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ロシア軍に占拠された領土を奪還するために現在展開されているウクライナの軍事作戦は、まだ何カ月も続く可能性がある。しかし、西側諸国の軍事戦略家や政策立案者は既に来年春の攻撃態勢について考え始めている。
侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていることを反映していると、ダニエル・マイケルズ WSJ・ブリュッセル局長。
侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていると、ダニエル・マイケルズ局長。
西側諸国から新たに供与された戦車や装甲車両を使い、防御を固めたロシアの戦線を突破しようという当初の試みは失速した。
それ以来、進展は遅く、痛みを伴うものとなり、小規模な部隊による戦術頼みとなっている。
軍指導者や政策立案者は既に、今後数カ月間に何を達成できるか、そして長期化する戦闘にどう備えるかという問題に取り組んでいると、ダニエル・マイケルズ局長。
ウクライナ政府と西側諸国の政府は、政治家や有権者がウクライナの戦争を泥沼と見なし、同国を支持することに消極的になってしまうかもしれないという懸念につきまとわれている。ウクライナを支持する西側諸国の決意が変わらなくても、過酷な戦いで武器弾薬や人的資源・持久力をウクライナ軍が消耗する中、時間はどんどん経過している。
ウクライナの今の目標は、同国の国民や米国・ドイツなどの支援国に対してウクライナへの支援が間違っていなかったこと、そして、それがこれからも続くべきであることを示すのに十分な成果を得て、現在の攻撃を終えることだと、ダニエル・マイケルズ局長。
バイデン米大統領は先月リトアニアで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合で、米国の支援が今後も揺るがないと述べて、歓声を浴びた。米国、NATOと日本はウクライナの長期的な安全保障計画を立てることを約束した。
一方、軍の上層部は何カ月にもわたり、ウクライナが昨年迅速に成果を上げたものの、それを繰り返すのは容易でないとの警告を発している。
マーク・ミリー陸軍大将は、ロシアがウクライナ南東部に持つ陸の回廊をウクライナが迅速に分断する、つまり、ロシアが2014年にウクライナから奪取したクリミア半島をウクライナが孤立させるとの見立てについて、冷や水を浴びせるような発言を繰り返しているのだそうです。
米国の駐NATO大使を務めたアイボ・ダールダー氏は、「ウクライナが近い将来すべての領土を取り戻すことはないとの認識が、米政府内にあると私は確信している」と語ったと。
ロシア側は、ウクライナ領内の占領地の防御陣地を固め、兵力を増強し、武器弾薬の生産を増やしている。西側諸国も軍事産業にてこ入れしており、長期にわたり消耗戦が続くとの見通しが強まっていると、ダニエル・マイケルズ局長。
シンクタンク、海軍分析センター(CNA)のロシア問題専門家、ドミトリー・ゴレンバーグ氏は「この戦争は朝鮮戦争と似たような展開になる可能性がある。それは、当初何カ月か前線で急速な展開が見られた後、相対的なこう着状態に陥るというもの。
1950年に始まった朝鮮戦争は未だ終戦に至っておらず、休戦協定が締結されているとはいえ、厳密には戦争が続いている状態。
だが、たとえ今年の夏に新たな局面を迎えなかったとしても、ウクライナには冬まで戦闘を続けられる力が十分にあると、ダニエル・マイケルズ局長。
米陸軍の退役少将で元NATO事務次長補のゴードン・「スキップ」・デービス氏は「ウクライナ軍の方がロシア軍よりも適応が早いという状況が続いている」と指摘。
ウクライナはまだ、精鋭部隊の一部しか攻撃に投入しておらず、NATO軍によって訓練された6万人以上のウクライナ軍のうち、いわゆる「諸兵科連合作戦」という複雑な戦術の訓練を受けているのは一部にとどまっている。今後、西側の高度な訓練を受けたウクライナ軍兵士や指揮官の数は増えるだろうと。
ウクライナは最初、欧州の戦車や米軍の兵員輸送車を攻撃に使おうとしたが、うまくいかなかった。だが、来年の春までに、ウクライナには西側製の装備と高度な運用技術を持った兵士の数が増えるだろう。
