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ウクライナは米国との間で、鉱物資源の権益に関する協定の枠組みについて合意した。ここで難しい問題が出てくると、WSJ。
ロシアとの戦争によって、ウクライナの重要鉱物鉱床の最大40%がロシアの支配下に置かれることになった。だが戦前でさえ、一部鉱物の探査活動が停滞し、インフラや鉱床の最新の地図すらなかったことが、ウクライナでの大規模な新規民間プロジェクトの大きな障害だったと、企業幹部やアナリストは指摘。
汚職や官僚主義的な手続き、煩雑な法制度、企業を狙った収奪行為の歴史はずっと前から、ウクライナのコモディティー(商品)セクターへの外国投資を阻んできたのだそうです。
「ウクライナでは、誰でもさまざまな手段で活動を妨害できる」。アベラナのウクライナ事務所長を務めるスモリン氏はこう語ったと、WSJ。
ウクライナの下級裁判所では特に司法の腐敗がはびこっている。そうした司法の腐敗のせいで審理が長引き、アベラナはその間に生産できなかったことで損失を被ったと、スモリン氏。
鉱物資源を巡る合意の詳細については、まだ調整中。トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は週内にワシントンで合意文書に署名する。
ウクライナには、米国が重要だと考える50種類の鉱物のうち、少なくとも20種類が埋蔵されているとみられているのだそうです。
その中にはリチウムやグラファイト、チタン、ウラン、レアアース(希土類)が含まれる。レアアースの潜在的価値は合計で何兆ドルにも及ぶとみられていると、WSJ。
エコノミストによると、ソ連崩壊以降、ウクライナの社会には汚職が広がり、判事がしばしば賄賂を受け取ったり、業者が入札を勝ち取るためにキックバックを約束しなければならなかったりするシステムが作られたのだそうです。
ベルリンに本拠を置く国際非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」の年次調査によると、ウクライナは腐敗認識指数ランキングで180カ国中105位。
公共サービス利用者のうち23%が過去1年間に賄賂を贈ったことが同調査で分かった。ロシアの順位はさらに低い154位。
シェルやシェブロンは10年以上前、埋蔵されているシェールガス資源を開発できるとの強い期待をもってウクライナに参入。
官僚的手続きによる障害や地元の反対、汚職の問題があったが、最終的には2014年のロシアによる最初のウクライナ侵攻によって行き詰まった。
シェブロンは2014年、100億ドル規模のシェールガス開発プロジェクトから手を引いた。政府による承認の遅れと規制面の障害が理由。
シェルは15年、ウクライナ東部での紛争と不適切なビジネス環境を理由にウクライナとの開発合意を白紙に戻したのだそうです。
ウクライナの鉱物資源がどこに、どの程度の量が埋蔵されているのか正確に知ることさえも難しい課題になっている。現在利用可能な資源地図と埋蔵量推計の大半は、ソ連時代の調査に基づいた古いものだ。開発権所有者にとって、商業的に採算が取れる鉱山を新規開発するには新たな一連の調査が必要になると、WSJ。
そうした企業の一つが、ウクルリチウムマイニング。
同社はウクライナで初めてリチウム鉱山開発に取り組む企業。ウクライナ政府から2017年に生産ライセンスを取得した同社はこれまでに、ライセンス取得料や埋蔵資源を正確に把握するための調査費用として2000万ドル以上を費やしてきたのだそうです。
また、投資環境を整える上で必要となる、環境負荷に関する報告書作成のために英国企業に約100万ドルを支払った。
さらに、実際の採掘作業開始前には「明確な可視化調査」と採掘・鉱石処理のための施設建設に少なくとも3億5000万ドルの追加投資が必要になる。その鉱石のリチウム含有比率はほんのわずかだと、WSJ。
ウクルリチウムマイニングのデニス・アロシン最高戦略責任者(CSO)は「シャベル一つで、すぐに地中からお金になるものを掘り出せるかのように勘違いされている」と語る。
現在ウクライナのどの採掘会社にとっても、戦争は決して遠くの出来事ではないと、WSJ。
前線から約450キロの場所に露天掘り鉱山と二つの工場を持つチタン生産会社ベルタは、ロシアのミサイル攻撃によって電力供給が途絶えたことがある。同社工場の昨年の設備稼働率は50%にとどまった。その一方で、物流コストは3倍以上になったのだそうです。
