位は、日本への信望は雪崩をうって崩れ、中国が覇権を拡大しています。



 

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6 コメント

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はじめまして (徒然暴言日記の管理人)
2008-03-23 18:01:32
 トラックバックありがとうございました。いずれじっくり寄らせていただきます。
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民主主義 (ハハサウルス)
2008-03-24 21:23:02
はじめまして、TB有難うございました。

台湾の総統選挙で馬英九氏が当選し、非常にがっくりきています。今後反日の動きが活発にならないことを祈るばかりですが、台湾の人々が選んだ結果ですから仕方がありません。親中派が政権を握ることで、民主化は遅々となることでしょう。これで、アメリカ大統領が民主党候補当選となると、日本はますます厳しい状況になりますが、よりによって福田首相であることが最大の不幸です。

国民党の支配下、1947年の二・二八事件で流された台湾人の血はわずか二週間で2万8千人と言われ、その後1949年中華人民共和国成立後に国民党が蒋介石以下丸ごと台湾に逃げ込む前のことですが、中国共産党によってではなく、国民党によって流された大量の血の存在を忘れてはならないと思います。台湾はあくまで台湾であると思うのですが、独立までの道のりは今後も長く厳しいものであることでしょう。

ブータンの民主化を何となく素直に喜べないのはなぜなのでしょう。王政で幸せならば無理に民主化しなくてもよいのではないかと思うのは、浅い考えなのかもしれませんが、そんな国があってもいいかなと。但し、それには指導者の資質が問われるので、やはり民主化は避けられないことなのでしょうね。
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退院しました (容子)
2008-03-26 19:21:09
遊爺さま

ご心配をお掛けいたしました。私昨日退院いたしました。内視鏡手術の割りに時間が掛かったようで、腫瘍があちこちに癒着していたようだったそうで、3時間も掛かってしまいました。

今後は、もっと健康管理に心がけようと思います。

先ずがご報告まで・・

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Re: 民主主義 (遊爺)
2008-03-30 16:10:20
ハハサウルスさん、こんにちは。

 中国、インド、パキスタンとその国境の小国や地域のハハサウルスさんのご見解、興味深く拝見させて頂きました。
 中国の狡猾さと、深慮遠謀は、残念ながら着々と成果をあげてきていますね。
 日本は、党利を最優先した国内の政局に明け暮れしていて、このままでは沈没してしまい易々と中共の支配下に収めてしまわれそうです。

> ブータンの民主化を何となく素直に喜べないのはなぜなのでしょう。

  ここまでの道のりを紐解くと、仰ることは理解できます。

> それには指導者の資質が問われるので、やはり民主化は避けられないことなのでしょうね。

 そのように考えますが、どの様な展開となるのか、今後に注目していきたいと思っています。選挙結果では、想定されたこととはいえ、1党独裁の結果が出ています。
 http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080329/asi0803290928001-n1.htm
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Re: 退院しました (遊爺)
2008-03-30 16:44:03
容子さん、退院おめでとうございます。

3時間の手術の結果、成功の由。心からお喜び申し上げます。
早速のblog記事も拝見させて頂いています。体力回復を優先され、ゆっくり復帰されますことを願っています。
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Re: はじめまして (遊爺)
2008-03-30 16:53:10
bougenさん、はじめまして。

沖縄のご出身なのですね。切り口鋭い文書に感心しました。これからもよろしくお願いします。
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