遊爺雑記帳

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ホルムズ海峡周辺海域でのアメリカ海軍主導の有志連合 日本は加わるべきか?

2019-07-19 01:23:45 | 日本を護ろう
 米国とイランとの対立で、ホルムズ海峡周辺海域でのタンカーの航行の危険が高まり、日本とノルウェーのタンカーが攻撃されたり、イギリスとイランとが互いにタンカー攻撃をする事件が発生しました。
 関連海域の航行の安全確保の為、アメリカ海軍主導の有志連合の立ち上げが進められていて、日本からは在米大使館から会合参加をしています。

 イランとも親交がある日本は、安倍首相がイランを訪問し最高指導者のハメネイ師と会談しましたが、その時日本のタンカーが襲撃される事態が発生しました。
 米国とイランとの間に立つ日本は、同盟国の米国主導の有志連合に参加すべきか否か、悩ましい立場に立たされていますね。
 
 アメリカ追従は悪手、日本は独自に軍艦を派遣せよと説くのは、軍事アナリストの北村淳氏。
 
タンカー護衛の有志連合、日本は加わるべきか? アメリカ追従は悪手、日本は独自に軍艦を派遣せよ | JBpress(Japan Business Press) 2019.7.18(木) (北村 淳:軍事アナリスト)

 米国トランプ政権がイラン敵視政策を急速に強化している。

 
米国が現在目指しているのは、イランによるホルムズ海峡周辺海域での石油タンカー航行妨害阻止活動に数多くの国々を引き入れることにより、イランにとっての「敵」を増殖させつつ、自らの覇権を確保することだ。
 そのための具体策として、
アメリカ海軍主導の有志連合を形成して、ホルムズ海峡周辺海域ならびにバブ・エル・マンデブ海峡周辺海域でのパトロールならびにタンカー護衛活動を実施する構想を打ち出した。

米軍が表明した有志連合のアイデア
 アメリカ統合参謀本部議長(アメリカ軍人の最高位)ジョセフ・F・ダンフォード海兵隊大将は、多国籍海軍艦艇で形成される有志連合を結成して、ホルムズ海峡ならびにバブ・エル・マンデブ海峡というペルシア湾から原油を搬出するタンカーの死命を制するチョークポイントの周辺海域(以下「アラビア半島チョークポイント周辺海域」)でのタンカー護衛作戦を実施する計画を検討していることを公表した。

 要するに、イラン軍あるいはイランの息がかかったテロリストなどによるアラビア半島チョークポイント周辺海域での石油タンカーへの妨害活動を、アメリカ海軍が主導する多国籍海軍によって抑止あるいは排除しようというアイデアである。

 ただし、
トランプ大統領は「アメリカは他国のタンカーの安全を確保するといった割の合わない奉仕活動をする気はなく、自国のタンカーはそれぞれの国が自ら護衛するべきである」といった趣旨の考えを公言している。そのため、ダンフォード議長も「アメリカ軍は有志連合参加国艦艇に対する指揮統制の一部ならびにISR(諜報・監視・偵察活動)の一部を提供するが、アメリカ海軍は当該海域でのタンカー(注:もちろんアメリカに関連するタンカーは別である)の護衛はしない」と明言している。

 つまり、アメリカ海軍は指揮統制艦を派遣して有志連合参加国艦艇をコントロールしたり、アメリカ海軍の艦艇や哨戒機によるパトロールや、各種情報活動により得られた軍事情報の一部の有志連合参加国艦艇への提供は行うが、
アメリカ海軍艦艇がアメリカ以外の国のタンカーを直接護衛することはしない、というアイデアである。

 要するに、イラン軍をはじめアメリカに敵対する勢力によるアラビア半島チョークポイント周辺海域でのタンカー航行妨害活動を抑止・制圧する軍事作戦は、
あくまでもアメリカが取り仕切り、そのために必要な枠組みや軍事情報はアメリカが提供する。しかし、タンカー航行の安全確保はあくまでもそれぞれのタンカーに関連する国々が責任を持つ、というシステムをスタートさせようとしているのである。

即刻軍艦を派遣したインド
 下の図に示されているように、ホルムズ海峡を通航するタンカーの仕向地は、中国、インド、日本、韓国、アメリカ、シンガポールなどとなっている。そして、それらの国々に比べるとかなり少ない数のタンカーが、その他のアジア諸国やヨーロッパ諸国に向かってホルムズ海峡を通過している。
 

 アメリカが主張しているようにホルムズ海峡周辺海域でのタンカー航行妨害がイランあるいはイランの息のかかったテロリストにより実施されているとするならば、
最大の仕向地である中国に関連するタンカーは、現時点でのイラン中国関係ならびに米中関係を鑑みると、妨害攻撃対象からは外されることとなる。
 すると、
妨害攻撃対象となるタンカーの仕向地のうち最も数が多いのはインドに向かってホルムズ海峡を通航するタンカーということになる。

 その
インドは、本コラム(「海上自衛隊をアラビア半島周辺に派遣すべき理由」2019年6月27日)で紹介したように、日本とノルウェーのタンカーが攻撃されると、すぐさま自国のタンカーを護衛するために駆逐艦と沿海哨戒艦をオマーン湾に派遣した。

