遊爺雑記帳

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諦めない露軍に「弾薬生産が追い付かぬ」と焦る米欧 終わりの見えない消耗戦、西側はどこまでウクライナを支援できるのか

2023-02-22 01:33:55 | ウクライナ全般
プーチンのウクライナ侵攻。当初の短期制圧のプーチンの目論見は崩れ、長期戦化し、NATO軍各国の支援を得るウクライナ軍の健闘もあり、また、NATO各国のロシアとの対決(第三次世界大戦)を回避する意向での、ウクライナ支援の兵器制限(長距離攻撃制限)もあり、戦局は一進一退。
 弾薬やミサイルは、ロシアが先に尽きるかと聞こえていましたが、米欧側も弾薬生産が追い付かないのだと!
 
諦めない露軍に「弾薬生産が追い付かぬ」と焦る米欧、ウクライナ戦争の正念場 終わりの見えない消耗戦、西側はどこまでウクライナを支援できるのか | JBpress (ジェイビープレス) 023.2.21(火) 国際ジャーナリスト・・木村正人

英首相「今こそウクライナへの軍事支援を倍増させる時」

 [ロンドン]ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の盟友ボリス・ジョンソン元英首相に突き上げられている
リシ・スナク英首相は18日、ミュンヘン安全保障会議で「戦争に勝つためにはウクライナはもっと大砲や装甲車、防空手段を必要としている。今こそ軍事支援を倍増させる時だ。今後数カ月で昨年と同規模の装備を提供する」と演説した

 「
日を追うごとにロシア軍は(ウクライナに)さらに大きな痛みと苦しみを与えている。この状況を変えるにはウクライナの勝利しかない。英国は世界で初めてウクライナに戦車を提供し、パイロットと海兵隊員を訓練する国になったばかりだ長射程の兵器を提供する最初の国になるのもロシアが間違っていることを証明するためだ

 
英紙タイムズ対艦ミサイルのハープーン(射程約240キロメートル)や空中発射巡航ミサイルのストームシャドウ(同約560キロメートル)を含めるべきかどうか話し合いが行われていると報じている。実現すればウクライナ軍がクリミア半島を射程にとらえることができるが、戦争のエスカレートを警戒するバイデン米政権が首を縦に振るかどうか。

 
英国政府は6月にロンドンでウクライナ復興会議を主催する翌7月、リトアニアの首都ビリニュスで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に先立ち、英国は同盟国やパートナーを集めて、ロシアの将来の侵略からウクライナを守ることを支援する新しい安全保障上の憲章をビリニュスで打ち立てることを促したいという

独外相「占領を認める形で停戦すれば国際秩序と国際法が終わる」
 フランスの
エマニュエル・マクロン大統領ミュンヘン安全保障会議で「ロシアは戦争を選んだのだから対話の時はまだ来ていない。戦争犯罪にも手を染めた。ロシアはこの戦争に勝てないし、勝ってはならない」と述べ西側はウクライナ戦争の長期化に備える用意があることを強調した。プーチン政権を崩壊に追い込んでもロシアは変わらないとの見方を示した。

 ロシアがウクライナに侵攻して間もなく1年。ミュンヘン安全保障会議でのパネルディスカッションにはアントニー・ブリンケン米国務長官、ドイツのアナレーナ・ベアボック外相、ウクライナのドミトロ・クレーバ外相の3人が登壇した。

 ベアボック氏はロシアが空爆を止め、撤退しない場合、3つのポイントを意識する必要があると指摘する。

(1)ロシアは西側が疲弊し、国際社会が屈服することを望んでいる、(2)ロシアのウクライナ占領を認める形で停戦すれば国際秩序と国際法、つまり国連文化の終わりを意味する、(3)西側がウクライナを支援していなかったらブチャやマリウポリのような惨劇がウクライナ全土で繰り広げられていた恐れがある――ということだ。