デービス氏は「時間が経てば、ウクライナはいずれNATOの訓練と装備を受けた旅団をより多く配備できるようになる一方、ロシアは砲弾の使用量と前線の統一を維持するのに苦労するようになるだろう」との見方を示しているのだそうです。
来年半ばまでには、ウクライナは米製ジェット戦闘機「F16」を飛ばしている可能性がある。デンマークやオランダなど、欧州のF16運用国は供与に積極的な姿勢を見せている。
F16に関する一つの大きな問題は、米国がF16にどの武器の搭載を認めるかということだ。ロシアはF16を迎撃可能な対空システムを有しているため、米国では、ウクライナに供与された戦闘機は撃墜されるだけではないかという懸念が浮上している。滑空式誘導弾「JSOW」や精密誘導弾「ペーブウェー」のような武器弾薬を装備すれば、F16は前線から比較的に安全な距離を保つことが可能になると、ダニエル・マイケルズ局長。
局面転換の鍵となるF16の戦線投入。
訓練の進展と、バイデン大統領の装備範囲の決断が、長期化が予測される戦況を左右することになるのですね。
# 冒頭の画像は、ウクライナで早期に事態が進展するとの見方に疑問を投げかけている、マーク・ミリー米統合参謀本部議長(右)とロイド・オースティン国防長官
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この花の名前は、オオボウシバナ
↓よろしかったら、お願いします。
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侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていることを反映していると、ダニエル・マイケルズ WSJ・ブリュッセル局長。
ウクライナ戦争、来年に目を向け始めた西側諸国 - WSJ ダニエル・マイケルズ ウォールストリートジャーナルブリュッセル局長 2023年 8月 15日
ロシア軍に占拠された領土を奪還するために現在展開されているウクライナの軍事作戦は、まだ何カ月も続く可能性がある。しかし、西側諸国の軍事戦略家や政策立案者は既に来年春の攻撃態勢について考え始めている。
こうした変化は、局面が飛躍的に進展しない限り、侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていることを反映している。
今春にウクライナの反転攻勢が始まった際、楽観主義者たちはウクライナ軍がロシア軍を圧倒した昨年の成功が再現される可能性があると期待していた。しかし、西側諸国から新たに供与された戦車や装甲車両を使い、防御を固めたロシアの戦線を突破しようという当初の試みは失速した。
それ以来、進展は遅く、痛みを伴うものとなり、小規模な部隊による戦術頼みとなっている。新たな攻勢が近く行われる可能性はまだある。しかし、軍指導者や政策立案者は既に、今後数カ月間に何を達成できるか、そして長期化する戦闘にどう備えるかという問題に取り組んでいる。
ウクライナ政府と西側諸国の政府は、政治家や有権者がウクライナの戦争を泥沼と見なし、同国を支持することに消極的になってしまうかもしれないという懸念につきまとわれている。ウクライナを支持する西側諸国の決意が変わらなくても、過酷な戦いで武器弾薬や人的資源・持久力をウクライナ軍が消耗する中、時間はどんどん経過している。
全ての軍事作戦は、たとえ何年も続いた戦争であったとしても、ある時点で終わる。それは戦術家が「限界点」と呼ぶ時点で、成功、障害や物資の不足を理由にそれ以上進軍できなくなる時を指す。
ウクライナの今の目標は、同国の国民や米国・ドイツなどの支援国に対してウクライナへの支援が間違っていなかったこと、そして、それがこれからも続くべきであることを示すのに十分な成果を得て、現在の攻撃を終えることだ。
ジョー・バイデン米大統領は先月リトアニアで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合で、ウクライナの大統領と集まった群衆を前に、米国の支援が今後も揺るがないと述べて、歓声を浴びた。米国、NATOと日本はウクライナの長期的な安全保障計画を立てることを約束した。米国防総省はウクライナに対して先進的な兵器の供給を続けており、直近では殺傷力が高いクラスター弾を供給している。同盟・友好国も空中発射巡航ミサイルなど、殺傷力がより高い兵器を供給している。