アンドリー・ブロドスキー最高経営責任者(CEO)は「エネルギーインフラは戦争で大きな打撃を受けた。これはウクライナの生産者が直面している深刻な問題だ」と。
ただ、ベルタには開発計画がある。米国の投資家との新規プロジェクトに関する協議もその一部だと、WSJ。
ウクルリチウムマイニングのアロシンも、計画はあるが、まずは投資を呼び込む必要があると述べたのだそうです。
鉱山があるキロボフラード州は、安全と言えるほど前線からは離れている。それでも、戦争が続く限り採掘開始に必要な資金の調達は難しいだろうというのが同氏。
「戦争が終わる前、あるいは安全に関する極めて強固な保証が行われる前に資金調達が実現するという大きな幻想は抱いていない」
「理性的な企業経営者なら、安全に関する極めて強固な保証が提供されなければ決して投資などしない」と。
このような背景の中、トランプ大統領が、ゼレンスキー大統領が提案していた共同開発に合意したことの意義は大きいのですね。
ゼレンスキー大統領は、条件に安全の保障を望んでいます。
停戦成立の暁には、欧州諸国から監視軍の覇権がとりざたされていますが、米企業のレアアース開発がはじまれば、ロシアも米企業のいる地域への攻撃は、米国への攻撃となるので実施しづらい抑止力となる。平和維持への軍の覇権を渋っているトランプ大統領ですが、ロシアの支配地域への米企業進出でロシアを牽制という戦術。
米露の、ウクライナや欧州主要国を抜きにした直接交渉には批判の声があり、報道にみられるトランプ大統領の言動は、戦争を始めたのはウクライナ側だとのブーチン氏の言葉をそのまま使う等、すっかりプーチン氏ペースに翻弄されている傾向に見えていましたが、戦争を始めた事のない稀有な米国大統領らしい、したたかな戦術と感じているのは、素人の遊爺の勘違い?
ゼレンスキー氏と、トランプ氏の会談が充実した成果をもたらし、戦争中止へ向かう事を願います。
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この花の名前は、ストック
↓よろしかったら、お願いします。
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
ウクライナでの鉱物採掘、簡単ではない - WSJ
インフラ不足や古い地図、汚職がロシアとの戦争前から障害に
By ゲオルギ・カンチェフ and イアン・ラベット (WSJ と総称) 2025年2月27日
ウクライナは米国との間で、鉱物資源の権益に関する協定の枠組みについて合意した。ここで難しい問題が出てくる。それは地中から資源を掘り出すことだ。
ロシアとの戦争によって、ウクライナの重要鉱物鉱床の最大40%がロシアの支配下に置かれることになった。だが戦前でさえ、一部鉱物の探査活動が停滞し、インフラや鉱床の最新の地図すらなかったことが、ウクライナでの大規模な新規民間プロジェクトの大きな障害だった。企業幹部やアナリストはそう指摘する。
汚職や官僚主義的な手続き、煩雑な法制度、企業を狙った収奪行為の歴史はずっと前から、ウクライナのコモディティー(商品)セクターへの外国投資を阻んできた。
アンドリイ・スモリン氏に聞いてみるといい。
スモリン氏が勤めるアベラナ・ゴールドは、偽の鉱業会社の標的にされた。同氏によると、この偽会社は捏造(ねつぞう)した主張によってウクライナ西部にあるアベラナの金山を奪おうとした。その結果、ウクライナの複雑な法制度の下で長期にわたり争われることとなり、大きな被害を被ったという。
「ウクライナでは、誰でもさまざまな手段で活動を妨害できる」。アベラナのウクライナ事務所長を務めるスモリン氏はこう語った。
ウクライナの下級裁判所では特に司法の腐敗がはびこっていると、アナリストは指摘する。スモリン氏によると、そうした司法の腐敗のせいで審理が長引き、アベラナはその間に生産できなかったことで損失を被ったという。同社は最終的にウクライナ最高裁で勝訴した。最高裁は公正な機関であり続けていると同氏は語る。アベラナはライセンスを所有していることを証明したが、それまでに当初の投資家を全て失っていた。
ウクライナ政府にコメントを求めたが、回答はなかった。