 
ブリンケン氏は「ロシアが今日、軍を撤退させれば戦争は終わるウクライナが戦闘をやめればウクライナは終わる武力による領土奪取を正当化するような結果を招くことは世界中のあらゆる国の利益に反している。そんなことをすれば世界中でパンドラの箱を開けることになる」と力を込めた。ブリンケン氏は中国がロシアに武器を供与しないよう釘を刺した

NATO事務総長「ウクライナの弾薬消費率はわれわれの生産率より何倍も高い」
 
クレーバ氏は「私たちにとって短い勝利は領土の完全な回復だ。長い勝利は損害賠償、犯罪加害者の説明責任、最も重要なのはロシアが変わることだウクライナが欧州連合(EU)やNATOの一員になればロシアは変わる。ウクライナが完全に欧州大西洋地域の一部となることで欧州大西洋地域における耐久性のある安全保障が実現すれば問題は解決する」と訴えた。

 
ブリンケン氏によると、ロシア軍はウクライナでこの1年足らずの間に20万人もの死傷者を出した。ウクライナへの侵略戦争とウラジーミル・プーチン露大統領の方針には関わりたくないという理由で100万人ものロシア人が祖国を脱出した。ロシアでビジネスをしていた1000社以上の米国企業が撤退した。

 ノルウェー軍の事実上の最高司令官エイリク・クリストファーセン氏は1月下旬に「ウクライナ軍の死傷者はおそらく10万人以上だろう。加えて約3万人の市民が殺害された」との見方を示している。

 
ウクライナ戦争は長期戦の様相を呈し、消耗戦に陥っているNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は次のような懸念を示した。

「現在、
ウクライナの弾薬消費率はわれわれの生産率よりも何倍も高い。われわれの軍需産業は圧迫されている。例えば大口径弾薬の待ち時間は12カ月から28カ月に伸びた。今日注文しても納入は約2年半後になる。そのため生産力を増強し、生産能力に投資する必要がある

 NATOは武器・弾薬の備蓄目標を増やす計画だが、そう簡単にはいかない。

ウクライナ軍はNATOと旧ソ連時代の17種類の大砲を使用
 シンクタンク、
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のジャック・ワトリング上級研究員は英紙デーリー・テレグラフへの寄稿で「ウクライナ戦争は歴史的な紛争と比較して過剰な量の砲弾を使用しているわけではない。むしろ冷戦終結後のNATOの空洞化を端的に示している。武器・弾薬の生産引き上げはオン・オフでできるものではない」と指摘している。

 例えば砲弾の製造だけでも薬莢の鍛造、火薬の製造、増加発射薬の製造、信管の製造、充填の5つの工程からなる。ウクライナ軍はNATOと旧ソ連時代の17種類の大砲を使用しており、仕様が分からないものもある。砲弾は戦時下では大量に使用されるため納入価格はできるだけ低く抑えられる。軍需メーカーのインセンティブは大幅に低下するという。

 
ブリンケン氏も「武器・弾薬の生産ラインを再び稼働させるのは電気のスイッチを入れるように簡単ではない。努力と時間が必要だ。正直なところ兵器を製造する側も生産ラインを再開するのであれば6カ月で停止するようなことはないことを知りたがっている」と生産増強の難しさを語っている

 ロシアの国防問題に詳しい
米シンクタンク、ランド研究所のダラ・マシコット上級政策リサーチャーは米外交誌フォーリン・アフェアーズへの寄稿で「米欧がロシアを過大評価したように今度は過小評価する恐れがある。ロシア軍は重要な問題点を修正した。劣悪な計画を克服するため指揮系統を修正し、戦術の多くを変更した」とこの1年を振り返る。

「ロシアの作戦が崩壊すると言うのは早計だ」
 「
ロシアの作戦が崩壊すると言うのは早計だ。プーチンは長期戦に持ち込んでいるロシア軍は傷ついたとはいえ、複雑な作戦や適応学習、他に例を見ない激しい戦闘に耐える能力を備えている。ウクライナで大きな損失を被った後、陣地を固め、人員を増やし、ウクライナの反攻を難しくしている」(マシコット氏)

