北方領土については、プーチン大統領来日時に日本が進展の期待を勝手に膨らませていたものが見事にその期待を打ち砕かれた時から状況が悪化し、昨年の9月12日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムの壇上で、安倍晋三首相に突如「前提条件なしで年末までに平和条約を締結しよう」とプーチン大統領が言ったところから、安倍政権は 2島返還に政策転換。
しかし今では、プーチン大統領に 1島も返す意思がないことが明らかになるに至っています。
新潟県立大学の袴田教授とともにロシア情勢の双璧の北海道大学の木村名誉教授は、そんなロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない安倍政権の姿勢を、近頃の日本で分からないことのひとつであると評しておられます。
安倍首相は、プーチン氏との首脳会談を25回も行っているが、露大統領が訪日したのは唯の 1回のみ。その他は第三国でなければ、首相の方がロシアへ出かけた。外交での「相互主義」主義から大きく逸脱し、「参勤交代」にたとえて批判する声すら生まれているとの木村名誉教授の指摘。
今回のG20での首脳会談に向けて、プーチン大統領は「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」ことを、前もって示唆、会談の主導権を握ろうとしていると。
領土保全を第一義とするチェキスト(KGB要員)としての彼には、日本に領土を引き渡す意図は全くなかった。しかも、現在のプーチン大統領には、日本とディールする意図も、能力も共に存在しないとも。
なぜならば、彼の国内での支持率が低下傾向を示し、自身のサバイバル(生存)が彼の何よりの関心事となっているからだと。
「日米安保条約の存在が日露間の平和条約締結を妨げている」との無理難題を言いだしているのは、支持率低下で能力がなくなっている実情を隠そうとしていると木村名誉教授。
とはいえ、プーチン大統領は、日本との接触それ自体を拒否する気は毛頭持たない。なぜか?
ひとつは、対米、対中牽制の外交カードとして、日本との関係改善のジェスチャーを誇示しようと欲しているから。
もうひとつは、G7の経済制裁下で苦しんでいる現ロシアは、日本の支援を喉から手が出るほど欲しているからだと。
遊爺がいつも唱えているのは、現行の主力ガス田資源の枯渇に向け、北極圏や極東の新規開発を迫られているロシア。
技術力と実績のある日本の参画を期待し、三井物産と三菱商事の出資を要請中なのだそうです。
過去「サハリン2」の開発で、完成間近になって横取りされ痛い目にあわされた経験をしたにもかかわらず両社は前向きの姿勢。理由は、出資額の50~75%を、安倍政権が国費によって賄ってくれるから。
プーチン・ロシアは日本側に唯の 1島も引き渡す気配を示していない。そのことが明々白々であるにもかかわらず、安倍政権はロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない。
近頃の日本で分からないことのひとつと木村名誉教授は嘆いておられます。
全く同感。
台所が火の車。喉から手が出る程、投資や資源開発技術の支援が欲しい支持率低下のプーチン氏。
日本は急いで支援をしなくてはならない理由は全くありません。むしろ、支援をカードに領土返還を求めればよいのです。
領土返還なくして、国民の血税を注いで、私企業の利益に貢献する必要も、平和条約を締結する必要もありません。
北方領土交渉で、あれだけふりまわされコケにされているのに、ロシアへの経済投資や技術支援に固執する安倍首相の姿勢は理解出来ませんね。
繰り返しになりますが、G20時での日露首脳会談の事前牽制で、「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」とけん制しているプーチン大統領。
日本も、領土問題の進展なくして平和条約締結も経済支援の進展もありえないと突き離せばよいのです。
領土返還がないのなら、平和条約を締結する意義はないし、経済支援や技術支援をする必要もないのですから。。
# 冒頭の画像は、「サハリン2」
この花の名前は、エゾノツガザクラ
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しかし今では、プーチン大統領に 1島も返す意思がないことが明らかになるに至っています。
