遊爺雑記帳

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米中首脳会談 具体策は先送り

2017-04-08 23:58:58 | 米国 全般
 幕開けに、シリア空軍基地へのトマホーク攻撃の衝撃的パンチで始まったトランプ大統領と習近平主席との首脳会談。
 北朝鮮の暴走対策、貿易の不均衡、南シナ海での仲裁裁判所裁定無視の中国の不法姿勢などが課題でした。
 米国本土への核ミサイル攻撃の可能性が見え始めた北朝鮮への開発阻止対応に、トランプ大統領は、中国が米国と協調しない場合は「米国は単独で対応する用意がある」との考えを伝えたのだそうですが、協議の具体的内容は不明で、非核化に向けた協力強化という当たり障りのない合意をまとめただけに終わったのだそうですね。
 政権発足はしたものの、陣容が未完成のトランプ政権ということもあるのか、両国関係をPRするにとどまり、課題の具体策は先送りという、安全運転に終わった模様です。
 日経の記事では、個人的な信頼関係をどこまで構築できたのかは不透明だと。。
 

米中首脳 協調を演出 方針確認、具体策は先送り :日本経済新聞 2017/4/8

 【パームビーチ(米フロリダ州)=永井央紀】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の2日間にわたる初会談は協調関係の演出に重きが置かれた北朝鮮の核・ミサイル問題や貿易不均衡への対応は、方針の確認にとどまり、具体的な対応策は先送り
となった。今後の議論は新たに設けた分野別の高官級対話に委ねられる。

 両首脳は2日目の会談後、トランプ氏の別荘敷地内を散策した。通訳だけを伴い、トランプ氏があちこちを指さしながら語りかけると、習氏もうなずいてみせた。約3分と短時間だったが報道陣の前で握手も交わし、「友好ムード」をアピールした。
 7日の会談ではトランプ氏が「習主席との関係は深まった。これから会談を重ねていき、問題を解決できると信じている」と強調。習氏も「多くの分野で共通認識を得た」と応じた。
 
米軍のシリアへの軍事介入はトランプ氏と習氏の夕食会に前後するタイミングだった。トランプ氏は、中国が米国と協調しない場合は「米国は単独で対応する用意がある」との考えを習氏に直接伝えた。核開発を続ける北朝鮮への軍事力行使が現実的な選択肢だとちらつかせ、中国に制裁強化など協力を促す狙いがあった
とみられる。
 会談では、
この問題について突っ込んだやりとりがあったとみられるが、問題解決に向けた具体策での一致には至らず、非核化に向けた協力強化という当たり障りのない合意をまとめただけに終わった

 北朝鮮は米中首脳会談について日本時間8日昼時点で公式な反応を示していない。

 もう一つの焦点だった
米国の対中貿易赤字の削減でも、具体的な対応は「100日計画」の策定へ持ち越された
。中国による東・南シナ海の海洋進出や中国での人権問題なども、お互いの主張をぶつけるにとどまった。

 今回の首脳会談は準備期間が短かったうえ、発足したばかりのトランプ米政権は各省の幹部人事が決まっておらず具体的な案件を詰められる状況ではなかった。両国とも首脳同士が初顔合わせでお互いの考えを確認し、懸案があれば意思疎通して解決していくと確認することに重きを置いた。
 もっとも、
個人的な信頼関係をどこまで構築できたのかは不透明
だ。会談初日に実施された米軍のシリア攻撃は習氏にとって不意打ちだった可能性が高い。6日の夕食会後にトランプ氏から習氏へ説明したというが、中国にとっては北朝鮮問題をめぐるけん制でしかない。
 2013年に国家主席に就いたばかりの習氏が当時のオバマ米大統領と初会談した際、両首脳はカリフォルニア州でネクタイを外して散歩した。今回は夏のような日差しのフロリダ州でネクタイを付け、ダークカラーのスーツを着たままだった。