 
ロシア軍も失敗から学んでいるマシコット氏によると、ウクライナのエネルギーインフラを無力化する大規模なドローン(無人航空機)攻撃など複雑な作戦を実行している。ウクライナをほぼ無傷で手に入れようとした初期の段階では採用されなかった作戦だ。自軍の通信に影響を及ぼさずにウクライナ軍の通信を妨害する電子戦ツールも使用している。

 M142高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」(射程80キロメートル)による壊滅的な攻撃を受けた後、司令部や多くの兵站基地を射程圏外に移動させた。南部ヘルソン州ではドニプロ川右岸から撤退した後、多層防御を構築した。ロシア政府は長期戦に備えるため経済を徐々に戦時体制に移行させている。

ロシアの軍需産業基盤は経済制裁で疲弊しているかもしれないが、工場は無傷で、24時間体制で需要に応えようとしている。ミサイルは不足気味だが、対艦巡航ミサイルや防空ミサイルを再利用して在庫を増やしている。1月現在、ロシアの攻撃はウクライナのエネルギーインフラの約40%を損傷し、一時は1000万人以上の電力を停止させた」(マシコット氏)

ウクライナ軍が領土を大幅に奪還できることを示せるかがカギ
 
プーチンは不法に併合を宣言したルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン4州すべてを手に入れると明言し、「長い過程」を経る用意があることをほのめかしている。ロシア軍に詳しい米シンクタンク、海軍分析センター(CNA)ロシア研究プログラム部長マイケル・コフマン氏はポッドキャスト「ウォー・オン・ザ・ロック」でこう分析している。

ロシア軍の攻勢はすでに数週間前から始まっている。今年中に戦争が終わるとも、ウクライナへの西側支援に区切りが打たれるとも思わない。何かが起きるとしたら来年以降だろう。西側の軍事支援は夏ごろにピークを迎える。今後6カ月、あるいは8カ月でウクライナ軍が領土を大幅に奪還できることを示せるかがカギを握る」(コフマン氏)

 
英国における戦略研究の第一人者でイラク戦争の検証メンバーも務めた英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授はフォーリン・アフェアーズ誌で「戦争の根本的な問題は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しいということだ。ロシアはウクライナの社会経済構造を攻撃することで勝利への道を探っている」と指摘する。

ロシアは非効率的でコストのかかる戦略を取り続け、最終的にはその規模と犠牲を受け入れる覚悟がものを言うと考えている。これに対しウクライナの勝利への道はロシア軍を十分に後退させ、クレムリンに無益な戦争に乗り出したと思わせることにある。長距離システムの精度を活かしてロシアの補給線、指揮系統、兵力集中を叩く必要がある」という。

長距離兵器の供与に慎重なバイデン米政権
 しかし、
ハイマースから発射できる地対地ミサイル「MGM-140 ATACMS(エイタクムス、射程最大300キロメートル)」の供与について米国は備蓄が減ることを理由に慎重な姿勢を崩していない。ウクライナ軍が長射程の兵器でクリミアを攻撃すればロシアが戦争をエスカレートさせるとの懸念も根強い。

 そうした中、
2月20日、ジョー・バイデン米大統領は電撃的にウクライナを訪問。ゼレンスキー大統領と会談、ウクライナに5億ドル(約670億円)規模の軍事支援をさらに実施すると表明した。また対ロシア制裁を強化する考えも示した。

 だが、
焦点のMGM-140 ATACMSや、ウクライナが求める戦闘機の供与については、どのようなやり取りがあったのか、現時点では伝わってきていない

 
核戦争への拡大を恐れるあまり消耗戦が続けば、時間はプーチンに有利に働き、ウクライナとその国民は生殺しのような状態に追い込まれていく。プーチンは10年かけてチェチェンを制圧した。チェチェンの首都グロズヌイは瓦礫と化した。西側は戦車だけでなく長距離ミサイルや戦闘機の供与に踏み切れるのか、ウクライナ支援はジレンマに陥っている