一方、軍の上層部は何カ月にもわたり、ウクライナが昨年迅速に成果を上げたものの、それを繰り返すのは容易でないとの警告を発している。統合参謀本部議長を務めるマーク・ミリー陸軍大将は、ロシアがウクライナ南東部に持つ陸の回廊をウクライナが迅速に分断する、つまり、ロシアが2014年にウクライナから奪取したクリミア半島をウクライナが孤立させるとの見立てについて、冷や水を浴びせるような発言を繰り返している。
バラク・オバマ大統領(当時)の下で米国の駐NATO大使を務めたアイボ・ダールダー氏によれば、米政府内でも現在、同様の慎重な見方が以前よりも広がっているという。同氏は、「ウクライナが近い将来すべての領土を取り戻すことはないとの認識が、米政府内にあると私は確信している」と語った。
米国と西側諸国の当局者らは、ウクライナの攻勢の大幅な進展によってロシア軍が大打撃を受ければ、早ければ今年冬にウラジーミル・プーチン大統領が何らかの解決策について真剣な交渉に臨む可能性があると期待していた。しかし外交官らは、現時点でそうした展開になる見通しはほとんど立っていないと述べている。
実際にはそうした展開にはならず、ロシア側は、ウクライナ領内の占領地の防御陣地を固め、兵力を増強し、武器弾薬の生産を増やしている。西側諸国も軍事産業にてこ入れしており、長期にわたり消耗戦が続くとの見通しが強まっている。
軍事専門家らによれば、ウクライナの戦場で昨年起きた素早い展開や、冷戦後の幾つかの短期紛争を目にした人々は、現代の戦争が迅速なものにならざるを得ないと信じるようになっていた可能性がある。しかし軍事専門家らは、歴史的に見ると異なる現実が見えてくると指摘。戦争の平均的な継続期間は3~7年に及び、その間に何度も攻勢が仕掛けられてきたと述べている。
米国防総省と関係を持つシンクタンク、海軍分析センター(CNA)のロシア問題専門家、ドミトリー・ゴレンバーグ氏は「この戦争は朝鮮戦争と似たような展開になる可能性がある。それは、当初何カ月か前線で急速な展開が見られた後、相対的なこう着状態に陥るというものだ。しかし、双方の紛争当事者がそれに気づくのは何年も後になってからだ」と語った。
1950年に始まった朝鮮戦争は未だ終戦に至っておらず、休戦協定が締結されているとはいえ、厳密には戦争が続いている状態だ。強大な戦力が配備されている朝鮮半島は、緊迫した非武装地帯によって分断されている。
このほか、ウクライナの将来を考える上で戦略家が指摘している例には、中東(1948年のユダヤ人国家イスラエルの建国以来、パレスチナ人やアラブ近隣諸国と対立が続く)や、北アイルランド(英国の支配に対する激しい反発が何世代も続いた)などがある。
だが、たとえ今年の夏に新たな局面を迎えなかったとしても、ウクライナには冬まで戦闘を続けられる力が十分にある。雨や雪によって戦車などの重装備の動きが遅くなる可能性はあるが、ウクライナ軍はこれまで、小規模な部隊で、しかもその多くが軽装備で作戦を実行する時に最も力を発揮することを証明してきた。
米陸軍の退役少将で元NATO事務次長補のゴードン・「スキップ」・デービス氏は「ウクライナ軍の方がロシア軍よりも適応が早いという状況が続いている」と指摘する。
ウクライナはまだ、精鋭部隊の一部しか攻撃に投入しておらず、NATO軍によって訓練された6万人以上のウクライナ軍のうち、いわゆる「諸兵科連合作戦」という複雑な戦術の訓練を受けているのは一部にとどまっている。今後、西側の高度な訓練を受けたウクライナ軍兵士や指揮官の数は増えるだろう。
西側による訓練は、欧米製の最新装備を使いこなす能力を高めるのに役立つだろう。ウクライナは最初、欧州の戦車や米軍の兵員輸送車を攻撃に使おうとしたが、うまくいかなかった。だが、来年の春までに、ウクライナには西側製の装備と高度な運用技術を持った兵士の数が増えるだろう。
デービス氏は「時間が経てば、ウクライナはいずれNATOの訓練と装備を受けた旅団をより多く配備できるようになる一方、ロシアは砲弾の使用量と前線の統一を維持するのに苦労するようになるだろう」との見方を示している。
来年半ばまでには、ウクライナは米製ジェット戦闘機「F16」を飛ばしている可能性がある。デンマークやオランダなど、欧州のF16運用国は供与に積極的な姿勢を見せている。米政府には長距離地対地ミサイルシステム「ATACMS」の供与、ドイツには巡航ミサイル「タウルス」の提供を求める圧力が強まっている。