新潟県立大学の袴田教授とともにロシア情勢の双璧の北海道大学の木村名誉教授は、そんなロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない安倍政権の姿勢を、近頃の日本で分からないことのひとつであると評しておられます。
【正論】プーチン氏来日に「土産」は不要 北海道大学名誉教授・木村汎 - 産経ニュース 2019.6.21
20カ国・地域(G20)の首脳会議が、6月28~29日、日本で初めて開催される。紙面の限られた小稿では、同会議のすべての参加国、全議題の推移についてカバーしえない。しかも、この種の会議では、公式行事での多国間討議よりも、その合間を縫って行われる準公式、いや非公式な接触や情報収集がより重要な機能を演じる。そのためにこそ、多忙極まる各国の首脳たちが遠路を物ともせず馳(は)せ参じるのだろう。
以上の理由から、筆者は本稿の焦点を次の一点に絞りたい。今度のG20開催を活用して安倍晋三首相は、ロシアのプーチン大統領との間で、停滞中の日露関係に果たして活路を開きうるのか。
≪議長国の有利性を活用せよ≫
安倍首相は、プーチン氏との首脳会談を25回も行っているが、露大統領が訪日したのは唯(ただ)の1回のみ。その他は第三国でなければ、首相の方がロシアへ出かけた。外交では、「相互主義」の厳守が肝要。スポーツの世界でも、「ホーム」は「アウェー」に比べさまざまな点で有利だからである。にもかかわらず、訪露を一向に躊躇(ちゅうちょ)しないために「参勤交代」にたとえて批判する声すら生まれている。
だが、今度のG20会議は異なる。日本が名実ともにホスト国、安倍首相こそが議長役を務める。極論すれば彼こそが、議事次第、発言の順序、食事会や写真撮影の際の序列、その他を事実上、決定する。その際国名のABC順とは必ずしもゆかないだろう。日本が同盟関係を結んでいる米国、先進7カ国(G7)を優遇して当然だろう。太平洋諸国のオーストラリアやインドも厚遇すべきである。
では、例えばプーチン大統領、習近平国家主席の一体どちらに先に発言権を与えるべきなのか。このことが帯びる象徴的な意味は小さくない。昨年9月ウラジオストク開催の「東方経済フォーラム」でプーチン氏は、同会議への常連参加者である安倍首相を差しおいて、初参加の習主席を何かにつけて厚遇する手法を露骨に示した。
≪交渉進展の意図も能力もなし≫
右のような儀式上のことよりもはるかに重要なのは、G20を利用して日露両首脳が行う個別会談の中身だろう。プーチン大統領は「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」ことを、前もって示唆している。例えば6月6日、外国通信社幹部らとの会見で、同大統領は明言した。「日露間の国境画定問題は複雑な過程であり、私もしくは安倍首相が明日にでも解決できる。私は、このようには言えないのだ」
安倍首相は昨年11月、「1956年の日ソ共同宣言を基礎にして平和条約交渉を加速化しよう」とわが国が採ってきたこれまでの対露政策を大転換させた。そのような譲歩にもかかわらず、プーチン大統領は唯の1島ですら日本に「引き渡す」意図を毛頭持たない様子である。
かつてのプーチン大統領はもし彼が決心しさえするならば、日本に領土を引き渡す実力を、日本の一部評論家が主張するように保持していたかもしれない。仮にそうだったにせよ、領土保全を第一義とするチェキスト(KGB要員)としての彼にはその意図は全くなかった。現在のプーチン大統領には、日本とディール(取引)する意図も、能力も共に存在しない。
なぜならば、彼の国内での支持率が低下傾向を示し、自身のサバイバル(生存)が彼の何よりの関心事となっているからだ。そのような実情を隠そうとして、彼は「日米安保条約の存在が日露間の平和条約締結を妨げている」との無理難題をその口実に用いているのだ。
≪経済的支援引き出しには熱心≫
だが他方、プーチン大統領は、日本との接触それ自体を拒否する気は毛頭持たない。なぜか? 対米、対中牽制(けんせい)の外交カードとして、日本との関係改善のジェスチャーを誇示しようと欲しているからだ。加えてG7の経済制裁下で苦しんでいる現ロシアは、科学技術大国、日本の支援を喉から手が出るほど欲している。
例えば北極圏のロシア領内での液化天然ガス(LNG)開発事業に関して、三井物産と三菱商事の出資を要請中だ。両社はかつてのエリツィン時代、ロイヤル・ダッチ・シェルと組んで「サハリン2」プログラムに対し100%の株式を取得していたはずだった。ところがプーチン新大統領の介入によって、ロシア国営のガスプロムに対して過半数51%の株を譲渡することを強制された。
