遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

対露制裁 ロシア国内に影響が出始めた

2014-09-25 23:58:58 | ロシア全般
 ウクライナに力で侵略し現状変更を実現させつつあるロシア。欧米の経済制裁はロシア国内に影響が出始めているのだそうです。
 

露への経済制裁 年金資金も食い始めた (9/25 産経 【遠藤良介の目】)

 
経済制裁というものが政治的手段として持つ効果については、専門家の間でも意見が割れるところだ。
 米国が1962年に発動したキューバの経済封鎖はカストロ体制の崩壊をもたらさなかったし、国連安全保障理事会決議に基づく北朝鮮への制裁も、いまだに核開発を放棄させるに至っていない。やはり核疑惑を抱えるイランは孤立脱却に動き始めたとはいえ、核問題の帰結はなお不明だ。
 
「制裁は体制の弱体化を通じ、結果的に独裁者を倒す」と主張する専門家がいる一方、「過去の制裁の65%は成功していない」といった分析もある。

 ウクライナ危機で米欧から制裁を発動されている
ロシアでも、プーチン大統領は対外姿勢を軟化させておらず、むしろ国民の多数派は反米欧の「愛国ムード」で結束している感が強い。「敵」の存在で団結するのがロシアの伝統的な国民心理であり、それを十分に承知しているプーチン氏はウクライナ問題でも弱腰を見せないだろう。
 しかし、
一連の制裁とロシア自身の報復措置で、経済にじわりと影響が出てきた
のは誰の目にも明らかだ。一般大衆も、多種に及ぶ農産物などの輸入が禁止されたことに伴う物価上昇を肌身で感じ始めた。今年のインフレ率は前年比8%に達する可能性がある。
 これに加え、ロシアを代表する石油企業や銀行が、欧米市場での資金調達を制限されたことが大きい。プーチン氏に近い
国営の石油最大手「ロスネフチ」と独立系天然ガス企業「ノバテク」が、早くも巨額の支援を政府に要請
した。
 ロシアでは既存の主要油田が生産のピークを過ぎており、ロスネフチは外資と組んで北極海の大陸棚など難関鉱区の開発を急いでいた最中の制裁となった。来年にかけて巨額の償還期限を迎えるため、400億ドル(約4兆3400億円)の支援を要請している。ノバテクも、北極圏ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)事業に支障が出るとし、最大39億ドルの資金援助を求めた。
 
これを受け、政権が検討しているのは、年金制度を補助する「国民福祉基金」から資金を拠出
し、両社を救援することだ。
 国民福祉基金は石油輸出価格が一定額を超えた場合に蓄積される国家基金の一つで、年金基金の赤字を補填(ほてん)するのが本来の目的。これまでもインフラ整備の国家事業などに国民福祉基金の資金が投じられてきたが、
制裁対象企業の救済という使途には批判がある

 9月初め時点で基金には853億ドルの残高があるが、制裁対象となった企業や金融機関の支援要請が殺到すれば、この基金の活用にも限界が出てこよう。

 年金制度については別の問題も出ている。年金基金の赤字補填のため、今年は1967年以降に生まれた国民の積み立て年金の運用が凍結されたのだが、その措置が来年も延長されることになったのだ。
 問題になっているのは年金保険料の約3分の1を占める「積み立て部分」で、将来の自らの年金として自由な運用が認められていたものである。
 「当初は自分の年金を管理・運用できると言っておき、それを取り上げることで政権は国民をだました。積み立て年金は投資に向かう長期的資金として有効で、(凍結継続の)決定は経済にとっても有害だ」
 この問題に関する発言で解任されたベリャコフ前経済発展次官は露メディアにこう語り、「国家と国民の信頼関係の基礎が壊される」と警鐘を鳴らす。

 
制裁は、目立たないところで国家の基本的仕組みをむしばみ始めている。(モスクワ)

 主力ガス田の枯渇が迫り、北極圏や極東の極寒地でのガス田開発を迫られているロシアは、開発の技術と資金の支援を海外に求めざるをえないという苦しい台所事情を抱えていることは、当ブログでは再三取り上げて、前のめりになる対露外交や、日本企業に警鐘を鳴らしてきました。
 今回のウクライナへのロシアの侵略では、安倍総理は、米国が主導する対露制裁で、日露平和条約締結の為と、米国政府に了解をとりつけて、独自外交を展開する賭けにでていることは諸兄がご承知のことです。

 とは言え、G7の協調制裁と、領土問題解決・平和条約締結の為の日露外交との狭間で苦しい選択に追われているのが現状です。
 ロシアが一刻も早く、力での現状変更を止める様促すことがこの狭間から抜け出す方法です。
 それには、ロシア国内世論が大切で、プーチン大統領が上げた拳をおろせる環境づくりが必要です。
 中国や南北朝鮮と同様に、外圧を強調することで国内支持率を維持するロシアは、米国およびNATOをその標的にしていますね。
 しかし、外圧が強まるほど国内の団結が強まる国民性とのこと。しかも、外圧の影響が出始めている。
 つまり、ますます国民は、反米、反G7に傾き、プーチン大統領も強硬姿勢を強めざるを得ない状況に追い込まれているのですね。

 北風政策一辺倒で良いのか。制裁の影響が出始めた今、G7各国の戦略の検討が必要な時機がやってきていると考えますがいかがでしょう。


日露首脳会談 日本ではなくAPEC開催地(中国)で実施へ - 遊爺雑記帳



 # 冒頭の画像は、北極圏のBovanenkovoガス田




  ブナの幹


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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)




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