F16に関する一つの大きな問題は、米国がF16にどの武器の搭載を認めるかということだ。ロシアはF16を迎撃可能な対空システムを有しているため、米国では、ウクライナに供与された戦闘機は撃墜されるだけではないかという懸念が浮上している。滑空式誘導弾「JSOW」や精密誘導弾「ペーブウェー」のような武器弾薬を装備すれば、F16は前線から比較的に安全な距離を保つことが可能になる。
ロシア軍に占拠された領土を奪還するために現在展開されているウクライナの軍事作戦は、まだ何カ月も続く可能性がある。しかし、西側諸国の軍事戦略家や政策立案者は既に来年春の攻撃態勢について考え始めている。
こうした変化は、局面が飛躍的に進展しない限り、侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていることを反映している。
今春にウクライナの反転攻勢が始まった際、楽観主義者たちはウクライナ軍がロシア軍を圧倒した昨年の成功が再現される可能性があると期待していた。しかし、西側諸国から新たに供与された戦車や装甲車両を使い、防御を固めたロシアの戦線を突破しようという当初の試みは失速した。
それ以来、進展は遅く、痛みを伴うものとなり、小規模な部隊による戦術頼みとなっている。新たな攻勢が近く行われる可能性はまだある。しかし、軍指導者や政策立案者は既に、今後数カ月間に何を達成できるか、そして長期化する戦闘にどう備えるかという問題に取り組んでいる。
ウクライナ政府と西側諸国の政府は、政治家や有権者がウクライナの戦争を泥沼と見なし、同国を支持することに消極的になってしまうかもしれないという懸念につきまとわれている。ウクライナを支持する西側諸国の決意が変わらなくても、過酷な戦いで武器弾薬や人的資源・持久力をウクライナ軍が消耗する中、時間はどんどん経過している。
全ての軍事作戦は、たとえ何年も続いた戦争であったとしても、ある時点で終わる。それは戦術家が「限界点」と呼ぶ時点で、成功、障害や物資の不足を理由にそれ以上進軍できなくなる時を指す。
ウクライナの今の目標は、同国の国民や米国・ドイツなどの支援国に対してウクライナへの支援が間違っていなかったこと、そして、それがこれからも続くべきであることを示すのに十分な成果を得て、現在の攻撃を終えることだ。
ジョー・バイデン米大統領は先月リトアニアで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合で、ウクライナの大統領と集まった群衆を前に、米国の支援が今後も揺るがないと述べて、歓声を浴びた。米国、NATOと日本はウクライナの長期的な安全保障計画を立てることを約束した。米国防総省はウクライナに対して先進的な兵器の供給を続けており、直近では殺傷力が高いクラスター弾を供給している。同盟・友好国も空中発射巡航ミサイルなど、殺傷力がより高い兵器を供給している。
一方、軍の上層部は何カ月にもわたり、ウクライナが昨年迅速に成果を上げたものの、それを繰り返すのは容易でないとの警告を発している。統合参謀本部議長を務めるマーク・ミリー陸軍大将は、ロシアがウクライナ南東部に持つ陸の回廊をウクライナが迅速に分断する、つまり、ロシアが2014年にウクライナから奪取したクリミア半島をウクライナが孤立させるとの見立てについて、冷や水を浴びせるような発言を繰り返している。
バラク・オバマ大統領(当時)の下で米国の駐NATO大使を務めたアイボ・ダールダー氏によれば、米政府内でも現在、同様の慎重な見方が以前よりも広がっているという。同氏は、「ウクライナが近い将来すべての領土を取り戻すことはないとの認識が、米政府内にあると私は確信している」と語った。
米国と西側諸国の当局者らは、ウクライナの攻勢の大幅な進展によってロシア軍が大打撃を受ければ、早ければ今年冬にウラジーミル・プーチン大統領が何らかの解決策について真剣な交渉に臨む可能性があると期待していた。しかし外交官らは、現時点でそうした展開になる見通しはほとんど立っていないと述べている。
実際にはそうした展開にはならず、ロシア側は、ウクライナ領内の占領地の防御陣地を固め、兵力を増強し、武器弾薬の生産を増やしている。西側諸国も軍事産業にてこ入れしており、長期にわたり消耗戦が続くとの見通しが強まっている。
