
サウジアラビアやロシアなど、主要産油国による石油相会合での増産凍結への期待がありました。希望的な期待の側面が強かったのですが、増産凍結の合意はなりませんでした。
産油国経済はもとより、消費国も含む世界経済全体のリスク要因は取り除かれないことになりました。
読売と日経が社説で取り上げていました。両方とも賛同できますが、読売の説が端的にポイントを押さえていると考えます。
原油価格の低迷が長引くリスクに警戒を :日本経済新聞
原油安の発端は、サウジが主導したものですが、目的は、米国のシェールオイルの台頭に対する、原油市場での主導権の維持とか、ロシアへの制裁とか、イラクとの対立とかが上げられていました。そこへ、中国経済の減速による需要減が重なり、制御不能の暴落状態となり、オイルマネーが株式市場から引き揚げられ、世界同時株安を招いたのでした。
そして、産油国経済も、世界全体の経済も低迷を始めました。その負のスパイラルからの脱出に向け、増産凍結に向けた産油国の合意が期待されたのですが、制裁を解除されて増産し自国経済の復興が急務のイランと、サウジの対立が解けず、会合へのイランの参加がならず、増産凍結の合意が先送りされました。
油田開発投資の低迷を招き、長期的な視野で原油の安定供給を危惧する日経の説には勿論、理はあります。
米国のシェールオイル開発企業の倒産が現実味をおびてきていて、金融恐慌を懸念する声もきかれますね。と言うか、原油価格安は、企業の生産活動や消費者のガソリンや原油由来製品消費にはプラスの面がありながら、むしろ、原油生産国の財政難を招き、世界同時株安など金融混乱を生じてしまっています。
サウジが原油安を仕掛けた目的は吹っ飛んで、サウジの首も絞めつけられ始めている。
もつれた糸をほぐすには、読売の社説が説く様に、対立を深めている、サウジとイランの歩み寄りを促すしかありません。
世界の警察の力を誇っていた米国が、その影響力を放棄している今、国内の倒産企業による金融恐慌の懸念をかかえる米国と、財政危機に陥っているロシアとが、自国の為にもサウジとイランの歩み寄りにひと肌脱ぐ事が望まれますね。
日本が果たせる決定的役割はみつからず、ただ波にもまれて翻弄されている現実が残念です。
# 冒頭の画像は、ドーハの会合に出席したサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相(中央)