鉱物資源を巡る合意の詳細については、まだ調整中だ。ドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は週内にワシントンで合意文書に署名するとみられている。交渉に詳しい複数の人物によると、米国が5000億ドル(約74兆7000億円)分の収入を得る権利の要求を取り下げたことを受け、ウクライナは最終的に天然資源に関する取引に同意したという。
ウクライナには、米国が重要だと考える50種類の鉱物のうち、少なくとも20種類が埋蔵されているとみられている。その中にはリチウムやグラファイト、チタン、ウラン、レアアース(希土類)が含まれる。レアアースは、携帯電話から防衛装備品に至るまでさまざまなものに不可欠な17種類の元素の総称だ。業界アナリストによると、それらの潜在的価値は合計で何兆ドルにも及ぶとみられている。
エコノミストによると、ソ連崩壊以降、ウクライナの社会には汚職が広がり、判事がしばしば賄賂を受け取ったり、業者が入札を勝ち取るためにキックバックを約束しなければならなかったりするシステムが作られた。
過去10年間に一定の改善はあったものの、ベルリンに本拠を置く国際非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」の年次調査によると、ウクライナは腐敗認識指数ランキングで180カ国中105位だ。公共サービス利用者のうち23%が過去1年間に賄賂を贈ったことが同調査で分かった。ロシアの順位はさらに低い154位。ロシアはこのNGOが内政に干渉していると非難している。
国際的なエネルギーメジャーであるシェルやシェブロンは10年以上前、埋蔵されているシェールガス資源を開発できるとの強い期待をもってウクライナに参入した。両社の取り組みは、官僚的手続きによる障害や地元の反対、汚職のほか、最終的には2014年のロシアによる最初のウクライナ侵攻によって行き詰まった。
シェブロンは2014年、100億ドル規模のシェールガス開発プロジェクトから手を引いた。政府による承認の遅れと規制面の障害が理由だった。シェルは15年、ウクライナ東部での紛争と不適切なビジネス環境を理由にウクライナとの開発合意を白紙に戻した。
ウクライナの鉱物資源がどこに、どの程度の量が埋蔵されているのか正確に知ることさえも難しい課題になっている。現在利用可能な資源地図と埋蔵量推計の大半は、ソ連時代の調査に基づいた古いものだ。開発権所有者にとって、商業的に採算が取れる鉱山を新規開発するには新たな一連の調査が必要になる。
そうした企業の一つが、ウクルリチウムマイニングだ。
ウクライナ政府から2017年に生産ライセンスを取得した同社はこれまでに、ライセンス取得料や埋蔵資源を正確に把握するための調査費用として2000万ドル以上を費やしてきた。同社はウクライナで初めてリチウム鉱山開発に取り組む企業だ。
同社はまた、投資環境を整える上で必要となる、環境負荷に関する報告書作成のために英国企業に約100万ドルを支払った。
さらに、実際の採掘作業開始前には「明確な可視化調査」と採掘・鉱石処理のための施設建設に少なくとも3億5000万ドルの追加投資が必要になる。その鉱石のリチウム含有比率はほんのわずかだ。
ウクルリチウムマイニングのデニス・アロシン最高戦略責任者(CSO)は「シャベル一つで、すぐに地中からお金になるものを掘り出せるかのように勘違いされている」と語る。
そして現在ウクライナのどの採掘会社にとっても、戦争は決して遠くの出来事ではない。
前線から約450キロの場所に露天掘り鉱山と二つの工場を持つチタン生産会社ベルタは、ウクライナのエネルギーインフラに対するロシアのミサイル攻撃によって電力供給が途絶えたことがある。同社工場の昨年の設備稼働率は50%にとどまった。その一方で、物流コストは3倍以上になった。
ベルタのアンドリー・ブロドスキー最高経営責任者(CEO)は「エネルギーインフラは戦争で大きな打撃を受けた。これはウクライナの生産者が直面している深刻な問題だ」と語った。
こうした困難な課題にもかかわらず、ベルタには開発計画がある。米国の投資家との新規プロジェクトに関する協議もその一部だ。
アロシン氏はウクルリチウムマイニングにも計画はあるが、まずは投資を呼び込む必要があると述べた。鉱山があるキロボフラード州は、安全と言えるほど前線からは離れている。それでも、戦争が続く限り採掘開始に必要な資金の調達は難しいだろうというのが同氏の認識だ。