このような苦い経験を持つにもかかわらず、三井物産と三菱商事は再びLNG開発協力に積極的姿勢を示している。というのも、今回は安倍政権の後押しがあるからだ。すなわち両社が参加を決める場合、出資額の50~75%は国費によって賄われることになる。
プーチン・ロシアは日本側に唯の1島も引き渡す気配を示していない。そのことが明々白々であるにもかかわらず、安倍政権はロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない。近頃の日本で分からないことのひとつである。(きむら ひろし)
20カ国・地域(G20)の首脳会議が、6月28~29日、日本で初めて開催される。紙面の限られた小稿では、同会議のすべての参加国、全議題の推移についてカバーしえない。しかも、この種の会議では、公式行事での多国間討議よりも、その合間を縫って行われる準公式、いや非公式な接触や情報収集がより重要な機能を演じる。そのためにこそ、多忙極まる各国の首脳たちが遠路を物ともせず馳(は)せ参じるのだろう。
以上の理由から、筆者は本稿の焦点を次の一点に絞りたい。今度のG20開催を活用して安倍晋三首相は、ロシアのプーチン大統領との間で、停滞中の日露関係に果たして活路を開きうるのか。
≪議長国の有利性を活用せよ≫
安倍首相は、プーチン氏との首脳会談を25回も行っているが、露大統領が訪日したのは唯(ただ)の1回のみ。その他は第三国でなければ、首相の方がロシアへ出かけた。外交では、「相互主義」の厳守が肝要。スポーツの世界でも、「ホーム」は「アウェー」に比べさまざまな点で有利だからである。にもかかわらず、訪露を一向に躊躇(ちゅうちょ)しないために「参勤交代」にたとえて批判する声すら生まれている。
だが、今度のG20会議は異なる。日本が名実ともにホスト国、安倍首相こそが議長役を務める。極論すれば彼こそが、議事次第、発言の順序、食事会や写真撮影の際の序列、その他を事実上、決定する。その際国名のABC順とは必ずしもゆかないだろう。日本が同盟関係を結んでいる米国、先進7カ国(G7)を優遇して当然だろう。太平洋諸国のオーストラリアやインドも厚遇すべきである。
では、例えばプーチン大統領、習近平国家主席の一体どちらに先に発言権を与えるべきなのか。このことが帯びる象徴的な意味は小さくない。昨年9月ウラジオストク開催の「東方経済フォーラム」でプーチン氏は、同会議への常連参加者である安倍首相を差しおいて、初参加の習主席を何かにつけて厚遇する手法を露骨に示した。
≪交渉進展の意図も能力もなし≫
右のような儀式上のことよりもはるかに重要なのは、G20を利用して日露両首脳が行う個別会談の中身だろう。プーチン大統領は「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」ことを、前もって示唆している。例えば6月6日、外国通信社幹部らとの会見で、同大統領は明言した。「日露間の国境画定問題は複雑な過程であり、私もしくは安倍首相が明日にでも解決できる。私は、このようには言えないのだ」
安倍首相は昨年11月、「1956年の日ソ共同宣言を基礎にして平和条約交渉を加速化しよう」とわが国が採ってきたこれまでの対露政策を大転換させた。そのような譲歩にもかかわらず、プーチン大統領は唯の1島ですら日本に「引き渡す」意図を毛頭持たない様子である。
かつてのプーチン大統領はもし彼が決心しさえするならば、日本に領土を引き渡す実力を、日本の一部評論家が主張するように保持していたかもしれない。仮にそうだったにせよ、領土保全を第一義とするチェキスト(KGB要員)としての彼にはその意図は全くなかった。現在のプーチン大統領には、日本とディール(取引)する意図も、能力も共に存在しない。
なぜならば、彼の国内での支持率が低下傾向を示し、自身のサバイバル(生存)が彼の何よりの関心事となっているからだ。そのような実情を隠そうとして、彼は「日米安保条約の存在が日露間の平和条約締結を妨げている」との無理難題をその口実に用いているのだ。
≪経済的支援引き出しには熱心≫
だが他方、プーチン大統領は、日本との接触それ自体を拒否する気は毛頭持たない。なぜか? 対米、対中牽制(けんせい)の外交カードとして、日本との関係改善のジェスチャーを誇示しようと欲しているからだ。加えてG7の経済制裁下で苦しんでいる現ロシアは、科学技術大国、日本の支援を喉から手が出るほど欲している。