センボンヤリ
↓よろしかったら、お願いします。







産油国経済はもとより、消費国も含む世界経済全体のリスク要因は取り除かれないことになりました。
読売と日経が社説で取り上げていました。両方とも賛同できますが、読売の説が端的にポイントを押さえていると考えます。
原油価格の低迷が長引くリスクに警戒を :日本経済新聞
産油国会合不調 価格安定へ増産凍結を急げ (4/19 読売 社説)
サウジアラビアやロシアなど、主要産油国による石油相会合が、増産凍結の合意を見送った。
原油価格の下落に歯止めをかけようと、生産量を今年1月の水準で据え置くことを目指していた。だが、増産方針を示しているイランの欠席にサウジが反発したため、結論が先送りされた。
6月に予定される石油輸出国機構(OPEC)総会まで、断続的に協議を続けるとしている。
原油価格の低迷は、産油国経済に悪影響を及ぼすだけでなく、消費国を含む世界全体のリスク要因となっている。
会合に参加した18か国の原油生産量は、世界の半分を占める。主要産油国は、増産凍結を含む価格安定の具体策について、合意形成を急がねばならない。
増産凍結の見送りを受け、1バレル=40ドル台前半で推移していた米国の原油先物相場は、30ドル台後半に下落した。
一段の原油安が金融市場の波乱要因になりかねないとして、投資家がリスク回避姿勢を強め、東京市場では円高・株安が進んだ。
石油消費国の日本にとって、原油安は本来、プラスになるが、今の局面は状況が異なる。景気回復がもたつく中、日本経済に及ぼす負の影響は軽視できない。
財政が逼迫ひっぱくした産油国が、オイルマネーを市場から引き揚げる動きを加速させ、世界的な株安を招くのではないか。そうした疑心暗鬼が広がりつつある。今後の市場動向に注意が必要だ。
産油国が合意できなかった背景には、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジと、シーア派大国のイランが繰り広げる中東の覇権争いがある。
サウジがシーア派の宗教指導者を処刑したことを契機に、両国が今年1月に国交を断絶するなど、対立は激化している。
サウジには、敵対するイランを利する内容での決着への抵抗感が強い。イランは、核開発を巡る米欧の経済制裁を1月に解除されて増産に踏み出したばかりで、凍結には乗りにくい。
合意を阻む複雑な要因を解きほぐすのは容易ではない。中東以外の産油国であるロシアと米国の役割は重要である。
原油安で、ロシアは通貨ルーブルの急落とインフレに見舞われ、マイナス成長に陥っている。米国も、シェールオイル油田の採算が悪化している。自国経済への影響にも留意して、サウジとイランに歩み寄りを促すべきだ。
サウジアラビアやロシアなど、主要産油国による石油相会合が、増産凍結の合意を見送った。
原油価格の下落に歯止めをかけようと、生産量を今年1月の水準で据え置くことを目指していた。だが、増産方針を示しているイランの欠席にサウジが反発したため、結論が先送りされた。
6月に予定される石油輸出国機構(OPEC)総会まで、断続的に協議を続けるとしている。
原油価格の低迷は、産油国経済に悪影響を及ぼすだけでなく、消費国を含む世界全体のリスク要因となっている。
会合に参加した18か国の原油生産量は、世界の半分を占める。主要産油国は、増産凍結を含む価格安定の具体策について、合意形成を急がねばならない。
増産凍結の見送りを受け、1バレル=40ドル台前半で推移していた米国の原油先物相場は、30ドル台後半に下落した。
一段の原油安が金融市場の波乱要因になりかねないとして、投資家がリスク回避姿勢を強め、東京市場では円高・株安が進んだ。
石油消費国の日本にとって、原油安は本来、プラスになるが、今の局面は状況が異なる。景気回復がもたつく中、日本経済に及ぼす負の影響は軽視できない。
財政が逼迫ひっぱくした産油国が、オイルマネーを市場から引き揚げる動きを加速させ、世界的な株安を招くのではないか。そうした疑心暗鬼が広がりつつある。今後の市場動向に注意が必要だ。
産油国が合意できなかった背景には、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジと、シーア派大国のイランが繰り広げる中東の覇権争いがある。
サウジがシーア派の宗教指導者を処刑したことを契機に、両国が今年1月に国交を断絶するなど、対立は激化している。
サウジには、敵対するイランを利する内容での決着への抵抗感が強い。イランは、核開発を巡る米欧の経済制裁を1月に解除されて増産に踏み出したばかりで、凍結には乗りにくい。
合意を阻む複雑な要因を解きほぐすのは容易ではない。中東以外の産油国であるロシアと米国の役割は重要である。
原油安で、ロシアは通貨ルーブルの急落とインフレに見舞われ、マイナス成長に陥っている。米国も、シェールオイル油田の採算が悪化している。自国経済への影響にも留意して、サウジとイランに歩み寄りを促すべきだ。
原油安の発端は、サウジが主導したものですが、目的は、米国のシェールオイルの台頭に対する、原油市場での主導権の維持とか、ロシアへの制裁とか、イラクとの対立とかが上げられていました。そこへ、中国経済の減速による需要減が重なり、制御不能の暴落状態となり、オイルマネーが株式市場から引き揚げられ、世界同時株安を招いたのでした。
そして、産油国経済も、世界全体の経済も低迷を始めました。その負のスパイラルからの脱出に向け、増産凍結に向けた産油国の合意が期待されたのですが、制裁を解除されて増産し自国経済の復興が急務のイランと、サウジの対立が解けず、会合へのイランの参加がならず、増産凍結の合意が先送りされました。
油田開発投資の低迷を招き、長期的な視野で原油の安定供給を危惧する日経の説には勿論、理はあります。
米国のシェールオイル開発企業の倒産が現実味をおびてきていて、金融恐慌を懸念する声もきかれますね。と言うか、原油価格安は、企業の生産活動や消費者のガソリンや原油由来製品消費にはプラスの面がありながら、むしろ、原油生産国の財政難を招き、世界同時株安など金融混乱を生じてしまっています。
サウジが原油安を仕掛けた目的は吹っ飛んで、サウジの首も絞めつけられ始めている。
もつれた糸をほぐすには、読売の社説が説く様に、対立を深めている、サウジとイランの歩み寄りを促すしかありません。
世界の警察の力を誇っていた米国が、その影響力を放棄している今、国内の倒産企業による金融恐慌の懸念をかかえる米国と、財政危機に陥っているロシアとが、自国の為にもサウジとイランの歩み寄りにひと肌脱ぐ事が望まれますね。
日本が果たせる決定的役割はみつからず、ただ波にもまれて翻弄されている現実が残念です。
# 冒頭の画像は、ドーハの会合に出席したサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相(中央)

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