「戦争が終わる前、あるいは安全に関する極めて強固な保証が行われる前に資金調達が実現するという大きな幻想は抱いていない」とアロシン氏は言う。「理性的な企業経営者なら、安全に関する極めて強固な保証が提供されなければ決して投資などしない」
インフラ不足や古い地図、汚職がロシアとの戦争前から障害に
By ゲオルギ・カンチェフ and イアン・ラベット (WSJ と総称) 2025年2月27日
ウクライナは米国との間で、鉱物資源の権益に関する協定の枠組みについて合意した。ここで難しい問題が出てくる。それは地中から資源を掘り出すことだ。
ロシアとの戦争によって、ウクライナの重要鉱物鉱床の最大40%がロシアの支配下に置かれることになった。だが戦前でさえ、一部鉱物の探査活動が停滞し、インフラや鉱床の最新の地図すらなかったことが、ウクライナでの大規模な新規民間プロジェクトの大きな障害だった。企業幹部やアナリストはそう指摘する。
汚職や官僚主義的な手続き、煩雑な法制度、企業を狙った収奪行為の歴史はずっと前から、ウクライナのコモディティー(商品)セクターへの外国投資を阻んできた。
アンドリイ・スモリン氏に聞いてみるといい。
スモリン氏が勤めるアベラナ・ゴールドは、偽の鉱業会社の標的にされた。同氏によると、この偽会社は捏造(ねつぞう)した主張によってウクライナ西部にあるアベラナの金山を奪おうとした。その結果、ウクライナの複雑な法制度の下で長期にわたり争われることとなり、大きな被害を被ったという。
「ウクライナでは、誰でもさまざまな手段で活動を妨害できる」。アベラナのウクライナ事務所長を務めるスモリン氏はこう語った。
ウクライナの下級裁判所では特に司法の腐敗がはびこっていると、アナリストは指摘する。スモリン氏によると、そうした司法の腐敗のせいで審理が長引き、アベラナはその間に生産できなかったことで損失を被ったという。同社は最終的にウクライナ最高裁で勝訴した。最高裁は公正な機関であり続けていると同氏は語る。アベラナはライセンスを所有していることを証明したが、それまでに当初の投資家を全て失っていた。
ウクライナ政府にコメントを求めたが、回答はなかった。
鉱物資源を巡る合意の詳細については、まだ調整中だ。ドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は週内にワシントンで合意文書に署名するとみられている。交渉に詳しい複数の人物によると、米国が5000億ドル(約74兆7000億円)分の収入を得る権利の要求を取り下げたことを受け、ウクライナは最終的に天然資源に関する取引に同意したという。
ウクライナには、米国が重要だと考える50種類の鉱物のうち、少なくとも20種類が埋蔵されているとみられている。その中にはリチウムやグラファイト、チタン、ウラン、レアアース(希土類)が含まれる。レアアースは、携帯電話から防衛装備品に至るまでさまざまなものに不可欠な17種類の元素の総称だ。業界アナリストによると、それらの潜在的価値は合計で何兆ドルにも及ぶとみられている。
エコノミストによると、ソ連崩壊以降、ウクライナの社会には汚職が広がり、判事がしばしば賄賂を受け取ったり、業者が入札を勝ち取るためにキックバックを約束しなければならなかったりするシステムが作られた。
過去10年間に一定の改善はあったものの、ベルリンに本拠を置く国際非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」の年次調査によると、ウクライナは腐敗認識指数ランキングで180カ国中105位だ。公共サービス利用者のうち23%が過去1年間に賄賂を贈ったことが同調査で分かった。ロシアの順位はさらに低い154位。ロシアはこのNGOが内政に干渉していると非難している。
国際的なエネルギーメジャーであるシェルやシェブロンは10年以上前、埋蔵されているシェールガス資源を開発できるとの強い期待をもってウクライナに参入した。両社の取り組みは、官僚的手続きによる障害や地元の反対、汚職のほか、最終的には2014年のロシアによる最初のウクライナ侵攻によって行き詰まった。
シェブロンは2014年、100億ドル規模のシェールガス開発プロジェクトから手を引いた。政府による承認の遅れと規制面の障害が理由だった。シェルは15年、ウクライナ東部での紛争と不適切なビジネス環境を理由にウクライナとの開発合意を白紙に戻した。