イギリスも軍艦を派遣
 そして、インドに引き続いて
イギリスも、イギリス関連タンカー保護のために軍艦を派遣している。

 
ただしイギリスの軍艦派遣理由は、インドのようにホルムズ海峡の通航量が多いからというわけではない。7月上旬、EUによるシリアに対する経済制裁を無視する形でシリアに原油を運搬しようとしていたイランのタンカーを、イギリス領ジブラルタル自治政府当局ならびにイギリス海兵隊がジブラルタル海峡で拿捕するという事件が発生した。この事件により、ホルムズ海峡を通航するイギリス関連タンカーが危険にさらされる可能性が高まったためである。

 実際にイギリス海軍当局の発表によると、7月10日、イギリスの石油会社が運用しているタンカーにイラン革命防衛隊の小型艇3隻が接近を企てた。ちょうど周辺海域を警戒中だったイギリス海軍フリゲート(モントローズ)がタンカーとイラン艇の間に割って入り、イラン艇は引き上げたという。

 イラン側はこのような事件の存在を否定しているが、イギリス政府はモントローズによる警戒を補強するために駆逐艦(ダンカン)も急派する決定を下し、現在ダンカンはペルシア湾に向け急行中である。

有志連合とは距離を置くインド
 理由はともあれ、以上のように
インドとイギリスはアメリカによる有志連合結成の呼びかけに先立って、自国に関連するタンカーを護衛するために、海軍艦艇をホルムズ海峡方面に派遣している。

 
イギリスは、アメリカ主導で実施されているアラビア半島周辺海域での多国籍海軍による各種作戦(CTF150、CTF151、CTF152、本コラム「海上自衛隊をアラビア半島周辺に派遣すべき理由」参照)でも中心的な役割を果たしているため、モントローズとダンカンがそのまま有志連合に参加する可能性は高い

 
しかし、インド海軍はアメリカ主導の有志連合には加わらず、このまま独自の海上護衛作戦を実施することになると思われる。なぜならばインド海軍はアメリカが取り仕切っている多国籍海軍の海洋安全保障作戦には参加しておらず、自律的に行動しているからだ。

トランプの頭にあるのは日本
 
中国とインドに引き続いて、極めて多数のタンカーがホルムズ海峡を抜けて日本に向かっている。そのためトランプ大統領が「自国のタンカーは自らの海軍で守るべきだ」と言った際に対象となっている国々の筆頭が日本であることには疑問の余地がない。

 仕向地の表でも明らかなように、日本に向かうタンカーの数はアメリカに向かうタンカーの数を上回っており、ヨーロッパ諸国へ向かうタンカーの総数よりも多い。

 日本に続いて数が多いのは韓国そしてシンガポールであるが、海上自衛隊と韓国海軍が保有するアラビア半島チョークポイント周辺海域での海上護衛活動に投入できる海軍戦力(海上戦闘艦艇や海洋哨戒機)を比較すると、海上自衛隊の方がはるかに強力だ。シンガポール海軍は比較しようもないほど弱体である。

 したがって、
アメリカ側が「自国のタンカーは自らが護衛しろ」と言う場合、念頭に置いている筆頭国が日本であることは誰の目にも明らかだ。

日本が軍艦を派遣するのは当然
 危険極まりない状況に直面しつつある
ホルムズ海峡周辺海域に日本が自衛隊艦艇を派遣して哨戒活動を実施し、日本関連タンカーの航行の安全を確保することは国際常識に則っている(バブ・エル・マンデブ海峡は日本にとってホルムズ海峡ほど使命を制されるチョークポイントではない)。

 イギリス海軍が運用している戦闘用水上艦艇合計42隻(航空母艦1隻、駆逐艦6隻、フリゲート13隻、沿海哨戒艦4隻、高速哨戒艇18隻)のうち、ホルムズ海峡周辺でのタンカー護衛任務に従事することができるのは駆逐艦とフリゲート合わせて19隻である。

 それに対して海上自衛隊が運用している戦闘用水上艦艇は54隻(ヘリコプター空母4隻、駆逐艦38隻、沿海哨戒艦6隻、高速ミサイル艇6隻)であり、ホルムズ海峡周辺海域に展開してタンカー護衛任務に従事することができるのは38隻の駆逐艦である。

 このように
海上自衛隊はイギリス海軍の2倍の派遣可能艦艇を手にしている。それにもかかわらず、日本の国益を左右する日本関連タンカーの護衛に自らの軍艦を派遣しないということは、政府・国会が国防の責務を放棄していることに他ならない

有志連合に加わる義務はない
 もしもホルムズ海峡方面に自衛隊駆逐艦を派遣することになった場合、必ずしもアメリカ主導の有志連合に参加させなければならないという義務はない。

 日本がインドと同じく、アメリカ海軍の枠組みに組み込まれずに、自律的に自国のタンカーを護衛することは十分可能である。この場合、インドと協定を結び、インド海軍ムンバイ軍港を海上自衛隊派遣艦の補給拠点として使用することが理想的である。

