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一方、直前のG20での日米豪の3ヵ国首脳会談については、中国が主催国のAPECの直前に史上2回目の会談ということで、対中牽制としても大きな意義があったのですが、報道は稀で通り一遍でした。
そして、事前に注目をされていた日露首脳会談。今秋来日予定で、北方領土問題の進展がなるかと期待されていたものが、露のウクライナ侵略が勃発し、G7と露が対立する中で実現が困難となり、APECで北京に集結する機会を捉えての会談に変更することで、安倍首相とプーチン大統領の関係を繋ぎとめることとしました。その両首脳の会談は、注目されてしかるべきでしたが、こちらも突っ込んだ報道は観られませんでした。
そんな中で、力による国境線変更、現状変更は認めないというのが戦後国際秩序の根幹であるにも関わらず、プーチン大統領はその秩序の破壊者だ。にもかかわらず、今回の会談で、来日日程に言及することは、G7の対露制裁の歩調を乱す行為だと産経・主張は声をあげています。
安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談し、北方領土問題を含む平和条約交渉を再開し大統領の来年来日へ準備をすることで一致した。
北方四島をロシアに返還させたうえで日露平和条約を結ぶことは年来の国家目標であり、交渉再開は必要だ。
しかし、ロシアの軍事介入でウクライナ情勢が再び悪化する中で、最大の責任者の来日準備に入ることは拙速であり、危機認識が甘いというほかない。
会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の地、北京で行われ、両首脳は昨年4月の日露共同声明に基づき、「双方に受け入れ可能な解決策」の模索と外務次官級協議の再開を確認した。昨春時点に戻ったにすぎないとはいえ、交渉が足踏み状態を抜け出す意義は小さくない。
ロシアは今、ウクライナ侵略に伴う欧米主導の制裁で国際的孤立や通貨ルーブルの暴落を招き、虎口(ここう)を脱すべく外交、経済両面で中国に急接近する。首脳会談には中国の手からロシアを引き戻す戦略的な意味合いもあろう。
だが、ウクライナ情勢については、首相は東部での親ロシア派の独自選挙が「事態を複雑にしている」と述べるにとどまった。
東部では、9月の政府軍と親露派武装勢力との停戦後、同派支配を固定化する独自選挙の実施に続いて戦闘が再燃し、ロシア側から重火器と援軍が流入している。
危機的状況を前に独自選挙への憂慮を伝えただけで、それを引き起こした当の大統領の来日にまで言及したのでは、日本も加わる先進7カ国(G7)の対露制裁結束を弱める結果にならないか。
プーチン政権はウクライナ南部クリミア半島を武力併合し、さらに同じく親露派が多い東部2州を同国からもぎ取ろうと動く。
力による国境線変更、現状変更は認めないというのが戦後国際秩序の根幹である。同政権はその破壊者だと言わざるを得ない。
日本固有の領土である尖閣諸島や各国の領有権がぶつかり合う南シナ海島嶼(とうしょ)を脅かし奪取する中国にも、日米はこの原則を盾に強く反対し抗議してきた。
忘れてならないのは、この掟(おきて)破りの最たる例が終戦前後に旧ソ連が武力侵攻して不法占拠する北方四島であるということだ。クリミアともその点で共通する。対露弱腰では四島は返ってこない。
G7の制裁も、独仏は必ずしも米国と一枚岩ではなく、自国の国益を損なわない様一線を引いています。日本も、北方領土問題を含んだ平和条約締結という課題をかかえており、独自の国益を考えた路線があってしかるべきとの考えは同感ですし、米国の言うがままに従う必要もありません。
がしかし、G7の協調枠=力による国境線変更、現状変更を行っているロシアへの制裁を、日本が率先して乱すことは、長く広い眼で観て、国益に沿っているとは考えられません。
終戦のドサクサで、米英と裏で連携して北方領土を不法占拠しているだけでなく、サハリン1, 2の開発では、完成が近づきリスクの懸念がなくなると、難癖をつけて日本他の連合で開発を勧めさせていたものを横取りしたのもロシアです。
今回の、北方領土問題も、4島返還には程遠い感触で、どこまでの成果があるのか全く未明で、淡い期待に過度の譲歩は禁物です。
そして何よりも、力による国境線変更、現状変更を行っているプーチン大統領と親交を深めることは、同様に南シナ海、東シナ海、西太平洋、インド洋で力による国境線変更、現状変更を行い、日本の領海侵犯も行っている、習近平に誤解をさせてしまいます。
いつも言っていることで、最近では世間でも常識となってきた、ロシアの台所が苦しい今日、ロシアが譲歩してくるのを待つ時です。
ウクライナへの力での侵略を止めれば、北極圏や極東の資源開発や、その資源購入への援助をしてもよいし、その時は、かつて日本領土だった千島列島全部とは言わないから、4島を返還しなさいと、説得すればよいのです。
ロシアの今最も欲しい援助をしてあげるから、4島を返しなさいと言えば良いのです。
それは、G7で協調制裁をしている最中の今では、逆に日本の国益を損なうことになります。
いまだに、円安と株価上昇といったマネーゲームでの成果(円安は弊害の方が大きくなりつつある)しか出ないアベノミクス。安倍さんが一番解っているからでしょうか、内閣改造依頼、国内や党内政局に勢力を注ぎ始め、安定政権を自ら傷つけはじめた様に見える今日この頃。
経済の実態が成長軌道に乗ること(薬のネット販売でもなく、カジノでもない)への注力と、中韓のプロパガンダでの「世論戦」への戦闘態勢の構築に本腰を入れた取り組みが求められます。
# 冒頭の画像は、APECが開催された北京で会談した安倍首相とプーチン大統領
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