軍事専門家らによれば、ウクライナの戦場で昨年起きた素早い展開や、冷戦後の幾つかの短期紛争を目にした人々は、現代の戦争が迅速なものにならざるを得ないと信じるようになっていた可能性がある。しかし軍事専門家らは、歴史的に見ると異なる現実が見えてくると指摘。戦争の平均的な継続期間は3~7年に及び、その間に何度も攻勢が仕掛けられてきたと述べている。
米国防総省と関係を持つシンクタンク、海軍分析センター(CNA)のロシア問題専門家、ドミトリー・ゴレンバーグ氏は「この戦争は朝鮮戦争と似たような展開になる可能性がある。それは、当初何カ月か前線で急速な展開が見られた後、相対的なこう着状態に陥るというものだ。しかし、双方の紛争当事者がそれに気づくのは何年も後になってからだ」と語った。
1950年に始まった朝鮮戦争は未だ終戦に至っておらず、休戦協定が締結されているとはいえ、厳密には戦争が続いている状態だ。強大な戦力が配備されている朝鮮半島は、緊迫した非武装地帯によって分断されている。
このほか、ウクライナの将来を考える上で戦略家が指摘している例には、中東(1948年のユダヤ人国家イスラエルの建国以来、パレスチナ人やアラブ近隣諸国と対立が続く)や、北アイルランド(英国の支配に対する激しい反発が何世代も続いた)などがある。
だが、たとえ今年の夏に新たな局面を迎えなかったとしても、ウクライナには冬まで戦闘を続けられる力が十分にある。雨や雪によって戦車などの重装備の動きが遅くなる可能性はあるが、ウクライナ軍はこれまで、小規模な部隊で、しかもその多くが軽装備で作戦を実行する時に最も力を発揮することを証明してきた。
米陸軍の退役少将で元NATO事務次長補のゴードン・「スキップ」・デービス氏は「ウクライナ軍の方がロシア軍よりも適応が早いという状況が続いている」と指摘する。
ウクライナはまだ、精鋭部隊の一部しか攻撃に投入しておらず、NATO軍によって訓練された6万人以上のウクライナ軍のうち、いわゆる「諸兵科連合作戦」という複雑な戦術の訓練を受けているのは一部にとどまっている。今後、西側の高度な訓練を受けたウクライナ軍兵士や指揮官の数は増えるだろう。
西側による訓練は、欧米製の最新装備を使いこなす能力を高めるのに役立つだろう。ウクライナは最初、欧州の戦車や米軍の兵員輸送車を攻撃に使おうとしたが、うまくいかなかった。だが、来年の春までに、ウクライナには西側製の装備と高度な運用技術を持った兵士の数が増えるだろう。
デービス氏は「時間が経てば、ウクライナはいずれNATOの訓練と装備を受けた旅団をより多く配備できるようになる一方、ロシアは砲弾の使用量と前線の統一を維持するのに苦労するようになるだろう」との見方を示している。
来年半ばまでには、ウクライナは米製ジェット戦闘機「F16」を飛ばしている可能性がある。デンマークやオランダなど、欧州のF16運用国は供与に積極的な姿勢を見せている。米政府には長距離地対地ミサイルシステム「ATACMS」の供与、ドイツには巡航ミサイル「タウルス」の提供を求める圧力が強まっている。
F16に関する一つの大きな問題は、米国がF16にどの武器の搭載を認めるかということだ。ロシアはF16を迎撃可能な対空システムを有しているため、米国では、ウクライナに供与された戦闘機は撃墜されるだけではないかという懸念が浮上している。滑空式誘導弾「JSOW」や精密誘導弾「ペーブウェー」のような武器弾薬を装備すれば、F16は前線から比較的に安全な距離を保つことが可能になる。
侵略したロシア軍の排除を目的とするウクライナの戦闘に長い時間がかかる公算が大きいとの認識が深まっていると、ダニエル・マイケルズ局長。
西側諸国から新たに供与された戦車や装甲車両を使い、防御を固めたロシアの戦線を突破しようという当初の試みは失速した。
それ以来、進展は遅く、痛みを伴うものとなり、小規模な部隊による戦術頼みとなっている。
軍指導者や政策立案者は既に、今後数カ月間に何を達成できるか、そして長期化する戦闘にどう備えるかという問題に取り組んでいると、ダニエル・マイケルズ局長。
ウクライナ政府と西側諸国の政府は、政治家や有権者がウクライナの戦争を泥沼と見なし、同国を支持することに消極的になってしまうかもしれないという懸念につきまとわれている。ウクライナを支持する西側諸国の決意が変わらなくても、過酷な戦いで武器弾薬や人的資源・持久力をウクライナ軍が消耗する中、時間はどんどん経過している。