 
日本がアメリカが取り仕切る有志連合に加わると、実質的にアメリカの指揮下に組み込まれてイランとの軍事的対決姿勢を鮮明にしたことを意味してしまう。すなわち、日本はイランにとって名実ともに「敵対国」になるのである。
 したがって、アメリカがイランに対する軍事攻撃を敢行した場合には、日本も自動的に交戦国の一員にならざるを得ず、日本国内だけで通用する身勝手な論理など国際社会では通用しなくなる。

 世界各地で軍事力を振りかざして「覇権」を確保することがトランプ政権そしてアメリカの国益ということになるが、日本がアメリカの国益維持の手駒になる必要はない。
日本にとっては、どの勢力がタンカー妨害を企てているかにかかわらず、日本に関連するタンカーの航行の安全を確保するために軍艦を派遣すれば良いのである。したがって、インド同様に、自律的に駆逐艦を派遣して哨戒活動を実施する命令を海上自衛隊に発することが安倍政権に課せられた責務といえよう。

 有志連合を呼びかけている米国ですが、トランプ大統領は、「自国のタンカーはそれぞれの国が自ら護衛するべきである」と持論を展開。アメリカ統合参謀本部議長(アメリカ軍人の最高位)ジョセフ・F・ダンフォード海兵隊大将も、「アメリカ軍は有志連合参加国艦艇に対する指揮統制の一部ならびにISR(諜報・監視・偵察活動)の一部を提供するが、アメリカ海軍は当該海域でのタンカー(注:もちろんアメリカに関連するタンカーは別である)の護衛はしない」と明言しています。情報提供はするが、アメリカ海軍艦艇がアメリカ以外の国のタンカーを直接護衛することはしないということ。
 
 日本やノルウェーのタンカーが襲撃された時も、イギリスのタンカー(イギリス軍艦が自衛)の場合も、ウオッチはしていましたが、有志連合は形成前ですし手出しはしていませんね。

 ホルムズ海峡を通航するタンカーの仕向地は、中国、インド、日本、韓国、アメリカ、シンガポールなど。
 貿易戦争から世界の覇権争いにエスカレートし「新冷戦時代」と言われる米中関係で、トップの中国のタンカーを米国が護ることはない。また、日米とイランとの関係の隙を突いてイランに接近している中国がイランに攻撃されることもない。
 二番目のインドは、既に自国の軍艦を派遣済で、有志連合には加盟せず、自国のタンカーは自国で護る姿勢。
 となると、有志連合の対象は、日本向けのタンカーがトップとなります。

 しかし、前述のように、米国は情報提供はするが、実際の護衛活動は自国でと突き放しています。
 アメリカ側が「自国のタンカーは自らが護衛しろ」と言う場合、念頭に置いている筆頭国が日本であることは誰の目にも明らかと北村氏。
 
 海上自衛隊はイギリス海軍の2倍の派遣可能艦艇を手にしている。
 それにもかかわらず、日本の国益を左右する日本関連タンカーの護衛に自らの軍艦を派遣しないということは、政府・国会が国防の責務を放棄していることに他ならないとも。

 自衛隊のホルムズ海峡派遣については、集団的自衛権を巡り国会でも議論されましたが、現行法では、自衛隊法に基づく海上警備行動や、集団的自衛権の限定行使、特措法の制定が考えられます。海上警備行動では、自国のタンカーは護れても、多国のタンカーは助けられない。

 北村氏の主張は、インドと同じく、アメリカ海軍の枠組みに組み込まれずに、自律的に自国のタンカーを護衛すること。
 日本がアメリカの取り仕切る有志連合に加わると、実質的にアメリカの指揮下に組み込まれてイランとの軍事的対決姿勢を鮮明にしたことを意味し、日本はイランにとって名実ともに「敵対国」になる。
 日本にとっては、どの勢力がタンカー妨害を企てているかにかかわらず、日本に関連するタンカーの航行の安全を確保するために軍艦を派遣すれば良いと。

 トランプ大統領の、日米同盟に対する発言についても、このホルムズ海峡関連の発言についても、アメリカファーストの公約の実行であるのが基本ですが、安倍政権の憲法改定での自衛力強化の支援との声も聞かれます。これは考えすぎ?
 
 他方、明治大学准教授の飯田泰之氏は、ニッポン放送の番組・コージーアップで、有志連合への参画を推奨しておられました。
 兵法で包囲網を敷く場合、逃げ道を開けておく。完全に包囲すると、相手は死にもの狂いで抵抗するので被害が大きくなる。
 そこで、日本が逃げ道の労の役割を果たせばよいと。
 2019/07/18/木 06:50-07:37 | 飯田浩司のOK!Cozy up!Part2 | ニッポン放送 | radiko

 イランは各国に有志連合への不参加を呼びかけていますね。
 イラン、日本に不参加促す ホルムズ海峡の米有志連合

 日本と安倍首相は難しい選択を迫られています。



 # 冒頭の画像は、安倍首相とハメネイ師




  この花の名前は、大葉黄菫

 
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