ウクライナの鉱物資源がどこに、どの程度の量が埋蔵されているのか正確に知ることさえも難しい課題になっている。現在利用可能な資源地図と埋蔵量推計の大半は、ソ連時代の調査に基づいた古いものだ。開発権所有者にとって、商業的に採算が取れる鉱山を新規開発するには新たな一連の調査が必要になる。
そうした企業の一つが、ウクルリチウムマイニングだ。
ウクライナ政府から2017年に生産ライセンスを取得した同社はこれまでに、ライセンス取得料や埋蔵資源を正確に把握するための調査費用として2000万ドル以上を費やしてきた。同社はウクライナで初めてリチウム鉱山開発に取り組む企業だ。
同社はまた、投資環境を整える上で必要となる、環境負荷に関する報告書作成のために英国企業に約100万ドルを支払った。
さらに、実際の採掘作業開始前には「明確な可視化調査」と採掘・鉱石処理のための施設建設に少なくとも3億5000万ドルの追加投資が必要になる。その鉱石のリチウム含有比率はほんのわずかだ。
ウクルリチウムマイニングのデニス・アロシン最高戦略責任者(CSO)は「シャベル一つで、すぐに地中からお金になるものを掘り出せるかのように勘違いされている」と語る。
そして現在ウクライナのどの採掘会社にとっても、戦争は決して遠くの出来事ではない。
前線から約450キロの場所に露天掘り鉱山と二つの工場を持つチタン生産会社ベルタは、ウクライナのエネルギーインフラに対するロシアのミサイル攻撃によって電力供給が途絶えたことがある。同社工場の昨年の設備稼働率は50%にとどまった。その一方で、物流コストは3倍以上になった。
ベルタのアンドリー・ブロドスキー最高経営責任者(CEO)は「エネルギーインフラは戦争で大きな打撃を受けた。これはウクライナの生産者が直面している深刻な問題だ」と語った。
こうした困難な課題にもかかわらず、ベルタには開発計画がある。米国の投資家との新規プロジェクトに関する協議もその一部だ。
アロシン氏はウクルリチウムマイニングにも計画はあるが、まずは投資を呼び込む必要があると述べた。鉱山があるキロボフラード州は、安全と言えるほど前線からは離れている。それでも、戦争が続く限り採掘開始に必要な資金の調達は難しいだろうというのが同氏の認識だ。
「戦争が終わる前、あるいは安全に関する極めて強固な保証が行われる前に資金調達が実現するという大きな幻想は抱いていない」とアロシン氏は言う。「理性的な企業経営者なら、安全に関する極めて強固な保証が提供されなければ決して投資などしない」
ロシアとの戦争によって、ウクライナの重要鉱物鉱床の最大40%がロシアの支配下に置かれることになった。だが戦前でさえ、一部鉱物の探査活動が停滞し、インフラや鉱床の最新の地図すらなかったことが、ウクライナでの大規模な新規民間プロジェクトの大きな障害だったと、企業幹部やアナリストは指摘。
汚職や官僚主義的な手続き、煩雑な法制度、企業を狙った収奪行為の歴史はずっと前から、ウクライナのコモディティー(商品)セクターへの外国投資を阻んできたのだそうです。
「ウクライナでは、誰でもさまざまな手段で活動を妨害できる」。アベラナのウクライナ事務所長を務めるスモリン氏はこう語ったと、WSJ。
ウクライナの下級裁判所では特に司法の腐敗がはびこっている。そうした司法の腐敗のせいで審理が長引き、アベラナはその間に生産できなかったことで損失を被ったと、スモリン氏。
鉱物資源を巡る合意の詳細については、まだ調整中。トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は週内にワシントンで合意文書に署名する。
ウクライナには、米国が重要だと考える50種類の鉱物のうち、少なくとも20種類が埋蔵されているとみられているのだそうです。
その中にはリチウムやグラファイト、チタン、ウラン、レアアース(希土類)が含まれる。レアアースの潜在的価値は合計で何兆ドルにも及ぶとみられていると、WSJ。
エコノミストによると、ソ連崩壊以降、ウクライナの社会には汚職が広がり、判事がしばしば賄賂を受け取ったり、業者が入札を勝ち取るためにキックバックを約束しなければならなかったりするシステムが作られたのだそうです。
ベルリンに本拠を置く国際非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」の年次調査によると、ウクライナは腐敗認識指数ランキングで180カ国中105位。