ウクライナの今の目標は、同国の国民や米国・ドイツなどの支援国に対してウクライナへの支援が間違っていなかったこと、そして、それがこれからも続くべきであることを示すのに十分な成果を得て、現在の攻撃を終えることだと、ダニエル・マイケルズ局長。
バイデン米大統領は先月リトアニアで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合で、米国の支援が今後も揺るがないと述べて、歓声を浴びた。米国、NATOと日本はウクライナの長期的な安全保障計画を立てることを約束した。
一方、軍の上層部は何カ月にもわたり、ウクライナが昨年迅速に成果を上げたものの、それを繰り返すのは容易でないとの警告を発している。
マーク・ミリー陸軍大将は、ロシアがウクライナ南東部に持つ陸の回廊をウクライナが迅速に分断する、つまり、ロシアが2014年にウクライナから奪取したクリミア半島をウクライナが孤立させるとの見立てについて、冷や水を浴びせるような発言を繰り返しているのだそうです。
米国の駐NATO大使を務めたアイボ・ダールダー氏は、「ウクライナが近い将来すべての領土を取り戻すことはないとの認識が、米政府内にあると私は確信している」と語ったと。
ロシア側は、ウクライナ領内の占領地の防御陣地を固め、兵力を増強し、武器弾薬の生産を増やしている。西側諸国も軍事産業にてこ入れしており、長期にわたり消耗戦が続くとの見通しが強まっていると、ダニエル・マイケルズ局長。
シンクタンク、海軍分析センター(CNA)のロシア問題専門家、ドミトリー・ゴレンバーグ氏は「この戦争は朝鮮戦争と似たような展開になる可能性がある。それは、当初何カ月か前線で急速な展開が見られた後、相対的なこう着状態に陥るというもの。
1950年に始まった朝鮮戦争は未だ終戦に至っておらず、休戦協定が締結されているとはいえ、厳密には戦争が続いている状態。
だが、たとえ今年の夏に新たな局面を迎えなかったとしても、ウクライナには冬まで戦闘を続けられる力が十分にあると、ダニエル・マイケルズ局長。
米陸軍の退役少将で元NATO事務次長補のゴードン・「スキップ」・デービス氏は「ウクライナ軍の方がロシア軍よりも適応が早いという状況が続いている」と指摘。
ウクライナはまだ、精鋭部隊の一部しか攻撃に投入しておらず、NATO軍によって訓練された6万人以上のウクライナ軍のうち、いわゆる「諸兵科連合作戦」という複雑な戦術の訓練を受けているのは一部にとどまっている。今後、西側の高度な訓練を受けたウクライナ軍兵士や指揮官の数は増えるだろうと。
ウクライナは最初、欧州の戦車や米軍の兵員輸送車を攻撃に使おうとしたが、うまくいかなかった。だが、来年の春までに、ウクライナには西側製の装備と高度な運用技術を持った兵士の数が増えるだろう。
デービス氏は「時間が経てば、ウクライナはいずれNATOの訓練と装備を受けた旅団をより多く配備できるようになる一方、ロシアは砲弾の使用量と前線の統一を維持するのに苦労するようになるだろう」との見方を示しているのだそうです。
来年半ばまでには、ウクライナは米製ジェット戦闘機「F16」を飛ばしている可能性がある。デンマークやオランダなど、欧州のF16運用国は供与に積極的な姿勢を見せている。
F16に関する一つの大きな問題は、米国がF16にどの武器の搭載を認めるかということだ。ロシアはF16を迎撃可能な対空システムを有しているため、米国では、ウクライナに供与された戦闘機は撃墜されるだけではないかという懸念が浮上している。滑空式誘導弾「JSOW」や精密誘導弾「ペーブウェー」のような武器弾薬を装備すれば、F16は前線から比較的に安全な距離を保つことが可能になると、ダニエル・マイケルズ局長。
局面転換の鍵となるF16の戦線投入。
訓練の進展と、バイデン大統領の装備範囲の決断が、長期化が予測される戦況を左右することになるのですね。
# 冒頭の画像は、ウクライナで早期に事態が進展するとの見方に疑問を投げかけている、マーク・ミリー米統合参謀本部議長(右)とロイド・オースティン国防長官
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この花の名前は、オオボウシバナ
↓よろしかったら、お願いします。