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米中首脳会談の主な内容

○相互尊重を基礎に違いをコントロールし、協力分野の拡大で合意
○北朝鮮の核放棄に向けた協力を強化。核計画が深刻な段階に入ったとの認識を共有
○米国の対中貿易赤字の是正のため「100日計画」の策定で合意
○トランプ氏は南シナ海、東シナ海での国際規範順守の重要性を指摘
○米中の課題を協議する新しい対話の枠組みを新設。外交・安全保障や経済など4分野
○中国は米国のシリア・アサド政権への攻撃に理解を示す
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 トランプ大統領側は、北朝鮮問題、貿易不均衡改善の他、南シナ海、東シナ海での国際規範遵守といった課題について、要求提示した様ですが、習近平主席側は、「一帯一路」構想の、AIIBへの参加要請をしたのだそうです。
 

米中、北の核「深刻」一致 首脳会談 貿易是正「100日計画」 (4/8 読売夕刊)

<前略>
シリア攻撃に習氏「理解」 米発表
 ティラーソン国務長官は会談後に記者会見し、両首脳が、北朝鮮の核ミサイル開発について「非常に深刻な段階に達している」との認識で一致したことを明らかにした。両首脳は国連制裁を完全履行することを確認したが、包括的な解決策の議論はなく、トランプ氏は中国が協力しない場合、「独自の計画を立てる用意がある」と通告したという。

 また、トランプ氏は、中国が東シナ海や南シナ海で国際規範を守り、習氏が2015年9月の米中首脳会談で約束した南シナ海の非軍事化を守ることが重要だと指摘し、対応を迫った。
米国のシリアへのミサイル攻撃については、トランプ氏が6日の夕食会で習氏に説明し、習氏はこれに謝意を示した
上で、子どもたちが殺害されている中、こうした対応が必要だと、「理解」を示したという。

 ただ、
中国側は現時点で、北朝鮮や海洋問題、シリア攻撃に関する両首脳のやり取りについて公式に言及していない。新華社通信によると、習氏は米中の軍事協力の重要性を強調し、軍の合同参謀本部間の対話メカニズムの設立を提案。「経済、貿易での協力の可能性は広い」として中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の枠組みへの米国の参加を歓迎すると呼びかけた
<後略>

 選挙公約に準じた攻め手を繰り出すトランプ大統領。シリア攻撃の先制パンチで面食らいながらも、のらりくらりと受け流した習近平。トランプ大統領の選挙戦以来の対中強硬対立姿勢に、なんとか歯止めをかけてひとまずは会談目的達成といったところでしょうか。
 シリア攻撃で、対露外交に溝が生じたトランプ大統領側も、ロシアと中国の両方と決定的亀裂を生じさせることは出来なくなり、対中強硬姿勢にブレーキをかけたといったところでしょうか?キッシンジャーと接触しているクシュナー氏が、今回の首脳会談に一肌脱いでいるのも、影響しているのでしょうか?
 
米中首脳会談 実現に努力を重ねた習近平 - 遊爺雑記帳

 具体策が先送りされましたが、その間、北朝鮮の核やICBMの開発は継続され、南シナ海・東シナ海の中国の覇権拡大は止まることなく続けられます。
 AIIBへの米国の参加も、可能性はゼロではなくなってきている話が聞かれます。
 バロン氏の処遇に見られる、トランプ政権内部の亀裂も、ただでさえ不透明な政策を、ますます読みづらくしています。
 秋の党大会に向けて、求心力を高めていかねばならず、外交での失点は許されない習近平。秋までのトランプ大統領の訪中は欠かせないイベントになりますね。
 足元の強化が優先課題の両首脳。そこで変化する動向は、日本に大きな影響を及ぼします。日本政府も国会も、素早い対応の戦略構築と行動が求められます。金魚鉢の中で、政局に明け暮れている場合ではありません。



 # 冒頭の画像は、会談を終えて散策するトランプ大統領と習近平主席




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