 スナク英首相は18日、ミュンヘン安全保障会議で「戦争に勝つためにはウクライナはもっと大砲や装甲車、防空手段を必要としている。今こそ軍事支援を倍増させる時だ。今後数カ月で昨年と同規模の装備を提供する」と演説したのだそうです。
 
 マクロン大統領は、「ロシアは、戦争犯罪にも手を染めた。ロシアはこの戦争に勝てないし、勝ってはならない」と述べ、西側はウクライナ戦争の長期化に備える用意があることを強調したのだそうです。

 ブリンケン氏は「ロシアが今日、軍を撤退させれば戦争は終わる。ウクライナが戦闘をやめればウクライナは終わる。武力による領土奪取を正当化するような結果を招くことは世界中のあらゆる国の利益に反している。そんなことをすれば世界中でパンドラの箱を開けることになる」と力を込めたと。

 ウクライナ戦争は長期戦の様相を呈し、消耗戦に陥っている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は次のような懸念を示したのだそうです。
 「現在、ウクライナの弾薬消費率はわれわれの生産率よりも何倍も高い。われわれの軍需産業は圧迫されている。例えば大口径弾薬の待ち時間は12カ月から28カ月に伸びた。今日注文しても納入は約2年半後になる。そのため生産力を増強し、生産能力に投資する必要がある」と。

 米シンクタンク、ランド研究所のダラ・マシコット上級政策リサーチャーは、「ロシアの作戦が崩壊すると言うのは早計だ。プーチンは長期戦に持ち込んでいる。ロシア軍は傷ついたとはいえ、複雑な作戦や適応学習、他に例を見ない激しい戦闘に耐える能力を備えている。ウクライナで大きな損失を被った後、陣地を固め、人員を増やし、ウクライナの反攻を難しくしている」と。
 更に「ウクライナのエネルギーインフラを無力化する大規模なドローン(無人航空機)攻撃など複雑な作戦を実行している。ウクライナをほぼ無傷で手に入れようとした初期の段階では採用されなかった作戦だ。自軍の通信に影響を及ぼさずにウクライナ軍の通信を妨害する電子戦ツールも使用している。」
 「ロシアの軍需産業基盤は経済制裁で疲弊しているかもしれないが、工場は無傷で、24時間体制で需要に応えようとしている。ミサイルは不足気味だが、対艦巡航ミサイルや防空ミサイルを再利用して在庫を増やしている。1月現在、ロシアの攻撃はウクライナのエネルギーインフラの約40%を損傷し、一時は1000万人以上の電力を停止させた」とも。

 英キングス・カレッジ・ロンドンのローレンス・フリードマン名誉教授は、「ロシアはウクライナの社会経済構造を攻撃することで勝利への道を探っている」と指摘。「これに対しウクライナの勝利への道はロシア軍を十分に後退させ、クレムリンに無益な戦争に乗り出したと思わせることにある。長距離システムの精度を活かしてロシアの補給線、指揮系統、兵力集中を叩く必要がある」と。

 しかし、ハイマースから発射できる地対地ミサイル「MGM-140 ATACMS(エイタクムス、射程最大300キロメートル)」の供与について米国は備蓄が減ることを理由に慎重な姿勢を崩していない。

 2月20日、ジョー・バイデン米大統領は電撃的にウクライナを訪問。
 焦点のMGM-140 ATACMSや、ウクライナが求める戦闘機の供与については、どのようなやり取りがあったのか、現時点では伝わってきていない。
 
 核戦争への拡大を恐れるあまり消耗戦が続けば、時間はプーチンに有利に働き、ウクライナとその国民は生殺しのような状態に追い込まれていく。
 西側は戦車だけでなく長距離ミサイルや戦闘機の供与に踏み切れるのか、ウクライナ支援はジレンマに陥っていると、木村氏。

 支援疲れの声が聞こえ、コロナ禍で壊れた経済の立て直しも急務な各国首脳。
 今は未だウクライナ支援継続を申しあわせていますね。

 

 # 冒頭の画像は、ウクライナを訪問したバイデン大統領


 
  切り通し
 



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