公共サービス利用者のうち23%が過去1年間に賄賂を贈ったことが同調査で分かった。ロシアの順位はさらに低い154位。
シェルやシェブロンは10年以上前、埋蔵されているシェールガス資源を開発できるとの強い期待をもってウクライナに参入。
官僚的手続きによる障害や地元の反対、汚職の問題があったが、最終的には2014年のロシアによる最初のウクライナ侵攻によって行き詰まった。
シェブロンは2014年、100億ドル規模のシェールガス開発プロジェクトから手を引いた。政府による承認の遅れと規制面の障害が理由。
シェルは15年、ウクライナ東部での紛争と不適切なビジネス環境を理由にウクライナとの開発合意を白紙に戻したのだそうです。
ウクライナの鉱物資源がどこに、どの程度の量が埋蔵されているのか正確に知ることさえも難しい課題になっている。現在利用可能な資源地図と埋蔵量推計の大半は、ソ連時代の調査に基づいた古いものだ。開発権所有者にとって、商業的に採算が取れる鉱山を新規開発するには新たな一連の調査が必要になると、WSJ。
そうした企業の一つが、ウクルリチウムマイニング。
同社はウクライナで初めてリチウム鉱山開発に取り組む企業。ウクライナ政府から2017年に生産ライセンスを取得した同社はこれまでに、ライセンス取得料や埋蔵資源を正確に把握するための調査費用として2000万ドル以上を費やしてきたのだそうです。
また、投資環境を整える上で必要となる、環境負荷に関する報告書作成のために英国企業に約100万ドルを支払った。
さらに、実際の採掘作業開始前には「明確な可視化調査」と採掘・鉱石処理のための施設建設に少なくとも3億5000万ドルの追加投資が必要になる。その鉱石のリチウム含有比率はほんのわずかだと、WSJ。
ウクルリチウムマイニングのデニス・アロシン最高戦略責任者(CSO)は「シャベル一つで、すぐに地中からお金になるものを掘り出せるかのように勘違いされている」と語る。
現在ウクライナのどの採掘会社にとっても、戦争は決して遠くの出来事ではないと、WSJ。
前線から約450キロの場所に露天掘り鉱山と二つの工場を持つチタン生産会社ベルタは、ロシアのミサイル攻撃によって電力供給が途絶えたことがある。同社工場の昨年の設備稼働率は50%にとどまった。その一方で、物流コストは3倍以上になったのだそうです。
アンドリー・ブロドスキー最高経営責任者(CEO)は「エネルギーインフラは戦争で大きな打撃を受けた。これはウクライナの生産者が直面している深刻な問題だ」と。
ただ、ベルタには開発計画がある。米国の投資家との新規プロジェクトに関する協議もその一部だと、WSJ。
ウクルリチウムマイニングのアロシンも、計画はあるが、まずは投資を呼び込む必要があると述べたのだそうです。
鉱山があるキロボフラード州は、安全と言えるほど前線からは離れている。それでも、戦争が続く限り採掘開始に必要な資金の調達は難しいだろうというのが同氏。
「戦争が終わる前、あるいは安全に関する極めて強固な保証が行われる前に資金調達が実現するという大きな幻想は抱いていない」
「理性的な企業経営者なら、安全に関する極めて強固な保証が提供されなければ決して投資などしない」と。
このような背景の中、トランプ大統領が、ゼレンスキー大統領が提案していた共同開発に合意したことの意義は大きいのですね。
ゼレンスキー大統領は、条件に安全の保障を望んでいます。
停戦成立の暁には、欧州諸国から監視軍の覇権がとりざたされていますが、米企業のレアアース開発がはじまれば、ロシアも米企業のいる地域への攻撃は、米国への攻撃となるので実施しづらい抑止力となる。平和維持への軍の覇権を渋っているトランプ大統領ですが、ロシアの支配地域への米企業進出でロシアを牽制という戦術。
米露の、ウクライナや欧州主要国を抜きにした直接交渉には批判の声があり、報道にみられるトランプ大統領の言動は、戦争を始めたのはウクライナ側だとのブーチン氏の言葉をそのまま使う等、すっかりプーチン氏ペースに翻弄されている傾向に見えていましたが、戦争を始めた事のない稀有な米国大統領らしい、したたかな戦術と感じているのは、素人の遊爺の勘違い?
ゼレンスキー氏と、トランプ氏の会談が充実した成果をもたらし、戦争中止へ向かう事を願います。

この花の名前は、ストック
↓よろしかったら、お願いします。
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