例えば北極圏のロシア領内での液化天然ガス(LNG)開発事業に関して、三井物産と三菱商事の出資を要請中だ。両社はかつてのエリツィン時代、ロイヤル・ダッチ・シェルと組んで「サハリン2」プログラムに対し100%の株式を取得していたはずだった。ところがプーチン新大統領の介入によって、ロシア国営のガスプロムに対して過半数51%の株を譲渡することを強制された。
このような苦い経験を持つにもかかわらず、三井物産と三菱商事は再びLNG開発協力に積極的姿勢を示している。というのも、今回は安倍政権の後押しがあるからだ。すなわち両社が参加を決める場合、出資額の50~75%は国費によって賄われることになる。
プーチン・ロシアは日本側に唯の1島も引き渡す気配を示していない。そのことが明々白々であるにもかかわらず、安倍政権はロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない。近頃の日本で分からないことのひとつである。(きむら ひろし)
安倍首相は、プーチン氏との首脳会談を25回も行っているが、露大統領が訪日したのは唯の 1回のみ。その他は第三国でなければ、首相の方がロシアへ出かけた。外交での「相互主義」主義から大きく逸脱し、「参勤交代」にたとえて批判する声すら生まれているとの木村名誉教授の指摘。
今回のG20での首脳会談に向けて、プーチン大統領は「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」ことを、前もって示唆、会談の主導権を握ろうとしていると。
領土保全を第一義とするチェキスト(KGB要員)としての彼には、日本に領土を引き渡す意図は全くなかった。しかも、現在のプーチン大統領には、日本とディールする意図も、能力も共に存在しないとも。
なぜならば、彼の国内での支持率が低下傾向を示し、自身のサバイバル(生存)が彼の何よりの関心事となっているからだと。
「日米安保条約の存在が日露間の平和条約締結を妨げている」との無理難題を言いだしているのは、支持率低下で能力がなくなっている実情を隠そうとしていると木村名誉教授。
とはいえ、プーチン大統領は、日本との接触それ自体を拒否する気は毛頭持たない。なぜか?
ひとつは、対米、対中牽制の外交カードとして、日本との関係改善のジェスチャーを誇示しようと欲しているから。
もうひとつは、G7の経済制裁下で苦しんでいる現ロシアは、日本の支援を喉から手が出るほど欲しているからだと。
遊爺がいつも唱えているのは、現行の主力ガス田資源の枯渇に向け、北極圏や極東の新規開発を迫られているロシア。
技術力と実績のある日本の参画を期待し、三井物産と三菱商事の出資を要請中なのだそうです。
過去「サハリン2」の開発で、完成間近になって横取りされ痛い目にあわされた経験をしたにもかかわらず両社は前向きの姿勢。理由は、出資額の50~75%を、安倍政権が国費によって賄ってくれるから。
プーチン・ロシアは日本側に唯の 1島も引き渡す気配を示していない。そのことが明々白々であるにもかかわらず、安倍政権はロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない。
近頃の日本で分からないことのひとつと木村名誉教授は嘆いておられます。
全く同感。
台所が火の車。喉から手が出る程、投資や資源開発技術の支援が欲しい支持率低下のプーチン氏。
日本は急いで支援をしなくてはならない理由は全くありません。むしろ、支援をカードに領土返還を求めればよいのです。
領土返還なくして、国民の血税を注いで、私企業の利益に貢献する必要も、平和条約を締結する必要もありません。
北方領土交渉で、あれだけふりまわされコケにされているのに、ロシアへの経済投資や技術支援に固執する安倍首相の姿勢は理解出来ませんね。
繰り返しになりますが、G20時での日露首脳会談の事前牽制で、「領土問題を解決しての日露平和条約交渉に当分進展がない」とけん制しているプーチン大統領。
日本も、領土問題の進展なくして平和条約締結も経済支援の進展もありえないと突き離せばよいのです。
領土返還がないのなら、平和条約を締結する意義はないし、経済支援や技術支援をする必要もないのですから。。
# 冒頭の画像は、「サハリン2」
この花の名前は、エゾノツガザクラ
↓よろしかったら、お願いします。